ONE PIECE 死神伝   作:ぐちロイド

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第75話 エデンへの帰還 女王の組手、白き虚無の演舞

 

アレン「――あー、というわけで、ハンコックたち三人は無事に『女ヶ島』に送り届けてきたっすわ。婆さんに少し凄んできましたけど、まぁ、あの様子なら大丈夫でしょう」

 

ゴッドエデンの中央王宮、深紅の絨毯が敷き詰められた謁見の間。

アレンはいつものようにだるそうに頭を掻きながら、玉座に深く腰掛けるマキナへと報告を終えた。

 

マキナ「……ご苦労だったな、アレン。貴様が拾ってきた一千人の人材も、リースが有効に活用している。我が国はまた一段と、神の庭に相応しき完成度へと近づいた」

 

マキナは優雅にワイングラスを傾け、紅い瞳を細めてアレンを見つめた。その視線は労いというよりも、獲物の品定めをする肉食獣のそれに近い。

 

マキナ「だが、アレン。数週間の航海……少しばかり、その身が弛んでいるのではないか? 貴様の放つ霊圧に、微かな『凪』を感じるぞ。……死神が錆びては困る」

 

アレン「え、いや……そんなことないっすよ。毎日、船の上で素振りくらいは……」

 

マキナ「言葉は不要だ。……久々に、私が直々に貴様の腕を確かめてやろう。……付いてこい」

 

マキナが立ち上がる。その瞬間、彼女の背後から噴き出した圧倒的な覇気が、王宮の空気をピリつかせた。アレンは「あー、やっぱりこうなるっすよね」と溜息をつきながらも、内心では武者震いを感じていた。マキナとの組手は、死線を超える経験だ。拒否する理由など、どこにもなかった。

 

---

 

 

 

城の地下深く。そこにはリースが心血を注いで開発した、ゴッドエデン最大の秘密兵器の一つ――**『特殊演習空間:ホワイト・ルーム』**が存在する。

 

扉が開くと、そこには上下左右の概念すら消失しそうな、果てしない「純白の空間」が広がっていた。

 

リース「……ん。……マキナ、アレン。……準備完了。……この空間は、外殻を霊子変換装甲で覆った、準隔離世界。……四皇クラスの衝突でも、物理的な崩壊は免れる。……背景データ、ロード開始」

 

スピーカーからリースの声が響くと、真っ白な空間にノイズが走り、一瞬にして「燃え盛るマリージョアの廃墟」の光景が再現された。瓦礫の質感、熱風の温度、血の匂いまでが完璧に模倣されている。

 

アレン「……趣味悪いっすね、リースさん」

 

リース「……ん。……敵地での戦闘継続能力を測るため。……条件、設定完了。……死なない程度に、壊し合って」

 

マキナはドレスを脱ぎ捨て、その下に着込んでいた漆黒の戦闘用アンダースーツ姿になった。しなやかな肢体には、数年間の統治を経て磨き上げられた、峻烈な武のオーラが纏っている。

 

マキナ「……来い、アレン。……貴様のその『だるさ』の裏に隠した刃、私を満足させてみせろ」

 

---

 

 

アレン「……じゃあ、失礼するっすわ!!」

 

アレンが地を蹴った。

『瞬歩』による加速。一瞬でマキナの間合いに潜り込み、腰の『天鎖斬月』を抜かずに、鞘のまま彼女の脇腹を狙う。

 

パァァァン!!

 

乾いた衝撃音。マキナは片手で、アレンの神速の打撃を受け止めていた。彼女の周囲には、黒い稲妻を放つ『覇王色』の防壁が展開されている。

 

マキナ「……遅いな。……ハンコックたちに鼻の下でも伸ばしていたか?」

 

マキナの冷徹な声と共に、彼女の脚がアレンの顎を狙って跳ね上がった。アレンは首を捻って回避するが、その直後、マキナの全身から放たれた衝撃波――『流桜』を極限まで圧縮した「見えない正拳」が、アレンの胸板を叩く。

 

アレン「……っぐぅ!?」

 

アレンの体が後方へ数十メートル吹き飛ぶ。空中で姿勢を立て直し、着地した瞬間に、彼は二振りの斬月を抜いた。

 

マキナ「……あー、本気っすね、マキナ様。……なら、こっちも『接待』抜きでいくっすよ!!」

 

アレンの瞳が深紅に染まり、漆黒の霊圧がホワイト・ルームを侵食し始める。

 

 

アレン「**『月牙十字衝(げつがじゅうじしょう)』!!**」

 

