機動戦士ガンダムSEED FREEDOM 〜Crimson Temptation〜 作:ズレス
「なあ、あのお嬢ちゃんのことだが……やはり、いくらなんでも妙じゃないか?」
艦外の青空が透き通るガラスに背を預けながら、ムウは停泊中のアークエンジェルのブリッジでそう切り出した。
今ここにはマリューやノイマン等のクルーに加え、シンやルナマリア、アグネスといった昨日ファウンデーションの王城に招かれた面々も呼ばれている。
その話題はーーやはりと言うべきか、生存が確認されたフレイについてのことだった。
「そうね……。いくら四年の訓練を積んだとしても、ただの一般人だったフレイさんがあんな風にモビルスーツで戦えるようになるだなんて……」
顎に手をやりながら、マリューは訝しげに言う。フレイの戦いは、アークエンジェルにも中継されていた。
その圧倒的な戦いぶりは、マリューをして驚嘆せしめるものだった。それをやったのが、かつて碌な戦闘能力も持たぬフレイだったのだから、尚更のことだ。
そんなマリューの内心を察しつつも、ムウは首を横に振る。
「それもあるが、昨日のあのサーベル捌きのほうが問題だ。機体の操縦の方は……ひょっとしたら、あのお嬢ちゃんが天才だったら説明がつくかもしれん。しかし仮にあのお嬢ちゃんがモビルスーツの天才だったとしても、体を動かすことは普通の人間と同じだろ。体を使う技は天才といえども訓練をしなくてはだ」
「確かに……15歳までろくな訓練も受けてなかった人間、それも箱入りのお嬢様が、たった4年……いえ1年は治療中だったから、3年ですか? それだけの訓練であそこまで動けるようになるだなんてちょっとありえないですよね。特にあのシュラって相手の人はとんでもなかった。あんな人と互角に打ち合えるなんて、ザフトにも居るかどうか」
ムウの疑問へと、ルナマリアが頷きながら自分の考察を述べた。
マリュー達から詳しく話を聞くに及び、彼女もまた、フレイの力が何処か異常に思えていたのだ。同じく女性だからこそ、その体捌きは凄まじかった。かつてのアスランか、それに次ぐほどのキレがフレイにはあったのだ。
「そうだ。つまり、あのお嬢ちゃんは
そこまで言って、ムウは背中をガラスから離す。
「そしてナチュラルをそこまで強くするってことだけなら、前例がある」
ムウは、その視線をシンへと向けた。それの意図を瞬時に汲んで、シンは思わず叫ぶように言っていた。
「……まさか……ステラと同じって言いたいんですか?!!」
ステラ・ルーシェ。
エクステンデッドとして戦いを強要された、悲劇の少女。シンが救えなかった相手。キラが撃破を余儀なくされ、そして事実上ムウが死へと追いやったも同然の、皆が共有する古傷。そんな彼女の名前に、何処か痛ましい表情を浮かべるムウ。
「その可能性が高い。そしてそうだとすれば、坊主と総帥が危険かもしれん」
「危険って……?」
ぽつりとアグネスが疑問をこぼす。察していない彼女へと、ムウは鋭い目線を向けた。
「もしあの嬢ちゃんがエクステンデッドだとしたら、坊主の昔なじみをそんなもんに仕立て上げた理由は何だ? そしてなぜ坊主にああも露骨にアプローチをしている? 何処かそう
露骨なアプローチ。
仕向ける。
マリューが追いかけるのを止めるーーキラを、一人にさせる。
それらの言葉に、これまで口をつぐんできたノイマンが事態を察した。
「まさか……
「ファウンデーション王国は、味方ではないと? 孤立した総帥を狙うつもりだって、そういうことなの!? ミケールのこともまさか、そのための罠!?」
マリューの声は悲鳴じみていた。当然だろう。これではもはや、自分たちは怪物の胃袋の中にいるのと同じなのだ。
「最悪の可能性がそれだ。今すぐ坊主と総帥をこっちに戻すべきだ!!」
ムウがそう叫ぶ。それと同時、シンは既に出入り口のドアへと駆け寄っていた。
「俺、行ってきます!! ーーうわっ!?」
