ONE PIECE 死神伝   作:ぐちロイド

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第31話 黒服の来訪者

ウォーターセブンの陽光は眩しく、運河を流れる水面は宝石のように煌めいていた。しかし、トムズ・ワーカーズの第1ドック周辺だけは、異様な緊張感と鉄を打つ轟音に包まれている。

 

ヘカテ号の改造は佳境に入っていた。リースの「構成組み換え」によって船体強度はダイヤモンドを凌駕し、アレンの「電磁回路」が船の神経系として張り巡らされていく。

 

リース「……ん。……接合完了。アレン、出力を3%に固定。焼き付けを行う」

 

アレン「了解っす。……あー、だっる。俺、朝からずっとこの姿勢で精密放電っすよ。指先が痺れてきたわ」

 

アレンが文句を言いながらも、指先から極細の蒼い稲妻を走らせ、未知の合金を溶接していたその時。ドックの入り口から、場にそぐわない冷徹な足音が響いた。

 

---

 

 

 

現れたのは、磨き上げられた革靴と、漆黒のスーツに身を包んだ五人の男たち。その中央に立つ男は、丸眼鏡の奥で蛇のような瞳を光らせ、手帳を開いた。

 

「……失礼。世界政府直属、諜報機関の調査員だ。トム、貴殿に『不当な技術提供』および『不審船の建造』の疑いがかかっている」

 

トム「ハッハッハ! 政府の役人か! どん(DON)と朝早くから御苦労なことだ!」

 

トムが豪快に笑い飛ばすが、男の視線はヘカテ号の異様な外観に向けられたままだ。

 

「笑い事ではない。この船に使用されている素材、そして動力システム……これらは政府のデータベースに存在しないオーバーテクノロジーだ。……もしや貴殿ら、『古代兵器』の設計図を隠し持っているのではないか?」

 

エリス「……Wait. 古代兵器? そんな物騒なもの、この船にはないわよ」

 

エリスがイチゴのシャーベットを片手に、屋根の上から飛び降りた。

 

エリス「あるのは、私たちの『夢』と『イチゴ』だけ。……あと、そこの最低な男の変態的な趣味ね」

 

アレン「……あー、エリスさん。さりげなく俺をディスるのやめてもらえます?」

 

アレンが作業の手を止め、だるそうに政府の役人たちを振り返った。

 

「……小僧、貴様がこのシステムの設計者か。同行を願おう。……『少し』詳しく話を聞かせてもらう必要がある」

 

役人の一人がアレンの肩を掴もうと手を伸ばした。

 

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アレン「……触るなと言ってるんっすよ。お袋の教えでね、『知らない男に体を触られたら、神経ごと焼き切りなさい』って言われて育ったんで」

 

アレンの体がバチリと火花を散らした。

次の瞬間、役人の男は触れてもいないのに「ぎゃあああ!?」と叫び声を上げ、その場に崩れ落ちた。

 

「なっ、何をした!? 指一本触れていないぞ!」

 

アレン「……あー、これっすか? 『電磁波による神経痛』ってやつっす。あんたの体の周りにある微弱な電流を、俺がちょっとだけ『イタズラ』して書き換えたんっすわ」

 

アレンはポケットに手を突っ込んだまま、ゆっくりと男たちに歩み寄る。その瞳から光が消え、例の「拷問コンサルタント」の息子としての冷徹な顔が覗いた。

 

アレン「世界政府だかCPだか知りませんけど、仕事の邪魔なんっすよ。……いいっすか? 拷問の基本は『逃げ場をなくすこと』。……そして、このドックは今、俺の支配下(テリトリー)っす」

 

アレンが指をパチンと鳴らす。

ドックの金属製の壁や床、そしてヘカテ号の船体から、バチバチと蒼い雷が走り、檻のように男たちを囲い込んだ。

 

アレン「……さて。お袋直伝の『10分で吐かせる電磁拷問』、体験してみたいっすか? 筋肉を強制的に収縮させて、骨を自分自身の力で叩き折る感覚……あれ、結構痛いらしいっすよ」

 

「ひ、ひぃ……っ! 貴様、政府に逆らうつもりか!」

 

アレン「……政府? ああ、あのお偉いさんたちっすか。……マキナ様に言わせりゃ、ただの『掃除対象』っすわ」

 

アレンの放った高圧電流が、男たちの神経に直接「痛み」の信号を送り込む。叫ぶことすらできない劇痛。男たちは白目を剥き、地面でのたうち回った。

 

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マキナ「……アレン。そこまでにしろ。ドックが汚れる」

 

ドックの奥から、マキナが悠然と姿を現した。彼女が放つ覇王色の圧によって、意識を保っていた役人たちも次々と泡を吹いて倒れていく。

 

アレン「……マキナ様。こいつら、古代兵器とか何とか言って、船を没収しようとしてきたんっすよ」

 

マキナ「……フン。神の船に人間の法を当てはめようなど、片腹痛い。……おい、生き残っている奴。その死に損ないを引きずって、さっさと消えろ。……次に我がドックに影を落とした時は、お前たちの聖地マリージョアごと、雷(いかずち)で消し飛ばしてやる」

 

マキナの言葉は、単なる脅しではなかった。その瞳には、本気で世界そのものを敵に回しても構わないという、絶対的な王の意志が宿っていた。

 

「わ、わかった……! この報告は必ず……!」

役人たちは命からがら、仲間を担いで逃げ出していった。

 

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トム「ハッハッハ! 政府を相手にどん(DON)と派手にやったな、少年!」

 

トムが腹を抱えて笑いながら、アレンの肩を叩いた。

 

トム「だが、これで奴らも当分は手を出してこねぇだろう。……気に入ったぞ。その根性、俺が造る船にふさわしい!」

 

アレン「……あー、だっる。俺、ただ静かに作業したかっただけなんっすけどね」

 

アレンは再びハンダごて(という名の指先)を握り、ヘカテ号の深部へと潜り込んだ。

 

リース「……ん。……アレン、さっきの拷問。……効率、85点。……残りの15点は、恐怖心が足りない。……後で私が、本当の恐怖を教えてあげる」

 

アレン「リースさん、それマッサージの時だけにしてくれません!?」

 

ライカ「あはは! アレンくん、将来は政府公認の拷問官になれるかもね!」

 

アレン「ライカさん、それ全然嬉しくないっす!!」

 

運河の夕焼けが、ヘカテ号の黒い船体を黄金色に染めていく。

政府の調査を力ずくで跳ね除けた死神たちは、もはや止まらない。

最強の船、最強の技術。

そして、それらを操る「規格外」の連中。

ウォーターセブンの歴史に、かつてない狂宴の槌音が響き続けていた。

 

その様子を、物陰からじっと見つめる少年の目が一つ。

 

フランキー「……すげぇ……政府の奴らを一瞬で……。あのアニキ、マジでサイボーグじゃねぇのか!?」

 

若きフランキーは、アレンの「電磁拷問」を、格好いい必殺技だと勘違いしてノートにメモを取っていた。

 

 

転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?

  • 精霊
  • フェンリル
  • ドラゴン
  • 吸血鬼
  • 上位悪魔
  • その他(他作品とのクロスオーバー)
  • その他(コメントで書いて下さい)
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