ONE PIECE 死神伝   作:ぐちロイド

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第47話 新たな懸賞金:世界が恐れる「死神」の正体

ゴッドバレーの崩壊から、一ヶ月。

 

かつて「神の谷」と呼ばれた島は、アレンが放った絶望のブレスによって地図から消滅し、その周辺海域は海軍による厳重な封鎖の末、歴史の闇へと葬り去られた。だが、その凄惨な戦場から辛うじて離脱した漆黒の船――ヘカテ号は、傷だらけの船体を未知の無人島の入り江に潜め、静かな死の色に包まれていた。

 

船内には、かつての喧騒はない。聞こえるのは、海鳴りの音と、人工知能のように正確だったリースの、震える指先がめくる紙の音だけだった。

 

---

 

 

リース「……ん。……シズのノート、342ページ。……古龍の血清と、雷による細胞活性化の抑制……。……アレン、死なせない。……絶対に」

 

医務室で、リースは不眠不休の作業を続けていた。

彼女の目の前には、全身の皮膚が焼けただれ、肉が爆ぜた状態で横たわるアレンがいる。その体は、自らが放った過剰なエネルギーによって、内側から焼き尽くされていた。

 

リースが頼りにしているのは、今は亡きシズが遺した一冊の医療日誌だった。

シズは万が一に備え、毒だけでなく、仲間の特異な体質(特にアレンの二つの実の融合)に合わせた治療薬のレシピを書き溜めていたのだ。

 

リース「……シズ。……お前の知識、借りる。……アレンを治したら……お前にも、礼を言うから」

 

リースの頬を、涙が伝い、調合中の薬瓶に落ちる。彼女はそれを拭うこともせず、アレンの傷口に、シズが考案した特殊な軟膏を塗り込んでいった。

 

一方、ヘカテ号の甲板。

マキナは一人、沈みゆく夕日を背に立っていた。彼女の足元には、五つの真っ白な棺が並んでいる。

ユリナ、キース、ライカ、シズ、エリス。

新世界を共に制覇するはずだった愛すべき部下たち。

 

マキナは叫ぶことも、取り乱すこともなかった。ただ、一人一人の棺に触れ、その冷たい感触を噛み締めるように目を閉じる。

 

マキナ「……ユリナ。お前の飯は、世界一だった。……キース、お前の悪ふざけには救われた。……ライカ、お前の風はいつも心地よかった。……シズ、お前の静かな忠誠を忘れない。……エリス、お前の真っ直ぐな銃弾が、何度も私を助けてくれた」

 

マキナが槍『灰塵』を静かに掲げる。

 

マキナ「……眠れ。私の誇り高き死神たちよ。……お前たちの魂は、この私が、そしてアレンが引き継ぐ。……世界の玉座を獲るその日まで、私たちは止まらん」

 

マキナの覇気が、漆黒の炎となって棺を包み込んだ。それは熱を持たない、鎮魂の炎。五人の遺体は美しい粒子となって、無人島の夜空へと昇っていった。

 

---

 

 

 

それからさらに一ヶ月が過ぎた。

 

アレンは、ようやく目を覚ました。

シズの遺した知識と、リースの懸命な看護によって、その肉体は奇跡的に再生していた。だが、目覚めた瞬間に彼を襲ったのは、肉体の痛みなど比較にならないほどの、凄まじい「罪悪感」だった。

 

アレン「……あ、あぁぁぁ……俺が……。俺が、あいつらを……」

 

目を開けるたびに、あの三日月型のクレーターが脳裏に浮かぶ。

自分の放ったブレスが、エリスとライカを飲み込む光景。

仲間の死を止められなかった無力感。

アレンは、自らの内に眠る『ゴロゴロの実』と『ドラドラの実』の力を、心底から呪った。

 

アレン「……もう、嫌だ。……力なんて、いらないっすわ……」

 

アレンはそれ以来、自室に引きこもるようになった。

能力を一切使わないよう、心に固く鍵をかけ、部屋中に散乱した安酒の瓶を煽る毎日。修行時代の精悍な面影はなく、無精髭を生やし、瞳にはドロドロとした絶望が濁っている。

 

リース「……アレン。……飯、持ってきた。……ユリナのレシピ通りに作った。……食べて」

 

リースの声がドア越しに聞こえるが、アレンは答えず、ただ酒を喉に流し込む。

 

アレン「……だっるい……。リースさん、放っておいてくれっすよ……。俺みたいな『仲間殺し』のトカゲは、このまま腐って死ぬのがお似合いっすわ……」

 

ガシャン、と瓶が床で割れる音。

その瞬間、部屋のドアが「物理的」に粉砕された。

 

マキナ「……いつまで、そのザマを晒しているつもりだ。アレン」

 

立っていたのは、マキナだった。

彼女の放つ威圧感は、かつてないほど鋭く、氷のように冷たい。

 

アレン「マキナ様……。……無理っすよ。俺、もう戦えない。……力を出そうとすると、あいつらが死ぬ時の感触が、腕に残ってるんっすよ……」

 

マキナ「……そうか。ならば死ね。今ここで、私がお前を処刑してやろう。無能な右腕など、私の隣には不要だ」

 

マキナが槍の穂先をアレンの喉元に突きつける。アレンは避けようともせず、虚ろな目でマキナを見上げた。

 

アレン「……いいっすよ。……殺してください。……それが一番、楽っすから……」

 

パチィィィィィィィィン!!!

