ガンプラ完成度判定AIだって遊びたい!   作:砂上八湖

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大変お待たせいたしました。
いよいよ現実世界へダイブです。
光ファイバーでコミュニケーションの回路を全開、夢操作がワンです。

独自設定を多分に含みますので、御注意ください。
 


第9話

 

 ■

 

「えええええーーっ!?

 ネオンちゃん、エルダイバーだったのーっ!?」

 

 天を敷き詰めるように広がるデジタルな蒼い空に、フミナさんの()頓狂(とんきょう)驚声(きょうせい)が響き渡る。

 

「はっはっはっ、実はそうだったんですよー」

 

 運営スタッフさん達に囲まれつつ事情聴取を受けながら、私は呑気なカミングアウトをかます。

 ボロッボロになって擱坐した無改造ドム・トローペンが私達の近くにそびえているので、いかにラフメイカーな紫巫女であっても漂う凄惨さを呑気に誤魔化すことはムズいっぽい。

 その証拠に運営スタッフさん達の表情が、まあ厳しいこと厳しいこと。

 

 まあ「運営が把握してない違法ツールらしきものを使用した機体とダイバー」が新たに現れたとなれば、当事者となれば頭を抱えたくもなるだろう。

 なんかGBNって定期的に変なトラブル起きてる──G-Tubeに流れてた風の噂では、ケモナー大歓喜な住民が暮らす異世界と接続して大騒動になったこともあるとかなんとか。ホントかよ。……まあ私みたいな異世界転生があるなら、異世界転移があってもおかしくはない……のかなあ?──っぽいけど、マジで大丈夫なのか運営。

 

「(まあ……まず心配するのは運営じゃなく今後の自分だけどね)」

 

 退避したフミナさんが運営に通報し、運営の救援部隊を引き連れてくれたのだけど、黒い亡霊とは入れ違いになってしまった。

 フミナさんは私を案じるあまり再会するなり泣きながらハグしてきたり、怪我が無いか身体チェックしてきたりと大騒ぎ。一方、通報を受けて駆け付けてきた運営スタッフさん達は事務的だった。

 当然、割と固い感じの(それでも此方(こちら)の身を労る気遣いは見せてくれたが)事情聴取を受けることとなり──その流れで私の身がエルダイバーであることも明かさなければならなくなった次第である。

 まあ、そりゃそうだ。

 ログインした履歴も登録されたIDも無いダイバーなんて怪しさ大爆発だもんね。素直に素性を明かさないと、要らぬ誤解を(よりにもよって運営陣に)与えかねないからね、仕方ないね。

 

「騙すような形になっちゃってゴメンね。

 クエストが終わったら事情を話して、運営に連絡つけてもらうつもりだったんだけど……」

 

「あー……あんな事になっちゃったもんねぇ……」

 

 何よりも()ず私の願望を優先してしまってフミナさんに迷惑を掛けてしまったのは、本当に反省している。

 これ、どう御詫びしたもんだろうか。

 フミナさんが次に登録してきたガンプラの点数に色を付ける……というのは少し違う気がするし、何より彼女に対して失礼だろう。

 とりあえず連絡先を教えてもらって、落ち着いた頃に恩返しするとしますかね。

 

「まあ、こうして運営さんをペンデュラム召喚、じゃなかったダイレクト召還できたんで結果オーライだよ」

 

「ポジティブだなあ」

 

 フミナさんの呆れたような感心したかのような感想と、運営さん達の「ペンデュラム召喚……?」というハテナ顔を眺める事で、ようやく私は一段落ついたのだという実感を抱くことができたのだった。

 

 ■

 

 さて、いよいよ現実世界(リアル)デビューである。

 フミナさんと再会を約束しつつ別れ、運営スタッフさん達に管理区画の中央統括エリアにまで連れてこられた。

 評価AIでもあるので存在自体は知識としてあったが、実際に足を踏み入れ目にするのは初めてである。まあ2本足を得てから移動する先は全て「初めまして!」の場所ではあるのだが。

 

 ここ中央統括エリアは、運営がGBNのブロックやフィールドを24時間体制で管理している各部署を統括する、軍隊でいうところの「総司令部」みたいな場所だ。

 エルダイバーのような個人で膨大な情報(データ)を有する存在を、一般の通常回線で外の世界の記録媒体に転送するのは無理なので、日頃から超大容量の通信を扱っている中央統括エリアに「エルダイバー転送専用回線」を引いているのである。

 

 各フィールド担当部署に引かれている回線も転送の使用に耐えられない訳ではないが、エルダイバーの個人情報保護や内外からのハッキンク対策としてセキュリティがより堅固な中央統括エリアが選ばれるのは必然……ということだ。

 

「いきなり君の情報(すべて)現実世界(そと)へ転送する訳ではありません」

 

 女性型エルダイバー担当だという知的クールな女性スタッフさんは、手順を説明してくれる。

 外で活動するにあたり、当然ながら実体(ボディー)を必要とする。外で動き回るのを望まないなら、専用の記録媒体(ハードディスク……つまりは「箱」だ)を用意してくれるらしいが、何が悲しくて現実世界でもモノリス体型にならなきゃならんのだ。

 いらんいらん!