そんなシンが、唐突に驚きの声を上げる。
彼は、出入り口のすぐ先で、人とぶつかったのだ。
その人影はーー。
「サーペンタイン長官!?」
驚愕するマリュー。そこには、シュラが立っていたのだ。しかも後方には、何人もの兵士の姿がある。
それだけではない。兵士たちはこちらを厳しい目で見つめている。その手に持つのは、安全装置が外されている状態のアサルトライフル。
完全武装状態のファウンデーションの兵士たちが、アークエンジェルのブリッジへと詰めかけていたのだ。
「長官、これはーー」
狼狽するマリュー。そんな彼女を見下すように、シュラはブリッジ内に響くように宣言した。
「コンパスの隊員が、国内で爆弾を使い、自爆テロを起こした容疑がある」
ーー爆弾。
それはテロに使われた凶器そのものではなく、今まさに起きているこの状況を示す言葉でもあっただろう。
「……糞、遅かったか……!!」
その言葉に、ムウは思わず呻いた。同時、シンはシュラへと噛み付いた。
「コンパスの隊員がテロだって!? 何いってんだあんた!!」
「ザフトから出向している隊員によるものだ。現場には遺留品と思しき隊員証もあった」
言って、シュラはビニール袋に包まれたプラスチックの板を取り出す。それはザフトの隊員証だった。若い男の写真が貼り付けられている。
「ザフトからの出向って……!」
「ふざけんなよ! ザフトから来てるのは俺とルナとアグネスだけだ! そして全員ここにいる! 他には誰も来てねえぞ!!」
狼狽するルナマリアを庇うように、シュラへと更に詰め寄るシン。だが、シュラは涼しげな顔のままだった。
「いや来ている。ザフトにも確認をとっている。
そして、シュラはかたわらの兵士の方へ手を伸ばす。するとその兵士はーーシュラへと、ラップトップ型のPCを手渡した。
果たして、そのPCには……一人の壮年の男の姿が映っている。テレビ通話が、中継されているのだ。
『間違いなくその隊員は、コンパスに出向している者だ』
その通話先の男は、静かに、だが確かな声でそう言った。
そして、その男の姿に、シンたちは見覚えがあった。アグネスは思わず、彼の名を叫んでいた。
「ーー
プラント国防委員会の長を務める男の名が、アークエンジェルのブリッジに響き渡る。
自分たちの本来の所属元の最高司令官。シンたちにとって、そんな男が、コンパスの犯行を証言していた。
「中佐! 何馬鹿なこと言ってるんですか! あんなやつ、コンパスに来てません!!」
『馬鹿なことを言っているのは貴様だアスカ大尉。ジューダス中尉は貴様らの仲間だろうが! ファウンデーションの方に何をくだらぬ嘘をついている!!』
「嘘って……なんでそんな!?」
面食らうシン。彼の目の前で、シュラはパソコンをまた兵士の手へと戻すと、空手となった手のひらでシンの肩をポンポンと叩く。
「ジャガンナート中佐はこう仰せだ」
そして、口元をシンの耳に近づける。
「……嘘つきはお前らなんだよ」
その囁きには、どうしようもないほどの歪んだ暗い愉悦が滲んでいた。
「お前らっ……!!!」
にらみつけるシン。だが、シュラはもう彼の方を見ていなかった。
「ーーこれより、アークエンジェルは武装を解除させてもらう!!!」
「国防委員長たるジャガンナート中佐による証言がある以上、間違いはない。この人物はコンパスの一員じゃ。しかも、熱心なクライン派であったという証言まで在る」
王城の広間で、ラクスはアウラの前に立たされていた。先程のフレイとキラのキスの一件の直後、彼女は引きずられるようにして、一人この場所へと連れ込まれたのだ。
アウラの表情はこれまでとは打って変わって、怒りが滲んだものである。ーーその内心がどうであるかは、別の話だが。
ともあれ、怒りを顔に貼り付けた少女は、歌姫を糾弾する言葉を吐き続けた。
「その責任を問うべきは当然、代表たるクライン総帥ということになる。爆発に巻き込まれ、妾の愛する国の民もが犠牲になった。決して軽いものでは済まされぬ!!!」
