ガンプラ完成度判定AIだって遊びたい!   作:砂上八湖

7 / 8
 
完全にノリと勢いだけで書いてるので、この先どうなるのか作者自身にも分からないので誰か攻略本ください。
 


第7話

 

 ■ 

 

 TMF/A-803 ラゴゥ。

 

 アニメ『機動戦士ガンダムSEED』で初登場した四足機動のモビルスーツである。

 みんな御存知「ヨーグルトソース連呼おじさん」あるいは「【ムウ×マリュ】カプへの当て馬おじさん」という異名を持つ*1ことで有名なアンドリュー・バルトフェルド(と「媒体によって声が違うお姉さん」ことアイシャ)の搭乗機と言えば分かるだろうか。

 さっき討伐し終えたバクゥの完全上位互換となる後継機であり、操縦士と砲手による複座式という珍しい形式の機体だ。そのためバクゥよりもガタイがデカい。

 通常であれば背中のターレットに装備されているのは二連装ビームキャノンの筈だけど、コイツは二連装ビームガトリング砲に換装されている。おそらく『1発あたりの攻撃力』よりも『連射による弾幕展開』を重視したからかな?

 

 そんなラゴゥが「森の王」と呼ぶべき威容を放ちながら私達の前に姿を現したのだ。

 

 いや、お前みたいな獣の本能剥き出しモビルスーツが野良にいて(たま)るか!?

 え、これ何?

 クエストのラスボス的な立ち位置なヤツ?

 でもフミナさんの反応を見るに、コイツの登場は想定外っぽいんだよなあ。

 

「な、なんでチュートリアルミッションに野生のラゴゥがっ!? コイツは本来、中級者向けの討伐クエストにしか出てこないハズッ!

 チュートリアルのクエストでは絶対に出てくるワケないのに……!」

 

 ほらね。

 混乱のあまり、フミナさんが誰に向けてるのか分かんない説明台詞を長々と喋ってしまうぐらいには想定外な事態なんだろう。

 その解説から察するに、どうも我々が『不運(ハードラック)』と『(ダンス)』っちまった末の『遭遇事故(エンカウント)』でも無さそう。

 システム上のトラブルかプログラムの不具合(バグ)なのか、あるいは外因によるものか。

 いずれにせよ大丈夫なのか運営。

 ここ最近の過密なトラブり具合はオンラインゲームとしてマズくない?

 普通に通報案件では?

 

 けれどゆっくりと通報してる暇はなさそうだ。

 野生のラゴゥが前肢のクローで地面をガリガリと引っ掻きつつ、モノアイでガンを飛ばしてきてるし。今にも飛び掛からんばかりの迫力(プレッシャー)だ。

 ん? よく見たらクロー部分が大きく湾曲したた鋭い鉤爪に改造されているじゃないか。しかも質感からして、どうも金属パーツっぽいな。

 こりゃあ無改造ドム・トローペンじゃ、撫でられただけで輪切りにされちゃいそうだなあ。

 

「ならば先手必勝ッ!!」

 

 掟破りの開幕ラケーテン・ハズだッ!! ヒャッハーッ!

 もう四足で歩くMSはお(なか)いっぱいなんだよッ!

 

「あっ、待ってネオンちゃ……!」

 

 慌てるフミナさんの声は、ラゴゥに不意打ちのロケット弾が直撃した爆音に掻き消されて圧し潰された。

 オレンジ色の爆炎と灰色に濁った爆煙が、ドムのモニターを可視領域を支配する。

 

「やったか!?」

 

 無改造とはいえ、設定では巡洋艦を一撃で沈める360ミリのロケット弾を近距離で喰らわせたのだ。

 ただで済むわけがない!

 

「いやネオンちゃん、それフラグぅ!」

 

 フミナさんが鋭くツッコミを入れた次の瞬間、爆煙の向こうからビームガトリングの唸り声と共に無数の光弾が突き抜けてきた。

 

「ふおぉぉうっ!?」

 

 咄嗟にラケーテン・ハズを盾にしながら緊急回避!

 横軸に素早くホバー移動したので機体への被弾は免れたものの、主兵装のバズーカが蜂の巣にされてしまった。弾倉にロケット弾が残っていたので、必然的に大爆発を起こす。

 

 これ幸いと誘爆を隠れ蓑に使い、慌ててフミナさんの隣まで後退する。すると引っ込んだ私とは逆に、最初の爆発で生じた灰煙から姿を現したモノがいた。

 

 お察しの通り──ラゴゥである。

 しかも傷1つない状態でピンピンしてるではないか。

 

「無傷ゥ!?」

 

「チュートリアルだとSEED系のエネミー機体はPS(フェイズシフト)装甲が省略(オミット)されてるけど、アイツは中級者向けクエストに出てくる特殊エリアボス!

