いつか百合ハーレムを作る女主人公は男の俺から見ても可愛い   作:豚の神になりたい

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第二話 百合作品のヒロインも主人公と同じくらい可愛い

 

 

 

「れな子さん、碧さんに問題です。お金持ちだけど顔がイマイチな人と、貧乏だけど美形な人、付き合うならどっちの方がいいでしょうか?」

 

 授業終わりの昼休憩の時間、俺とれな子に笑顔を浮かべながらそんな問題を口にする少女、彼女の名前は瀬名紫陽花(せなあじさい)

 絹のような長髪の茶髪をたなびかせながら、透き通ったライトブラウンの瞳を輝かせる容姿の整った少女であり、その可愛らしい容姿によって放たれる笑顔は性別年齢関係なしに見た人を一瞬で虜にできる凄まじい火力を誇っている。

 そんな彼女の笑顔の輝きは何度見ても色褪せることはなく、現に彼女と初めて出会って二カ月ほど経った今でも俺とれな子は彼女の笑みに少しだけ見惚れている。

 

「ええっ!!」

「貧乏だけど美形な人かな。」

 

 突然の質問に驚くれな子を尻目に俺は特に迷いなく一瞬でそんな言葉を返す。正直迷うまでもなく俺は美形一択だ。そりゃあ俺だって人間だもの。顔がいい人は普通に好きだ。

 え、その場合お金が貰えないって?

 そんなこと心配する必要はかけらもない。だって……。

 

「おっ、碧さん、その心は?」

「金は俺が稼ぐから、貧乏でもいい。俺、頭いいから将来就職する企業年収高いだろうし。」

「なるほど、碧くん、頭いいもんね。」

「頭だけはね。」

 

 れな子ー、余計なこと言わなくていいんだぞ。

 誰が頭だけがいい男だよ、こんな高スペック男子に対して。今の現代奥さんもお金を稼ぐために旦那さんと同じように働く共働きをする家庭が多い中、俺と結婚すれば経済面の心配をしなくて良くなるんだぞ。どっからどう考えて超優良物件じゃないか。こんなに優しくて顔もそこまで悪くない俺が何故モテないのかは本当に謎だ。

 

「正直、私はどっちでも良くて優しい人だったらいいかなー。れなちゃんは?」

「……わ、私!?」

「うん、れなちゃんは好きな人のタイプとかある?」

 

 お、それは俺も気になる。これからのれな子の恋路をサポートしようと思っている身としてはれな子の好きな人は知っておきたいし。

 

「……わ、私は、そ、その……どこか頼り甲斐があって、私みたいな人にも優しく接してくれる、そんな人が好きかな……。」

王塚真唯(おうづかまい)とかみたいな人が好きってことか?」

「は、はぁ、何言ってんの!?」

「だってあいつ誰にでも優しいし、基本何でもできるから頼り甲斐あるだろ。」

「そ、それはそうだけど……。」

「え、……れなちゃん真唯ちゃんのことが好きだったの?」

「あ、紫陽花さん!?こ、こいつが勝手に言ってるだけだから!!」

 

 れな子はそう言うと俺の背中を両手で不満を訴えるかのようにでもそこまで強くない力で叩いてくる。

 やめてほしい、別にからかってあんなことを言ったわけじゃない。本当にそう思ったんだから許してほしい。決して恥ずかしがってる顔が可愛くて、意地悪したい気持ちが沸いたからとかじゃないから。

 

「私がどうかしたのか?」

 

 噂をしていたらどうやら本人が来たらしい。俺がふと顔を動かすと目の前にその人物はいた。

 サラサラとしている金髪の長髪にその意思の強さを示す青い瞳、俺が出会った美少女の中でも間違いなくトップクラスだと言える雲一つない美しさを放つ容姿、着ている服である黒っぽい制服もそんな彼女の魅力を引き立てている。

 現在進行形で少なからず周りの視線を集めている彼女こそが先ほど話に出てきた、王塚真唯(おうづかまい)その人だった。

 

「いや、れな子が真唯のことが好きらしいって話をしてただけさ。」

「ちょ、何言ってんの!?ち、違うからね、王塚さん!あ、でも……、だ、だからって嫌いってわけじゃないけど!そ、その……あれなんていえばいいんだっけ?」

「そうか。すまない、れな子。君の気持ちは嬉しいが、私が付き合う人は私が好きになった人だけなんだ、だから君の気持ちには答えられない。」

「え!そ、そんなこと言われても……。」

 