「陛下、どうかお聞きください! ジューダス等という人物は、決してコンパスにはっ」
「またその言い訳を繰り返すか!!! この期に及んで言い逃れするというのかッッ!!!」
張り上げられる怒声。玉座から立ち上がり、ラクスを睨みつけるアウラ。そんな彼女に、傍らに立つオルフェが耳元で囁く。アウラは頷き、玉座へとまた腰掛けた。
玉座をはさみオルフェの反対側、昨日シュラが立っていた場所には今はグリフィンが立っている。代理ということなのだろう。
ラクスが立つ場所の左右、少し低くなっている箇所には、何人もの王城の政務関係者が立ってラクスを見つめている。口々に静かな声で、お互いに何やらささやきあっている。
(ーーコンパスがこんなことを)
(歌姫の軍団が、テロを……)
(なんてひどい……)
ささやきの内容は、そういったものばかり。つまりはラクスを糾弾するかのようなものばかり。
まるで裁判の公聴のようでさえあった。
ーーと、そんな裁判所の後方、ドアが開かれる。
「お下がりください! ここは立ち入り禁止です!!」
「通せっ! 通してくれっ!!!」
そこから聞こえてくる、揉める声。そちらを見たラクスは、そこに恋人の姿を認めた。
「ラクス!!」
「キラ……」
警護の兵士と揉み合いになりながら、キラはラクスの方を、ついでアウラの方を見た。そして、叫んだ。
「陛下、これはなにかの間違いです!! あんな隊員は本当に僕たちは知らない!! ラクスのせいじゃない!!!!」
「貴公まで口裏を合わせるか!!! ジャガンナート中佐の証言があるのじゃぞ!!!」
キラの声に、怒声で返すアウラ。
ーーその時。
「待ってください!」
新たな声が、その場に響く。
その声の主はーー赤い髪を靡かせながら、キラの横を通り、ラクスの傍らまで歩み出た。
「フレイ……」
「アルスター政務官か」
キラとアウラの声を受けながら、フレイは凛とした表情でアウラに向かって口を開く。
「陛下、どうかお心をお鎮めください。キラはこんな時に嘘をつくような人物ではありません。クライン総帥も同じはずです!! 嘘をついているのは、きっとジャガンナート中佐の方です!!!」
その言葉に、周囲のどよめきが蘇る。
(どういうこと!?)
(そんな、ばかな)
(でもアルスター政務官の言うことだぞ!! 天女アルスターの!!)
今度はラクスをただ攻撃するのではない、疑問や驚愕の囁きが交わされていた。そんな中で、アウラはフレイへと叫ぶ。
「ザフトは我がファウンデーションの独立を支えてくれた後ろ盾じゃ! その最高評議会の一員を嘘つきと言うか、政務官!!」
「はい!! キラが嘘をついてない以上、そうなります!!」
胸を張りながら、フレイはそう叫び返す。アウラは今や、フレイのほうに強く睨む視線を向けていた。
「よくもそう断言できるものだな……フレイ」
「断言なんて、いくらでもします。だって、私は……私はっ」
フレイの視線が落ちる。思い起こすのは、先程の出来事。キラにキスをしてしまった一件。それを胸に刻みながら、彼女は叫んだ。
「私は、キラを愛しています!!! 彼のことを信じます!! 彼の愛する女性も信じます!!だからです!!!」
そう宣したフレイ。彼女の眦には、今、涙が滲んでいた。
その目線を彼はラクスに、そしてキラに向けーーアウラへとまた向き直る。
「例え彼が総帥のほうを、私より愛しているんだとしても構わない!! 報われたいなんて願わない!! 私は……私はキラを愛している! だから信じます! そのためならこの生命を賭けたって、未練なんかない!!」
「……ほう。どの程度愛しているのだ?」
静かでありながら強い語気の、アウラの問いかけ。それに、思わずフレイはどもった。
「それは……、それは」
「ーーふ」
瞬間。オルフェは、口元を歪め。
(闇に堕ちろ、フレイ・アルスター……!)
