百合エロゲの世界で主人公の母親とワンナイトした件   作:ランマ

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EP.9 「まっ、実質両手に花状態だからバランスは取れているんだけどね」

 そして次の日、僕は再び朱音と戦うことになった。

 

「ルールは?」

「アンタは何でもありでいいわよ! 私は魔術と体術だけで戦うわ! 勝利条件は相手が降参するか、意識を失うか! それでいいわね?」

「もちろん、今回は勝たせてもらおう」

「油断はしない! 昨日みたいな醜態は晒さないわ!」

 

 僕は杖を前に構える。

 朱音が内包する魔力を高め、解き放つと同時に、僕も杖を起動した。

 

「紅き炎よ! 剣と成りて、舞い踊れ! 『燃え盛る剣舞(フレイム・ソードダンス)』!」

「変換魔力、高速充填。術式励起。『揺蕩い流れる水の剣舞(アクア・ソードダンス)』」

 

 互いの周囲に火炎と水流の剣が形成される。

 それらは縦横無尽に飛び交いながら、互いにぶつかり合い、弾き合う。

 炎剣は水剣に消火されていき、次第に数を減らしていった。

 

「ちっ! なんで数が倍に増えてるのよ! アンタの魔力操作技術頭おかしいんじゃないの!?」

「それはこっちのセリフだよ。アドバイスしたの昨日だよ? 散々僕のこと頭おかしいとか言ってるけど君も大概人のこと言えないでしょ」

 

 朱音の叫びに対し、僕はそう返した。

 僕は電魔の杖を改造したことにより、一度に操れる水剣の数が倍に増えている。

 それにより、僕のアドバイスによって魔力制御のレベルが格段に上がっていた朱音の炎剣に拮抗することが出来ていた。

 

「なら今度は新技を見せてあげるわ! 紅き炎よ! 汝は荒れ狂う暴風と混ざりて立ち昇り! 我が敵を焼き尽くさん! 『燃え上がる竜巻(フレイム・トルネード)』」

 

 瞬間、地面から炎が立ち昇る。

 同時に風が吹き荒れた。

 炎は僕を囲うように移動していき、風と融合していく。

 赤い竜巻は僕を焼き尽くさんと迫ってきた。

 

「術式改造、『流水の守り(シールド・バブル)』」

 

 杖から投影された魔法陣が変化していく。

 紋様が形を変えると同時に、水剣が僕の周囲に集まり、半球状に体を覆う。

 水流が熱を遮り炎をかき消していく。

 だが、それでも炎の勢いは衰えない。

 守りは徐々に削られていき、激しい音と共に白い蒸気へと姿を変える。

 水蒸気が周囲に満ち、視界を遮った。

 

 あっつい。

 この魔術の断熱効果結構高いんだけどなぁ。

 流石に中位の魔術相手だと厳しいか。

 それに、もしかしなくても朱音の奴、魔力の消耗考えずにぶっ放してるね? 

 僕相手には長引かせず速攻で倒した方がいいと考えたのか。

 

 炎が消えた瞬間。

 その隙を突き、杖の電池を入れ替える。

 そして使い終わった電池を捨てながら、拡張領域(インベントリ)から紙切れを取り出した。

 

「『巡る星視る望遠の瞳(スターゲイジング・クレアボヤンス)』」

 

 流水の守り(シールド・バブル)に流れる杖の魔力、その一部を分け、紙に描かれている魔法陣に流し込んだ。

 その瞬間、紙が燃え落ち、情報が濁流の如く脳に流れ込む。

 情報を必死に処理し、未来を予測する。

 

「紅い炎よ! 噴き上がれ! 爆ぜる力は解き放たれ、我が身を推し進めよ! 『増幅噴射・爆炎加速(ロケットブースト・バーストアクセル)』! 紅き炎よ! 我が脚に宿り燃え上がれ! 『爆ぜる炎の蹴脚撃(バーニング・キックストライク)』」

 

 背後から朱音が迫っている。

 どうやら足から炎を噴射し、推進力としたらしい。

 霧の中、一直線に突っ込んで来るが、恐らく『熱源感知(サーモグラフィ)』かそれに類する魔術を使っているのだろう。

 そのまま彼女は脚に炎を纏い、蹴りを繰り出してきた。

 だが──それは既に予測済みだ。

 

「術式励起、『猫は液体(リキッド・キャット)』」

 

 再び杖から投影されている魔法陣が変容する。

 水流は僕の中に吸い込まれるように取り込まれた。

 肉体が形を失う。

 輪郭が揺らめき、半流体へと変化していく。

 右足を1歩後ろにやり、軽く仰け反りながら半身をずらす。

 同時に体の形状を変え、朱音を避けていく。

 朱音の炎を纏った蹴りがするりと横を抜けていった。

 そして同時に僕は拡張領域(インベントリ)からある物を取り出し、彼女の着地地点に放り投げた。

 

「なっ!」

 

