ヤニカスがVRMMOにログインしました(旧題:ニコチン・オンライン)   作:ジュネープ

16 / 40
出したキャラがやっと合流できた。次は間話出して一区切りと行きたい所


新居パーティ

 

「ヤニーはん、どこ行ってたんや?もう会は始まっとるで!!」

 

「本当ですよ。もう来ないかと思いました」

 

開始時刻から十分遅れて戻ってきた俺は、正門前で待っていた二人に小言を食らった。

 

「すまん。少し野暮用でな」

 

「もう、ゲストの人たちは揃ってます。早く行きましょう!」

 

「わかったわかった」

 

正面玄関へと続く扉を開くと、そこには見覚えのある顔ぶれが揃っていた。

 

「ヤニーさん、おかえりなさい!」

 

ディアベルを筆頭に、アインクラッド解放隊。

聖竜連合、風林火山。

最近迷宮攻略に参加し始めた月夜の黒猫団のメンバーまで顔を揃えている。

 

「ほな、主役が来たところでグラスを持とうか!」

 

ボウの一声で、集まった面々が一斉にグラスを手に取った。

 

 

視線が自然と俺に集まる。

 

「・・・・・こういうのは、正直苦手なんだがな。今回は特別だ。」

 

咳払いを一つして、俺はぽつりぽつりと語り始めた。

 

「本来なら、俺は自分で楽しむためにタバコを作ってただけだ。

それがいつの間にか、攻略組に売るようになり・・・・気づけば仲間が増えて、YSMを立ち上げることになった」

 

一度、言葉を切る。

 

「お前たちが買ってくれたタバコのおかげで、俺たちは拠点を持てた。ここに集まってくれた全員に、感謝してる」

 

少しだけ間を置いて、続ける。

 

「長話は好きじゃない・・・・・乾杯だ」

 

「「「乾杯!!」」」

 

一斉に声が上がり、グラスが打ち鳴らされる。

その後は各ギルドのリーダーが挨拶に回ってきて、俺はそれに応じる係になった。

 

リリィは、普段から接点のあるプレイヤーが多いせいか、いつもより饒舌に話している。

ボウはというと、本場関西人のキバオウと漫談のようなやり取りを始め、それを肴に周囲がゲラゲラと笑っていた。

 

(・・・・・いい光景だな)

 

そんな事をしみじみと感じてる中

 

「よう、ヤニー」

 

声をかけてきたのは、数時間前にも顔を合わせたばかりのキリトだった。

 

「さっきぶりだな」

 

「あの時はありがとな。その・・・・お前に紹介したい人がいるんだ」

 

「紹介?俺に興味を持つような物好きがいるとはな」

 

軽く返すと、キリトは背後に視線を向けた。

 

「ヨゥ。アンタがヤニーかい?オイラはアルゴ。情報屋をやってる」

 

現れたのは、小柄で頬に猫のひげみたいなマークをつけた女性プレイヤーだった。

 

「情報屋だと?・・・俺に何の用だ?」

 

「おれっちが出してる新聞、知ってるカ?

ウィークリーアルゴってやつ」

 

「ああ。SAOの情報を分かりやすくまとめてるって評判だ。ウチでも購読してる」

 

「そっか。なら話は早いナ。取材させてくれないカ?」

 

「構わんが、ちゃんと代金はもらうぞ?」

 

「ニャハハ。しっかりしてるんだナ」

 

そういうわけで、俺はアルゴを執務室へと案内した。

 

「で、何を聞きたい?」

 

「ズバリ、アンタらYSMとタバコについてダ」

 

「たしか半年前か、未成年の喫煙問題を記事にしてたな。それ関連か?」

 

少し警戒して視線を向けると、アルゴは肩をすくめた。

 

「んや。あの記事は問題提起ダ。現実世界でも同じことは起きてるし、システムに従って商売してるアンタらに非はない」

 

それを聞いて、俺は内心ほっとする。

タバコに火をつけ、一服した。

 

「じゃあ、何が聞きたい?」

 

「YSMについて特集させてほしいンダ」

 

「・・・・・それだけか?」

 

「それだけダ」

 

特に何かが起きたわけでもないので、その後の細かいやり取りは割愛する。

 

 

 

 

 

パーティーも終盤に差し掛かり、各々が小さな輪を作って話し込むようになった。

俺はそれを見計らって声を張り上げた。

 

