「う、うーん・・・?」
目が覚めると、そこは廃墟のようなビルの中だった。
「・・・・・・は?」
俺は昨夜自身の部屋でベッドで寝ていたはずだ、こんな廃墟にいるはずがない。
戸惑っている時、廃墟の奥から音が聞こえた。
誰かがこちらに歩いてきている足音。
「だ、誰かいるんですか・・・!?」
月明かりに照らされて、その姿が露となる・・・その姿は・・・
『ヒヒッ・・・ヒィィィィ!』
とても、悍ましいものだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
そこからは最悪の時間だった・・・謎の生物?との鬼ごっこ。
生きた心地がしなく、ずっと心臓を鷲掴みにされているような感覚だった。
息が切れる、足がもつれる。
あいつはずっと迫ってくる、変わらぬ速度で、息一つ切らさずに。
「はぁっ・・・!はぁっ・・・!」
助けの言葉はひねり出す、誰にも聞かれずにその言葉は消える。
そしてあいつの手が、俺を捉えた。
『ヒ・・・ヒャヒャ!!』
俺は大きく吹き飛ばされて壁に激突する。
その衝撃で思わず意識が飛びそうになる。
「はっ・・・はっ・・・」
息が荒くなる、恐怖を感じる。
嫌だ、死にたくない、そんな言葉が脳内を反復する。
あいつが再び腕を振り上げた、その瞬間。
「”解”」
その言葉が、口から漏れた。
『ヒイ"!?』
そんな間抜けな断末魔を残してあいつは消えた。
いや、消えたというより・・・サイコロ状にバラバラになった。
自分でも、自分が何をしたのか理解できなかった。
「なん、で・・・」
その直後、まるで鈍器で殴られたかのような頭痛が響く。
「がっ・・・!?」
そして自身の持っている能力・・・いや、術式の情報が頭に流れ込んできた。
あの化物を斬り殺す力、ただの男子高校生が持つとはあり得ない。
しかし、何故か俺の脳は術式の情報を拒まなかった。
まるでそうするのが当たり前かのように。
呪術、呪力、術式、結界、領域・・・その全てが俺の脳に叩き込まれた。
「御廚子・・・?」
何処かで聞いたことのある名前だ、あれは確か・・・
「呪術、廻戦・・・・・・?」
友達が読んでいたのを覚えている、俺は読んでいなかったが・・・
確かこの技を使うのは両面宿儺という悪者・・・
なんで俺なんかが、そんな力を・・・
???「分からないのか?小僧」
「っ!?誰、だ・・・?」
???「さっき自分で言っていだろう?」
「両面・・・宿儺?」
宿儺「そうだ・・・貴様のような小僧に知られているのは心底不愉快だがな」
「どこにいるんだ・・・?」
宿儺「貴様の体の中だ・・・まぁ、もう少し経てば消えてしまうがな」
「・・・俺は、なんでお前の御廚子が使える・・・?」
宿儺「・・・・・・フッ、今の貴様には言っても伝わらん」
宿儺「だがこれだけは言える・・・これは”偶然”であり”必然”だ」
「はぁ・・・?何言って______」
直後、体の中でナニカが暴れる。
「_______がぁっ!?」
暴れているのは呪いだ。
元々呪いなんて皆無な男子高校生に呪いの王である宿儺の呪力が流れてこんでいるんだ、仕方ないと言えよう。
凄まじい痛みが全身を襲った後、俺は意識を落とした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
目覚めたあと、もう宿儺の声は聞こえなかった。
その代わり御廚子の使い方は気絶する前よりも理解できていた。
「・・・」
この力を使って、一体何を成すのか・・・
偶然、そして必然で生まれた物語の結末・・・
それは神でさえ知らない。
オートマタA「・・・おい!誰だ!」
「・・・ん?」
オートマタA「ここは立入禁止区域だ!!」
だがきっと世に溢れるハッピーエンドではないだろう。
オートマタA「即刻離れ_______」
キンッ
オートマタA「___ろ"!」
ドサッ
オートマタB「っ!?全員構えろ!」
なぜならば・・・
「・・・烏合の衆だな」
オートマタB「撃て_______」
「”捌”」
キンッ
「貴様らのような鉄屑如きが俺に歯向かうな・・・不愉快だ」
俺は、呪いの王なのだから。
「・・・言葉遣い、こんな感じであってるのかなぁ?」
・・・しかし、中身は普通の男子高校生というのが前提だ。