伝説的な激突の余韻が、ヘカテ号の甲板にはまだ熱く立ち込めていた。
シャボンディ諸島の巨大なマングローブの根元、深い霧と生い茂る原生林に守られた隠れドック。アレンはヘカテ号を静かに着水させると、大きく一つ、魂を吐き出すような溜息をついた。
アレン「……あー、死ぬかと思ったっすわ。マジで。ガープのジジイの拳、掠めただけで船体の装甲がひしゃげそうになったんすよ?」
アレンは卍解『天鎖斬月』を解き、いつものだるそうな表情に戻ったが、その指先はまだ激戦の霊圧に微かに震えていた。
リース「……ん。……解析完了。海軍最高戦力の戦闘能力は、こちらの想定を15%上回る。……アレン、お前の電磁バリアがなければ、今頃私たちは海底の藻屑」
リースが淡々と、だがどこか労わるようにアレンの背中に手を置く。
マキナ「……フン、何を弱気なことを。あのような伝説ども、あと数回も交戦すれば我々の『糧』に過ぎん」
マキナは槍『灰塵』の血振り(といっても相手はロジャー、血などついてはいないが)を済ませると、不敵な笑みを浮かべてリビングの長テーブルへと腰を下ろした。
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マキナ「さて。……新世界を前に、先程の戦いの意見を出し合え。我々の何が足りず、何が通用したのか」
マキナの号令で、死神海賊団の反省会が始まった。
ライカ「私はね、ゼファーって奴の武装色が厄介だと思った!」
ライカが空いた席に飛び乗り、ジュースを煽る。
ライカ「私の風を拳一つで叩き伏せてくるんだもん。もっとこう……風の密度を上げて、分子レベルで切り刻まないと、あのクラスの怪物には致命傷を与えられないよ」
キース「僕はガープさんに追いかけ回されて、もうクタクタだよぉん」
キースが肩をすくめる。
キース「『観音開紅姫改』で空間を縫い合わせてなんとか逃げたけど、あの人、覇気だけで空間をぶち破ってきそうなんだもん。……もっとこう、キルア的な『神速』みたいな動きを身につけないと、捕まったら最後だねっ☆」
シズ「……私は、ユリナさんのサポートに回るのが精一杯でした」
シズが少し悔しそうに俯く。
シズ「ロジャーさんの覇気は、私のプラプラの実の能力さえも無効化するような威圧感がありました。……治癒の速度をもっと上げないと、マキナ様たちの連戦を支えきれません」
エリス「……Wait. 私の話も聞きなさいよ!」
エリスが机を叩いた。
エリス「シキの艦隊を凍らせるのにどれだけ苦労したと思ってるの!? それに、あのロジャーって男! マキナ様を勧誘した時の音……あれ、本気だったわよ! 私たちの絆を揺さぶるような、あんな図々しい音……最低よ、本当に!」
アレン「……まぁ、それについては俺が2億ボルトで却下しといたんで安心してくださいよ、エリスさん」
アレンが苦笑いしながら割って入った。
その時だった。
ユリナ「……? なぁ、アレン。さっきからリビングの隅にある、あの妙に『重い』布袋……あんなの、最初からあったっけ?」
ユリナがキッチンから戻りながら、部屋の隅にある麻袋を指差した。
アレン「え? ……いや、俺たちの荷物じゃないっすね。……誰か、買い出しでもしたっすか?」
全員の視線が、その袋に集まる。
袋は古びているが、そこから漏れ出す「存在感」は尋常ではなかった。ただの物質ではない、何らかの強烈な意志を纏ったような重厚感。
リース「……ん。……生体反応、なし。……爆発物の反応、なし。……だが、莫大なエネルギーの残滓を感じる」
リースが警戒し、蛇尾丸の柄に手をかける。
アレンが慎重に近づき、袋の紐を解いた。
アレン「……っ!! これは……」
袋の中から現れたのは、黄金に輝く酒瓶が数本、そして――真っ赤な封蝋で閉じられた一通の手紙だった。
アレン「……あのヒゲ親父(ロジャー)、いつの間に投げ込んだんだ……」
アレンが手紙を開き、マキナがそれを奪い取るようにして目を通した。
> **『黒い船の愉快な死神どもへ』**
> **いやぁ、さっきは邪魔が入って悪かったな!**
> **お前ら、いい腕をしてる。特にあの女船長と、生意気な雷の小僧!**
> **俺の船に誘ったのは半分本気だが、まぁ、あんな顔で拒絶されたら諦めるしかねェな。ガッハッハ!**
> **新世界は、今以上にクソみたいな地獄だ。**
> **ロックスのジジイもそうだが、海そのものがお前らを選別しに来る。**
> **これは俺からの「挨拶」代わりだ。俺の故郷の最高に旨い酒と……あと一つ、お前らにとって必要な「鍵」を入れておいたぜ。**
> **ラフテルで会うか、それとも戦場で殺し合うか。**
> **どっちにしろ、楽しみに待ってるぜ。**
> **ゴール・D・ロジャー**
アレン「……鍵?」
アレンが袋の底をさらに探ると、酒瓶の間から、見たこともない紋章が刻まれた、鈍く光る**黒い金属のプレート**が出てきた。
アレン「……これ、何っすかね?」
リース「……ん。……解析。……これは、世界政府の最高秘匿通信網をバイパスするための、古い認証キー。……そして、裏側に座標が刻まれている。……場所は、新世界の果て……『ハチノス』」
アレン「ハチノス……! ロックス海賊団の本拠地じゃないっすか!!」
アレンが驚愕の声を上げる。
ロジャーは、アレンたちがロックスを狙っていることを見抜いていた。そして、政府の目を盗んでその本拠地へ潜り込むための「鍵」を、戦いの最中に、気づかぬうちに投げ込んでいたのだ。
マキナ「……ふん。余計なお節介を」
マキナは酒瓶の一つを手に取り、その場で栓を抜いた。芳醇な香りがリビングに広がる。
マキナ「……だが、この酒に毒はないようだ。ロジャー……お前という男、底が知れんな」
マキナが酒を一口煽り、アレンに瓶を渡した。
マキナ「アレン。……ロジャーが我々を『認めた』ということだ。この鍵を使い、奴の期待通りロックスを真っ向から叩き潰す。……それで文句はないな?」
アレン「……あー、だっる。結局、また激戦に突っ込む確定じゃないっすか。……でも、まぁ。ロジャーにあんなメッセージもらって、逃げるわけにもいかないっすよね」
アレンは酒を受け取り、グイッと飲み干した。
熱い刺激が喉を通り、戦いの疲れが少しだけ癒えていく。
アレン「……エリスさん、ユリナさん。……ロジャーからの酒、結構いけるっすよ。みんなで飲みませんか?」
エリス「……Hmph. 最低。ロジャーの酒なんて……でも、一杯だけなら、付き合ってあげてもいいわよ。……感謝しなさいよね、アレン!」
ユリナ「ウチも飲むわ! ロジャーさんへの愚痴、肴(さかな)にして盛り上がろうや!」
シャボンディ諸島の隠れドック。
伝説の男から託された「鍵」と「酒」を囲み、死神たちの夜は更けていく。
次に待つのは、真の地獄、新世界。
だが、今の彼らに迷いはなかった。
リース「……ん。……アレン。……酒のせいか、お前の霊圧、少し熱い。……今夜は、特別なメンテナンスが必要」
アレン「リースさん! だからその『特別』が一番体力使うんっすよ!!」
死神海賊団。
伝説の激励を胸に、彼らはついに、世界の覇権を懸けた新世界へと、その漆黒の翼を広げるのであった。
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