 だから独自にPS装甲が設定されてるの!」

 

 さっきの解説めいた独り言と少し被る説明を、ビームライフルを構えてラゴゥを牽制してるフミナさんが叫ぶ。

 あれ? ってことは──

 

「ネオンちゃんが持ってる実弾兵器じゃ、ダメージを与えられないっ!」

 

 ですよねー……

 腰にマウントされていた90mmマシンガンを代替の射撃武器として右手に装備してたのだけど……一瞬でガラクタと化してしまったワケだ。

 

「一応ヒートサーベルならダメージは通るけど……」

 

「中級者向けボス相手に無改造ドムでは厳しい……よね」

 

 私が(うめ)くように呟くと、フミナさんが悲壮感あふれる顔で頷いた。

 まいったね、こりゃ。

 完全に手詰まりだ。

 ()()

 

 いや、Bランクダイバーであるフミナさんとスターウイニングガンダム・ベクトレックスなら、このラゴゥと戦っても勝利することは難しくないだろう。

 だけど──

 

 ちょっとだけ機体を右へと横移動。

 ラゴゥのモノアイがそれを追う。

 ちょっとだけ機体を左へと横移動。

 ラゴゥのモノアイがそれを追う。

 

「アカン、ものの見事に狩猟対象としてロックオンされとる」

 

 そうなのである。

 私というターゲッティングされた「お荷物」を背後に抱えながらボスと単騎で戦って、それでも勝利できるかというと……

 

「(ちょっと厳しいかな)」

 

 私は冷静に評価を下す。

 スターウイニングガンダム・ベクトレックスは完成度の高い良い機体だけど、チーム戦における射撃や移動を支援するサポート機という側面の方が強い。ボスとタイマン張って戦うには、ややパワー不足と言わざるを得ない。

 

 え? バクゥを倒した『必殺技』があるだろって?

 

 うーん……アレもノーリスクでポンポン放てるモンじゃないからなあ……

 リスクの形は機体の設定によって様々だけど、フミナさんの場合は予備動作でやってた「激しいスラスターの噴かし方」からして【エネルギーを激しく消耗する】とかそういうのだろう。

 バクゥ相手に必殺技を使ったのも(ボスのいないクエストということもあり)私の前で最後はバッチリ格好よくキメたい!という淡い先輩ウインドを吹かせたかったのでは。

 

 なのでおそらく、フミナ先輩は必殺技を連発できないハズ。

 エフェクトは派手だったけど、基本的に「突進技」なので、味方の援護なしに単発で放っても命中するか──さらに致命打になるか──にも不安は残る。

 

 ……でも、いやまあ、その。

 ぶっちゃけた話、実は別に「勝つ」必要は無いんだよね。

 

 クエスト失敗でターミナルセンターに戻ればいいのだ。

 仮想現実の世界なのだから「負け」て命を失うわけでもないし、歴史に何か影響があるわけでもない。

 なんなら戦わなくてもメニュー画面を開いて〔クエスト放棄(リタイア)〕を選んでも良いし。

 

 たぶん、そのことはフミナさんも気付いてる。

 でも彼女はそれを選択しないようだ。 

 

 自分から誘ったクエストだから。

 初めてのGBNを理不尽な敗北でスタートして欲しくないから。

 せっかく仲良くなった友達に嫌な想いをして欲しくないから。

 一緒に遊んで楽しみたかったから。

 

 だから途中で放棄しようとしない。

 だから私も自分から言い出さない、

 

「……やるしかないか」

 

 私もフミナさんとガンプラバトルを楽しみながら遊びたいし、気持ち良くGBNをスタートしたいしね。

 マシンガンを投げ捨て、ヒートサーベルを両手で構える。

 

「フミナさん……アイツに狙われてる私が何とか接近戦で足止めするから……ビーム攻撃よろしくね」

 

「ネオンちゃん……うん、分かった。

 でも無理はしないでね」

 

 何故チュートリアルミッションに中級クエストのボスが乱入してきたのか。

 そこは運営に小一時間ほど問い詰めるとして──

 覚悟を決め、フミナさんと作戦とも呼べないような打ち合わせをして互いに頷き合う。

 

 こちらの意志が固まるのを待っていた訳では無いだろうけど、睨みを利かせていたラゴゥも頭部の二連ビームサーベルを展開して獣として狩猟の構えを整えた。

 王のプレッシャーが森と大地を打ち、私達の機体をビリビリと震わせる。

 

「来るよ!」

 

 フミナさんが攻めの気配を察して鋭く叫ぶ。

 私は熱核ホバーを全開にして疾走させるべく操縦レバーを押し込もうとして──

 

 

 突然

 ラゴゥの身体が

 縦一文字に

 斬り裂かれた。

 

 

「は?」

 

 あまりにも唐突な事態に唖然とする私達の目の前、真っ二つになった機械獣の向こう側、王の支配から解き放たれた森の中に。

 

 天を突くように巨大な日本刀を掲げた機体──

 真っ黒いガンダムの、禍々しい紫色の眼光が私達を(とら)えていた。

 

 

 

*1
持ってない




 
ちょっと事情が込み入ってるっぽいので、ラストの描写を変更しました。
申し訳ありません。
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