ONE PIECE 死神伝   作:ぐちロイド

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第62話 聖地再臨:絶望の紅い月 

大海賊時代が幕を開けて半年。世界はロジャーが遺した「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を求め、狂乱の渦に飲み込まれていた。しかし、そんな騒乱を余所に、漆黒の船ヘカテ号は新世界の深部、磁気すら狂わせる特殊な海域を静かに進んでいた。

 

眼前に現れたのは、どの地図にも記されていない島。原生林が豊かに生い茂り、地下には莫大な霊子エネルギーを秘めた鉱石が眠る、まさに「死神の理想郷(エデン)」に相応しい未開の地だった。

 

マキナ「……ふむ。気に入った。ここを私たちの『拠点』、いや、新たな『王国』の礎としよう」

 

甲板でマキナが宣言する。隣に立つリースが端末を操作し、島の資源密度をスキャンしていく。

 

 

リース「……ん。……土壌成分、理想的。……真水、無限に近い。……地下鉱脈に希少金属を多数感知。……領地化を推奨」

 

しかし、一から国を築くには、あまりにも「手」が足りなかった。

 

アレン「……だるいっすね。まさか俺、ここで開拓作業とかやらされるんっすか?」

アレンが不精そうに頭を掻く。

 

マキナ「案ずるな、アレン。人手ならば、ちょうど『借りるべき場所』があるではないか。……美しく、そして不当に虐げられている魂たちがな」

 

マキナの瞳に、残酷で、どこか慈悲深い光が宿った。

 

 

マキナ「……マリージョアだ。あそこのゴミ溜めには、掃き溜めに鶴のようなメイドたちが、天竜人の玩具として腐っている。……彼女たちを『解放』し、私たちのメイドとして雇い入れてやろう」

 

アレン「……あー、なるほど。またあそこっすか。いいっすね、あの鼻持ちならない連中の顔を歪めるのは、何度やっても飽きないっすわ」

 

アレンが二刀の斬月の柄を弄ぶ。死神海賊団、二度目の聖地襲撃。それは「侵略」ではなく、世界で最も贅沢な「スカウト」の始まりだった。

 

---

 

 

 

赤い土の大陸(レッドライン)の上空。

かつてマリージョアの住人たちが味わった「あの日の恐怖」が、さらに進化した形で戻ってきた。

 

アレン「**『卍解』――『天鎖斬月』!!**」

 

漆黒の翼を広げたアレンが、空中で二刀を交差させる。

 

 

アレン「……ちょっと失礼するっすよ。**『月牙十字衝』!!**」

 

ドォォォォォォォォォォォォォン!!

 

聖地の正面門が、内部から爆発するように粉砕された。警備の海兵やCP-0が駆けつけるが、今の彼らにとって、流桜と真の卍解を極めたアレンは、もはや災害そのものだった。

 

「ひ、ひぃぃぃ! またあいつだ! あの死神が戻ってきた!!」

「逃げろ! 奴は島を消し去る怪物だ!!」

 

パニックに陥る衛兵たちを余所に、ヘカテ号は悠然と天竜人の居住区『神域』へと着陸した。

 

マキナ「……リース。対象の選別は済んでいるな?」

 

リース「……ん。……首輪を付けられたメイド、奴隷、計342名。……全員のGPS信号を確認。……転送(トランスポート)準備完了」

 

マキナがヘカテ号のタラップを降り、優雅に歩き出す。その背後では、アレンが襲い来る追っ手を「指先一つ」で弾き飛ばしていた。

 

---

 

 

 

天竜人の一人、ロズワード聖の邸宅。

震えるメイドたちが壁際に集められ、絶叫する主人の前で項垂れていた。そこへ、扉を物理的に消滅させてマキナが入室した。

 

マキナ「……汚らわしい。その首輪を外せ、娘たち」

 

「な、なんだ貴様は! 私の所有物に手を出すな!!」

 

ロズワード聖が銃を向けた瞬間、マキナの覇王色が爆発した。

 

 

マキナ「……黙れ、家畜が」

 

 

言葉一つ。それだけでロズワード聖は泡を吹いて気絶し、贅沢な絨毯に無様に転がった。

 