 真唯の言葉に混乱し、もはや自分がどんな発言をしているのかも分からなくなり始めているれな子。頭がこんがらがって混乱している姿はとても可愛げがある。やはりれな子のいじるのは面白い。そんなれな子の姿を見ながら真唯も少し笑みを浮かべているし、真唯のやつにも揶揄われているのだろう。俺が言うのも何だが不憫なやつである。

 

「ふふ、冗談だよ、れな子。すまない、慌てている君の姿が微笑ましくて、つい。」

「え?冗談?な、なんだぁ……。びっくりさせないでよ、王塚さん。」

「すまない、どうか許してほしい。」

「え、う、うん……。」

 

 イタズラに笑う真唯の言葉に先ほどまでの自分の行動を振り返ったのか恥ずかしそうに答えるれな子。

 あら〜、あらあら。これが百合ってやつですか。余裕そうに微笑む真唯と俯いて上目遣いに真唯を見つめているれな子の姿は男の俺から見ても絵になるくらい美しい。やっぱり前々から思っていたが、れな子は恋愛に関しては受けの方がいいな。誰かにいじられてる時の反応が可愛すぎる。

 まぁ相手があの真唯であることも大きいと思うが。スーパーダーリン略してスパダリと言われる誰が言ったのか、いつから言われ出したのかも分からないあだ名を持っているだけに下手な男子より全然カッコいい。俗にいう王子様系女子という奴だ。

 女性としての美しさに女性でありながら男性を上回るかっこよさ、貴様は一体何を持ちえないのだ、王塚真唯!!

 

「ねぇ、紫陽花さん。」

「どうしたの?碧くん?」

「俺、邪魔ものかもしれん。」

「えっ!よ、よく分からないけど、私は碧君が邪魔ものだなんて思ったことないよ!」

 

 紫陽花さんのフォローは嬉しいが、やはり今この女の子だけのいちゃつきが発生しているこの空間では男の俺は邪魔者だろう。

 

「ちょっと、屋上で外の空気でも吸ってくる。」

「え、そ、その、大丈夫?悩みがあるなら私聞くよ?」

「大丈夫、ちょっと涼んで来たいだけだから。」

 

 邪魔者はクールに去るぜ。そう思いながら俺は一人で屋上へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 あれから少し時間が経ってもう昼休憩も終わりの時間だ。そろそろ戻るとしよう。

 それにしてもなんで俺屋上に来たんだ?なんか変なテンションになっちゃって紫陽花さんの制止も聞かず飛び出してしまった。後で紫陽花さんに謝ろう。そう思った俺が誰もいない屋上から元いた教室に戻ろうとしたその時だった。

 屋上の扉が勢いよく開き、そこかられな子が出てきた。

 

「ど、どうしたんだ!?」

「あっ、碧。……じ、実は……。」

 

 俺はれな子にここにくるまでの経緯を聞いた。

 

「なるほど。あの後、香穂(かほ)ちゃんや紗月(さつき)さんも来て、陽キャだらけの会話に耐えきれなくなったお前は教室を飛び出して落ち着くためにここに来たと。」

「……う、うん……。」

 

 俺の言葉に少し弱々しい言葉で返事をするれな子。これは相当メンタルがやられてるな。まぁ、それもしょうがない。

 れな子は元々、紫陽花さんや真唯のようなクラスの人気者、いわゆる陽キャという存在と高校生になるまで一度も関わり合いを持ったことがなかった。彼女らと話すことは俺のような気のおけないやつと話すよりも疲れてしまうのだろう。

 まぁ、小さい頃から内気で誰かと会話することが苦手なやつだったから仕方ない。正直、高校に上がる直前「私、陽キャになる。」発言をれな子が俺にしてきた時はこいつにそんなこと本当にできるのかと疑問に思ったほどだしな。

 

「なんで、黙っていなくなるの!碧がいないと会話中すぐに私がパニクっちゃうって知ってるでしょ!」

「それに関しては悪い。なんか変なテンションになっちゃって。でも、俺がいなくても普通に真唯たちと話せるようになった方がいいぞ。俺が休んだ日とかどうするんだ?れな子も休むとか無理だろ。」