見えない波が、グリフィンからフレイへと伝わった。
そして、フレイはその場にいる全員にはっきりと伝わるように、大きな大きな声で叫んでいた。
「結婚してもいいと! いえ、結婚したいと!! そう思うくらいです!!」
「え……!?」
「な!?」
絶句する、キラとラクス。そんな彼らをよそに、アウラはまたしても玉座から立ち上がった。
「言ったな!? アルスター政務官!」
そして、手に持つ扇子をフレイへと向けてーー言った。
「であるのなら、明日、お主とヤマト准将には皆の前で婚約を宣言してもらおうではないか!! そしてヤマト准将には、この国の軍人となってもらう! お主ともどもブラックナイツに従う、新たな騎士としてな!!!」
その、宣言は。
(ーーーーは?)
キラに、思わず、すべてを忘れさせ。
「…………」
ラクスの、全ての意識を漂白させた。
「それが出来ればお主の言葉を信じよう。お主が信じるコンパスを信じよう! ヤマト准将もじゃ。お主が政務官の婿としてこの国に尽くすというならば、お主のことも、お主が愛するというクライン総帥のことは不問としようではないか!! この国のために、
「は……っ!??!?? ま……っ、待ってください陛下! それは!! それはあまりにも!!」
「これ以上は聞く耳は持たぬ。一晩よく考えるがよい」
「陛下!!!」
アウラはまた玉座へと腰を下ろす。思わずそちらへと走り出そうとするキラだったが。
「ヤマト隊長! これ以上は許せません!!!」
それと同時、キラと揉み合い、フレイが喋りだすと同時に沈黙していた兵士がまたキラを掴む。更に後ろの方から、何人もの兵士が新たに現れた。彼らの手によってキラは抑え込まれ、動きを封じられてしまう。
「キラ!!」
閉じられゆく、広間へのドア。それをすり抜けるように、ラクスの悲鳴が聞こえてきた。
「ラクス! ラクスーーっっ!!!!」
そんな彼女に手を伸ばそうとするキラ。
その目の前でーー無常にも、ドアは閉じられた。
「キラ。お願い。明日、私との婚約を宣言して」
そしてその日の夜。王城の一室に軟禁されていたキラの前に訪れ、フレイはそう口にした。
「フレイ、それは!」
「このままじゃラクス様は間違いなく処刑されるわ! ……婚約と言っても、ほとぼりが冷めて誤解が解けてラクス様が解放されたら、すぐに解消しちゃえばいい」
「嘘でいいの。見せかけだけでいいのよ! 私と婚約して……!!」
「フレイ……」
強い口調で迫るフレイ。そんな彼女に対し、キラは心の中で、昼間に抱いた疑問を再燃させていた。
(フレイは……本当に、あのときのフレイなのか……?)
キラの頭の中にあったのは、昼間のフレイとのキス。
アレは、どういう意図だったのだろうか?
もしもアレが、フレイと自分の関係を示す証拠写真であり、この性急な婚約発表の以前からすでに自分たち二人の間にそういうことがあるものだとする既成事実だったとしたら?
それをファウンデーションが狙ってやっていたというのなら、その最終目標は?
(まさか……ラクスと僕を、引き離すこと……?)
キラの心を満たす驚愕。だが、そうとしか思えない。ファウンデーションは、自分とラクスを引き離すべく、こういう仕掛けを用意したのではないだろうか?
