百合エロゲの世界で主人公の母親とワンナイトした件   作:ランマ

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EP.2 「私以外の奴と……?」

 とはいえ、いきなり今日からダンジョン攻略開始、というわけには行かない。

 僕は居候になったばかり。

 着替えや日用品などを買う必要があった。

 

 だから僕は燕ちゃんとショッピングモールに買い物に出かけている。

 つまりデートだ。

 誰がなんと言おうと、男女が2人きりで出かけたならばそれはデートなのだ。

 因みに真々子さんは滅茶苦茶渋ってたが、仕事があったので渋々燕ちゃんに役割を譲った。

 年甲斐もなく駄々をこねる真々子さんも滅茶苦茶可愛くて最高だったよ。

 帰ったら徹底的に抱き潰そう。

 そんなことを考えながら歩いていると、背後から声がした。

 

「なっ……つ、燕……?」

「あっ! 雪華ちゃん!」

 

 根本から先端にかけて白から金のグラデーションがかかった髪。

 キラキラ光る黄金の瞳。

 そしてなにより、高身長で爆乳爆尻、ガッシリとした筋肉という、その恵まれた体躯。

 そう、メインヒロインの1人、獅子王雪華だった。

 ちなみにドMである。

 

「燕! 何故お前がそんな奴と……?」

「今射音くんとデート中なの」

「なあっ!? つ、燕が……デート? わ、わた、私以外の奴と……? 浮気……?」

 

 あぁ……可哀想に雪華、脳が破壊されてるんだね。

 この感じ、もう既に結構好感度稼いでるね。

 浮気とか言ってるしもう付き合ってるのかな? 

 いやでも雪華のことだし戯言の可能性も……。

 

「燕ちゃん、もう付き合ってるの?」

 

 原作開始から一ヶ月程度しか経ってないけど。

 行為解禁は好感度30、交際は好感度60超えてからで雪華の初期好感度は30。

 そしてなにより、雪華はチュートリアルでの行為相手だ。

 だから行為自体はもう済ませてると思うけど……。

 ゲーム時代だと攻略対象を雪華1人に絞ってもこの時点で最短攻略してたら70、普通に攻略してたら45くらい。

 ここは現実とはいえ、僕が前世を思い出す前の話だし原作とはそう大きい変化はないだろうし……。

 流石に戯言か……? 

 

「もうって何? 私が雪華と付き合うことは君の中で確定事項なの……?」

「ふっ、ただのクズだと思っていたが……中々見る目があるじゃないか」

「別に付き合ってはないけどね?」

 

 やっぱり戯言か。

 雪華ってそういうとこあるよね。

 このでけぇポンコツ騎士が。

 僕が今からくっつかせてやる。

 っとその前に、やるべきことをやらないとね。

 

「すい──」

「ストーップ!」

 

 土下座しようとすると、燕ちゃんに腕を掴まれ止められてしまった。

 よく僕がやろうとしてること分かったね。

 

「ここで土下座したら目立っちゃうよ!」

「美少女が3人もいる時点で目立つことには変わりないから問題ないよ」

「大アリだよ!?」

「この男、しれっと自分を美少女に含めていないか? いや確かに中性的で美少女と見紛う程ではあるけどな?」

 

 そりゃあ男の娘だもん。

 この可愛さ、美少女と間違えるのも無理はない。

 

「それで、これは一体どういうことだ?」

「信じられないと思うけど、僕は心を入れ替えた。今まで迷惑をかけて本当にすまなかった、獅子王雪華」

「……?」

 

 雪華は疑うような眼で、こちらをじっと見つめる。

 じろじろと、頭のてっぺんから足のつま先まで観察するように。

 

「貴様は誰だ……?」

 

 本気で困惑している雪華。

 僕のあまりの別人具合に偽物だと決めつけているようだ。

 

「その、射音くんは本当に変わったんだ。だから雪華、一度だけチャンスをあげてくれないかな?」

「分かった。謝罪を受け入れよう」

 

 燕ちゃんがそう後押しすると、雪華は手のひら返しするように即答した。

 そして僕に手を差し出し、握手をする。

 彼女、燕ちゃんのことになると割と全肯定気味になるよね。

 だいぶ強火。

 

「よし。じゃあ一緒に買い物に着いてきてよ」

「何がよし、だ。何故私が……」

「……燕ちゃんの写真あげるから」

 

 彼女の耳元で囁いた。

 燕大好き全肯定女である彼女は、この悪魔の囁きには絶対に抗えない。

 

