ヤニカスがVRMMOにログインしました(旧題:ニコチン・オンライン) 作:ジュネープ
次回からSAO終盤に差し掛かる想定です
それと多機能フォーム慣れなくてめっちゃ苦戦しました・・・・
知る人ぞ知る“煙”の王者
タバコ生産ギルド《Yanny’s Smoking Maker》とは何者か
攻略組の間で知らぬ者はいないタバコ生産ギルド
《Yanny’s Smoking Maker》(以下:YSM)。
攻略活動初期から現在に至るまで、
VRMMO内では極めてニッチな分野である
「タバコ生産」を専門に続けてきた異色のギルドだ。
中でも、YSMが製造するギルドオリジナルタバコは、
強力なステータスバフを付与することで知られており、
最前線で戦う攻略組から絶大な支持を集めている。
強敵との戦闘前に一服。
迷宮へ潜る前に一服。
ボス戦直前に一服。
帰還路で仲間と談笑しながら一服。
こうした様々な場面で使用されてきた結果、
現在、攻略組の実に94%がYSM製タバコを愛用している
というデータも存在する。
新拠点購入、そして豪華な顔ぶれの祝宴
そんな“タバコ市場の王者”とも言えるYSMが、
一昨日、第57層にギルドホームを購入。
新築記念パーティーを開催した。
会場には、
老舗攻略ギルド《アインクラッド解放隊》
近年急成長を遂げている《血盟騎士団》
新進気鋭の《月夜の黒猫団》
など、
誰もが一度は名を聞いたことのあるギルドが顔を揃え、
その注目度の高さを改めて印象付けた。
ギルドマスター独占インタビュー
本紙はこの機会に、
YSMギルドマスター・ヤニー氏への独占インタビューを実施。
改めてギルドの活動内容について話を聞くことができた。
現在のYSMは、
タバコ栽培担当:L氏
行商・特殊素材採取担当:B氏
メイン製造:ヤニー氏本人
という分業体制で運営されているとのこと。
さらに、
近々新たなメンバーを迎え入れ、製造本数を増やす計画
があることも明かされた。
一般向け店舗販売へ
また、新居パーティーの場で
一般プレイヤー向け店舗販売の開始
が正式に発表され、会場は大きな盛り上がりを見せた。
攻略組以外のプレイヤーにも
YSM製タバコを知る機会は近いだろう
『YSMギルドホームの場所が手書きで記載されている』
「ふーん。こんな一面で書いてもろて、正直ホンマに嬉しいわ」
YSM行商兼採取担当のボウや。
あの新築パーティーから三日後、ワイらはいつも通りの活動に精を出していた。
昨日あたりから一般プレイヤーがちょくちょく店を訪れるようになり、今日は口コミが広まったのか、さらに多くの客が顔を出している。
タバコの購入エリアでは、新メンバーのオッタルとリリィが時間交代で販売を担当している。
その様子を、ワイは部外者立ち入り禁止の二階廊下から見下ろしつつ、新聞片手にコーヒーをしばいていた。
ワイは何してるんかって?
