ONE PIECE 死神伝   作:ぐちロイド

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第78話 英雄の激昂と死神の憂鬱 乱闘の果てにマキノの「制裁」

 

 

シャンクスたちの船が水平線の彼方へ消えてから、二日が過ぎた。

フーシャ村の空気は、祭りの後のような静けさと、それでも確かに少年の胸に灯った「海賊王」への熱情が混ざり合った、奇妙な平穏に包まれていた。

 

アレン「……さて、俺もそろそろ帰るっすかね。マキナ様たちが本気で迎えを寄こす前に」

 

アレンは港に停めた『アランカル・ミニ』のデッキで、最後の一本となった三色団子を口に運んでいた。イーストブルーの空はどこまでも高く、新世界の殺伐とした空気が嘘のようだったが、その静寂は、突如として海から飛来した「巨大な影」によって打ち破られた。

 

**ドォォォォォォォォン!!**

 

ガープ「ぶはははは! ルフィ! 元気にしておったか!!」

 

港の地面を粉砕し、土煙を上げて着地したのは、巨大な軍艦――ではなく、軍艦から「飛び降りてきた」一人の老人だった。

白い正義のコートを翻し、筋肉の塊のような巨躯を揺らす、海軍の英雄。

**「拳骨のガープ」**。

 

アレン「げっ。……この暑苦しい覇気、じいさん……来たっすか」

 

アレンがだるそうに目を細めた瞬間、土煙の中からガープの鋭い眼光が射抜くように向けられた。ガープは鼻提灯を膨らませて寝ぼけていたかと思えば、瞬時にアレンの姿を捉え、その顔を鬼のように険しくさせた。

 

ガープ「……ぬぅ? その面、その刀、そしてその『不届きな霊圧』……。貴様、死神海賊団の……アレン・コルテスかァ!!」

 

---

 

 

 

アレン「お久しぶりっすね、じいさん。相変わらず、登場の仕方が物理的すぎて周囲の迷惑を考えてないっすね」

 

ガープ「黙れェ!! 貴様、マリージョアで一千人の奴隷を掠め取り、天竜人のクソ度も街を焼いた大罪人が、何故こんな平和な村におる! シャンクスの小僧といい、貴様といい、ワシの孫をこれ以上悪の道へ引きずり込む気かァ!!」

 

ガープが地面を一歩踏み出すと、港の石畳がクモの巣状に割れ、大気がミシミシと悲鳴を上げた。彼にとってアレンは、海軍の正義を根底から揺るがし、今や「ゴッドエデン」という不可侵の領域を築き上げた、世界で最も危険な不確定要素だった。

 

アレン「……いや、俺はただの休暇っすよ。ルフィ君ならあっちで元気に泣いてるから、早く行ってあげなよ」

 

ガープ「問答無用ッ! 海軍中将ガープが、正義の鉄拳を持って貴様を更生させてくれるわァ!!」

 

ガープの右拳が、黒い武装色の覇気を纏って真っ黒に硬化する。それは「流桜」を越えた、ただの質量を破壊神へと変える究極の硬度。

 

アレン「……あー、だるい。……本当に、この一族は人の話を聞かないっすね!!」

 

アレンもまた、腰の『天鎖斬月』の柄を握り、瞳を深紅に染めた。

 

---

 

 

 

ガープ「**『拳・骨・衝(けん・こつ・しょう)』!!!**」

 

ガープが放ったのは、単純な正拳突き。だが、そこから生み出された衝撃波は、海面を真っ二つに割り、フーシャ村の港全体を揺るがす「暴力の塊」だった。

 

アレン「……受けるのはだるいけど、避けると村が消えるっすね!!」

 

アレンは抜刀した『斬月』を盾に、正面からその拳を受け止めた。

 

**バギャァァァァァァァン!!!**

 

漆黒の刃と黒い拳が激突した中心点から、白銀の雷が四方八方に飛び散る。アレンの背後の海が、衝撃の余波だけで数百メートルにわたって陥没し、巨大な水柱が上がった。

 

ガープ「ぬぅ……! やはりワシの拳を止めるか! ゴッドバレーの頃より、さらに『深み』を増しおって!!」

 

アレン「……じいさんの拳も、相変わらず岩石どころか惑星でも砕けそうっすね。……痛いんっすよ、これが!!」

 

アレンは刀を弾き、そのまま『瞬歩』でガープの懐に潜り込んだ。

 

アレン「**『月牙・乱(らん)』!!**」

 

零距離で放たれる、小規模だが超高密度の黒い斬撃の嵐。ガープはそれを全て素手で叩き落とし、あるいは肉体で受け止めながら、豪快に笑い飛ばした。

 

ガープ「はははは! 痛くも痒くもないわァ!! **『拳骨・流星群(メテオ)』!!**」

 

