最近BL界隈には「Dom/Sub(ドムサブ)ユニバース」という概念があることを知り、ついにBLにもドムの良さが浸透したとは喜ばしいことです。
(絶対に違う)
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虚電生命、エル・ホロゥ。
30光年先にある惑星で脅威となっていた人工知能体と、地球のGBNが接触したことにより発生した情報と想念の集合体。
負(マイナス)に歪められたエルダイバー。
その姿は正に「異形」であり、暴力的であり、破壊的だ。
例えば──
そう、私の目の前にいる「ゲーミング・アッザム」みたいな。
赤、橙、黄、緑、青、藍、紫。
悪酔いしそうな点滅が周囲の空間を容赦なく
「いや、ピカピカギラギラ視覚的にうるせぇなっ!?」
御丁寧にも各パーツが同色で隣り合わないよう、個別に規則正しく発光させやがって!
暴力的・破壊的の方向性を間違えてるだろ!
子供が見てポリゴンショック起こしたらどうすんだ!
アイツこっちの世界でも未だに許されてねぇんだぞ!
PTAに訴えられても知らんからな!?
教えはどうなってるんだ、教えは!?
ゲーミング・アッザム(仮称)の胴体に内蔵された固定砲台……二連メガ粒子砲から、本家アッザムよりも威力が高そうなビーム攻撃が飛んでくる。
もちろん狙いは私だ。
正確には私が操縦するガンプラ──「ドム・ホルツビーネ」に、だけど。
コロニー内部を飛行していた私は、斜め下から断続的に撃ち込まれる黒いビームの雨を縫うようにして避けていく。まだまだ不慣れな機体をバレルロールさせたり、上下左右に振ったりしながら、どうにか回避してるって感じだけど。
エルダイバーとしての感覚が身体を(なんとなく)動かしてくれてるので、第三者から見ると回避運動もサマになってるように映るかもしれない。
けれどね……
「こちとら、まだ慣熟訓練の真っ最中だっつーのッ!」
前世での経験も含めて、飛ぶのも初めてなら低重力環境下で動くなんてのも初めてなんだよ!
クインさんに協力するとは約束したけど、慣らし運転初日でエル・ホロゥと戦う羽目になるとは思わないじゃん!?
偏差射撃してくるのを、脚部スラスターを使って空中ブレーキ、即座に軌道変更ッ!! 脚部とバックパックに追加した姿勢制御用スラスターを一瞬だけ噴かして機体を安定させ、今度こそ前方へ緊急加速。
さっきまで滞空していた所を、何条もの黒ビームが突き抜ける。
ギリセーフ!
「簡単に
無抵抗のままでいると思うなよ!
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その前に回想タイム。
クインさんの所でリックドム
前世でいろんなドムは組んできたけど、いわゆる「オラドム*1」は作ったことがないのだ。
いや、
でも日本中のビルダー達による「自分だけのガンプラ」を見てきた身としては、その世界に名を
あの子の名を。
私の名を。
ネオンという名前を。
……まあ前世と同じ人間サイズならともかく、この手の平サイズなボディーで初手から完成度の高い機体を作れるハズも無く。
なので他機体から流用したパーツを軽く改造・組み込み、とりあえず試作的なヤツを組もうと考えたわけですよ。
「ドム本体は、あんま大きく改造してへんのやな?」
「そこまでの
クインさんの自宅(豪邸)にあるガンプラ製作専用ルームには、高性能な3Dブリンターや精度の高い工具類が取り揃えられている。なのでそれらを使えば恐ろしくクオリティの高いパーツを作ることは可能だろう。
ただそれを「ひとつのカタチ」へと完璧に完成させるだけの技術が決定的に欠けてるのが我が身の現状である。
どんなに細かい作業のできる工具があっても、この小さな身体では上手く使いこなせないし、そもそも工具の性能を最大限に引き出せる使用法も熟知していないのだ。
逆にヤスリ掛けや塗装作業は、細かい作業ができて楽なんだけどね。うーん、一長一短。
「だから、まずはコンパチ改造で経験値を積んでいくつもり」
エル・ホロゥをどうにかするなら、手っ取り早くプロモデラーに「理想のドム」の製作を依頼した方が良いのだろう。
ただ、なんだろう、エルダイバーとしての感覚が「それだと赤点だよ」と判定してくるのよね。
組み上がったガンプラの声は聞けるけど、心を通わせられないというか。
「コンセプトは『地上で活動するために飛行機能を備えたリックドムⅡ』……やったっけ?」
「そのための追加バックパック機構の運用実験機、みたいな設定だよ」
地上を熱核ホバーで滑るように疾走するのも格好良いけど、現在のガンプラバトルでは空中戦もできないとメチャクチャ不利になる。
タンク系の機体でフォースを組んでる人達が動画サイトでボヤいていたから、やはり制空権を得る重要性は現実でもバーチャルでも変わらないようだ。
(そのフォースは対空特化のガンタンク
まあGBNにおける現在の傾向を抜きにしても、空は飛んでみたい!