「みんな、聞いてくれ!」

 

ざわついていた空気が、一斉にこちらへ集まる。

 

「本来なら、ここで締めの挨拶の予定だった。

だがその前に、一つ重要な発表がある」

 

事前に話していたリリィとボウへ、目線で合図を送る。

 

「拠点を持ったことで、YSMは大量生産の設備を導入できるようになった。今までは生産数の都合で、攻略組にしか販売できなかったが・・・・」

 

一度、深呼吸。

 

「YSMは店舗販売を開始する」

 

一瞬の静寂。

次の瞬間、ざわめきが走る。

 

「攻略に参加していないプレイヤーも、気軽にタバコを手に取れるようにする。このフロアは、店舗フロアとして一般開放だ」

 

その言葉を合図に、攻略組以外のプレイヤーたちから、地を割るような歓声が上がった。

 

 

リリィ達は嬉しそうな顔でプレイヤー達を眺めていたのが印象的だった。

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、楽しかったなぁ!!」

 

「ほんとですね、ボウさん」

 

「お前ら、喋ってないで会場の片付けがまだ残ってるぞ」

 

パーティー終了後。

飾り付けられていた装飾を外し、テーブルを拭き、元の状態に戻す作業をしていた俺たちは、つい雑談に花を咲かせている2人にに見かねて声を掛ける。

 

「そんな堅いこと言わんでええやん。ここはもうちょい気楽にやろうや」

 

「そうですよ。どうせシステム操作で全部撤去もできますし」

 

 

その時だった。

 

 

「お主らは分かっておらぬな」

 

低く落ち着いた声。

俺と同じく、黙々とテーブルを拭いていたオッタルが顔を上げた。

 

「システムに頼らず、己の手で片付けを行うことで、道具に感謝の念が宿る。吾輩はそう思っておる」

 

(・・・・良いこと言うじゃねぇか)

 

 

オッタルの言葉に、俺は小さく頷く。

 

「オッタルの言う通りだ。分かったらお前らも手を動かせ」

 

「ホンマに真面目やなぁ・・・・ところでヤニーはん」

 

「なんだ」

 

「・・・・こいつは誰なんや?」

 

「誰って・・・・オッタルだが」

 

「いや、だから誰やねん!!」

 

ボケとツッコミが完全に逆転している状況に、内心少しだけ驚きつつ、俺は一度手を止めた。

 

「そういえば、ちゃんと紹介してなかったな。

こいつはオッタル。新しいギルドメンバーだ」

 

「はぁぁぁ?!」

 

「・・・・・」

 

ボウは目を見開き、リリィは言葉を失ったまま固まる。

その反応を意に介さず、オッタルが一歩前に出た。

 

「吾輩はオッタル。海の覇者ラグナルの息子だ」

 

「あ、どーも。ワイはボウって言います。よろしゅう」

 

「わ、わたしはリリィです」

 

二人は一応、礼儀正しく挨拶を返す。

しかし次の瞬間、視線が俺に集中した。

 

「なぁヤニーはん。オッタルって・・・・もしかして、そーゆープレイが好きな人なんか?」

 

「いや。あいつはこれがデフォだ」

 

「・・・・中々の変わり者やな。リリィはんはどう思う?」

 

「えっと・・・悪い人では、無さそうです」

 

十分だろ、と言わんばかりに、俺は二人から少し離れ、オッタルの隣に立った。

 

「こいつはタバコを作れる希少な存在だ。今後は店舗販売と、タバコ製作の補助を任せるつもりでいる」

 

「吾輩は右も左も分からぬ身。各々方、どうかよろしく頼む」

 

深々と頭を下げるオッタル。

ボウとリリィは引きつった笑みを浮かべつつも、その場で頷いた。

 

 

そうして、この場は一応の収まりを見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

灯りのついた執務室。

 

俺とオッタルは並んで座り、タバコを燻らせながら夜空を眺めていた。

 

「ヤニー殿、これで良かったのか?」

 

「あぁ。お前がAIだってことは、今出すと余計な混乱を生む。だからしばらくは黙っておく」

 

「ヤニー殿がそう言うのであれば、それに従おう。今後とも、よろしく頼む」

 

そう言って、オッタルは再び頭を下げた。

 

俺は何も言わず、ただ煙を吐き出しながら、静かな夜空を見上げていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。