「そ、それは……。」

 

 あ、言いすぎたかもしれない。俺の言葉を聞いたれな子が見るからにうなだれている。

 でもなぁ、たまには厳しくしないと。俺がいないとダメになっちゃうし。ただ突き放しすぎるのもなぁ、厳しすぎるかなぁー?加減が難しい。

 

「まぁ、これに関しちゃ慣れるしかないな。」

「……う、うん。ね、ねえ……。」

「ん?どうした?」

「やっぱり不相応だったのかな。私が陽キャのふりをするなんて。」

 

 思った以上にナイーブになっているようだ。こういう時どういうふうに励ませばいいだろうか?甘いものとか食べさせてみるか。

 

「はい、れな子。あーーん。」

「えっ?あ、うん。」

 

 驚いたれな子は俺に差し出されたチョコを口に入れる。

 

「……ッ!!」

 

 驚いた顔が少しずつ赤色に変わっていく。まぁ高校生にもなって異性にあーんとか恥ずかしいからな。当たり前の羞恥だ。こちらに何かを訴えかけるような眼をしているが無視しよう。

 暗い顔をしているより恥ずかしがっている方が幾分マシだし、少なくともさっきよりは元気が出たようでよかった。

 

「な、何して!?」

「ネガティブになってる時は、甘いものを食べると元気出るって昔母さんが言ってたからな。元気出たか?」

 

 慌てるれな子に笑いながらそう微笑みかける。すると、れな子は先ほどよりもさらに赤みがかった顔をして俺から目を背けだした。可愛い。

 

「まぁそんな落ち込まなくても大丈夫だって。少なくともれな子がみんなと気軽に話せるようになるまではしっかり見守っているからさ。」

「……ありがとう。」

「どういたしまして。」

 

 ひとまずは大丈夫そうだな。全く、れな子には俺がいなくてもあのメンツと話してもらえるようになってもらわないといけないっていうのにそんな調子では困る。なんせ、あのメンツの誰か、もしくは全員がヒロインなんだから俺みたいな邪魔者がいなくても一人で話しかけられるようにならなくては。百合ハーレムなど夢のまた夢だ。

 

「どうすれば皆と気軽に話せるようになるかな?」

 

 ふむ、難しいことを聞くな。そうだな、れな子が皆と話してて精神を消耗するのは素の自分を出したら嫌われると思って変に緊張感を持って話してるからだと思うんだよな。別に皆性格のいい女の子ばかりだかられな子が素で接したって余程礼節を欠かない限り大丈夫だと思うが前にそう言ったら「そんなわけないじゃん!」って言われたんだよな。その思い込みをまずは破壊しないと。

 

「そうだな、誰か一人でもいいから自分で遊びに誘ってみるのはどうだ?」

「う、それは……ちょっと難易度高いっていうか……。」

「でも、勇気を出して頑張ってみないと今の現状のままなんじゃないか?」

「……た、確かにそれはそうなんだけど。」

「頑張ってみろって、応援してるから!」

 

 そんな俺の言葉にれな子は少し考え込むような顔をしながら、大きなため息をついて決心したように口を開いた。

 

「分かった!私やってみる!一人で遊びに誘ってみる!!」

 

 そうそう、良い調子だ。もしかしたらいつか俺がいなくても一人だけで気軽にみんなを遊びに誘えるようになるかもな、てかそうなってもらわないと困る。将来的に百合ハーレムを作るんなら俺は邪魔な存在でしかないわけだし。

 

「でも、遊びに行く時は、ついてきて欲しいかなって……。一人だと正直その時間を乗り越えられる自信ないから、私!」

「……分かったよ。」

 

 前言撤回、れな子が皆と気軽に話せるようになるためにはどうやらもう少し時間が必要かもしれない。

 

 

 

 




 
 空宮碧……自身が百合の間に挟まる邪魔者なのではないかと気づき始めた男 れな子の恋路のためにヒロインたちと距離を置くべきか?と迷うが、それ以上にこのままれな子を一人で放っておくことのほうが怖いので、現状を維持することにした。 早く自分がいなくても大丈夫になって欲しい

 甘織れな子……幼馴染がいない状況で皆と話すと原作よりMP(メンタルポイント)の減りが激しい原作主人公。あまりの仲の良さから実は碧と付き合っているのではないか?という噂が教室の一部で流れている
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