ヤニカスがVRMMOにログインしました(旧題:ニコチン・オンライン) 作:ジュネープ
にしても本当に疲れた!!特に情景説明が!!
1週間以上かかったわ!!
side リリィ
聖竜連合に経済制裁が課されて、間もない頃。
「売り上げ落ちたな。なら迷宮潜ってコル稼ぐぞ」
ヤニーさんの一言で、私たちは二人一組で迷宮攻略をすることになりました。
正直、戦闘は怖いです。
でも――
「リリィちゃん、そこ段差やで。気ぃつけや」
「あ、ありがとうございます!」
「その先トラップあるで、右寄って」
「わっ……!助かりました」
「怪我ないか!?ポーション使うで!」
……いわゆる、姫プレイです。
少しのダメージでもすぐフォローしてくれるのはありがたいのですが、このままだと自分の実力が付かない気もします。
でも、ボウさん自身は楽しそうですし……正直、悪い気はしません。
「そういやリリィちゃん、リアルで彼氏とかおったん?」
「いましたよ。数ヶ月だけですけど」
「……っち」
それ以降、露骨にチヤホヤが減りました。
理不尽です。
それはさておき。
今私たちが潜っている迷宮は、植物系モンスターが多い場所です。経験値は美味しいのですが、基本的に待ち伏せ型。
通路にはツタの罠が張り巡らされていて、進むだけでも神経を使います。
そのせいか、他のプレイヤーはあまり寄り付きません。
「……あ、ボウさん」
「ん?」
「マップにない通路、見つけました」
「マジやん。よし、行こか」
そうなるとマップに載ってないエリア……いわゆる【未踏破エリア】を結構見つけるんです。
今回の通路は、奥で開けた空間に繋がっていました。
中規模の広間に一面に咲く彼岸花。
その中心に1人の女性がいました。
花に水を与えている、白いドレスの女性。
「あれ……モンスター、でしょうか?」
「せやろな。気ぃつけや」
ボウさんの声が低くなる。
「植物だらけの迷宮に人型が一体だけ……いかにもって感じやろ。隠しボスとかや」
純白の身軽なドレスに身を包み、オーガンジー帽子で隠れた目元から垣間見える口は上品さを思わせる笑みを浮かべてる様に見えました。
「リリィはん。ポーション、大丈夫か?」
「……はい。大丈夫です」
初めて見るボスに若干の恐怖はあります。けれど
「やりましょう」
私たちは頷き合い、ゆっくりと広間へ足を踏み入れました。
近づけば近づくほど、その姿ははっきり見えます。健康的で、艶かしい四肢とは裏腹に病的なまでに白く、生気を感じさせない見た目でした。
「……モンスターテイム出来たら良かったんやが」
「黙ってください」
緊張している私をよそに、ボウさんは呑気なことを言っています。その目は明らかに下世話な輝きに満ちていました。
距離が10メートルを切る。
その瞬間
彼女――ボスモンスターは、水やりの手を止め、ゆっくりとこちらを向き、空いている手に白銀の槍が出現しました。
石突を、静かに地面へと打ち込むその所作は明確な戦闘開始の合図である事が理解できます。
私は槍を構え、ボウさんはトンファーを握りしめます。
「リリィちゃん。こいつは強いでッ!!気張って行こうや!」
「……はい!」
次の瞬間。モンスターの口元が不気味な笑みを浮かべました。
そのまま軽やかなステップで距離を詰め、槍を構えています。
「受けます!!」
ガキィンッ!!
横薙ぎの一撃を、正面から受け止めました。しかし、あまりの強さに腕が軋み、火花が散ります。
押し負ける――そう思った瞬間。
「その隙、見逃すわけないやろ!!」
ドン!ドン!ドン!……ドンッ!!
ボウさんの四連撃。
最後の一撃が叩き込まれ、モンスターが吹き飛ばされます。
モンスターが体制を整えると同時に、頭上に幾重にも重なるHPバーと名前が浮かび上がりました。
《無垢の花嫁》
「はは……こりゃ迷宮ボスクラスや。逃げるで!!」
ボウさんが振り返るが、その顔が、凍りつきました。
私も振り向くとそこには
「……うそ」
太い幹と彼岸花が絡み合い、出口が完全に塞がれていたのです。
「……生きるか死ぬかだ。覚悟決めるぞ、リリィちゃん」
ボウさんのいつものエセ関西弁は鳴りを潜め、標準語になっていた。
「……はい」
私たちは同時に踏み込んだ。
「喰らえ!!クロス・バレット!!」
「スイッチ!!」
硬直したボウさんの前に出て《モノポール》を叩き込む。
《無垢の花嫁》はスタンに弱い。
数巡の攻防で掴んだ性質を突いた戦法です。攻撃を受けると、わずかに動きが止まるので、その隙にボウさんが連撃を叩き込みます。
HPバーは5本ありますが、そのうち2本を削り切りました。
「……いける」
そう思った、その時。
『ふふふふ……』
笑みを浮かべていただけの《無垢の花嫁》から笑い声を上げました。
「――来るぞ!!」
ボウさんの叫びと同時に距離を取ります。
《無垢の花嫁》は私達を意に返す事なく、ジョウロの水を地面に撒ききり、静かにそれを置きました。
次の瞬間。
地面が、震えた。
ドドドドドドド!!!