 圧倒的大多数のエルダイバーと同じく、ヒト型を寄越せー!

 

「じゃあアバターと同じ形状の外部端末で良い?」

 

「バスト盛れます?」

 

「……どのくらい?」

 

「アメリカナイズにドカン!と爆乳な?」

 

「サイズや重量的に、あまり見栄を張るとバランス崩して歩けなくなるわよ?」

 

 乳を引摺りながら四足歩行したい?と真顔で聞かれる。

 

「あるがまま、天然自然の形が一番です!

 ナチュラル万歳! くたばれコーディネーター!」

 

 なんてゲルググの初期プラモみたいなテノヒラクルーをしつつ。

 前世の胸の無念は晴らせなかったよ!(駄洒落)(審議中)

 

 紫巫女なアバターの外見をスキャンして、現実世界の3Dプリンターで(とりあえずは仮の)身体を成形するらしい。ついでにアバター衣装も外のコンピューターが自動的に図面を引いて、それを元に専門の職人さんがチクチク裁縫して作ってくれるんだとか。

 えっ、エルダイバー専門のファッションデザイナーとかいるの!? 大丈夫? ニッチ過ぎない? ちゃんと食べていけてる!?

 ……あ、ドール界隈との兼業なの? むしろオーダーメイド価格が主体なので儲かってる? エルダイバーのファッションリーダーもいるの? ほへー。

 

「じゃあスキャンするから、両手は水平のまま動かさないでね」

 

「ウッス」

 

 スキャン用のポッドに入ると、エメラルドグリーンの走査線が幾つも私の体表をなぞっていく。 アバターのデータを読み込んでいるので、服を脱ぐ必要はない。まあセンシティブ対策で全て脱げる仕様にはなってないのだが。

(全裸Modを持ち込もうとしてアカウントを永遠に凍結された奴はいたらしい。アホ過ぎる)

 

 1分と経たない間にスキャンは完了。

 続いて待ちに待った外部世界への転送となる。

 (あらかじ)め用意されているマイクロICチップ──ビルドデカールに「私」という人格や身体的特徴をデータとして移植するのだ。

 さすがに一瞬で転送完了!とはいかないので、しばらく待つ事になる。感覚としては人間時代の頃の「少しずつ眠くなる」に近いだろうか。

 意識は遠のいていくけど、それを知覚している「私」としては「近く」にあって「向こう」にもある。

 これが情報生命体としての感覚か。

 不思議な気持ちだ。

  

 この待ち時間を利用して、3Dプリンターが義体パーツを削り出し、併設してある組立マシンが仕上げてくれるそうな。

 バリ取りやヤスリ掛けもしてくれるんだって!

 すごくない?

 

「『こちら』での意識は薄くなっていくけど、段々と『向こう』で目が醒めていくと思うよ」

 

 そんなスタッフさんの声も遠くなっていく。

 

「じゃあ、次は現実世界(そと)で会いましょう」

 

 自分の声も遠く感じる世界の中へ五感が静かに沈んでいって──

 

 ■ 

 

 目蓋(まぶた)を開ける。

 データで構成されたものではない、本物の「光」が視界に飛び込んでくる。

 すごい。

 感動に打ち震える。

 

「……この義体って目蓋も稼働するんだ!」

 

「いや、感動するトコそっちかーい!」

 

 最初に浮かんだ感動を口から直送で出すと、なにやら軽妙なツッコミが横から入った。

 人生、いやエルダイバー生で初めての現実コミュニケーションがボケとツッコミって……ノリがいい人は嫌いじゃないよ!(サムズアップ)

 

「そこは目覚めて一発『知らない天井だ……』が御約束やないの?」

 

「うーん、いい加減そのネタも古典の域に入るからなあ」

 

 ビン底メガネという冗談みたいなモノを装備してる女性のテンプレ提案に、私はフレッシュなミームを求めてみる。

 つうかそのネタこの世界(こっち)にもあるんだね。

 

「開口一番に目蓋で感動されたの初めてやわー」

 

「でしょうね」

 

 ……ところで、どちらさま?

 

 




 
ジークアクスも今作の世界で公開・放送されているので、ガンプラやアバターも登録されており、使用しているダイバーも当然います。
なのでエヴァみたいなガンダムを作ってくるダイバーも当然ながらいます。
使徒みたいな機体?
既にユグドラシルさんとかゲミヌスさんとかいますし……
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