リュカとビアンカ・日常編   作:アロンの杖

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純愛による救済

 時には意見を戦わせたり、喧嘩をする事もあったけれど。

 

 リュカとビアンカは概ねは仲良く過ごしていた、彼等はそれぞれが相手の事を深く愛し求めていた上に“変な意地を張る”と言う事をしなかったから、仮に衝突しても大概は“さっきはごめんね?”とか“ちょっと言い過ぎちゃった・・・”で済んでいたのだ(ま、謝る時は大抵はリュカの方から頭を下げるようにしていたのだが)。

 

 そして普段の時もそうだったけれど、こう言った喧嘩をして仲直りをした後は、まず間違いなくリュカはビアンカを掻き抱き、激しく責め立てるようにしていたのであり、だけど一方のビアンカもビアンカでそれを少しも嫌がる所かむしろそれに負けない位に自分から積極的かつ情熱的に彼を貪り、恐ろしい程にまで淫らに乱れた。

 

 リュカに抱かれている時のビアンカは、芯から蕩けるような愛欲と快楽に頭も心を染め上げられてしまい、徹底的にイキ狂わされてしまうモノの、そんな猛然として濃密な官能に、彼女は全てを忘れてリュカだけの女である事が出来ていたのだ。

 

 そんな日々を送っていた、2月の中旬。

 

 ある晴れた小春日和の休日に、リュカとビアンカは連れ立って“天空城”に“マスタードラゴン”を訪ねて来ていた、いつも何くれとなく世話を焼いてくれている恩人(と言うよりは“恩神”)に対する感謝を述べる為である。

 

「マスタードラゴン、ますます神霊としての光り輝きが増していたね?」

 

「そうだね、気力も充実していたし・・・。前に来た時よりもパワーアップしているのがハッキリと解ったわ!!?」

 

 そんな事をのたまいながら二人は更に各部屋を巡り、最後にゴールドオーブとシルバーオーブが安置されている“隠し祭壇”へと向かう。

 

「・・・良かった、ここも問題なさそうだよね?」

 

「うん・・・。だけどでも、考えてみればここから“ゴールドオーブ”が落下した事が全ての始まりだったんだよね?それを最初の冒険で私達が見つけ出せたって事に、なんだか運命を感じちゃうわ!!!」

 

 自らの言葉にそう応じて微笑みを返してくれた愛妻王妃に対してリュカは、不意に下を向いて何やら神妙そうな面持ちを見せた。

 

「・・・なによリュカ、どうかしたの?」

 

「ねえビアンカ、ちょっと気になってる事があるんだけどさ・・・。“ミルドラース”って、いただろ?アイツは元々は人間だった、それが力を求めて魔道に堕ち、その歪みと怨念とが極大化して“大魔王”となったんだけど・・・。つまり言い換えれば人間は誰でもが、善にも悪にもなれるって事だろ?それを極められるっ て事だろう?」

 

「それは・・・。まあそうかも知れないけれど、一体何が言いたいの?リュカ」

 

 唐突に放たれた夫の言葉に愛妻王妃は思わず怪訝そうな表情を見せるが、リュカは構わず語り続けた。

 

「ねえビアンカ、もしもだよ?もしも僕がある日突然野心に目覚め、ここにあるゴールドオーブを奪って吸収し。己の力を増大させようと企てたとする、その時に君はどうする?」

 

「・・・・・っ。な、なによ?急に、一体どうしてそうなっちゃうのよ!!?って言うかそんな事は有り得ないわ?だってあなたが力に溺れたり、そもそも魔に堕ちたりするハズが無いもの!!!」

 

「そんな事は有り得ない、 きっとそう言ってくれると信じていた。勿論、僕はそんな事をするつもりは無いけど・・・。だけど世の中に絶対は有り得ないだろ?」

 

 するとそんな“天空の花嫁”の応えにようやく少しだけ明るい顔を見せつつも、しかしリュカはすぐにまた難しそうな面持ちとなり、話を続けた。

 