「ボウさん!!あれ――!!」
「……嘘やろ」
彼女が最初にいた地点から巨大な樹が、突き上がるように生え、一瞬で枝葉を広げ空間を覆います。それだけではなく、周囲の彼岸花が膨れ上がり、人型の槍を持つ騎士の姿へ変わりました。その頭上には《冥府の花騎士》と表示されています。
さらに《無垢の花嫁》の帽子が落ちた事で顔が露わになりました。
息を呑むほどの美貌を打ち消すほど醜悪な口元から牙を剥き出しにして、槍を両手で構えます。
「……最終形態か、雑魚はざっと40体……」
「……無理です」
その言葉に答えは返って来ませんでした。なぜなら次の瞬間、全てが襲いかかってきたからです。
防ぎ、捌き、斬る。
迷宮探索で鍛えたテクニックを駆使して戦いましたが数が多すぎて捌き切る事はできず、HPが削られていきます。
「リリィ!!範囲攻撃だ!!」
「はい!!――ペドラブル・マインド!!」
横薙ぎの連撃により4体をまとめて倒しましたが、焼け石に水です。
「クソが……!」
ボウさんの顔が歪む。
「出し惜しみしてる場合やない!!伏せとけ!!……デス・スパロー!!」
トンファーが閃き、無数の薙ぎ払いにより斬撃が飛び、モンスターの群れが、薙ぎ払われる。
開いた視界に入る《無垢の花嫁》に向けて無数の突きを繰り出し、一直線の光が、《無垢の花嫁》を貫きました。HPは残り二割です。
「これなら……いける!」
「畳み掛けるで!!」
希望の光が差し込んだその時、中央の大樹が、発光して、光が《無垢の花嫁》へ流れ込みます。
HPバーが――半分まで回復しました
「……そんな」
「……終わりか」
さらに。悪いことは起き、地面から新たに10体の《冥府の花騎士》が出現し、周囲を囲まれました。
私達に逃げ場はない。
「いや……死にたくない」
視界が滲み、声が震える。
「助けて……お父さん、お母さんッ!!」
初めてヤニーさんに会った時のことを思い出します。レベル不相応の森に踏み込んで、私はモンスターに殺される――そう思いました。
でも、そうはなりませんでした。
ヤニーさんが颯爽と現れて、私を助けてくれたからです。
PKプレイヤーに襲われた時のことも思い出します。あの時も、彼が来てくれなければ、私は死んでいました。
いつも窮地に陥った時、助けてくれたのはヤニーさんでした。
そして――
私を受け入れてくれたYSMでの時間。
楽しくて、温かくて。
このままずっと続けばいいと、そう思っていました。
今までの記憶が、走馬灯のように流れていきます。
(あぁ――私、ここで死ぬんだ)
そう思い、全てを手放そうとしたその瞬間。
視界の端に、ポップアップが表示されました。
【ユニークスキル《戦乙女》をアンロックしました】
「……なに、これ?」
ユニークスキル。
全プレイヤー中、ただ一人しか習得できない特別なスキル。
それが――私に?
