ONE PIECE 死神伝   作:ぐちロイド

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第32話 伝説の始まり、飛翔:空を穿つ黒い翼

ウォーターセブンのドックに、これまでの常識を打ち破る「音」が響き渡った。

 

それは木材が軋む音でも、鉄が触れ合う音でもない。空間そのものが低く唸り、粒子が振動するような、この世界の物理法則を塗り替える胎動。

 

トム「……ハッハッハ! どん(DON)と完成したぞ! これこそが、海賊の概念を、いや『船』という概念を過去に葬り去る怪物だ!」

 

トムが豪快に笑いながら、巨大な幕を引き抜いた。

そこに現れたのは、黒檀のような漆黒の光沢を放ち、鈍い銀のラインが神経系のように這う、新生**『黒舟(ヘカテ)号・真打(しんうち)』**だった。

 

---

 

 

アレン「……あー、だっる。マジで死ぬかと思ったっすわ。……リースさん、本当にこれ、空飛ぶんっすよね?」

 

アレンは目の下に深い隈を作りながら、船の心臓部――電磁増幅炉から這い出してきた。この一週間、彼はリースの「構成」に合わせて、自身の雷を安定供給するための回路を全神経を注いで焼き付け続けていた。

 

リース「……ん。……完璧。……トムの『魂の設計』と、私の『分子補強』。……そして、アレンの『無尽蔵の電力』。……この船に、不可能はない」

 

リースが誇らしげに狐の尻尾を立てる。

新生ヘカテ号には、前代未聞の機能が搭載されていた。

 

* **「海割(うみわり)」の外輪(パドル)**: 磁気浮上を利用した超高速回転。

* **「空翔(くうしょう)」の電磁噴射**: 船底から重力を反転させる斥力を発生させる。

* **「ヘカテ・ランナー」完全格納**: デッキから電磁カタパルトでの緊急射出。

 

マキナ「……良い。……死神にふさわしい、悍ましくも美しい姿だ」

 

マキナが槍を背負い、満足げに船体を見上げる。

 

エリス「Wait! ちょっと、外観はいいけど、私の特注『イチゴ専用バイオ・ドーム』はどうなったのよ! ちゃんと自動温度調節ついてるんでしょうね!?」

 

エリスがアイスバーグを問い詰める。

 

アイスバーグ「……付いてるよ。全部あんたの望み通り、アレンの電力で24時間、イチゴに最適な180°C……じゃなくて、18度を保つようになってる。……勘弁してくれよ、俺は寝てないんだ」

 

 

若きアイスバーグが魂の抜けたような顔で答えた。

 

---

 

 

アレン「よし。……じゃあ、お披露目といきますか。……全員、乗り込め!!」

 

アレンの号令で、メンバーたちが新生ヘカテ号の甲板へと飛び乗った。

アレンは艦橋(ブリッジ)の中央に座り、両手のひらを制御レバー――実際には電力を流し込むための端子に置いた。

 

アレン「**『ゴロゴロ・全回路(フルドライブ)・接続(プラグイン)』!!**」

 

アレンの全身から凄まじい蒼白の閃光が溢れ出し、船体全体が脈打つように発光した。

 

「ギィィィィィィィィィィィィィィン!!」

 

ウォーターセブンの運河全体が、電磁波の干渉でざわめく。

ヘカテ号は滑るように水面を動き出し、島の外海へと出た。

 

マキナ「アレン、全開で行け。……世界を驚かせろ」 

 

マキナの冷徹な命令。

 

アレン「了解っす! **『海割(うみわり)・超速パドル』始動!!**」

 

次の瞬間、ヘカテ号の左右に備えられた巨大な外輪が、視認できないほどの超高速で回転を始めた。

ドォォォォォォォォォォォォォン!!

それは航行というより、暴力的破壊。

ヘカテ号が進む前方、海面が真っ二つに裂け、巨大な水壁が左右にそそり立つ。アレンの電磁反発力が水を押し除け、船は「水のない海底」を飛ぶように爆走し始めた。

 

ライカ「あはははは! すごい! 海が避けていくよ! 風が、風が追いつかないーー!!」

 

ライカがマストの頂上で叫ぶ。

 

エリス「My heart tells me... これ、船の速度じゃないわ! 飛行機よ! 完全に物理を無視してるわ!!」 

 

エリスが手すりを掴みながら絶叫した。

 

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アレン「……まだっすよ。……メイン・ブースター、点火」

 

アレンの瞳に漆黒の雷が宿る。

 

アレン「**『空翔(くうしょう)・電磁重力反転』!!**」

 

ヘカテ号の船底にある巨大なノズルから、蒼白い電漿(プラズマ)が噴き出した。

次の瞬間、数千トンの巨体が重力を振り切り、垂直に空へと跳ね上がった。

 

アイスバーグ「…………えっ?」

 

ドックで見守っていたアイスバーグが、口を開けたまま空を見上げる。

トムも「どん(DON)と……飛びやがった!」と絶句していた。

 

雲を突き抜け、ヘカテ号はウォーターセブンを眼下に見下ろす高度まで上昇した。

静寂。

風の音さえも置き去りにした高高度で、マキナが静かに告げる。

 

マキナ「……これだ。……地を這う蟻どもを見下ろし、天をも支配する。……これが死神海賊団の『船』だ」

 

リース「……ん。……気圧、正常。……アレン、お疲れ。……ご褒美に、後で船内サウナ(最新型)でマッサージしてあげる」

 

アレン「……あー、やっぱりそこに行き着くんっすね」

 

アレンは空中に静止するヘカテ号の操縦席で、心地よい疲労感に包まれていた。

目の前には無限に広がる青い空。

そして下には、自分たちの力を証明した海。

 

---

 

 

 

試運転を終え、再びドックに降り立ったヘカテ号。

そこには、トムズ・ワーカーズの面々だけでなく、街の住民たちも集まり、言葉を失っていた。

 

アレン「……トムさん、アイスバーグ。……最高の船っす。……これで、ロックスでも海軍でも、好きなところからかかってこいって感じっすわ」

 

アレンが汗を拭いながら降りてくると、一人の少年が目を輝かせて駆け寄ってきた。

 

フランキー「アニキ! すげぇよ! マジで飛んだよ! 俺も、俺もいつかあんなサイボーグみたいな船を造るんだ!!」

若きカティ・フラム(フランキー)が、アレンの服を掴んで揺らす。

 

アレン「……はは、期待してるっすよ。……カティ・フラム。あんたの『どん』とした船、楽しみにしてるわ」

 

アレンは少年の頭を軽く叩くと、マキナの元へ歩み寄った。

船は完成した。

牙は研がれた。

次に向かうは、この海の覇者――ロックス・D・ジーベックが君臨する、混沌の海。

 

アレン「マキナ様。……準備は整ったっす。……いつでも行けますよ」

 

マキナ「……ああ。……出航だ。……世界政府も、海軍も、ロックスも……この船の影に怯えるがいい」

 

夕焼けに染まるウォーターセブン。

伝説の船大工に見送られ、死神の旗を掲げた『空飛ぶ黒舟』が、新たな時代を切り裂くために海へと滑り出した。

 

マキナ「全速前進!! 目的地は……新世界の入り口だ!!」

 

アレンの雷鳴が、黄昏の海に響き渡った。

 

転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?

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