ならば「空飛ぶドム」を
宇宙世紀のモビルスーツ、とりわけザクとドムは死ぬほど派生機やら試験機やら実験機やらが存在するので、気軽に「オリジナル設定」を作りやすい。
設定しやすいということは「イメージしやすい」ということでもあり、さらにそれを「形にしやすい」ということでもある。
最初は気圏戦闘を視野に入れて「エールストライカーパック」を流用しようかとも思ったんだけど、エールの設定的に重量や横幅が大きくなり過ぎる上に、大気圏内だと滞空できないので断念。
そこで『08小隊』に登場した「グフ・フライトタイプ」に目を付けた。
作中で飛行も滞空もしてたはずだから……フライトタイプ! キミに決めたッ!(モンスターボールを投げるモーション)
「本当は背面装備の機能で飛んだり浮いたりしたかったんだけどね」
同じ「空飛ぶグフ」なら『サンダーボルト』版の「グフ・フライトユニット装備」がいるのだけど、残念ながらコチラの世界でも
一応、BANDAI様が公表してる販売予定リストには入っているのだが、そこに
背中に積んだ2基の大型ファンで(高機動とはいかないまでも)通常飛行とホバリングが可能という、当初のイメージに合致するのだけど──モノが存在しないのであれば仕方がない。
目の前にポケモンがいなければ、モンスターボールすら投げれない状態なのだ。
じゃあ3Dプリンターでフライトユニットを成形すれば?と思うだろうけど、今の私にはプラモの大規模改造と同じぐらい「立体物を3Dデータの図面にして設計する技術」が乏しい。
そういうテクニックや知識に明るくないから「まずはコンパチ改造にしよう」って話なのに、コンパチ改造するためにフルスクラッチや3Dプリンターだ!は本末転倒なのである。
プラモの改造講座的なコーナーで
いや、そこはもちろん勉強して将来的にやってくつもりだけどね?
「股関節周りの改造とかは、似たような作例を動画サイトで探すとして……
まずはグフってる脚部をドムっぽくするデザインが先かな」
イチからの設計ではなく、既存のものを組み替えてディティールアップする程度なら、前世での経験を活かして何とかできそう。
「ようし、やぁってやるぜ!」
矢尾ボイスには程遠い可愛らしい気合いを入れ、パーツ確認のためにグフ・フライトタイプの箱を開けるのだった。
これが大体2週間前の話。
ほい、回想終わり。
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高精度な航空機能を維持するためにシェネレーターを改良した結果、ゲルググ程ではないにせよ携行ビーム兵器が使用可能になった──という設定の
「まだ試し撃ちもしてないのに、実戦投入とはね!」
サイバーパンクな世界に出てくる極彩色なネオン広告塔──受け継いだ自分の名前と同じ響きなのには少しモニョる──みたいな悪趣味タマネギに向けてトリガーを引く。
ガンダム世界でビームを撃つ際に発生する独特のSEと共に、ピンク色の閃光が1本の束となって発射された。
トリガーを引く。
トリガーを引く。
しかしゲーミング・アッザムはジャンプ中に姿勢制御用のスラスターを全力で噴かすと、こちらの連続射撃をヒラリヒラリと躱してしまう。
こちらが
「お?」
お互い浮揚したまま睨み合うような空間が数瞬だけ生まれたが、新しいアクションを切り出してきたのはゲーミング・アッザムの方。
機体の下部から4機の小型飛行物体を放出したのだ。
二重反転ローターの付いた円盤。
おいおい、まさか。
「アッザム・リーダー?」
いやでもアレって「散布した金属粉を電磁波により約4000℃まで加熱させ、伸縮アームの檻に閉じ込めた敵を焼却する」武器じゃなかったっけ?
こんな空中戦で使うタイプじゃないだろ。
とか思ってたら。
作中よりも半分くらいの長さまでアームを伸ばしたかと思うと、本体の腹の部分……要するに本来は電磁波を照射する装置がある所を私に向けてきた。一斉に。
まさか指向性
「なんとぉぉっ!?」
間一髪で予期された奇襲を避ける。
電磁波じゃなくて雷撃が飛んできたのだ。
枝を伸ばすかの如く放射状に広がる、青白い熱雷の大樹。
それが4本同時に!
ビーム砲による点攻撃では3次元的な戦闘で直撃させられないと判断して、広範囲空間攻撃に切り替えやがったな!?
「……ミノフスキー粒子とヨウ化銀の散布、超強力な磁石のアームによる磁場誘導で電位差をコントロールして雷を発生させてるのか」
判定AIとしての鑑定と、機体のセンサーによる分析が電撃大樹の仕組みを暴く。
そんなトンデモ科学理論で兵器を作り出すんじゃないよ!
GBNだからこそ可能なビックリドッキリメカだけどさあ!
いやコッチも人のこと言えないけどさあ!
「こなくそっ」
雷撃を放つ
断続的に
さすがに追尾機能までは付与されてないのか、私もどうにか避け続けられてはいるものの……
「このままだとコッチの推進剤が切れちゃう」
アッザムの性能的な設定がそのままなら、向こうの飛行限界時間は50分のはずだけど──あれはエル・ホロゥであってアッザムそのものじゃないからなあ。
ジリー・プアー(徐々に不利)ってヤツだ。
取り敢えずビームで反撃!
あ、ダメだ。
雷撃を打つ時に発生する協力な磁場で、ビームの軌道がひん曲がりやがる。
対ビーム防御も兼ねてるのか。
攻防一体とは、なかなか……
ああん?
なんか今、ゲーミング・アッザムが
相手は顔のないMAだし、そもそもパイロットはアッザム本体そのものだ。そういう通信がつながった訳でもない。
なのにあのカラフル肉まん野郎は自分の勝利を確信して、私を
私の直感が告げている。
──小賢しい。
「ルナタンクの改造品を更に魔改造したサイバー饅頭の分際で」
本能のままに破壊することしかできないなんかに負けてたまるか!
判定AIとエルダイバーのハイブリッドである
教えてやろうじゃないの!!
コンパチとはいえ2週間で改造できるものなのかについては、クインさんの製作専用部屋の設備がセレブ過ぎたということでひとつ……
あと「グフ・フライトタイプがあるからドムが飛ぶ必要なくね?」に関しては、地上・水中・宇宙でことごとく覇権を取れなかったツィマッド社の意地だった的な設定ってことで。