「ねえビアンカ、もし本当に。仮にそんな事になったとしたら、その時に君はどうすると思う・・・?」

 

「・・・もし、あなたが本当にそんな事にでもなったなら。私はきっと死にたくなるでしょうね、悲しくて悲しくて堪らなくなると思うわ?だって私は・・・。それだけあなたのことを信じて、愛しているのだから!!!」

 

「・・・・・」

 

「だからきっとあなたのことを、必死になって止めると思う。例えそれで自分が死ぬ事になったとしても、あなたに殺される事になったとしても。私が生きている間はあなたを闇堕ちさせる事はしないわ?絶対に・・・!!!」

 

 いつになく悲しそうな、それでいて真剣そのものな愛妻王妃の気迫を受けてら、さすがのリュカもちょっとだけたじろぐが、すぐに何処かホッとしたような笑顔を見せてビアンカを抱き寄せ、彼女に“有り難う”と感謝を述べた。

 

「ビアンカ、僕は嬉しい。いやね?もし“力ずくでもあなたを止めるから”とか“あなたを殺して私も死ぬ”とか本気で言われちゃったのならどうしようかと思っていたんだよ」

 

「・・・流石にそんな悲しい事はしないけど。それにさっきも言ったけど、あなたが闇堕ちする事なんて有り得ないわ?だってそんな未来なんて、微塵も感じられないし・・・。それになにより、あなたは強くて優しい人だもん。絶対に魔道に染まったりは出来ない人なんだからっっっ❤❤❤❤❤」

 

 そう言って自分の胸に顔を埋めては熱い抱擁を返してくれる“天空の花嫁”に、リュカは“有り難う、ビアンカ・・・”ともう一度彼女に礼を言った。

 

「君がそんなに僕の事を信じてくれるなんて、尽くそうとしてくれるなんて・・・。正直に言ってメチャクチャ嬉しいよ、どうも有り難うね?ビアンカ・・・」

 

「うふふふっ!!!もうっ、しょうがないのね。あなたったら・・・っっっ❤❤❤❤❤でも、だけど。ねえリュカ、もしも逆の立場だったならあなたはどうするの?例えば私が野心に目覚めて同じような事をしようとしたら、あなたは私を止めてくれる・・・?」

 

 その場に誰もいない事を良い事に、甘い声と雰囲気で自分に迫って来ていたビアンカが、不意に素朴な質問を投げ掛けて来るモノの、それに対して。

 

 “そりゃいきなりあんな事を尋ねられたらビアンカだって気になるよな?”と理解したリュカは正直に自分の胸の内を吐露する事にした。

 

「仮に僕がその立場だったなら、僕はその場で君を捕まえて裸にして・・・。そのまま君が精根尽き果てるまで抱き潰すね、まず間違いなく。自分が今までに手に入れた全てのスキルと知恵と力を使って、全身全霊で君をひたすら犯し抜くと思う!!!」

 

「・・・・・っっっ!?!?!?!?!?な、なによリュカ。それってどう言う」

 

 夫の言葉に愛妻王妃が驚いていると、それには構わずリュカが続けた。

 

「君は前に言っていたよな?“僕に抱かれている時だけは何もかも忘れていられるんだ”って。あれってさ?僕も同じなんだよね、君を抱いている時だけは不安も恐れも姿を消すんだよ。マジで無くなるんだよね・・・」

 

「・・・・・」

 

「だからね?ビアンカ。君がもし、野心に目覚めて力を欲するようになったなら。その時は僕の愛で止めてあげるよ、救ってあげる。君をグチョグチョに犯し抜いて、徹底的にイキ狂わせて。何もかも忘れさせてあげるよ?勿論、野心の渇望もね!!!」

 

