ゴッドバレーの悲劇から、十年の月日が流れた。
かつて「神の谷」と呼ばれた島を消し去り、世界を震撼させた“古龍の死神”アレン・コルテスの名は、一時的に歴史の表舞台から消えていた。しかし、新世界の住人たちは知っていた。嵐の前には、必ず不気味なほどの静寂が訪れるということを。
無人島での十年に及ぶ地獄の修行、そして失った仲間への贖罪。
アレンは、自らの内に秘めた三つの強大な力――「ドラドラの実」、「ゴロゴロの実」、そして「斬月」を完全に融合させ、真の「死神」へと新生を遂げていた。
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新世界の荒れ狂う海を、一隻の漆黒の船が滑るように進んでいた。
かつてのヘカテ号は、リースの手によって十年の間に魔改造を施され、今や船体そのものが巨大な霊子兵器、あるいは一つの生命体のような威容を誇っている。
アレン「……あー、だっるい。十年経っても、この海の天気は相変わらず機嫌が悪いっすね」
甲板に立つアレンの姿は、かつての少年らしさを完全に脱ぎ捨てていた。
体躯は一回り大きく、逞しく引き締まり、その全身からは意識せずとも周囲の空間を歪ませるほどの「重圧」が漏れ出している。背中には、以前よりもさらに長く、深く漆黒を湛えた『斬月』が背負われていた。
リース「……ん。……アレン、文句が多い。……気圧配置の乱れは、お前の霊圧が漏れているせい。……少しは抑えろ。……船の塗装が剥げる」
船橋から顔を出したリースもまた、大人の女性としての妖艶さと、冷徹な理知を研ぎ澄ませていた。彼女の周囲には、シズの医療技術と自身の電磁科学を融合させた自立浮遊型のビットが数基、淡い光を放ちながら旋回している。
アレン「……無茶言わないでくださいよ、リースさん。これでも相当抑えてるんっすよ。十年前の俺なら、今頃この海域、全部蒸発させてるっすわ」
アレンが苦笑いしながら空を見上げる。その瞳は、深紅の龍の輝きと、青い電光を内包し、常人には直視できないほどの魔性を帯びていた。
マキナ「……フン。相変わらずだな、貴様ら二人は」
最上甲板の椅子に、女王の如く君臨するのはマキナだ。
十年の歳月は、彼女の美貌をさらに神々しく、そして凶悪に磨き上げていた。その手にある槍『灰塵』は、触れるものすべてを消去する覇気の黒い霧を常に纏っている。
マキナ「……アレン。修行の成果、見せてみろ。前方、海軍の『バスターコール』級艦隊が、我々の進路を塞ごうとしている。……十年前の落とし前、まずは雑魚(海軍)からつけていくぞ」
水平線の向こう、数十隻におよぶ海軍の巨大軍艦が、死神の帰還を阻むべく陣を敷いていた。
アレン「……了解っす、マキナ様。……ちょうど、体が鈍ってたところっすわ」
アレンがゆっくりと前方に歩み出る。かつてのように無理やり力を引き出す必要はない。今の彼は、ただそこに「在る」だけで、龍であり、雷であり、死神であった。
アレン「……夜一さん、準備はいいっすか?」
斬月『……カカッ! 待ちくたびれたぞ、アレン。十年の溜め込み、一気に見せてやるが良い!』
精神世界から響く斬月の声。アレンは静かに、刀の柄に手をかけた。
「**『卍解』……!!**」
ドォォォォォォォォォォォォォン!!
