ONE PIECE 死神伝   作:ぐちロイド

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第59話 青龍対古竜、天を割る咆哮

白ひげとの邂逅、そしてマキナやリースとの濃密な夜から一年半。

新世界は、刻一刻とその均衡を崩し始めていた。ロジャーの処刑という「終わりの始まり」を前に、海はかつてない熱を帯びている。

 

ドレスローザ近海に浮かぶ、地図にも載らぬ無人島。

切り立った断崖と鬱蒼とした原生林に覆われたその島を、突如として巨大な「圧」が襲った。

 

---

 

 

ヘカテ号を島に隠し、アレンが一人で波打ち際に立っていた時、空が急激に暗転した。

厚い雲が渦を巻き、そこから紫色の稲妻が幾重にも降り注ぐ。雲の切れ間から姿を現したのは、数キロメートルに及ぶ巨大な胴体を持つ「青龍」――四皇、百獣のカイドウだった。

 

カイドウ「……ウォロロロロォ! ようやく見つけたぞ、アレン・コルテス!!」

 

カイドウの咆哮一発で、島周辺の海面が爆発した。彼は空中を歩くように降下し、地響きを立ててアレンの数メートル前に着地する。人間の姿に戻ったカイドウは、山のような体躯を揺らし、愛棍『八斎戒』を肩に担いで、アレンを狂気じみた眼差しで見下ろした。

 

カイドウ「マリージョアを荒らし、白ひげと酒を酌み交わしたか……。だが、この海に『龍』は二匹もいらねェ。貴様の首をここで獲り、俺の最強の軍団の礎としてくれるわ!!」

 

アレンはだるそうに頭を掻き、背負った二振りの『斬月』の柄に手をかけた。

 

アレン「……あー、やっぱりアンタっすか。ワノ国にいた時から、いつか来るだろうなとは思ってたっすけど……タイミングが最悪っすわ。今、マキナ様とリースの機嫌が、昼寝を邪魔されてすこぶる悪いんっすよ」

 

アレンの瞳が、深紅の龍の光を宿す。

 

 

アレン「……カイドウ。アンタが『最強』だって自負してるなら、俺も全力で応えないと失礼っすね。……来いよ、トカゲ。どっちの龍がこの空に相応しいか、ハッキリさせようじゃねぇか」

 

カイドウ「ウォロロロォ! 死ねェ!!」

 

カイドウが『八斎戒』を振り下ろす。

**『雷鳴八卦(らいめいはっけ)』!!**

 

ドンッ!!

 

アレンは抜刀すらせず、右腕一本を龍の鱗で覆い、流桜を極限まで硬化させてそれを受け止めた。衝突の衝撃波だけで無人島の半分が消し飛び、周囲の海は津波となって逆巻いた。

 

アレン「……重いっすね。でも、それだけじゃ俺の首は獲れないっすわ」

 

アレンの全身から漆黒の霊圧と青い稲妻が噴き上がる。

「**『ドラドラの実(幻獣種・エンシェントドラゴン)』……人獣型!!**」

 

アレンの背中に巨大な赤い龍の翼が広がり、皮膚は深紅の硬質な鱗に覆われる。額からは二本の黒い角が突き出し、尾が地面を叩いて地割れを作った。

 

アレン「見せてやるっすよ……神話にも載らない、本物の『古龍』の暴威を!!」

 

---

 

 

 

二つの巨大な影が、島を破壊しながらぶつかり合う。

カイドウの『熱息(ボロブレス)』に対し、アレンは口から放つ『古龍の咆哮』で対抗し、空中では青と黒の雷が交差して火花を散らす。

 

カイドウ「ウォロロォ! 面白い! これほど俺の肉体を削る奴は、おでん以来だ!!」

 

アレン「……おでん? ああ、あのワノ国の英雄っすか。……悪いけど、俺はあいつよりも、もっと『質(タチ)』が悪いっすよ」

 

アレンは空中で二刀を十字に交差させた。

ワノ国での修行、そして刃那比によって呼び覚まされた魂の深淵。今、その全てのロックを外す。

 

アレン「……リース、見ててくれ。……マキナ様、俺の勝ちっすわ」

 

アレンが静かに、だが島全体が震えるほどの声で呟いた。

 

アレン「**『卍解』!!**」

 

瞬間、アレンの姿が「黒い絶望」に包まれた。

二刀は漆黒の炎を纏い、アレンの覇気は流桜を超えた「世界の侵食」へと昇華される。アレンの背後には、巨大な龍の幻影が、死神の鎌を抱くように実体化していた。

 

アレン「……行くっすよ。アンタの『最強』という幻想、その内部からブチ壊すっすわ」

 

アレンが消えた。

カイドウの最強の見聞色すら置き去りにする速度。

 

カイドウ「なっ……!?」

 

カイドウが気づいた時には、アレンは既にカイドウの懐に潜り込んでいた。二振りの刃が、カイドウの強靭な皮膚に吸い込まれるように突き立てられる。

 

「**『月牙十字衝(げつがじゅうじしょう)』!!**」

 

放たれた十字の斬撃。

だがそれは、ただの外傷を与えるものではない。刃那比から教わった「流す」極致、そして古龍の「崩壊」の性質。アレンの放つ霊圧が、カイドウの体内を駆け巡り、細胞の一つ一つを強制的に自壊させていく。

 

カイドウ「ぐ、おぉぉぉぉぉぉぉッ!? 何だ、この痛みは……!!」

 

不落を誇るカイドウの巨体が、内側からの爆発に耐えかねて、鮮血を噴き上げながら大きくのけ反った。

アレンはさらに追撃の手を緩めない。龍の尾でカイドウを地上へと叩き落とし、上空から二刀を振り下ろす。

 

「**『古龍・雷斬月(こりゅう・らいざんげつ)』!!**」

 

天から降り注ぐのは、2億ボルトの雷を凝縮した漆黒の巨大な刃。

ドォォォォォォォォォォォォォン!!

 

無人島。いや、かつて島だった場所は、一瞬にして広大な「更地」を通り越して、海面が見えるほどの「大穴」へと変貌した。アレンの全力の一撃は、島そのものを地図から消し去り、その中心でカイドウを深海へと叩き沈めた。

 

静寂が戻る。

立ち込める煙の中から、ゆっくりと浮遊しながらアレンが降りてくる。

卍解を解き、だるそうに肩を回す彼の視線の先には、満身創痍で海面に浮かび上がり、荒い息を吐きながらも、どこか満足げに笑うカイドウの姿があった。

 

カイドウ「……ウォロロォ……。ハァ、ハァ……。……アレン、コルテス……。貴様……。……本物の、化け物……だ……」

 

アレン「……あー、だっる。……死んでないっすか。さすがは四皇、しぶといっすね」

 

アレンは空を見上げた。

そこには、ヘカテ号から様子を眺めていたマキナとリースの冷ややかな、だが誇らしげな視線があった。

 

アレン「……マキナ様、掃除完了っす。……今夜は、美味い酒を飲ませてくださいよ」

 

アレンが指先を鳴らすと、更地となった空間に、勝利を祝うかのような青い火花が舞った。

世界最強の龍を退けた死神。

その名は今日、確定的なものとなった。海に二匹の龍はいらない。

生き残ったのは、マキナという女帝を背負う、深紅の古龍であった。

 

 

転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?

  • 精霊
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  • ドラゴン
  • 吸血鬼
  • 上位悪魔
  • その他(他作品とのクロスオーバー)
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