ONE PIECE 死神伝   作:ぐちロイド

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第84話 俊足と紫電、白雷の天罰

 

 

アレンのアドバイスを受け、プレデターたちの動きは劇的に改善された。前衛は霊子を外部に放出してスレナの熱線の伝導を強引に遮断し、後衛はヴァイパが直線的に加速する瞬間の風の鳴りから突進ルートを予測、気圧の壁を作ってその突進を阻む。

 

しかし、地力の差は厳然として存在していた。

『轟雷の拳聖スレナ』が放つプラズマの圧倒的な破壊力(パワー)は、遮断壁ごとプレデターの重装歩兵を力任せに吹き飛ばす。さらに『旋風の悪足ヴァイパ』は、一度迎撃されかければ「永遠の17歳を舐めないでよねー☆」と叫びながら即座に逆方向へ超加速(スピード)を反転させ、プレデターの包囲網を嘲笑うかのようにすり抜けていく。

 

ヴァイパ「キャハハ! 惜しい! 動きは良くなったけど、ウチのスピードには一歩届かないよ〜ん!」

 

スレナ「オラァ! 粘るじゃねェか死神の部下ども! だが、ワシらの前進は止められねェぞ!!」

 

前線は再び押し戻され、プレデターたちには疲弊の色が見え始めていた。

 

その様子を崖の上から見届けていたアレンは、ふっと息を漏らし、口元に微かな笑みを浮かべた。

 

アレン「……まぁ、新世界で頭角を現し始めた本物の強者相手に、ここまで粘れたなら上等っすね。よくやった、及第点っすわ」

 

アレンは腰の二振りの刀――白と黒の『斬月』に触れることすらなく、そのまま城のバルコニーの縁へと足をかけた。

 

アレン「じゃ、ちょっと過保護な上司として、尻拭いに行ってくるっすわ」

 

リース「……ん。アレン、行ってらっしゃい。……プレデターの負傷兵の受け入れ、および医療プラントの稼働、直ちに開始する」

 

リースの淡々とした声に見送られ、アレンは数百メートルの高さがあるバルコニーから、重力に従って真っ逆さまに飛び降りた。

 

---

 

 

 

**ドォォォォォォォォン!!!**

 

スレナとヴァイパがプレデターの防陣を完全に食い破ろうとしたその瞬間、激しい雷鳴と共に、戦場の中心へと一筋の白い雷霆が激突した。

凄まじい衝撃波が巻き起こり、土煙が周囲を包み込む。だが、そこに破壊の気配はなかった。ただ、圧倒的な、そして絶対的な「個」の存在感が、その場にいる全員の動きを金縛りのように止めたのだ。

 

土煙がゆっくりと晴れていく。

そこに立っていたのは、漆黒の正装のボタンを少し緩め、両手をだるそうにポケットに突っ込んだアレン・コルテスだった。その腰には、いつも彼が携えているはずの二振りの大刀がない。

 

スレナ「……っ!? 貴様、アレン・コルテス……!」

 

スレナが拳のプラズマを逆立たせ、警戒も露わにバックステップを踏む。

 

ヴァイパ「わぁ、本当に刀持ってないじゃん! お兄さん、ウチらを舐めてるの? それとも、ウチの可愛さに免じて手加減してくれる感じぃ☆」

 

ヴァイパが銀髪のサイドテールを揺らし、全開の胸元から不敵な笑みを覗かせる。

 

アレンは二人には目もくれず、背後にいる傷だらけのプレデターたちへと振り返った。

 

アレン「全員、よくやったっすね。あのアドバイスを即座に実践できるんだから、お前らは確実に強くなってるっす。……でも、ここからはこれ以上やっても怪我人が増えるだけ。俺が引き受けるんで、全員リースさんの所に行って手当てを受けてきな」

 

「し、しかしアレン様! 我らはまだ戦えます!」

 

アレン「いいから、これは命令っす。……あいつらの相手は、俺一人で十分だからさ」

 

アレンの言葉に宿る圧倒的な説得力。プレデターたちは悔しそうに歯を噛み締めながらも、「ハッ!」と一斉に敬礼し、一糸乱れぬ動きで負傷者を抱えながら後方の医療プラントへと退避していった。

 

---

 

 

 

戦場に残されたのは、アレン、そしてスレナとヴァイパの三人だけとなった。

風が吹き抜け、不穏な沈黙が流れる。

 

アレン「さてと……」

 

アレンは首を左右に鳴らし、ようやく二人の女性海賊へと正面から視線を向けた。

 