海が割れた。いや、海面がアレンの霊圧に耐えきれず、半径数キロメートルにわたって数重メートル陥没したのだ。
漆黒の死覇装を纏い、背中には巨大な深紅の龍の翼。そして全身を青い稲妻の装甲が包み込む。
それは、ゴッドバレーで暴走した「化け物」ではない。すべてを制御下に置いた、真の**「龍神モード・天鎖斬月」**。
マキナ「……行け、アレン。……跡形もなく消せ」
マキナの冷徹な命令が飛ぶ。
アレンが消えた。
瞬間、海軍艦隊の中央で、巨大な爆鳴音が轟いた。
「な、なんだ!? 敵は一隻……!? ぐあぁぁぁぁ!!」
アレンは抜刀すらしていなかった。
雷速で移動する際のソニックブームと、全身から放たれる熱圧だけで、鉄鉄の軍艦が飴細工のように捻じ切れ、溶解していく。
アレン「**『一閃・龍雷月牙(りゅうらいげつが)』!!**」
アレンが空中で刀を振り下ろす。
放たれたのは、漆黒の斬撃に、龍の咆哮と2億ボルトの電撃を上乗せした極大のエネルギー波。
それは海を切り裂き、前方に立ち塞がっていた十隻の軍艦を、一瞬で「概念ごと」消し去った。
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アレン「……ふぅ。……だっるい。……加減が難しいっすね、やっぱり」
ものの数分で海軍の包囲網を壊滅させたアレンが、平然とした顔でヘカテ号に戻ってくる。
かつての絶望に満ちた暴走ではない。そこにあるのは、圧倒的な強者が故の余裕と、冷徹な目的意識だった。
リース「……ん。……掃討完了。……海図の更新。……進路、北北西。……カイドウのナワバリを横断する。……文句があるなら、龍同士で話し合え」
リースの言葉に、アレンは肩をすくめた。
アレン「カイドウか。あいつも十年でだいぶデカくなったみたいっすからね。……今度は、金棒ごと噛み砕いてやるっすわ」
マキナがワイングラスを傾け、不敵に笑う。
マキナ「……それでいい。ロックスは死んだが、新世界にはまだ、私たちの玉座を邪魔する『古い怪物』が多すぎる。……まずはカイドウ、そしてビッグ・マム。……すべてを私たちの下に跪かせる」
マキナの視線は、遠い海を見据えていた。
かつて失った五人の仲間たち――ユリナ、キース、ライカ、シズ、エリス。
彼らの名は、今も船内の特別室に深く刻まれている。彼らを失った悲しみは消えていない。だが、今の三人にとって、それは立ち止まる理由ではなく、世界を焼き尽くすための「燃料」であった。
リース「……アレン。……今日の夕飯、私が作った。……ユリナの味、98%再現した。……食べて」
アレン「えっ、マジっすか!? リースさんの料理、最近どんどん美味くなってて怖いんっすけど」
リース「……当然。……お前の胃袋を掴むのも、メンテナンスの一環。……今夜は、十年前よりも激しく、深い『罰』を用意している。……覚悟しろ」
アレン「……うげっ。……マキナ様、助けてくださいよ……」
マキナ「フン。断る。……お前が強くなった分、リースの『メンテナンス』も過激になるのは当然だ。……諦めて、愛されるが良い」
マキナの高笑いが、新世界の空に響く。
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ヘカテ号の航跡は、赤く染まった海を真っ二つに割りながら、新世界の深部へと伸びていた。
十年前、世界は死神が消えたと思った。
だが、それは間違いだった。
彼らはただ、牙を研ぎ、魂を練り、本当の「絶望」を届けるための準備をしていたに過ぎない。
アレンの手元には、最新の懸賞金手配書がある。
**“古龍の死神” アレン・コルテス:44億8000万ベリー。**
**“地獄の女帝” マキナ:48億ベリー。**
**“深淵の軍師” リース:18億ベリー。**
三人だけで、四皇にも匹敵する懸賞金額。
新生・死神海賊団は、もはや単なる海賊ではなかった。
それは、世界政府、海軍、そして全ての海賊たちに終焉をもたらす「天災」そのものであった。
アレン「……あー、だっるい世界っすけど」
アレンが『斬月』を抜き、空に向かって一閃させる。
雲が割れ、そこから差し込む太陽の光が、三人の行く先を不気味に照らした。
アレン「……面白くなってきやがった。……行くっすよ。……俺たちの、本当の『仕事』を始めるっすわ」
漆黒の船は加速する。
十年の沈黙を破り、死神たちが再び世界を刈り取るために、最強の翼を広げた。
転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?
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