ONE PIECE 死神伝   作:ぐちロイド

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第67話 招かれざる「しがない天才」  マキナの誘惑と、アレンの制止

海軍本部、マリンフォード。

 

サカズキ「――以上が、一週間にわたる『ゴッドエデン』滞在の報告です」

 

サカズキの硬い声が、元帥室に響いた。机を挟んで座るセンゴク、そして大目付のつるは、提出された報告書を読み進めるうちに、その表情を険しくさせていった。

 

センゴク「……信じがたい。あの『死神』ども、ただ略奪した土地に居座っているだけではないのか。独自の経済、独自のインフラ、そして……海兵ですら手を出せぬほどの高度な治安維持部隊だと?」

 

センゴクが問いかけると、隣で爪を切っていたボルサリーノが、珍しく真面目な顔で答えた。

 

ボルサリーノ「いやぁ、センゴク元帥。あれはもう『国家』なんて生易しいもんじゃないよぉ。リースの嬢ちゃんが作ったという都市管理システムは、我々の通信網を数十年は先取りしている。それに、あの『プレデター』……。末端のメイド一人一人が、流桜を使いこなし、迷いなく敵を『捕食』する。わっしも、うっかり手を出してたら、今頃は海の藻屑だったかもしれないねぇ」

 

クザン「……あそこには、飢えもなければ、天竜人への怯えもない」

 

 

クザンが、報告書の最後の一枚をめくりながら呟く。

「皮肉なもんだぜ。海軍が何百年もかけて成し遂げられなかった『平和』が、一人の死神と二人の女の手によって、たった二年で完成しちまってる」

 

センゴクは深くため息をつき、頭を抱えた。

 

 

センゴク「……世界政府はこの国を『反逆の象徴』として潰したがっているが……これほどの戦力を相手に全面戦争を仕掛ければ、海軍の戦力は半減するだろうな。……今はまだ、静観するしかないか」

 

---

 

 

それから半年後のことである。

ゴッドエデンの円形ドックに、一隻の奇妙な小型船が接岸した。

船から降りてきたのは、巨大な頭部を揺らし、落ち着きなく周囲の最新設備を見回す一人の男。

 

?「ほぉ……! ほうほう! これは驚いた! この霊子配線の引き方、エネルギー効率を極限まで高めている。……ベガパンク、一生の不覚! このような島を見落としていたとは!」

 

自らを「しがない天才科学者」と称する男、ベガパンクである。

彼は政府の仕事の合間に、新世界に突如現れた「未来を凌駕する島」の噂を聞きつけ、知的好奇心に抗えずお忍びでやってきたのだ。

 

リース「……ん。……不審な生体反応を確認。……知能指数、計測不能。……ベガパンク本人と断定」

 

リースのビットが瞬時に彼を包囲したが、ベガパンクは動じるどころか、ビットのセンサー部分を指でなぞりながら興奮している。

 

ベガパンク「素晴らしい! 意思決定の速度が、私の既存の理論を越えている! お嬢さん、君がこれを作ったのかね!?」

 

リース「……リース。この国の管理者の一人。……ベガパンク、貴方の入国は許可されていないが……アレンが『来ると思っていた』と言っている。……案内する」

 

---

 

 

 

リースの案内で、ベガパンクはゴッドエデンの地下深く、一般市民はおろかプレデターのメンバーですら立ち入りを禁じられた最下層へと足を踏み入れた。

 

そこには、巨大な水晶のような球体が、脈動するように青白い光を放ちながら鎮座していた。

**『ソウル・コア』。**

島全体の霊圧を吸収・変換し、全インフラのエネルギー源となる、死神海賊団の心臓部である。

 

ベガパンク「な……なんという事だ……。これは……エネルギーの地産地消、いや、魂そのものを物理的な動力に変換しているのか!?」

 

ベガパンクの瞳が、少年のように輝く。

 

 

ベガパンク「私は『消えない炎』を探し続けてきたが……君たちは、既に『枯れない魂の奔流』を完成させていたのか! この技術があれば、世界中の飢餓も戦争も、すべて過去のものにできる!」

 

リース「……ん。……過大評価。……このコアは、アレンとマキナ、そしてプレデターたちの強大な霊圧があって初めて成立する。……汎用性には欠ける」

 

リースが淡々と解説を加えるが、ベガパンクの興奮は収まらない。彼は持参した計測器を振り回し、コアの周囲を走り回った。

 

 

ベガパンク「いや! それでもだ! この霊子変換効率、そして空間を歪めない出力安定性……! リース君、君の設計思想は天才を通り越して、もはや『理(ことわり)』だ!」

 

---

 

 

 

