ONE PIECE 死神伝   作:ぐちロイド

90 / 95
先週は投稿できずすいません。ちょっとバタバタしていて書いている時間が無かったです。それと今回はセリフの前に名前を付ける台本形式をやめてみました。どちらが良いか感想等で教えてください。


第89話 絶望の日、楽園の崩壊

 

 

五つの加盟国が「完全なる無」へと消滅してから数日後。

その日は、新世界には珍しいほどの穏やかな快晴の朝として訪れた。

 

ゴッドエデンの王宮では、いつものようにマキナが優雅に朝食を摂り、スレナとヴァイパが庭園で軽い組み手を交わし、リースが端末の画面を高速でスクロールさせながら世界の観測データを更新していた。アレンもまた、サンルームの特等席で「今日も一日だるいっすねぇ」と欠伸を噛み殺しながら、斬月の手入れをしていた。

 

――だが、破滅の刻は、予告も前触れもなく、前触れなき絶望となって世界を襲った。

 

**ズシャァァァァァァァァンッ!!!!!**

 

突如として、ゴッドエデンを覆う空そのものが、ガラスのように「割れた」。

澄み渡っていた青空が一瞬にして内側から塗り潰され、見る者を死へと誘うような、底知れぬ「漆黒の闇」が天を覆い尽くす。陽光は遮断され、一瞬にして昼が夜へと書き換えられた。

 

『警告――警……告――!! エ……ラー……、物理法則の維持……不可能……』

 

王宮内に響き渡るリースの合成音声が、ノイズまじりに歪む。

 

「リース!? どうした、何が起きたのだ!?」

スレナが庭園から叫ぶ。

 

しかし、返答はなかった。

王宮のあらゆる場所に配置されていた最先端のホログラム端末、防衛用のアランカル・ミニ、結界維持装置、さらには照明や水蒸気の供給システムに至るまで、ゴッドエデンの全システムが一斉に「沈黙」したのだ。

 

「……ッ、リースのネットワークが……途絶した……!?」

リース本人が、自らの頭部に手を当てながら、見たこともない狼狽の表情を浮かべた。彼女の脳内に構築されていた無制限の演算ネットワークが、まるで世界のデータそのものが消去されたかのように、ただの「無反応」へと変わっていたのだ。

 

---

 

 

 

「な……なんだ、これ……っ!? 身体が……重い……っ!?」

 

庭園でスレナが自身の拳を固く握りしめようとしたが、指先に力が力強く入らない。

彼女の代名詞である『プラプラの実』の紫色のプラズマは、指先から火花一つすら散らなかった。それどころか、体内の悪魔の実のファクターそのものが消滅したかのような、虚無の喪失感が彼女を襲う。

 

「ウチも……っ! 『カソカソ』の力が、全然出ないよ……っ!? スピードが……上がらない……っ!」

ヴァイパが全開の胸元を抑え、荒い息を吐きながら床に膝を突いた。

 

「……静まりたまえ」

王宮の玉座から立ち上がろうとした女王マキナ。彼女は不遜な態度で、この異常事態を引き起こした「何者か」を平伏させるべく、王の資質たる『覇王色の覇気』を解き放とうとした。

 

しかし――何も起きなかった。

 

世界を震撼させ、五老星すら冷や汗を流させたあの絶対的な覇気が、空間に溶けて消えることすらなく、ただの「呼吸」として不発に終わったのだ。

 

「……ほう。私の覇気が……通じぬか」

マキナの紅い瞳に、初めて微かな驚愕と、底知れぬ激憤の色が宿る。

 

悪魔の実、覇気、科学力、ネットワーク。

この『ONE PIECE』の世界において「最強」を定義していたすべての概念が、このゴッドエデンを包み込む漆黒の空間内において、完全に「無力化(無価値)」へと書き換えられていた。

 

「……だるい、どころじゃないっすね、これ……」

 

アレンは重い体を叩き起こすようにして立ち上がった。

全身の細胞から、生きるための「生命力(エネルギー)」が、目に見えない無数のストローで吸い上げられているかのように、激しい怠惰と疲労感が身体を蝕んでいく。

見聞色の覇気も、ゴゴロの実の雷も、リュウリュウの実の龍の身体能力も、すべてが機能不全に陥っていた。

 

(……くそっ、 悪魔の実も覇気もダメ……。なら、俺の本当の根幹……死神の『霊圧』と『斬魄刀』はどうだ……!?)

 

アレンは最後の望みをかけて、腰に携えた漆黒の大刀――『天鎖斬月』の柄へと手を伸ばした。

自身の魂の欠片であり、数多の死線を潜り抜けてきた相棒。

 

だが。

 

**ミシッ……。**

 

「……っ!?」

 

アレンが『天鎖斬月』の柄に触れたその瞬間、耳障りな亀裂の音が響いた。

黒く研ぎ澄まされた刃の表面に、白いひび割れが幾重にも走り始める。まるで、この世界の理の外にある異物の空間に触れたことで、斬魄刀という「存在そのもの」の構成データが耐え切れず、崩壊を開始したかのように。

 

「ア、アレン……っ! 刀が……っ!?」

ヴァイパが悲鳴を上げる。

 

「くっ……離せっていうのかよ、斬月……っ!!」

アレンは力任せに刀を鞘から抜こうとしたが、引けば引くほどひび割れは深くなり、刀身からパラパラと漆黒の霊子が剥がれ落ちていく。これ以上力を込めれば、引き抜く前に『斬月』自体が砕け散る。

