黒舟(ヘカテ)号が風車村ののどかな港に接岸した。
まだ赤髪のシャンクスが訪れるよりもずっと前、海賊王ロジャーですら「大海賊」と呼ばれる一歩手前の、嵐の前の静けさのような時代である。
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船内の会議室、キースがどこからか仕入れてきた最新の「瓦版」と酒場での噂話をテーブルに広げた。
キース「おっはよー皆! マジでびっくりの情報持ってきたから、心して聞いてよね」
キースがサイドテールを揺らしながら、深刻そうな(しかし楽しそうな)顔で指を立てる。
キース「ここ、私たちが知ってる『ワンピース』の物語が始まる、**43年も前**なんだって!」
ユリナ「43年……?」
ユリナが首を傾げる。
ユリナ「ウチ、漫画はパラパラっとしか見てへんからピンとけえへんわ。それって、ルフィとかいう子は?」
キース「影も形もないよ。ロジャーだって、まだ『海賊王』なんて呼ばれてない。ただの勢いのある若手海賊の一人だってさ」
その言葉を聞き、アレンは独りごとのように呟いた。
アレン「43年前……ってことは、あと5年で**『ゴッドバレー事件』**が起きるのか。ロックス・D・ジーベックが暴れて、ガープとロジャーが手を組むっていう……歴史の分岐点だ」
マキナ「何それ、アレン? あんた、妙に詳しいわね」
マキナが鋭い視線を向ける。アレンはこの中で唯一、原作の知識を「予言」レベルで持っている転生者だった。
アレン「……あー、まぁ。この先、とんでもない怪け物たちが暴れ回る時代が来るってことっすよ。俺たちが生き残るには、今のうちに準備を整えないとマジでやばい」
マキナは頷き、槍を手に取った。
マキナ「方針は決まったな。この平和なイーストブルーに長居するつもりはない。グランドラインへ向かうぞ。各自、準備に取りかかれ」
アレンは、リースが「クラクラの実」で適当(本人曰く)に作り上げた武器の数々を担いで、村の武器屋へと向かった。
アレン「……重い。だっる……。なんで俺が運び屋なんすか」
リース「文句言わない。あんたが一番力持ちでしょ」
背後から、リースの気だるげな声が聞こえる。
武器屋の主人は、アレンが持ち込んだ剣や槍を見るなり、目玉が飛び出しそうになった。
「な、なんだこの鋼の質は……!? それにこの槍、重心が完璧だ。お前さん、これをどこで手に入れた!?」
アレン「あー、連れが適当に作ったんすよ。それ、全部売るんで、金に替えてください。あと、一番いい酒と食料も」
リースの技術は、この時代のイーストブルーでは「神の業」に近い。アレンは言われるがままに、山のようなベリーと物資の引換券を手に入れた。
武器を売り払い、一息つこうとしたアレンだったが、そこに「獲物」を見つけた猛獣のごとく、副船長のユリナが現れた。
ユリナ「あ、アレン! ちょうどええとこにおった。こっちや、こっち!」
アレン「……え、ユリナさん? 買い物、もう終わったんじゃ……」
ユリナ「アホ。これからが本番や! 港の市場に、新鮮な海王類の肉が入荷したんや。ほら、持て!」
気がつけば、アレンの両腕と背中には、数週間分はあろうかという大量の食材、酒瓶、スパイスの袋が積み上げられていた。
アレン「重……っ! ユリナさん、これ、持ちすぎじゃないっすか!?」
ユリナ「何言うてんねん。あんた、さっき『これから厳しい時代が来る』言うたやろ? 腹が減っては戦はできへん。ウチの料理で、あんたらの細胞の隅々まで武装色にしたるわ!」
豪快に笑うユリナの後ろを、アレンはよろけながら追う。
ユリナ「……ところでアレン、さっきから荷物の隙間からウチの足ばっかり見てへんか? 呪いか何か知らんけど、あんまり見とると、その鼻の下に武装色の正拳突き叩き込むで?」
アレン「見てないっす! 物理的に前が見えないだけっす!!」
一方その頃、マキナとキースは村の長老や、数少ない航海経験者のもとを訪ねていた。
「……ログポース、だと?」
村の老航海士が、怪訝な顔でマキナを見上げた。
「お嬢さん。そんな得体の知れない磁石、この海じゃ聞いたこともねぇ。グランドラインへ行くんなら、腕のいい航海士と勘を頼るのが筋だ」
マキナは眉をひそめた。
マキナ「……やはり、この時代ではまだ一般的ではないのか」
キースが横から、いつものギャル全開のノリで長老の腕に抱きつく。
キース「えー、おじいちゃんケチ! どっかにさ、こう、腕につける変な方位磁石みたいなやつ、持ってる変人とかいない? ウチら、どうしてもそれが必要なのー!」
「……ううむ。そういえば、昔、西の海(ウエストブルー)から流れてきた商人が、妙なガラス球を持っていたな……。確か、リヴァース・マウンテンを越えた先の島々を指し示すとかいう……」
キースの執拗な(そして可愛い)情報収集により、マキナたちは「ログポース」の初期型が、隣の島の闇市に流れているという確かな情報を掴んだ。
夕暮れ時。
両手に大量の荷物を抱え、疲労困憊で船に戻ったアレンを、ライカとシズが迎えた。
ライカ「お帰りー! アレン、いい汗かいてんじゃん。ほら、ウチが風で仰いであげるよ。……ついでに、服も全部飛ばしてあげよっか?」
アレン「やめてください、ライカさん……。シズ、頼む、栄養剤……」
シズ「ひゃ、ひゃい! アレンさん、今すぐ細胞を活性化させますから! あ、でも、あまりにも疲弊してて、プラプラの実の反動が怖いかも……」
船上では、ユリナがさっそく買い込んできた食材を捌き、リースの作った最新のオーブンが美味しそうな匂いを漂わせている。
マキナが、港を見下ろすデッキの最上段に立った。
マキナ「アレン。お前の言う通り、この時代はまだ『答え』が揃っていないようだ。だが、だからこそ面白い」
マキナは蒼黒い槍を、まだ見ぬグランドラインの方向へと向けた。
マキナ「ログポースも、富も、歴史も。持たざる者ならば、奪い取るまでだ。……準備しろ。明日の日の出と共に、この風車村を発つ」
アレン「……あーあ。だっるいけど、面白くなってきやがった」
アレンは、女神に与えられた呪いと、これから始まる「伝説の時代」への期待を胸に、真っ黒な『斬月』を握り直した。
死神海賊団。
彼女たちの、そしてアレンの、本当の航海がいよいよ始まろうとしていた。
転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?
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その他(他作品とのクロスオーバー)
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