 魔術で流体や霊体と成ろうと攻撃を無効化することは出来ない。

 純粋な物理攻撃ではなく、彼女の攻撃も同じく魔術を用いたもの。

 魔力を纏った攻撃であれば、形を捉えることが可能だからだ。

 しかし無効化出来ずとも、流体であれば形を変え、回避することなら出来る。

 

「残念、これで終わりだ」

 

 彼女が着地すると同時に、放り投げたある物が起動する。

 それは魔道具。

 僕が杖の改造の合間に作った試作品だった。

 一瞬にして地面が円形に陥没する。

 朱音は着地に失敗し、バランスを崩した。

 魔術を解除し形を取り戻した僕は、すぐさま次の魔術の用意をする。

 

「こんのぉ!」

「っ!」

 

 彼女は咄嗟に魔力を放出し推進力に変え、無理矢理空中で体を捻って蹴りを繰り出す。

 それを咄嗟に杖で防ごうとするが、防ぎきれずそのまま吹き飛ばされてしまった。

 僕は受け身を取り着地したが、そこへ追撃するように火の玉が襲い来る。

 

「ごほっ!」

 

 火の球が僕にぶつかる。

 ガラスが割れるような音が響き渡ると同時に、火球は消え去った。

 

「……ふぅ、危ない危ない」

 

 内側に結界チョッキ着こんでなかったら今ので逆転されてたな。

 なんなら結界込みでも一瞬意識飛びかけてた。

 ホント、調子に乗ると碌なことにならない。

 原作で闇堕ちした僕も真面目に戦っていれば勝てた可能性があったのに調子乗って負けてたし、転生者になってもそこは成長していないらしい。

 でもまあ、これで今度こそ終わりだ。

 

「はぁ……はぁ……何が、終わりって?」

 

 彼女は肩で荒く息をしている。

 この結果は当然だった。

 魔力源が違う。

 魔力を電池に頼ってる僕と自身の魔力を使っている朱音。

 そりゃあ朱音の方が疲労が激しいに決まっている。

 

 しかし、彼女は未だ戦意を喪失していない。

 最早魔術ですらない、火属性を付与しただけの魔力の塊で攻撃しようとしていた。

 ありったけの魔力が左手に収束されていく。

 それは彼女の限界を超えて収束を続け、紅蓮の球を成していく。

 だが──

 

「『万象穿つ極天の流星(シューティングスター・プレイアデス)』、『子守の微睡(ナップ・ザ・シッター)』」

 

 杖の先、魔法陣から眩い光が放たれる。

 次の瞬間、紅蓮の球が消え去った。

 更に追加で起動した僕の魔術により、朱音は意識を失う。

 彼女は気絶するように地面に倒れ込んだ。

 

 魔術による状態異常。

 全ての魔力を最後の一撃に注ぎ込み、魔力による肉体強化すら捨てた彼女では防ぐ事は出来ない。

 

「まったく、ダメじゃないか」

 

 これが訓練なこと忘れてるでしょ。

 魔力を捻出する為に生命力まで消費しようとするなんて。

 決闘魔術を使ってるから死ぬ心配はないけど、癖付いて通常の戦闘でも使うようになったらどうするのさ。

 そういうハードルはあまり下げない方がいい。

 余程僕に負けたくなかったのだろうけど。

 

 全力を出し切り速攻で倒す。

 その判断自体は間違いじゃない。

 僕の天才性を、成長速度を考えれば当然の判断だろう。

 今現在も魔力操作技術が洗練されて行ってるのだから。

 

 確かに朱音も天才だ。

 それもかなりの。

 だが僕の才能はそれを上回る。

 それだけじゃない。

 

 僕は昨日、あの戦いが終わった後も訓練を続けていた。

 燕ちゃんとペアを組んでいた子と戦い続け、動きを改善していった。

 更には、授業が終わった後も、図書室で勉強をしていた時も、杖の改造をしている時も、寝ている時でさえも並行して魔力操作の訓練をしていた。

 これは僕が前世と今世という2つの人格が融合した存在という特殊性を利用したものだ。

 僕はマルチタスク……並列思考と言ったものに対しかなりの適性がある。

 しかも自力で夢遊病みたいなことも出来る。

 

「まあ、それでも僕が男である限り追いつくのは不可能に近いんだけど……今の朱音ならまだなんとかなる」

 

 魔力がない、レベルアップができない、オマケに誰よりも訓練しだしたのが遅いという最大級のハンデ。

 それは僕の才能でもそうそう覆せない。

 だから朱音が覚醒イベントを一度でも経たら流石に厳しいけどね。

 本人は無自覚けど、さっきの蹴り、一瞬だけとはいえ足と炎が同化してたんだよね、早くない? 