 

死神としての力すらも、この世界そのものを拒絶する異物『アンノーン』の前には、侵食される対象でしかなかったのだ。

 

---

 

 

全システムが落ち、世界を守るあらゆる力が奪われ、全員が生命力を吸われて不快な疲労感に苛まれる王宮のサンルーム。

その中央の空間が、まるで水面に落とした墨汁のように、どろどろと不気味に歪み始めた。

 

「――フハハハハ!! 痛快だな! 実に痛快だ!!」

 

歪む空間の開口部から、嘲笑と共に姿を現したのは、漆黒のフード付きコートを身に纏った三人の影。

男が一人の隻眼(男1)。

紫色の爪を妖しく光らせる女(女1)。

そして、幾何学的な数式が走る未知の容器を手に掲げた、冷酷な女(女2)。

 

彼らは、生命力を吸われて身動きが重くなっているマキナ、アレン、リース、スレナ、ヴァイパの五人を、まるで虫ケラでも見るような見下した視線で見つめた。

 

「どうだ? 自慢の『楽園』の居心地は! 五老星を脅し、世界政府を平伏させた誇り高き女王も……自然系最強の雷を操り、死神と恐れられた男も……この『アンノーン』の領域の前では、ただの無力で惨めな『生身の人間』に過ぎん!!」

 

男(男1)が隻眼を狂気に血走らせ、腹を抱えて抱腹絶倒した。

 

「キャハハハ! 見てよスレナ、ヴァイパ! あんたたちのあの威勢の良さはどこへ行ったのぉ? 覇気も出ない、悪魔の実も使えない……! 服を破られて暴走していた時の方が、まだマシだったんじゃないかしらぁ!?」

女(女1)が、蛇のような舌を出して、身構えるスレナとヴァイパを煽り立てる。

 

「くっ……! 貴様ら……っ! ワシらを……ゴッドエデンをナメるなァッ!!」

スレナが気迫だけで一歩前に踏み出そうとしたが、肉体から生命力が急速に奪われているため、ガクリと膝を折って床に倒れ込んだ。

 

「スレ姉……っ! ダメ、身体が……動かない……っ!」

ヴァイパもまた、呼吸を荒くしてスレナの肩を支えるのが精一杯だった。

 

---

 

 

 

「無駄よ」

 

容器を手にした女(女2)が、冷徹な一言で彼女たちの抵抗を切り捨てた。

 

「この『アンノーン』は、この世界のあらゆる概念――悪魔の実の呪い、覇気、霊子、科学エネルギーに至るまで、すべての『存在』を否定し、消去する崩壊の触媒。あなたたちがどれほど足掻こうと、この領域の中にいる限り、身体の生命力は吸い尽くされ、最後はあの五つの加盟国と同じように、骨も残さず『無』へと還るのよ」

 

女(女2)は容器をかかげ、出力をさらに一段階引き上げた。

王宮の床や大理石の柱が、目に見える速さで黒く変色し、ミシミシと音を立てて風化(崩壊)し始める。

 

マキナは玉座の肘掛けに手を置き、全身を襲う激しい倦怠感と生命力の喪失に耐えながら、不遜な眼光で三人の黒ずくめを睨みつけた。

 

「……小癪なネズミどもが。この私を……我がゴッドエデンを、そのような不細工な『玩具』一つで滅ぼせると思っているのか?」

 

「フフ……強がりを。女王マキナ」

女(女2)の薄い唇が、邪悪に歪む。

 

「あなたのその誇り高い覇王色の覇気も、今や不発の息遣い。後ろにいる死神アレンの自慢の刀も、触れるだけで砕け散るゴミと同然。……この世界において『絶対』だったあなたたちの存在そのものが、今、この瞬間に歴史から消去されようとしているのよ」

 

「……」

 

アレンは下を向き、ハァハァと荒い息を吐いていた。

全身が重い。頭が痛い。悪魔の実の能力も、雷も、龍の頑強さも、見聞色の予知も、何一つとして反応しない。

手に握った『天鎖斬月』からは、今も悲鳴のようなひび割れの音が響き続けている。

 

(……やべぇっすね。マジで、今までで一番の詰み状況っすわ……。覇気もダメ、ロギアもダメ……刀に触れば壊れる……。リースさんのネットワークも死んでて、マキナ様の覇気すら通じない……)

 

アレンの脳裏に、死の影が色濃くチラつく。

 

男(男1)が、腰から一振りの凶悪なダガーを引き抜いた。その刃には、アンノーンの漆黒の毒が塗りたくられている。

 

「さぁ、終わりだ『死神』アレン・コルテス! 貴様がどれほど強いか知らんが、力を奪われた貴様の首を撥ねるのは、赤ん坊の首を捻るよりも易い!! 貴様らの全てを、この世界の歴史ごと――【無】に返してやるァァァッ!!!」

 

男(男1)が、命を奪うべく、無防備なアレンに向かって一直線に飛びかかってきた。

 

世界が、完全なる絶望と虚無の闇に包まれる。

能力も、覇気も、武器も奪われた楽園の王たち。

死神アレン・コルテスは、この絶体絶命の『無』の領域から、果たして起死回生の一手を打つことができるのか――!?

 

---

 

転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?

  • 精霊
  • フェンリル
  • ドラゴン
  • 吸血鬼
  • 上位悪魔
  • その他(他作品とのクロスオーバー)
  • その他(コメントで書いて下さい)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。