アレン「お前ら、ウチのシマを荒らしてくれた上に、俺の首を獲るって息巻いてたっすよね。……いいっすよ。特別に、二人係でかかってくるのを許可するっす」

 

スレナ「あァ!? 二人係だと!? ナメんじゃねェぞ死神! ワシ一人で貴様を叩き潰して――」

 

アレン「まぁまぁ、スレナ、落ち着くっす。……ただし、俺にも一つ条件というか、縛りがあるんっすわ」

 

アレンはポケットから手を抜き、パチパチと自身の指先から「白い雷」を走らせた。

 

アレン「この戦闘、俺は『斬月』も使わないし、お前らが知ってるかもしれない『龍の能力(リュウリュウの実)』も使わないっす。……そうっすね、この【ゴゴロの実】の能力だけで、お前ら二人の自慢のパワーとスピードを、上から完全に圧殺してあげるっすわ」

 

その宣言は、スレナとヴァイパの海賊としてのプライドを粉々に踏みにじるものだった。

 

スレナ「……っ、ゴロゴロの実だと!? 最強種と謳われる自然系(ロギア)……! 面白いじゃねェか、プラズマのワシを相手に、ただの雷風情が勝てると思ってんのかァ!!」

 

スレナの褐色肌が怒りで昂り、全身から紫色のプラズマが爆発的に吹き荒れる。Dカップの胸を覆うサラシがその圧力で激しく揺れ、白いコートが千切れんばかりに翻った。

 

ヴァイパ「えー、お兄さん格好いいけど、そういう余裕ぶった態度はウチ、嫌いじゃないけどムカついちゃうぞ☆ ウチの最高速度、見失わないでね!!」

ヴァイパもまた、黒い革の上着をなびかせながら、カソカソの実の力を全開にしてその姿を陽炎のように揺らがせた。

 

スレナ「いくぞ、ヴァイパ!!」

 

ヴァイパ「オッケー、スレ姉! 『音速・同調(シンクロ)』!!」

 

最強の新星二人による、文字通りの神速の同時強襲。

 

---

 

 

 

先陣を切ったのは、ヴァイパの超加速をその背に受け、さらに弾け飛ぶような速度を得たスレナだった。

彼女の右拳には、太陽の表面温度にも匹敵する超高密度の紫電の球体が形成されている。

 

スレナ「死ねぇ!! **『轟雷・滅殺プラズマ崩壊拳』!!!**」

 

一撃で島の一部を消し飛ばしかねない、文字通りの必殺の質量。

だが、アレンの表情は一切変わらない。彼はただ、迫り来るスレナの拳に対して、自身の右手を軽く突き出しただけだった。

 

アレン「……『プラズマ』が雷の上位互換だとでも思ったっすか? 甘いっすよ。出力の桁が違うんっすわ」

 

「**【一千万ボルト・放電(エル・トール)】**」

 

アレンの指先から放たれたのは、細く、しかし極限まで凝縮された純白の雷の奔流。

スレナの放った紫色のプラズマの塊は、アレンの白い雷と衝突した瞬間、相殺されるどころか、その圧倒的な「電圧」と「質量」に力負けし、内側から強引に押し潰されて霧散した。

 

スレナ「なっ……がはぁっ!?」

 

ヴァイパ「スレ姉!?」

 

白い雷の衝撃波に直撃されたスレナは、自慢の190cmの巨躯を激しく震わせ、凄まじい勢いで後方の岩壁へと叩きつけられた。岩壁が爆音と共に崩落し、彼女の白いコートが泥に塗れる。プラズマを操るはずの彼女の肉体が、アレンの雷の「純粋なパワー」によって完全に圧倒されたのだ。

 

アレン「……ほら、次っすよ。スピード自慢の17歳(仮)」

 

アレンが視線を向けた先には、すでにヴァイパの姿はなかった。

彼女はカソカソの実の能力を極限まで引き上げ、自身の速度をマッハの領域へと突入させていた。

 

ヴァイパ「ここだよ、お兄さん!! 『永遠の17歳』の最速、捉えられるかなぁ!?」

 

ヴァイパの声が、残響となって戦場のあらゆる方向から同時に響く。彼女はアレンの死角を完全に捉え、その黒い革の上着のジッパーをさらに揺らしながら、音速の壁を破る回し蹴りをアレンの首筋へと叩き込もうとした。

 

だが。

 

アレン「……あー、だるい。遅いっすね」

 

バチィィィィィィィン!!!