 あの調子なら覚醒までそう遠くないだろう。

 

「それにしても……」

 

 まさか新たに3つも中位の魔術を扱えるようになるとは。

 この調子だと何か技術革命でも起こさない限り次からは勝てなさそうだね。

 朱音は技術面だけじゃなく、レベルアップによる成長も出来るんだし。 

 

「すっごい! 朱音に勝っちゃった! 次は私の番だね!」

 

 観戦していた燕ちゃんが駆け寄って抱きついてくる。

 真々子さんは、何が起きていたのかさっぱり分かっていないのか、ポカンとしていた。

 

「勘弁して」

 

 燕ちゃんと戦ったら真面目に死ねる。

 まだ紋様の力は全然解放されてないけど、それでも馬鹿みたいな身体能力してるんだから。

 マジで彼女が全力で動いたら風圧だけで吹き飛ぶ。

 吹けば飛ぶチックな命だよ。

 

「そういえば、さっきの魔道具は?」

「昨日作った簡易的な魔道具だよ。地面をへこませるだけの、ね」

 

 使い捨てなのは問題だけど、上手く使えば制作コストに対してかなり役に立つ。

 ちなみにこの魔道具の発展系が壁尻や感覚遮断落とし穴だ。

 

「さて、決闘魔術も解除したことだし朱音もそろそろ起きるかな」

「私が起こすね!」

「んっ! んんんっ! んーっ! ぷはっ! 起きてる! 起きてるわよ!」

 

 燕ちゃんは朱音にねっとりとディープキスをし、強制的に起こした。

 エッロ。

 僕もしたいな。

 

「あー! 負けた! 悔しいぃ! せっかく3つも中位の魔術を使えるようになったのに!」

 

 ぶっちゃけ負け筋はいくらでもあった。

 多分、昨日の戦いが原因だ。

 男の僕に負けかけた。

 それによる危機感が彼女の成長速度を引き上げたのだろう。

 杖の改良をしていなければ、純粋な僕の成長だけだったら、確実に負けていた。

 僕の方が才能が上なのにも関わらずだ。

 

「よし、というわけでこれから君達には強くなってもらいます」

 

 

 


 

 

 

「ここが星辰のダンジョン。馬鹿みたいに経験値が貰えて馬鹿みたいに稼げるダンジョンだよ」

 

 少し休憩をした後、彼女達をダンジョンまで連れてきた。

 

「ねぇ……これ国に報告してる?」

「なわけ」

「思いっきり違法なんだけど!?」

「まあ安心して、バレなきゃ犯罪じゃないから」

 

 原作でも隠しダンジョン系は他のダンジョンと違って特に制限かかってないから、多分燕ちゃんが見つけた場合でも秘密にしてたんだろう。

 だからセーフセーフ。

 大体報告なんてしたら国に独占されるに決まってる。

 それどころか情報が漏れでもしたら色んな勢力がこのダンジョンを占有する為争うだろう。

 

「その点燕ちゃん達なら信頼出来る」

 

 もちろん原作知識によって燕ちゃん達なら大丈夫だと知っていたり、彼女達が因子保有者で能力的にも問題ないから、と言うのはある。

 だけどそれだけではなく、直接燕ちゃんや朱音と関わって、彼女達なら大丈夫だと確信出来た。

 

「あ、雪華とか他の信頼出来る人になら教えてもいいよ」

 

 というかヒロインズにはどんどん強くなってもらわないといけないし国にバレない程度に広めて欲しい。

 前半は今のままでいいけど後半のインフレ凄いから。

 ゲームだった時は育成時間は無尽蔵に取れてたからいいけど、現実だと後から追いつくのは厳しいだろうし。

 

「じゃ、頑張ってね」

「えっ? 行かないの?」

「ぶっちゃけ僕がいる意味ないしね」

 

 経験値は手にはいらない。

 お金もそこまで困ってないしそもそもやり過ぎたらバレる危険性がある。

 それに能力的にも彼女達に付き添わなくても心配ない。

 

「ほら、明後日ダンジョン実習あるでしょ? あの準備しないといけないから」

 

 次のダンジョン実習では敵の妨害が入る。

 実力的には今の燕ちゃん達でも問題はないだろうけど、僕が転生者である以上、バタフライエフェクト的なイレギュラーが発生する可能性はある。

 念のため、対策はしておくべきだろう。

 

 杖の改造もまだ完全には終わってないし。

 今はまだ同じ属性の魔術にしか変更出来ない。

 いや、変えることは出来るけど時間がかかる。

 実際、『巡る星視る望遠の瞳(スターゲイジング・クレアボヤンス)』は紙切れを魔術巻物(スクロール)代わりに使って強引に発動させたし、『万象穿つ極天の流星(シューティングスター・プレイアデス)』と『子守の微睡(ナップ・ザ・シッター)』は魔道具を使ったりして時間を稼いだりしないと使えなかった。

 早く魔術を自由に使えるようにならないと本格的に僕に勝ち目がなくなる。

 

 あと単純に2人がいない隙に真々子さんを抱きたかったのもある。

 明日は燕ちゃんたちとダブルデートすることになってるから2人きりになれなそうだし。

 まっ、実質両手に花状態だからバランスは取れているんだけどね。

 

「そういうことだから、バイバイ」

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