 

乾いた音が、狭い部屋に響き渡った。

マキナの全力の平手打ちが、アレンの頬を弾いた。

 

マキナ「……ふざけるな! 貴様が死んで、誰が喜ぶ! 死んだ五人が、貴様のそんな情けないツラを見るために命を懸けたと思っているのか!!」

 

アレン「……でもっ!!」

 

リース「……黙れ!!」

今度はリースが、アレンの胸ぐらを掴み、床に押し倒した。

 

リース「……アレン。……お前の命は、もうお前だけのものじゃない。……シズが遺した知識と、私が注いだ時間。……そして死んだ五人の想いが、今のお前の体を作っている。……それを酒で汚すのは、私が許さない」

 

リースの瞳には、怒りと、それ以上の深い愛情が宿っていた。

 

マキナ「……わかった。……お前が自分を罰したいと言うなら、私たちが『罰』を与えてやる。……アレン、お前は今日から、一切の自由を奪われる」

 

アレン「……え?」

 

リースはアレンの耳元で、甘く、恐ろしい声で囁いた。

 

リース「……罰として。……今日から毎日、私が満足するまで……お前を身体的に、精神的に、メンテナンス(エッチな事)してやる。……お前の身体の隅々まで、私の刻印を刻んで、死ぬまで逃げられないようにしてやる」

 

アレン「……ちょ、リースさん……?」

 

さらに、マキナがアレンを見下ろし、冷酷な微笑を浮かべた。

 

マキナ「……そして日中は、私の修行だ。……能力を封印したままだと? 笑わせるな。封印したまま、私の覇気をすべて受け止められるまで叩き伏せてやる。……死ぬより辛い地獄を、これから毎日味わわせてやろう」

 

アレン「……待っ……それ、ただの拷問っすよね!? 俺、病人なんっすよ!?」

 

リース「……病人は、酒を飲まない。……準備しろ。修行の時間だ」

 

マキナがアレンの襟首を掴み、無理やり引きずり出した。

 

---

 

 

 

無人島の浜辺。

アレンは能力を封じられたまま、マキナの漆黒の覇気に晒され、砂浜に何度も叩きつけられていた。

 

アレン「……がはっ! ……だっる……マジで、死ぬっすわ……」

 

マキナ「……立て! 龍の鱗が出せないなら、筋肉で受けろ! 心臓を止めろ、血流を加速させろ!!」

 

リース「……ん。……アレン、休憩はまだ。……夜の部も、体力を残しておけ」

 

リースが冷たいタオルと、精力剤のようなドリンクを持って控えている。アレンは絶望した。仲間を失った悲しみも、この二人による「過激な愛情表現(地獄)」の前では、一瞬だけ忘れざるを得なかった。

 

その時だった。

 

空を飛ぶニュース・クーが、一通の新聞と、数枚の手紙を落としていった。

マキナがそれを拾い上げ、一瞥する。

 

マキナ「……来たか。ゴッドバレーの『後始末』の結果が」

 

新聞の一面には、ゴッドバレーという島が「跡形もなく消滅した」こと、そしてロックス・D・ジーベックがガープとロジャーの手によって討ち取られたことが大々的に報じられていた。

だが、マキナが注目したのは、同封されていた新たな手紙……手配書の束だった。

 

マキナ「……アレン。見ろ。……お前の望み通り、世界はお前を『化け物』として認めたぞ」

 

アレンがふらつきながら覗き込む。

そこには、三枚の手配書があった。

 

一枚目。

**“死神の軍師” リース。懸賞金:9億8000万ベリー。**

(ゴッドバレーでの海軍通信網の破壊と、超広域索敵による混乱の主犯)

 

二枚目。

**“地獄の女帝” マキナ。懸賞金:35億ベリー。**

(ロックス、ロジャー、ガープと並び立つ武力を持つ、最凶の新人船長)

 

そして、最後の一枚。

そこには、人獣型のアレンが、三日月型のクレーターを背景に咆哮する、禍々しい写真が使われていた。

 

**“世界の敵・古龍の死神” アレン・コルテス。**

**懸賞金:28億9000万ベリー。**

**CONDITION: DEAD OR ALIVE(※生け捕り、またはその場での抹殺を推奨)**

 

アレン「……にじゅうはちおく……?」

 

アレンの喉が鳴る。

 

マキナ「……ロックスを横取りして殺し、島に消えない傷を刻んだ男だ。当然の評価だろう。……海軍は、貴様をロジャー以上に危険視している」

 

マキナが手配書をアレンの胸に叩きつけた。

 

マキナ「……アレン。……世界がこれだけの懸賞金を懸けて、お前を殺しに来る。……死んだ五人の分まで、世界に恐怖を刻み、復讐を果たす準備はできたか?」

 

アレンは、自分を指名手配するその紙を見つめた。

そこに写る自分は、確かに「化け物」だった。

だが、その背後には、今は亡き仲間たちの想いと、今も自分を支える二人の女の執念が渦巻いている。

 

アレン「……あー、だっるい……。……28億なんて、狙われまくりじゃないっすか……」

 

アレンはゆっくりと立ち上がった。

まだ瞳の奥に悲しみは残っている。だが、その指先からは、微かに青い火花が散った。

 

アレン「……でも。……マキナ様に『地獄の説教』をされて、リースさんに『夜の罰』を与えられるくらいなら……。……海軍の大将でも、ロジャーの残りカスでも、全員まとめて……俺の雷で、消し炭にしてやるっすわ」

 

アレンが手配書を握りつぶすと、青い雷光が爆発した。

 

リース「……ん。……それでいい。……アレン、夜の修行は、10分後から開始」

 

アレン「早いっすよリースさん!!」

 

新生・死神海賊団。

三人の復讐者たちは、失ったものの重さを背負いながら、再び新世界の荒波へとその舵を切る。

世界を震わせる「本当の絶望」は、ここから始まるのだ。

 

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