 “少なくとも自分の命がある限りかは君を闇堕ちさせたりしないから”、“だから大丈夫だから・・・”と言う内容の説明を大真面目にしてくる青年国王に、ビアンカは最初頭がついて行けずに思考が停止してしまう。

 

 しかし。

 

「リュカ・・・。やらしいわ!!?」

 

 段々と彼が言わんとして来る事が解って来ると、何処か胡散臭いモノを見るかのようなジト目を夫に向けて、心の底からそう告げた。

 

「なんでそんな時まで私と、その・・・。“する”必要があるわけ?もっと真面目になりなさいよ!!!」

 

「至って真面目じゃないか、僕は!!!」

 

 声に多少の呆れと怒気とを込めてそう迫って来る“天空の花嫁”に対してリュカも“心外だな!!?”とでも言うかのような面持ちとなり、言葉を返した。

 

「あのね?ビアンカ、考えてもみてよ。僕達が強くなったのって自分や大事な人を守る為だろ、大切にする為だろう?それなのに例えどんな理由があったとしても、最愛の人と戦う為に。いいやもっと言ってしまえば殺し合う為に力を使って、それで“愛してる”って言えるのか?そこに救いはあるのかよ!!?」

 

「・・・・・っ。そ、それは!!!」

 

「普段から散々“愛してる”とか“大好き”だとか言っておきながら、いざとなると最後の最後で結局は戦う事を選択する。傷付け合う事を“やむを得ない”と考える。そんなの絶対に間違ってると思うんだよね、僕としては!!!」

 

 真剣な顔付きでそう述べ立てる青年国王に対して愛妻王妃は沈黙してしまった、確かに自分でもそれは思った、最愛の人と戦う事のどこに“真なる愛”や“救い”があるのだろうか、と。

 

 だけど。

 

「・・・いいえ。私は騙されないわ?リュカ、なんだかんだ言ったとしても。あなたは結局は、私としたいだけなんでしょう!!?」

 

「・・・それは全然、違うよ?ビアンカ」

 

 夫の腕の中で彼にそう詰め寄りながらビアンカが迫るが、それに対してリュカもリュカで少しも気後れせずに応えた。

 

「僕が君としたいのはね、君の事が大好きだからなんだよ?ビアンカ・・・」

 

「・・・・・っっっ///////////////な、なにを言い出すのよっ。もうっっっ❤❤❤❤❤」

 

 毅然とした態度で言い放たれたその言葉に、ビアンカは思わず恥ずかしそうに、そして照れ臭そうに顔を背けた、女の子と言うのは愛する男の言動が真なる意図の元で発せられたモノであるかどうかが良く解る生き物なのであり、無論ビアンカもそうでこの時のリュカの声がだから、本心からの叫びである事を敏感に感じ取っていたのだ。

 

「そ、そんな事を言っても。その・・・っ//////////要するにあなたは、私としたいだけなんでしょっ?もう・・・っっっ❤❤❤❤❤」

 

「・・・お願いだから怒らないで?ビアンカ。僕は君が本当に大好きなんだ、もし君に嫌われたなら。拒絶されたりしたらもう、・・・生きては行けないよ!!!」

 

 不意に自分の体を強く抱き締めつつも真面目に、そして何処か悲しそうに声を掛けて来るリュカに対してビアンカは顔を赤らめて俯き、照れながらも精一杯の勇気と気力を振り絞り、夫に自身の真意を返した。

 

「・・・私も、だもん」

 

「・・・え?」

 

「私も、そうだもん・・・っっっ///////////////」

 

 自身の腕の中でモジモジしつつもそう応えてくれた愛妻王妃に対してリュカは一瞬、呆然となりながらも“可愛いっ!!!”と短く叫んで素早く口付けをすると彼女を連れて外に出る、そうしておいてー。

 

 “瞬間移動呪文”を唱えていつも二人っきりになる際に赴く場所へと急いで飛び去って行った、ビアンカに堪らない程の可愛らしさを覚えて芯から昂ぶってしまったのである。

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