ONE PIECE 死神伝   作:ぐちロイド

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第68話  嵐の前触れ:二つの巨大な「熱」 惨劇:溶け落ちる「愛機」

「ゴッドエデン」の建国から月日が流れ、島の周囲はリースの敷設した霊子結界と、アレンが鍛え上げた「プレデター」たちの哨戒網によって、鉄壁の守りを誇っていた。

 

しかし、新世界の海は常に流動的だ。特に四皇同士の小競り合いや、予期せぬ海流の変化は、時に理想郷の近海にまで「毒」を運んでくる。

 

アレン「……あー、だっるい。……なんで俺がわざわざ見回りなんてしなきゃならないんっすか。シエルたちだけで十分でしょ、マキナ様」

 

アレンは、ヘカテ号の設計を凝縮し、漆黒の装甲と最新の霊子エンジンを搭載した小型高速艦『アランカル号』の甲板で、大きく欠伸をした。

 

シエル「……アレン様、滅相もございません。……マキナ様は、『アレンの覇気を定期的に外海へ放っておかねば、雑魚が寄ってくる』と仰せでした。……それに、本日は我らプレデター選抜組の『実地研修』も兼ねております」

 

隣で背筋を伸ばし、完璧なメイドの所作で答えるのは、プレデター筆頭・**シエル**。

その背後には、鋭い眼光を海に向ける**アルタイル**と、どこか気怠げながらも隙のない立ち振る舞いの**オメガ**が控えていた。

 

リース「……ん。……マキナの判断は合理的。……アレンの霊圧、広域拡散により、半径50海里以内の海王類および低級海賊の戦意喪失を確認。……航行、順調」

 

船内のスピーカーから、本島に残っているリースの無機質な声が響く。

アランカル号は、鏡のような海面を滑るように進んでいた。

 

---

 

 

 

アルタイル「……待ってください。……前方に、異常な高エネルギー反応。……および、空間の歪みを感知」

 

アルタイルが、リースの補助なしに自らの見聞色で異変を察知した。

アレンもまた、だるそうに閉じていた目を開く。

 

アレン「……げっ。……マジっすか。……この、胸糞悪い『ねっとりした覇気』と、暴力の塊みたいな『熱い覇気』。……新世界でこれを持ってるのは、あの二人しかいないっすわ」

 

水平線の彼方、空が割れていた。

片や、巨大な雷雲を纏い、プロメテウスの炎を撒き散らす「ビッグ・マム」シャーロット・リンリン。

片や、青龍の姿で天を舞い、周囲の山々を消し飛ばさんばかりの熱息を吐く「百獣」のカイドウ。

 

四皇二人が、偶然か必然か、この近海で真っ向から衝突していたのだ。

一撃交わすたびに、海は逆巻き、空は真っ二つに裂ける。その余波だけで、並の海賊船なら木っ端微塵になるほどのエネルギーが全方位に放射されていた。

 

シエル「……アレン様。……いかがいたしますか? ゴッドエデンの防衛圏内ではありませんが、このままでは海流が乱れ、交易船に影響が出ます」

 

シエルが冷静に問う。

アレンは一瞬、斬月の柄に手をかけようとしたが、すぐに首を振った。

 

アレン「……いや、いいっすわ。……あの二人、やり合うと一週間は止まらないっすよ。……関わるとだるいし、マキナ様に『余計な喧嘩を買うな』って言われてるしね。……そっと、気づかれないように立ち去るっすよ。……リースさん、アランカル号のステルス機能を最大にして、全速力で離脱っす」

 

リース「……了解。……霊子遮蔽カーテン、展開。……微速転舵。……刺激しないよう、静かにお暇(おいとま)する」

 

アランカル号は、音もなく向きを変え、怪物の宴から距離を置こうとした。

 

---

 

 

 

だが、新世界の神々は、死神の「静かな離脱」を許さなかった。

 

ビックマム「ゼウス!! プロメテウス!! …おれの邪魔をするなカイドウ!!」

 

 

 

カイドウ「ウォロロロォ!! どけババァ!! **『熱息(ボロブレス)』!!**」

 