マキナは怯えるメイドの一人に歩み寄り、その首に嵌められた爆弾付きの首輪を、素手で容易く握り潰した。爆発のエネルギーは、マキナの霊圧によって瞬時に無力化される。

 

マキナ「……絶望はここまでだ。……これより貴様らは、私のメイドだ。……死神の住まう城で、誇りを持って働け。……衣食住は保証する。自由も与えよう。……ただし、私を裏切ることは死を意味する。……どうする?」

 

メイドたちは呆然としてマキナを見上げた。地獄の淵で差し伸べられたのは、神の救済ではなく、死神の勧誘。しかし、その瞳には天竜人のような卑屈な悦楽はなく、絶対的な強者の「慈悲」があった。

 

「……お、お願いします……お助けください……!」

 

マキナ「……賢明な判断だ」

 

リースが端末を叩くと、メイドたちの足元に魔法陣のような霊子回路が展開される。

 

 

リース「……ヘカテ号へ、転送。……一人も残さず、収容する」

 

---

 

 

 

一方、居住区の広場では、アレンが世界政府最強の諜報機関「CP-0」の精鋭五人を相手に、だるそうに欠伸をしていた。

 

アレン「……いや、マジで時間の無駄っすよ。あんたら、二年前から成長してないっすね。指銃(シガン)? 嵐脚(ランキャク)? ……そんな子供騙し、俺の鱗には掠りもしないっすわ」

 

「貴様……! 世界政府をどこまで侮辱すれば気が済むのか!!」

 

アレン「……全部っすよ」

 

アレンの右目が青く光る。

「**『古龍の権能:重力崩壊』**」

 

アレンが地面を踏みしめた瞬間、半径百メートルの重力が数十倍へと跳ね上がった。CP-0の面々は、鉄塊を纏ったように地面にめり込み、骨が軋む音を立てる。

 

アレン「……さて。マキナ様たちの準備が終わるまで、少しだけ遊んであげるっすわ。……あ、でも死んじゃだめっすよ? あんたらに死なれると、後片付けがだるいんで」

 

アレンは二刀を抜くことすらなく、重力に押し潰された彼らの頭上を、散歩でもするように歩いて回った。

 

---

 

 

 

一時間後。

マリージョアの主要な邸宅から、有能で美しいメイドや料理人、職人たちが一人残らず「消失」した。天竜人たちは、自分たちの生活を支えていた「手足」を奪われ、文字通り何もできない無能な塊となって泣き叫ぶ。

 

 

マキナ「……リース。収容状況は?」

 

リース「……完了。……目標数342名を上回る、412名の保護に成功。……調理器具、高級食材、医薬品もついでに回収済み。……略奪効率、過去最高」

 

マキナ「……上出来だ」

 

マキナがヘカテ号の甲板に戻る。アレンも翼を羽ばたかせ、追撃の軍艦を空中で一刀両断にしながら戻ってきた。

 

アレン「……ふぅ。これで人手不足は解消っすね。……でもマキナ様、あの娘たち、俺のこと怖がらないっすかね?」

 

マキナ「……フン。案ずるな。地獄から救い上げたのが死神であっても、彼女たちにとってはここが天国だ。……さあ、我らの理想郷へと舵を取れ。……ここからが、真の『死神の世紀』の始まりだ」

 

ヘカテ号が空を駆け、燃えるマリージョアを眼下に見下ろしながら加速する。

連れ去られたメイドたちは、窓から遠ざかる聖地を見つめ、初めて「明日」という光を感じていた。

 

一週間後。

新世界の無名島。そこには、死神を崇める美しいメイドたちが甲々と働く、世界で最も危険で、最も美しい「理想郷」が形を成し始めていた。

 

「……お帰りなさいませ、アレン様」

白黒のメイド服に身を包んだ少女たちが、整然と並んでアレンを迎える。

 

アレン「……あー、やっぱりメイドさんはいいっすね。……だるい開拓も、これなら少しはやる気が出るっすわ」

 

アレンの鼻の下が伸びるのを、マキナの冷ややかな視線と、リースの無機質な記録カメラが捉えていたが、それはまた別の話である。

 

 

転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?

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