震える指でスキル情報を開く。
「……これなら……いける!」
「リリィ、どうした?」
「ボウさん!ユニークスキルを獲得しました!被弾を気にせず攻撃してください!」
その言葉を聞いた瞬間、ボウさんが踏み込む。
さっきまでとは動きが違う。明らかに押し負けていません。
「何だこれ!?どうなってるんだリリィ!!」
「《守護リンク》です!私の近くにいるほど被ダメージが減ります!」
「マジかよ……土壇場で逆転できるぞこれは!」
ボウさんは一気に《冥府の花騎士》を殲滅し、そのまま《無垢の花嫁》へ突撃しました。
「バフかけます!――《戦乙女の選定》!」
ボウさんの動きがさらに加速します。
削るのに苦労していたHPが、目に見えて減っていき、三本目のHPバーを削り切った瞬間。
《無垢の花嫁》に異変が起きました。
頭部が、みかんの皮のように裂ける。
その内側から、白百合の花と無数の触手が噴き出しました。
次の瞬間。
触手が横薙ぎに振るわれ、ボウさんに直撃。
そのまま私の近くまで吹き飛ばされます。
彼のHPは残り一割。
「クソ!猛毒とスタン状態だ?!」
《戦乙女の選定》の自動回復が追いつかず、ボウさんのHPが、一気に削られていきます。
「っ!それなら……回復します!《ワルキューレ・リカバリー》!」
光が包み、状態異常が消えると同時にHPが一気に回復しました。
「ここからは私が攻撃します!ボウさんは立て直してください!」
「お、おい待て!?」
「――《アークエンジェル召喚》!!」
槍の石突を地面に打ち込む。
その瞬間、虚空が裂け、白い天使が出現した。
手にしたランスを構え、一直線に《無垢の花嫁》へ突撃する。
激しい連撃により生まれた隙を見逃さず、槍をランスの様に構え、静かに息を整えた。
「……これで、終わりです《ヴァルキリー・チャージ》!!」
白い閃光が迸る。
一瞬で間合いを詰めた刺突は、迷いなく胴体を貫いた。
《無垢の花嫁》の動きが止まった瞬間、全身が粒子となって崩れ、消滅した。
静寂の中、息の飲む音が聞こえました。そしてーー
アイテムリザルト画面が、表示された。
「まさか、あの状況から逆転できるなんて……ホンマついてるで!」
「そうですね……本当に疲れました」
「まぁ、リリィちゃんがここまで戦えるようになったのは素直に嬉しいわ。これで安心して背中預けられるしな。……それはともかく!!」
「……ん?」
「ドロップ何や?!はよ見せてくれや!」
若干引きつつも、私はアイテムボックスに視線を移しました。
「えっと……《リリィランス》っていう槍と、《女白騎士の装備》みたいです。どれも性能は良さそうなので……全部装備してみますね」
そう言って装備を切り替える。
一瞬で衣装が変わり、ボウさんの方を向くと
彼が、鼻の下を伸ばしたまま固まっていました。
「……?」
不思議に思い、自分の姿を確認する。
「な、なんですかこれ……!?は、恥ずかしい……!」
女白騎士の装備は、胸部と四肢は白い装甲で覆われているものの、脇や腹部は大胆に露出している。胸部装甲も、妙に強調された造りで、視線を集めるデザインだった。
さらに下半身はミニスカート。ニーハイとの間に、はっきりとした【絶対領域】ができている。
「ええやんええやん!!これ高性能なんやろ?ユニークスキルと合わせたら士気爆上がりやで!!」
「そ、そういう問題じゃ……!」
最初は抵抗があったものの、戦闘での性能は確かでした。そして何より――
「……動きやすい、ですね」
気がつけば、その装備に慣れている自分がいました。
とりあえず書きましたが。リリィを影の薄いキャラだけにするのは勿体無いのでチームの回復、援護役としての立ち位置に就かせてみました。
ついでにイメージ画像をAIに読み込ませて出して見ました興味のある人だけ見ていただければ。
リリィ-最終装備
【挿絵表示】
無垢の花嫁
【挿絵表示】
無垢の花嫁-最終形態
【挿絵表示】
リリィのユニークスキルについてですが、以下の様になってます。
《守護リンク》(パッシブスキル)
・一定距離内の味方の被ダメージを軽減(小)
・自身との距離が近いほど効果上昇
⸻
《戦乙女の選定》
・指定した味方1人の攻撃力を一時的に上昇(中)
⸻
《ヴァルキリー・チャージ》
・突進攻撃
・命中時、低確率でスタン付与
⸻
※以下スキルはSAO時点では未解放(または制限状態)
《ワルキューレ・リカバリー》
《アークエンジェル召集》
⸻
《リリィランス》
純白の誓いを宿した戦乙女の槍。
守ると決めた瞬間、その穂先は決して揺らがない。
白百合の意思に応じて真価を発揮する。
⸻
基本性能
・武器種:両手槍
・レア度:ユニーク
・攻撃力:中〜高
・補正:STR+中 / AGI+小
・特性:装備者が《女白騎士の装備》未着用時、性能低下
⸻
固有効果
《守護共鳴》
・一定範囲内の味方の被ダメージ軽減(小〜中)
・距離が近いほど効果上昇
⸻
《戦乙女の意志》
・味方HPが50%以下の時、自身のSTR微増
・ひるみ耐性上昇(小)
⸻
《白槍の刻印》
・攻撃命中時、低確率で対象の被ダメージ微増
・効果時間は短い
⸻
※以下効果は未解放
《守護者覚醒》
⸻
《女白騎士の装備》
白百合の誓いをその身に纏う戦乙女の装束。
守るために戦う者のみが、その真価を引き出す。
⸻
基本性能
・装備種:軽装鎧(上下一体型)
・レア度:ユニーク
・防御力:中
・補正:AGI+小 / STR+小
・特性:HPが高いほど被ダメージ軽減(小)
⸻
固有効果
《白騎士の加護》
・HP80%以上の時、被ダメージ軽減(小)
⸻
《誓いの踏破》
・ノックバック耐性(小)
・回避成功時、短時間AGI微増
⸻
《純白の意志》
・味方を狙う敵に対し、与ダメージ微増