そこへ、高いヒールを鳴らしてマキナが姿を現した。

彼女はベガパンクの圧倒的な知能をその場で見抜き、薄く笑みを浮かべた。

 

マキナ「……ベガパンク。貴様の頭脳、実に興味深い。……どうだ、政府という狭苦しい檻を捨て、私の国でその夢の続きを見ないか? 予算も、資材も、貴様が望むすべてを私が用意してやろう」

 

マキナが誘いの手を差し出す。彼女の本能が、この男を配下に置けば、ゴッドエデンは文字通り「神の国」へと昇華されると確信していた。

 

ベガパンクが揺らいだ、その瞬間。

 

アレン「……だーめっすよ。マキナ様、そのスカウトは『反則』っすわ」

 

天井の配管から、だるそうに飛び降りてきたアレンが、マキナの前に割って入った。

 

マキナ「……アレン。邪魔をするな。この男がいれば、私たちの覇道はさらに加速する」

 

アレン「……分かってるっすよ、それは。……でもね、このオッサンには、まだ政府(あっち)でやってもらわなきゃならない『大仕事』が山ほどあるんっすよ。……ここで俺たちが抱え込んじゃうと、世界のシナリオが……未来のガキたちの運命が、メチャクチャに崩れちまう」

 

アレンは真剣な眼差しでマキナを見つめた。

原作の知識を持つアレンにとって、ベガパンクが海軍に残ることは、パシフィスタの誕生、そしてセラフィムといった、後にルフィたちが乗り越えるべき「試練」の創出に不可欠だった。

 

マキナ「……原作が崩れる、か。……貴様がそこまで言うのなら、何か確信があるのだろうな」

 

マキナが手を引く。

アレンはベガパンクに向き直り、ニカッと笑った。

 

アレン「……ってわけで、ベガパンクのオッサン。……うちの国民にするのは諦めるっす。……その代わり、研究資金ならいくらでも出すっすよ。……リースの技術資料も、一部ならコピーして持っていっていいっす」

 

ベガパンク「お、本当かね!? 助かる! 政府の予算申請はとにかく書類が多くて、実験一つするのも一苦労なのだよ!」

 

アレン「……ただし。……あんたがこれから作る『平和のための兵器』、その一つでもこの島に向けたら……その巨大な頭、俺が『月牙』で真っ二つにするっすからね」

 

アレンから放たれた一瞬の、殺意すら混じらない「絶対的な事実」としての覇気。

ベガパンクは生唾を飲み込み、冷や汗を流しながらも、嬉しそうに頷いた。

 

ベガパンク「わ、わかっているとも! 科学は常に、より高次の意志に従うものだ。……ゴッドエデン。……この島こそが、私が目指すべき究極の形なのかもしれん」

 

---

 

 

数日後、ベガパンクはリースの資料と、アレンから渡された莫大な「デス・クレジット(霊子変換エネルギーチップ)」を抱えて、島を去っていった。

 

アレン「……いいんっすかね。あんなに技術を流しちゃって」

 

リース「……ん。……問題ない。……共有した技術には、私の『バックドア』が仕込んである。……ベガパンクが何かを作れば、そのデータは自動的にゴッドエデンに蓄積される。……技術のギブアンドテイク」

 

リースの言葉に、アレンは苦笑した。

 

 

アレン「……さすがっすわ。……俺たちの『死神海賊団』、いつの間にか世界最大のパトロンになっちゃったっすね」

 

マキナは港から遠ざかるベガパンクの船を見つめ、静かに呟いた。

 

マキナ「……未来のガキたち、か。……アレン、貴様が守ろうとしているその『シナリオ』とやらが、私たちの支配を阻むものだとしたら、その時は……」

 

アレン「……その時は、俺が責任を持って、そのガキごと全部斬り伏せるっすよ。……俺は、あんたの味方(死神)っすからね」

 

アレンは二振りの斬月を背負い直し、だるそうに欠伸をした。

ゴッドエデンの空には、今日も死神の旗が翻っている。

天才科学者の訪問を経て、理想郷の技術はさらに磨かれ、世界の歴史は、アレンが守ろうとする「正史」と、彼らが作り出す「新史」の狭間で、より一層激しくうねり始めていた。

 

アレン「……さぁ、戻るっすよ。……シエルたちが、新しい戦術のテストを見て欲しいって待ってるっすわ」

 

三人の影が、夕陽に染まる美しい街へと伸びていく。

新時代の裏側で、死神たちの影響力は、もはや誰にも無視できないほど巨大なものとなっていた。

 

 

転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?

  • 精霊
  • フェンリル
  • ドラゴン
  • 吸血鬼
  • 上位悪魔
  • その他(他作品とのクロスオーバー)
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