 

ヴァイパ「え……っ!?」

 

ヴァイパが蹴りを放った瞬間、アレンの姿が「白い光」となって掻き消えた。

カソカソの実による物理的な『肉体の加速』。それに対して、アレンが行ったのは、ゴロゴロの実による『肉体の雷子化(ロギアの移動)』――すなわち、純粋な【光速】の移動だった。

 

音速が、光速に勝てるはずがなかった。

 

気づけば、ヴァイパの背後に、パチパチと白い電気を纏ったアレンが平然と立っていた。

 

アレン「……お前がどれだけ頑張って走っても、俺は一瞬で地球を何周でもできるんっすよ。……これが、自然系(ロギア)の『神の力』ってやつっすわ」

 

ヴァイパ「うそ……うそでしょ……っ!?」

 

ヴァイパが恐怖に顔を引きつらせて振り返ろうとした瞬間、アレンは彼女の左肩、天使のタトゥーのすぐ傍らに、そっと人差し指を触れさせた。

 

「**【三千万ボルト・鳥(ヒノ)】**」

 

ヴァイパ「あぎゃあああああああああっ!!!」

 

指先から放たれた巨大な雷の鳥が、ヴァイパの身体を包み込み、彼女の自慢の加速力を完全に焼き切った。ヴァイパは白目を剥き、黒いズボンを泥まみれにしながら、そのまま地面へと激しく転がった。

 

---

 

 

 

スレナ「ハァ……ハァ……! まだだ……! まだ終わってねェ……!!」

 

崩れた岩の隙間から、満身創痍のスレナが立ち上がった。サラシは破れ、豊かな胸元が激しく上下している。彼女は自身の敗北を認められず、再び拳に紫の電撃を宿そうとしたが、アレンはその場から一歩も動くことなく、冷徹に頭上を指差した。

 

アレン「……もう、終わりにしとくっすよ。これ以上やったら、本当に灰になっちゃうから」

 

スレナと、地面で辛うじて意識を保っていたヴァイパが、本能的な恐怖に駆られて天を見上げた。

 

ゴッドエデンの上空、それまで快晴だった青空が、一瞬にして禍々しい漆黒の雷雲によって埋め尽くされていた。雲の隙間から、何千、何万という数の巨大な「白い雷の龍」が、今にも地上を全て焼き尽くさんとばかりに、ゴロゴロと不気味な咆哮を上げている。

 

「**【万雷(ママラガン)】**」

 

アレンが静かに手を下ろすと、頭上の雷雲から、戦場全体を昼間のように照らすほどの、圧倒的な規模の雷霆の雨が降り注いだ。

 

ズドォォォォォォォォン!!!

ズバババババババババァン!!!

 

それは、地形そのものを書き換える、天災そのものの威力。

スレナとヴァイパの周囲の岩肌が、次々と爆発し、ドロドロのマグマへと変わっていく。あえて二人への直撃は避けられていたが、その「手加減された天罰」の余波だけで、二人の新星は、自分たちが挑んだ男がどれほどの『化物』であるかを完全に理解させられた。

 

雷雲が晴れ、静寂が戻った戦場。

スレナは完全に戦意を喪失し、その場に膝を折って両手を地面についた。ヴァイパもまた、その銀髪のサイドテールを乱し、荒い息を吐きながらアレンを怯えた目で見上げていた。

 

スレナ「……ハァ、ハァ……。ワシらの、負けだ……。刀も、龍の力も使わずに……ただの『雷』だけで、ここまで……」

 

ヴァイパ「キャハ、ハ……。ウチの負け、負けだよぉ……。お兄さん、本当に……神様か何かじゃん……」

 

アレンはだるそうに頭を掻き、再び両手をポケットへと突っ込んだ。

 

アレン「分かればいいっすよ。……お前ら、それなりの実力はあるんだから、ウチのシマで無駄死にするのはもったいないっす。……どうっすか? このままウチの国(ゴッドエデン)の傘下に入る気、あるっすか?」

 

アレンのその言葉に、スレナとヴァイパは驚いたように顔を上げた。

死神の気まぐれか、あるいは新たな「力」の獲得か。

ゴロゴロの実の力を以て、新星のパワーとスピードを完全に上から圧殺したアレン・コルテスは、また一つ、この楽園の軍勢を強固なものへと変えようとしていた。

 

遠くのバルコニーからは、その戦果を満足そうに見つめるマキナとリースの視線が、静かに二人へと注がれていた。

 

---

 

 

転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?

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