漆黒の十字が空間を焼き切りながらマキナへ迫る。

マキナは逃げない。彼女は右手を虚空に翳し、そこへ自身の覇気と霊子を集中させ、一本の「光の槍」を形成した。

 

マキナ「**『王権・裁きの雷(ジャッジメント)』!!**」

 

十字と槍が激突し、ホワイト・ルームの背景データがバグを起こして消滅、再び純白の世界が露出した。余波だけで大地が割れ、リースの構築した防壁がミシミシと悲鳴を上げる。

 

---

 

 

二人の影が、白き虚無の中で交差する。

斬月と光の槍が触れ合うたびに、空間そのものが悲鳴を上げ、衝撃波が同心円状に広がっていく。

 

マキナの攻撃は、まさに「天災」だった。

彼女は能力を使わずとも、その身に宿る「王の器」だけで世界を書き換える。一方、アレンの剣は「深淵」だった。すべての攻撃を飲み込み、より鋭い一撃として撃ち返す。

 

アレン「……はぁ、はぁ。……流石っすね、マキナ様。……全然、隙がないっすわ」

 

マキナ「……貴様こそ。……女ヶ島へ行って、少しは『毒』が抜けたかと思ったが……その太刀筋、さらに冷徹さを増している。……良いぞ、アレン。……もっと、私を壊すつもりで来い!!」

 

マキナが歓喜に近い笑みを浮かべ、さらに出力を上げた。

彼女の背後に、巨大な「黒い翼」を広げた死神の幻影が重なる。マキナがアレンの力(霊子)の一部を共有し、自らの覇気と融合させているのだ。

 

アレン「……なら、これならどうっすか!!」

 

アレンが構えを変えた。二振りの斬月をクロスさせ、自身の『古龍』の血を刃に吸わせる。

 

 

アレン「**『天鎖・黒龍閃(てんさ・こくりゅうせん)』!!**」

 

放たれたのは、龍の形をした黒い炎の渦。それはホワイト・ルームの疑似空間を焼き尽くし、マキナの防御壁を強引に喰い破っていく。

 

マキナ「……くっ……! 素晴らしい!!」

 

マキナは防戦に回ることなく、その龍の口の中に自ら飛び込み、手にした槍でアレンの喉元を突いた。アレンもまた、刃を返してマキナの首筋に肉薄する。

 

二人の武器が、互いの急所数ミリの場所で止まった。

 

静寂。

荒い呼吸の音だけが、白い空間に響く。

 

---

 

 

 

アレン「…………あー、だるい。……本当に、死ぬかと思ったっすわ」

 

アレンが先に力を抜き、斬月を鞘に収めた。全身は汗で濡れ、戦闘スーツには数箇所の切り傷がある。マキナもまた、肩を揺らしながら槍を消し、額に浮かんだ汗を指で拭った。

 

マキナ「……フフ。……合格だ、アレン。……貴様の刃は錆びるどころか、孤独な航海を経て、より純粋な『個』へと研ぎ澄まされている」

 

マキナが歩み寄り、アレンの頬に手を添えた。その掌は熱く、先ほどまでの殺気は嘘のように消え、深い愛着と信頼の色が宿っていた。

 

アレン「……マキナ様。……強くなれたっすかね、俺」

 

「ああ。……貴様が私の傍らにいる限り、この『ゴッドエデン』を脅かす者などおらぬ。……だが、忘れるな。……貴様を磨き上げるのは、外の敵ではない。……この私だということをな」

 

マキナがアレンの唇に、短く、しかし熱い口づけを落とした。

 

リース『……ん。……データ収集終了。……二人とも、平均的な国家転覆の10回分のエネルギーを消費した。……演習場、修復率15%。……再構築に三日かかる。……アレン、後で、修理費用の相談』

 

アレン「……え、またっすか……。……リースさん、そこは福利厚生でなんとか……」

 

アレンのぼやきに、マキナが楽しげに笑い、白き空間に平和な空気が戻ってきた。

 

二人は並んで、ホワイト・ルームの出口へと向かう。

海賊、海軍、世界政府。迫り来る激動の時代。

だが、この二人が並び立つ限り、ゴッドエデンの理想は、どんな嵐にも決して揺らぐことはない。

 

マキナ「……さて。……アレン、腹が減ったな。……今夜は、貴様が連れてきた料理上手なミンク族に、腕を振るわせようではないか」

 

アレン「了解っす。……あ、でもその前に、一回シャワー浴びさせてください……」

 

死神と女王。二人の怪物の訓練は、こうして「日常」へと溶け込んでいった。

彼らの伝説は、まだ始まったばかりである。

 

 

転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?

  • 精霊
  • フェンリル
  • ドラゴン
  • 吸血鬼
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