「し、仕方ないな。これはお前が燕に不埒なことをしないか監視の為だからな。いいな」

「はいはい」

「さっき謝った癖に私の扱い雑じゃないか!?」

「それじゃあまずは服からだね」

 

 そう言って僕は歩き出す。

 

「あっ、そっちは女物の服屋だよ」

「え? うん、そうだね。何も間違ってないよ」

「いやいやいやいや、お前は男だろう?」

「ああ、そういうことね。それなら気にしなくていいよ。僕、女装するから」

「「はっ?」」

 

 男の娘と言えば女装、女装と言えば男の娘よ。

 女装とは最も男らしい行為。

 完璧な女装を見せてあげる。

 

「くっ! あ……ありえん……!」

「嘘でしょ……私たちより可愛い……!」

 

 白いへそ出しタートルネック。

 緑色の薄手のパーカー。

 股下ギリギリで下着が見えそうな黒いマイクロミニスカート。

 そして赤いタイツ。

 僕はドヤ顔で純白の長髪をふわりと手で払う。

 

「ふっ」

「鼻で笑ったな!?」

 

 可愛さで男の娘であるこの僕に勝てる人間なんていないんだよ。

 男の娘とはあらゆる分野で頂点に立つ者。

 可愛さは美少女を上回り、かっこよさもイケメンを上回る。

 男の娘に敗北はあり得ないのだよ。

 あ、でも男の娘受けとかそっち方面での敗北は好きだよ。

 僕はどっちかと言うと攻めの方が好きだけどね。

 

「むむむ……ならこれとか着てみない?」

 

 燕ちゃんは近くから服を持ってきた。

 ギャルって感じの服装。

 

「私はこういうのもいいと思うのだが」

 

 そう言って雪華が持ってきたのは金の装飾が施された漆黒のドレス。

 こっちは悪役令嬢って感じだ。 

 やっぱり女装してる時の方が受けがいいね。

 心なしか雪華も距離が微妙に近い気がする。

 そうして燕ちゃんと雪華は色んな服を持ってきて、ファッションショーが始まった。

 

「さあ、次に行こう」

 

 選んだ服を着たまま、レジを通すことなく電子決済で購入する。

 ちなみにこの町、全店電子決済対応済みである。

 おばあちゃんが経営してる駄菓子屋レベルの店でさえ対応してる。

 

 腕輪型携帯万能演算機、通称リングギア。

 学園の全生徒に配られるリングだ。

 通話、電子マネー、身分証明などなど、様々な機能が搭載された最新型の腕輪なのだ。

 更に物質を情報化して格納する拡張領域(インベントリ)もある。

 個人情報の塊だし多機能だしでこれが無ければやっていけない。

 

 必需品なので学園の生徒以外も持ってる。

 お値段なんと1万円。

 おっ手軽ぅ! 

 

 それはそれとしてスマホも存在する。

 まあ大抵のことはリングギアで十分だからゲームとか読書とか映画鑑賞と言った娯楽にしか使われてないけど。

 なのでスマホは大体ゲーミングなのである。

 

「次は下着か?」

「さ、流石に下着は女物買わないよね……?」

「残念ながらね」

「残念なんだ……」

「女装なんだからそこまでやらないとダメに決まってるじゃん」

「男だから……その、ね? 分かるでしょ? はみ出るんだよ」

 

 特に僕のはデカいから、流石に隠すのに無理がある。

 なんなら普通のトランクスでもはみ出るからヤバいよホント。

 今穿いてるの星見家(うち)で雇ってる専属の職人が作った特注のパンツだから。

 ダンジョンを利用した最新技術の結晶、空間拡張によって収納してるんだ。

 そこらの一軒家より高いよ(ばかじゃないの)

 

「そ、そうか……」

 

 2人は顔を真っ赤に染めて気まずそうにする。

 初心だなぁ。

 というか雪葉が素直過ぎる。

 サイズが大きすぎてはみ出るとかこの世界の常識では絶対にありえないことなのになんにも疑問に思ってないでしょ。

 

「それじゃあ次は下着を買いに行こうか、と言いたいところなんだけど……」

「ど?」

「言った通りサイズが合わないから買えないかな。あ、一応高度な洗濯用術式も刻まれてるから穿きっぱなしでも汚くはないよ?」

 

 まあ気持ち的には穿き替えたいけどね。

 

「だから、ちょっと早いけど……そろそろ昼ご飯食べようか」

「む、なら私のオススメを紹介しよう」

 

 お、雪華のオススメか。

 ならあそこかな? 