ガープがどこからか取り出した巨大な鉄球――ではなく、もはやその辺にある岩塊を次々と覇気で固め、超速のピッチングでアレンに叩きつける。一発一発が軍艦を沈める威力を持つ弾幕。

 

アレン「……あんた、それ休暇に来たじいさんのやることじゃないっすわ!!」

 

アレンは空中で身を翻し、二振りの斬月をクロスさせた。

 

アレン「**『天鎖・龍旋回(りゅうせんかい)』!!**」

 

黒い龍の旋風が岩塊を全て粉砕し、そのままガープを飲み込もうとする。だが、ガープはその旋風の中に自ら飛び込み、アレンの胸ぐらを掴もうと手を伸ばした。

 

---

 

 

 

二人の怪物が、港から少し離れた海岸線へと戦いの場を移す。

アレンの放つ霊圧の黒い稲妻と、ガープの放つ覇気の衝突により、ドーン島の天候が一時的に激変し、晴天の中に雷鳴が轟く。

 

アレン「ハァ……ハァ……。じいさん、いい加減にするっすよ。俺、本当に帰るだけなんだから」

 

ガープ「黙れ! 貴様を捕らえれば、ワシの孫が海賊になるのを諦めるかもしれんからな!!」

 

アレン「動機が私情すぎるっすわ!!」

 

アレンが『卍解』の準備に入ろうとし、ガープが全力の『銀河衝突(ギャラクシーインパクト)』を放とうと拳を振り上げた、その時だった。

 

マキノ「――二人とも、いい加減にしてください!!!」

 

浜辺に響いたのは、凛とした、しかし底知れぬ怒りを含んだ女性の声だった。

酒場のマキノが、エプロン姿のまま、幼いルフィの手を引いて仁王立ちしていた。

 

マキノ「ガープさん! 村を壊すつもりですか!? アレンさんも! シャンクスさんを見送って、せっかくルフィが前を向こうとしているのに、これ以上暴れないでください!!」

 

ガープ「……っ! マ、マキノ……。いや、これは教育の一環でな……」

 

アレン「……あー、いや、俺は売られた喧嘩を買っただけで……」

 

世界最強クラスの二人が、一人の若い女性の剣幕に、文字通り「蛇に睨まれた蛙」のように硬直した。

ルフィはといえば、アレンとガープの凄まじい戦いを見て、目を輝かせていた。

 

ルフィー「すげェ……!! じいちゃんも、アレンのおっちゃんも、化け物だ!! おれも、あんな風に強くなってやる!!」

 

マキノ「……ほら、見なさいガープさん。ルフィが余計にやる気になってるじゃないですか」

 

マキノが溜息をつき、腰に手を当てる。その背後には、リースの「冷徹なお叱り」に近いオーラが漂っており、アレンは本能的な恐怖を感じて刀を収めた。

 

---

 

 

 

ガープ「……ふん。マキノに免じて、今日はこのくらいにしておいてやるわい」

 

ガープが鼻を鳴らし、武装色を解いた。拳の皮が少し剥けているのを見て、彼は愉快そうにアレンを見た。

 

ガープ「アレンよ。……ロジャーの意志も、シャンクスの賭けも、ワシは認めん。だが、貴様がルフィーに『守り』を渡したのは……礼を言っておこう」

 

アレン「……気づいてたんっすね。……いいっすよ。俺も、このガキがどんな風に世界を引っ掻き回すか、楽しみにしてるっすから」

 

アレンはアランカル・ミニに乗り込み、エンジンを始動させた。

 

アレン「じゃあな、ルフィ。次に会う時は、もっとだるくない男になっておくっすよ」

 

ルフィー「おう! おっちゃん! またな!! おれ、絶対海賊王になるからな!!」

 

少年が千切れんばかりに手を振る。

ガープはそれを見守りながら、アレンの去っていく航跡をじっと見つめていた。

 

ガープ「……死神、か。あやつらが作る『理想郷』とやらが、この新時代にどう絡むのか……。センゴクに話すのが、今からだるいわい」

 

ガープがアレンの口癖を漏らす。

アランカル・ミニは、夕陽に向かって加速し、イーストブルーの穏やかな海を切り裂いて進んでいく。

 

アレン「……さて。……休暇終了っすね。……帰ったら、マキナ様に『ガープと遊んでました』って報告したら……また一晩中、組手に付き合わされるんだろうなぁ……」

 

アレンは操縦席で深く溜息をつきながらも、その口元には、新時代の芽吹きを間近で見た者だけが浮かべる、微かな期待の笑みが刻まれていた。

 

死神の休暇は、こうして「嵐のような再会」と共に幕を閉じた。

偉大なる航路(グランドライン)のその先、ゴッドエデンで待つ女たちの元へ、死神は再びその翼を広げるのだった。

 

 

転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?

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