今は予備戦力的なもんやな。
「・・・・・おっと」
ふと視線をやると、ギルドホームに備え付けられた時計が十六時を指していた。
「そろそろ最前線に行かんとアカンな」
そう呟いて、備品管理用の箱から商売道具をストレージへ移していく。
「えーっと・・・
ケンタ40箱
七星30箱
ストライク50箱
ボーロ40箱
ネイティブ30箱・・・・それとクソ高い奴を数十程度」
必要な分だけをアイテムストレージに放り込み、そのまま一階へ降りる。
テーブルでタバコを吸いながら談笑している連中を避け、ワイはそのまま最前線へ向かった。
迷宮入口近く。
簡易テーブルと簡易椅子を設置し、いつも通りタバコの販売を開始する。
販売自体は問題なく進んでいた・・・・が。
終盤に差し掛かった頃、見慣れた顔が近づいてくる。
「そういや、オタクのギルド騙ってタバコ売っとる連中がおるん、知っとるか?」
キバオウや。
「は?何の話や、キバオウはん」
「その反応見るに、知らんっちゅう顔やな。最近な、街でYSM製や言うてタバコ売りつけとる奴らがおるんや。しかも味が最悪や。ワイらも確認したが、とても吸えるもんやない」
その瞬間、ワイの目は自然と細くなっていた。
「それは・・・詳しく聞かせてもらわんとなぁ」
キバオウの話によれば、ワイが撤収した一時間後あたり、街中でその活動が確認できるらしい。
場所は決まって最前線近くの街。
話を聞いたワイは、一旦この場を引き上げることにした。
「そろそろやな」
それから約一時間後。
ワイは最前線の酒場を出て、街中へと歩き出した。
適当な裏路地へ入り、軽く跳躍して屋根の上へ。
某暗殺者みたいな軽い身のこなしで、上から街を見下ろしつつ移動する。
「上から探せば、ワイらのギルド騙っとる連中なんて、すぐ見つかるはずや」
その思惑は当たった。
目の前で、タバコらしきものを売っているフードを被った数人組。
ワイは誰にも気づかれんよう屋根から降り、人混みに紛れ、フードを装備して顔を隠したまま近づく。
「一本くれ」
購入したバラ売りのタバコを受け取り、その場を離れて裏路地へ。
早速吸ってみる。
「・・・・マッッッズ?!」
思わず顔をしかめる。
信じられんほど不味い。
雑味、刺激、喉に引っかかる感覚だけならまだしも、吸った後の余韻が最悪や。
「これは完全に黒やな」
一拍置いて、低く呟く。
「これはしばくか」
そう言って、ワイはフードの連中がいた場所へ再び足を向けた。
「おいアンタら。人の看板を勝手に掲げて、何しとるんじゃ?」
突然の声に、フードを被った男たちが一斉に振り向いた。
「誰だこのおっさん。商売の邪魔すんな」
「お前ら、ワイらYSMの商品を騙った偽物やんな?」
その一言で、フードの男たちがざわつく。
ワイはため息をつき、肩をすくめた。
「ワイは優しい方や。今ここで謝罪するなら、半殺しで勘弁したる」
一歩、前に出る。
「・・・・もし謝罪せぇへんなら、や」
その瞬間、ワイはフードを脱ぎ捨て、店主たちの目の前に詰め寄った。
「全殺しするぞ、このクソガキどもが」
「ヒ、ヒィぃぃ!!」
男たちは悲鳴を上げ、脱兎の如くその場から逃げ去っていった。
完全に姿が見えなくなったのを確認し、ワイは大きく息を吐く。
そして、遠巻きに様子を見ていた通行人たちへ向けて、腹の底から声を張り上げた。
「ワイはYSMのボウっちゅうもんや!!今のクソ不味いタバコ売っとった連中は、ワイらとは一切関係あらへん!!」
ざわ、と周囲がどよめく。
ワイはその場に簡易テーブルと椅子を設置し、どっしりと腰を下ろした。
「行商の帰り道やから数は多ない。せやけど今回は特別や。ここで販売したる!!さぁ買った買った!!」
その威勢に惹かれたのか、一人のプレイヤーが恐る恐る前に出てきた。
「あの・・・・それじゃあ、何かオススメありますか?」
「それなら・・・・ボーロとかどうや?」
ワイはニヤリと笑う。
「なんか冒険したくなる名前やろ?兄ちゃんみたいな人にはピッタリや」
嘘である。
単純に在庫が一番余っていたからテキトーなこと言って押し付けてるだけである。
「そうですか・・・じゃあ、それを一箱ください」
「はいよ。300コルな」
男はタバコを受け取り、路地裏へ向かう。
・・・・数十秒後。
「めっちゃ美味いです!!すみません、あと2箱ください!!」
「はい600コルね」
そのやり取りを皮切りに、
「あ、僕も買っていいですか?」
「私も!」
「俺も!!」
次々と人が集まり始めた。
その日は、予想以上の大盛況。
そして翌日から、さらに多くのプレイヤーが
YSMの店舗へ足を運ぶようになるのだった。
いつかタバコの種類とか登場人物についてまとめようかな