 4回目のデートイベントで行くレストラン。

 確か名前は……。

 

「ここが私のオススメ、『ラウンド・オブ・ナイツ』だ」

 

 僕の予想は的中していた。

 ここは雪華が毎週通ってるレストラン。

 原作でも雪華ルートを進めると必ず訪れることになる。

 

 案内されたのは、店の一番奥にある個室だった。

 テーブルには一輪のエーデルワイスが飾られている。

 まさにデートスポット。

 僕は燕ちゃんの隣に座り、雪華が向かい側に座る。

 注文は既に済ませた。

 雪華が「いつもの」と言えば、すぐに料理がやって来た。

 

 運ばれてきたのは、熱々の鉄板に乗せられた分厚いステーキだった。

 ジュウジュウと音を立て、ガーリックと肉の焼ける香ばしい匂いが食欲を刺激する。

 ちなみに雪華のだけメガ盛りだ。

 常軌を逸した量が盛られている。

 

「うわっ、凄いね。流石雪華」

「食いしん坊さんだねぇ。かわいいねぇ」

「……あぁ」

 

 確か、自分の食事量にコンプレックスを抱いてるんだったっけな。

 だから頭のおかしな量を食べても否定しない、燕ちゃんのことが更に好きになるっていうイベントだったはず。

 好感度稼いでる燕ちゃんはともかく、僕を気にしてないのはなんでだろうか。

 原作では僕がこのことでバカにしてブチギレてたから、男だから何言われても気にしないとかそういう理由ではなさそうだけど。

 その後談笑しながらお昼ご飯を食べたが、結局理由は分からずじまいだった。

 

「それで? 貴様、何者だ……?」

 

 買い物も終わり、これで解散だという時、突然そう言われた。

 

「何者って、僕は星見射音だけど」

 

 何を言ってるんだ。

 僕が射音じゃなければなんなんだ。

 

「──そうか。白状するつもりはないのだな。すまない、燕。先程信じると言ったが、それは撤回させてもらう。流石に見過ごせん」

「白状ってなんの──」

 

 その瞬間、彼女の腰に鞘に収まった剣が実体化する。

 そして彼女はそれに手をかけた。

 

「剣気解放──」

 

 空気が震え、髪が逆立つ。

 

「ちょっ待って待って待って」

 

 そう言いながら彼女の魔力を散らす。

 魔力はあっという間に離散していった。

 

「なっ! 貴様!」

「ストップストーップ!」

 

 燕ちゃんが間に入り雪華を静止した。

 

「急にどうしちゃったのさ!」

「ホントにね。雪華のことだからちゃんとした理由はあるんだろうけど……説明してくれる?」

「白々しい。貴様が射音でないことは明らかだ」

 

 ふむ……。

 

「その心は?」

「呼吸、歩き方、重心。どれをとってもこれまでとは別物だ」

 

 あぁ、そこまで見抜けるんだ? 

 流石だね。

 確かに、男の娘としての魅力を引き出せる様に変えてるからね。

 それなら間違えるのも無理はない。

 

「僕はね、天才なんだ。その程度、どうにでもなる」

 

 細かい癖までコロコロとパターンを変え、彼女の前で披露してみた。

 まあ、これに関しては射音としての才能関係なく前世から出来た技能だけどね。

 

「……どうやらそのようだな。今までのお前は演技だったのか? だが、分かっているのか? そんなことが可能だと分かれば、より怪しまれるだけだと」

「ふっ……」

 

 肩をすくめる。

 口角を上げ、ニヤリとニヒルな笑みを浮かべた。

 

 そんなこと考えてるわけないでしょ。

 僕は後先考えないタイプなんだ。

 じゃなきゃワンナイトなんてするはずないだろ。

 

「雪華、落ち着いて」

「だが燕」

「私もちゃんと気づいてたから」

「なにっ!?」

 

 そうだったんだ? 

 みんな意外と見てるものなんだね。

 

「気づいた上で、射音くんはいい子だって信じてる。だから、雪華も私を信じて欲しい」

「………………分かった。燕がそこまで言うのであれば」

「ありがとう、雪華。それと、燕ちゃんも本当にありがとう」

 

 客観的に見てだいぶ怪しい僕を信じてくれて。

 そして、庇ってくれて。

 この恩は絶対に返すよ。

 

 ──例え、この命に代えてでも。

 

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