カイドウが放った、山を貫く超高温の熱線。

ビッグ・マムを狙ったその一撃は、彼女の『威国』によって大きく弾かれた。

 

弾かれた熱線の「先端」――わずか数パーセントの余波が、空間を焼き切り、直進した。

その先にあったのは、ステルスを展開し、回避行動に入っていたアランカル号の船首だった。

 

ジュッ……、という、嫌な音がした。

 

アレン「……あ」

 

アレンの言葉が止まる。

アランカル号の美しい漆黒の船首。リースが心血を注ぎ、マキナが装飾を指示し、アレンが「かっこいいっすね」と自慢していた特注の装甲が。

 

カイドウの吐息が掠めただけで、飴細工のようにドロリと溶け落ち、見る影もなく変り果てていた。

 

リース「…………」

 

船内に、沈黙が流れる。

スピーカーからは、リースの、先ほどまでとは明らかにトーンの違う声が聞こえてきた。

 

リース「……計測終了。……船首装甲、35%消失。……霊子回路、損傷。……アレン。……私、これ作るのに三ヶ月かけた。……しかも、先月のメンテナンスで、アレンが『絶対にぶつけない』って、約束した。……怒ってる。……私、すごく、怒ってる」

 

リースの声は静かだったが、それが逆に恐ろしかった。

 

 

リース「……マキナにも、報告した。……マキナも、言ってる。……『私の許可なく、私の国の資産を傷つけるとは……そのトカゲ、干物にしてくれる』……って」

 

アレンは、溶けた船首をじっと見つめていた。

震えていた。

怖さではない。

リースに怒られるという絶望。そして、自分の「家」の一部を、あのだるいトカゲの「外した一撃」で汚されたことへの、沸点を超えた怒り。

 

---

 

 

アレン「……シエル、アルタイル、オメガ」

 

アレンの声が、低く、重く、船底から響くような音に変わった。

彼の周囲から、漆黒の霊圧が物理的な衝撃波となって噴き出す。

 

 

シエル「……はい、アレン様」

 

 

オメガ「……準備は、できております」

 

メイドたちが一斉に、メイド服の下に隠した武器に手をかける。彼女たちもまた、自分たちの主が心血を注いだ船を傷つけられ、その魂に火がついていた。

 

アレン「……あー、だるい。……本当にだるいっすわ。……俺、平和に帰りたかったんっすよ。……リースさんに怒られたくないから、必死に避けてたんっすよ」

 

アレンがゆっくりと、二振りの『斬月』を抜いた。

その瞬間、アランカル号の周囲の海が、重力崩壊を起こしたかのように凹んだ。

 

アレン「……なのに。……あのトカゲ野郎、外しやがった。……外して、俺の船を溶かしやがった」

 

アレンの瞳が、深紅から「完全な虚無」の色へと変わる。

**『卍解』――『天鎖斬月』。**

 

アレン「……リースさん。……船の修理代、あの二人の首で払わせるっす。……シエル、船の制御を頼むっすよ。オメガとアルタイルは船に飛んでくる攻撃から守ってくれっす……俺は、あのバカどもを、黙らせてくるっすわ」

 

アレンの背中に、巨大な古龍の翼が展開される。

それは以前カイドウと戦った時よりも、遥かに禍々しく、遥かに巨大な「死」そのものだった。

 

アレン「……行くぞ、クソトカゲ。……食い散らかしてやるっすわ!!」

 

ドォォォォォォォォォォォォォン!!

 

アランカル号の甲板を蹴り、アレンが弾丸となって空へ飛び出した。

その背後には、彼に続くように、黒い稲妻を纏ったアルタイルとオメガが、主の怒りを体現するかのように加速していく。

 

新世界の空を割っていた二人の四皇。

その中心へと、今、世界で最も怒らせてはいけない「死神」が、文字通りの暴風となって乱入しようとしていた。

 

 

転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?

  • 精霊
  • フェンリル
  • ドラゴン
  • 吸血鬼
  • 上位悪魔
  • その他(他作品とのクロスオーバー)
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