常勝球団でレギュラーを取れずトレードの駒にされた俺は最弱球団で自分の強さを証明する 作:鋼鉄の山本
「この度は
「いやもう土下座はいいですからぁ! もう大丈夫ですからぁ!」
「ぶっひゃっひゃっひゃ!」
「っく……くくふっ!!」
おそらく今日のイベントで一番の盛り上がりを見せる
それが
『えっと、お嬢ちゃん、お父さんかお母さんはどうしたのかな?』
『うえっ! いや別に私迷子ってわけじゃぁ……』
『あぁ、大丈夫、そうだよね。放送とかはかけないようにお願いするから。でも一応特徴なんかを……あっ、いつもコート着てるお父さんと一緒にいた子だよね。あ、スタッフさんも今来てくれて、』
『あ、あの! 私、記者です……。あっこれ隠れてましたけど関係者用のバンドです……』
『……記者?』
『あっ記者です』
『あのお父さんは?』
『多分古市さん……先輩記者のことだと思います』
『……インターン中だったり』
『あ、来月で3年目になる24です……』
『えっ、あっ、俺と
――そこからは流れるような動き。一歩後ろに下がると持ち前のスピードを生かし、両手両膝をつくと額を地面に叩きつけた。
……あとはザワザワと盛り上がる観客、収集をつけようとするスタッフ、パシャパシャとなるシャッター音。
この時の私には、処理できない情報量とだけ明記しておく……。
『おもしろ、きゃらたったね』
「いやー、トレンド見ました? 試合無いのにうちが話題独占してますよ!」
「うれしくない……」
幸村選手の痴態を面白がり、笑い転げる同僚たち。そんな彼をどう
「つーかユキって柏田さんたちと面識なかったのか? 大江戸回覧さんだぞ?」
「この前やった取材は別の人だったし……あとなんかいつもいる親子かと」
「結構有名だぞ、授業参観コンビ」
この場で唯一まともそうな黒田選手が話を戻してくれ……ってら私達そんなふうに思われてたんかい!
『ごめんね、あとでなにかおわびするから……ゆきむらが』
「あっいえ、とりあえずこの騒動だけ収めてくれれば、もうそれでいいです、はい」
球団マスコットであるギンノスケ君が持ち前のフリップで謝ってくれる……。でもこの
アデリーペンギンモチーフらしいがそれにしたって目に光がない。子供ではないけどちょっと怖い。
『おら、ゆきむらもいいね』
「おい、幸村! それでいいかってよ!」
「えっなにがですか! とりあえず頭あげていいですか?」
「バカやろう! まだ頭が高いってよ!」
うわー、マスコットでなければ完全にパワハラ現場だぁ。いまだに顔を上げないせいでフリップが見えていない幸村選手に対してげしげしと蹴りを入れるギンノスケ。そんな状況が面白いのか畑選手は油を注ぐし、橋本選手は完全に笑い死んでいる。
「幸村選手もいい加減頭を上げて……! えっなんで横になってんですか?」
「五体投地」
「本当になにやってんですか!」
あぁ、何が一人でも気が楽だなんだ……。古市さんめ、なんで今日に限って休みを取るんだよ。まだいてくれれば親子として声をかけなかったかもしれないというのに。
このあと、唯一の良いことは幸村選手に感じられていたどこか腫れ物を扱うような空気感は完全になくたったことぐらいか。私の方はというと……
「柏田ちゃーん、せっかくなんだし
「いやですよ! なんで子供に間違えられたことを記事にしなきゃいけないんですか!」
「でも、柏田ちゃんの記事より、
「はぁぁぁあ!!??」
でも、私にとってはくたびれ損だよバカやろー!!