ワノ国の朝霧が藤山の山麓を白く包み込み、夜通し工房から鳴り響いていた爆音のリズムが、唐突な静寂とともに止まった。
アレン、マキナ、リースの三人は、工房の軒先で夜明けを待っていた。
リース「……ん。……解析完了。工房内の温度、一気に3000度から常温へ。……打鍵回数、計肆萬壱千壱回。……来る」
リースの言葉と同時に、工房の扉が勢いよく蹴り開けられた。
煤まみれになり、晒しを巻いた胸元を大きく上下させながら、サングラスを跳ね上げた夜飛神 刃那比が這い出してきた。その手には、以前とは放つ威圧感が根底から異なる「二つの魂」が握られていた。
刃那比「……ハァ、ハァ……。チェケラ……。一世一代の大仕事だったゼ。……アレン、リース。アンタらのソウル、オレのビートに当てられて、ついに『化けの皮』を脱ぎ捨てやがった」
刃那比が差し出したのは、アレンの『斬月』とリースの『蛇尾丸』だった。
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アレン「……えっ、これ……俺の斬月っすか?」
アレンが受け取った『斬月』は、かつての巨大な大刀一振りではなかった。
右手には、かつての面影を残しながらもより鋭利に、漆黒の熱を帯びた「長刀」。そして左手には、包丁のようでもあり、盾のようでもある幅広の「短刀」。
**『二刀斬月』。**
手にした瞬間、アレンの体内を流れる雷と龍の血が、かつてないほどスムーズに、かつ暴力的に刃へと流れ込んだ。
リース「……ん。……私の『蛇尾丸』も。……以前の骨の連結が、より有機的な輝きを放っている」
リースの手にあるのは、かつての蛇腹剣ではなく、より巨大な狒狒の腕を模した籠手と、大蛇の頭部を模した刃のセット。
**『双王蛇尾丸』。**
刃那比「イエァ! アンタら今まで『自分こそが持ち主(ボス)だ』って顔して力を使ってただろ? 甘いんだゼ!! 刀の中のソウル……アイツらは、アンタらが隠してる『本当の力』をずっと笑ってたんだゼ!」
刃那比は、アレンの二振りの刀を指差して不敵に笑った。
刃那比「いいか、アレン。アンタが今まで使ってたのは、斬月の力の『上澄み』に過ぎねえ。アンタの中に眠る、あの黒い死神の力、青い雷、そして赤い龍……それらが混ざり合い、本当の意味で一つになった時、その二振りの刃は『世界』を斬り裂く!!」
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アレンは二刀を構え、その感触に震えた。
アレン「……流桜(覇気)を流すだけじゃねぇ……。刀自体が、俺の力を食う代わりに、十倍にして吐き出そうとしてるっすわ」
刃那比「そうともよ! だがな……今のアンタらはまだ『真の卍解』を知らねえ。名前を呼べば爆発するような、子供騙しの卍解じゃねえんだゼ!」
刃那比はアレンの顔を覗き込み、ニヤリと笑った。
刃那比(……クハッ! 知ってるゼ、アレン。アンタが持ってるその二刀……『王悦』が打ったわけじゃねえが、アンタの魂が引き寄せたその形。本当はそれが、死神としての真の姿……『一護』と同じ道だってことをよォ!)
刃那比は前世で『BLEACH』を死ぬほど読み込んでいた。一護が二刀を手にした経緯も、鞘伏の切れ味も、そして王悦の美学も。だが、ここでそれをペラペラ喋るのはファンキーじゃない。
刃那比「アレン。アンタが使ってるその卍解……実は『半分』じゃねえのか? 刀の名前、本当に一つだけだと思ってんのかよ?」
アレン「……え?」
アレンの脳裏に、精神世界の『夜一(斬月)』の姿が浮かぶ。
刃那比「アンタのソウルには、もう一人……あるいはもう一つの側面(サイド)がいるはずだ。そいつの名前を知り、二つの魂を同時に、完璧にシンクロさせる……それができて初めて、真の卍解……**『天鎖斬月』の真の姿**が拝めるってワケだ」
アレン「……もう一つの、名前……」
刃那比「リースの蛇尾丸も同じだゼ。狒狒だけじゃねえ、大蛇の魂も同時に支配しな。……『双王』の名は伊達じゃねえんだゼ!」
刃那比は自分のサングラスを指で弾き、胸を張った。
刃那比「どうだ? ワノ国の『流桜』を極めながら、その刀の真の姿を暴く修行……。だるいなんて言わせねえゼ? 世界政府を本気でひっくり返したいなら、今のままじゃ足りねえ」
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アレン「……あー、だっるい。……本当は都で団子食って寝るつもりだったんっすけど」
アレンは二刀を軽く振った。ただの素振りだというのに、前方の森が衝撃波だけで真っ二つに裂け、切り口が黒い霊圧で発火した。
アレン「……でも。この力、完全に使いこなさないと、あの五人に顔向けできないっすもんね」
マキナが歩み寄り、アレンの肩に手を置いた。
マキナ「……いいだろう。急ぐ旅でもない。世界政府も、海軍も、マリージョアの惨劇で今は大混乱だ。……私たちがさらに『厄災』として磨き上がるまで、この国で爪を研ごうではないか」
リース「……ん。……滞在決定。……ワノ国の気象データと、刃那比の技術体系、全て吸収する。……アレン、修行のメニューは私が組む。……逃がさない」
リースの瞳に、軍師としての冷徹な「育成意欲」が宿る。
刃那比「イエァ!! 決まりだゼ! 九里の廃寺を工房に改造してやる! 毎日オレのタップダンスのビートに合わせて、魂を削り合おうじゃねえか!!」
刃那比はアレンの腰を叩き、豪快に笑った。
刃那比(……楽しみだゼ、アレン。アンタが『真の天鎖斬月』を抜いた時、この海がどうひっくり返るか……特等席で見せてもらうからな!)
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その夜。
アレンは一人、滞在先となった廃寺の屋根の上で、新しく手に入れた二振りの斬月を月光に晒していた。
アレン「……夜一さん。あんた、まだ隠してる名前があるんっすね」
斬月『……カカッ。ようやく気付いたか、アレン。妾(わらわ)だけではない……お主の中に潜む、あの白き衝動、そして古龍の影。それらすべてを束ねる名が必要なのじゃ』
刀身から響く、懐かしくも新しい声。
アレンは、ワノ国の冷たい空気を深く吸い込んだ。
アレン「……了解っすわ。……俺が、俺自身の本当の名前を知るまで。……だるいけど、トコトン付き合ってやるっすよ」
アレンの指先から、今までよりも密度の高い、真っ黒な稲妻が散る。
それはもはや『ゴロゴロの実』の力だけではない。彼の魂そのものが放つ、死神の雷。
ワノ国の四季が巡り、彼らが再び海へ出る時。
世界は、一人の男が「真実」を手にした瞬間の咆哮を、骨の髄まで叩き込まれることになる。
死神海賊団の、二度目の、そして本当の意味での「羽化」が始まった。
転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?
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その他(他作品とのクロスオーバー)
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