『おにぎりの領収書』
シャーレの昼下がり、お昼ご飯を買った私は請求書や領収書の整理をしに来ているユウカに向かって、おにぎりの領収書を渡した。
「え……なんですかこれ。おにぎり……はい」
ユウカは領収書、もといレシートを手に持つと、紙と私を交互に見ながら困惑している。
「これが、なんですか? ……え?まさか経費で落とすわけじゃないですよね」
ユウカの顔がだんだんと焦りを見せ始めるが、私は反応が見たいだけなので一切言葉を話さない。
「ちょ、何かしゃべってください。この程度……いや、金額は問題ないんですけど、経費でって……ちょ先生!?せんせ
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『モモフレンズのアクスタの領収書』
ある日のシャーレ、いつものように書類の整理をしに来ているユウカに、モモフレグッズの領収書を渡した。
「……またおにぎりみたいなやつですか?」
ユウカは領収書の内容を見ると、私のデスクに置いてあるアクリルスタンドを見て頭を抱えた。
「はぁ……まったく。こういう余計なものにお金を使わないでくださいと言っていますよね……」
ユウカはいつも通りな反応をして、私を見ていた。一言もしゃべらずに見ていると、また口を開く。
「いいですか?あんまり無駄な経費ばかり使っていると――」
長い。
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『超高級カニ缶の領収書』
シャーレの執務室、溜まっていた事務作業を片付けにきたユウカに、私はそっと一枚の領収書を差し出した。
「……? はい、受け取りました。……って、ええっ!? カニ……? 缶詰一つでこの値段……!?」
ユウカは領収書に記載された、おにぎり数十個分に相当する金額を見て、文字通り目を丸くしている。
「あの、先生? これ、中身は金粉入りか何かなんですか? そもそもこれ、どこで食べたんですか……まさか、当番の生徒さんと一緒に……」
ユウカが疑いの眼差しを向けてくるが、私はただ無言で彼女の瞳を見つめ続ける。
「ちょ、否定してくださいよ! ……っていうか、これ経費で通るわけないでしょ! 計算外です、こんなの! 先生! 聞いてますか!? せんせ――」
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『黄金のペロロ像の領収書』
夕暮れ時のシャーレ、ため息をつきながら計算機を叩くユウカの隣に、私は無造作に領収書を置いた。
「……。……。……先生、これ、なんの冗談ですか?」
ユウカは領収書の内容と、私の背後に鎮座する「それ」を交互に見て、ついに声が震え始めた。
「趣味……ですよね。完全に私物ですよね。……これ、あのアクスタが何個買えると思ってるんですか。桁が……桁がもう、私の理解を越えてます……」
ユウカはこめかみを押さえ、今にも倒れそうな様子でこちらを凝視している。私が何も言わずに微笑んでいると、彼女はついに机を叩いた。
「笑って誤魔化さないでください! そもそも、こんなものを置くスペースがどこに――あぁもう! 資産価値があるとか言い出すつもりですか!? 先生!!――」
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『ユンボ』
気持ちの良い朝、ユウカに一枚の大きな領収書を差し出した。
「ユンボ? ……ユンボ??」
領収書の内容を見て、ユウカは完全に困惑している。
「え、ユンボですか? 重機? ……ユンボ?」
もはやなんで重機など買ったのだろうか、と言う表情だろうか。
「え、なんか。先生、私怒りすぎました? 何かの冗談ですよね?」
静かに黙りながら、シャーレの事務所を後にする。
「ちょ、ちょちょちょちょ!!ちょっと!待ってください!!まって!!先生!!せんせ
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終わり
ちなみにユンボは温泉開発部が時々借りていく。