しかし、そうだとすれば尚更、この状況でフレイの提案を蹴ることは難しいと思われた。
それを蹴ったが最後、間違いなくファウンデーションは強硬手段に及ぶだろう。ファウンデーション側も本来取りたくないであろう、ここまで迂遠なやり口をとってまで避けようとしている
それが自分の側を害する様なものであるならばまだいい。だが、もしもラクスに対して暴力的な手段に及ぶのだとしたら?
極論ーー以前のギルバート・デュランダルがしたような、抹殺して替え玉を作るという方法を選んだら?
(それだけは、駄目だ……!!)
そんなことは許容できない。ならばラクスを救出しに行く……というのも、かと言って難しい。
或いはフレイがラクスの居場所を把握しているのなら彼女を頼る方法もあったのだろうが、アウラのあの態度ではフレイにも詳しいことを知らせているとは思えない。ラクスが何処にいるかなど、わかるはずがない。
だがーーだからといって。
だからといってーー!!!
「僕は、僕はっ……!」
「……キラ」
わなわなと震えるキラ。そんな彼を見て、フレイはため息をつく。そして、部屋の中の冷蔵庫の方へと歩んだ。
「わかったわ。決められないなら、仕方ない。……一旦落ち着きましょう?」
冷蔵庫の前へかがみ込むと、扉を開けてその中から一本のボトルを取り出す。
「これ、葡萄ジュースよ。此処はワインも名物なんだけど、私達はまだ飲めないからね? いま汲んであげるから、ちょっと待って」
そして、ボトルを持ち上げると、壁の方を向いてコップに注ぐ。フレイの背中がキラの方に向く。ドレスは背中も広く開いており、フレイの白い肌を晒していた。ーー今のキラに、それを見つめる余裕はなかったが。
「……うん」
フレイの方から目をそらし、椅子へと座り込むキラ。そんな彼の前に、グラスに注がれたジュースが差し出される。彼はそれを受け取り、口に運ぶ。
それと同時。
ーーキラの視界が、ぐらついた。
「ーーぁ、ぇ?」
「よっと」
椅子から転げ落ちそうになるキラを、フレイの腕が支えた。
フレイの背中越しで死角になり、目をそらしていたキラは、気づかなかったのだ。
ーーフレイが、胸元から取り出した薬包紙の中の粉を、そのジュースの中へと落としていたことなど。
盛られた睡眠薬の影響で、キラはたちまち強烈な睡魔に襲われる。
「大丈夫よ。キラ。この睡眠薬は副作用のないタイプなの。すぐにおねんねできるからね」
「フ、フレ、イ……なん、で……」
「貴方はもう何も決めなくていい。私が、全部しておいてあげる。貴方は……ただ、休んでいればいいのよ……ほら、力を抜いて眠りなさい……?」
ぽんぽんと背中を叩くフレイ。その振動の安らぎに身を任せそうになるキラ。だがーーそれでも。
「だ、だめ、だ……こんなの……だめ……」
混乱の中、キラはそれでも意識を必死に保とうと意志の力を総動員していた。今此処で眠ってしまえば、確実に何かが拙い方向に進んでしまう。その未来を、彼は理屈を超えた戦士としての直感で察知していたのだ。
「もう。また無理して……しょうがないわね。じゃあ私が寝付かせてあげる♡」
そんなキラの耳元で、フレイはーー。
「
歌を、歌いだした。子守唄を。
「
それは、ずっと昔から人々に受け継がれてきた歌。
「
歌姫の歌とは似て非なる歌。
「
ラクスの歌が澄んだせせらぎの水ならば、これは温よかな泉とでも言うべきもの。
「
それは、キラの心に染み渡り。
「
彼の意識を、奪い。
「
今度こそーー眠りへと、誘うのだった。
「
フレイが歌い終わった時、もうキラは、安らかな寝息を立てていた。
「おやすみなさい、キラ。ーー明日、貴方はきっと、本当に自由になれるからね……」
少年の髪を撫で付けながら、フレイは甘く囁いたのだった。