「...」
「あちゃ〜...」
2人が転移してきた家の中、机の上に置かれた本と手紙。
猿どもでもわかる!!トレーナー試験対策!! 著 眼田琉 空羅
【勉強してトレーナー資格ちゃんと取らんと生き返らせてやらんからな!!】
「くそったれぇ〜!!!」
第4話、ベジータトレーナーと孫悟飯トレーナー
「とは言っても、ウマ娘やレース以外は低レベルもいい所だな。」
「確かに...少しだけ外に出てみましたが、車も浮いている物は一つもありませんでした。どうやら元の世界よりは技術は古いみたいです。ブルマさんはあちらでも指折りの天才でしたが、こうして見ると改めて凄さを実感できます。」
「さすがはブルマだ。とりあえず、このレベルならすぐにでも試験を受けれそうだな。少し復習をしたらすぐにでも受けるぞ。」
「(あのベジータさんが惚気けるなんてなぁ...)わかりました、ベジータさん。」
後日
「当然合格だったな。走る際の技術については戦いにも似た所があった。」
「確かに。それにしても驚きましたよ。まさか今年度の合格者が僕達2人だけなんて。テレビでもやっていましたが、トレーナーというのは厳しく限られた人間しかなれない職業というのが一般常識みたいです。」
「ここの科学力や教養じゃ仕方ないだろうな。改めて注意せねばなるまい。」
「ですね。気の使用は極力せず、妄に常識や価値観を含め、過去をひけらかさない。この2つだけ心に刻んでおきましょう。...と、着きましたよ。ここが理事長室みたいです。」
「よし、ノックは3回だったな。. . .失礼いたします!」
「(ベジータさんが敬語...)」
「お入りください。」
「ベジータと申します。本日は宜しくお願い致します。」
「そ、孫悟飯と申します。本日は宜しくお願いいたします。」
「面接を担当させていただきます。駿川たづなと申します。宜しくお願い致します。」
「理事長!秋川やよいだ!宜しく頼む!トレセン学園初となる合格者2人とも満点合格!期待しているぞ!」
「はっ、ありがとうございます。」
「あ、ありがとうございます!(ベジータさん流石だな...フリーザの件もあってか、社会慣れしてるみたいだ...)」
「面接と言っても、聞くことは2つだけです。あなた方にとってウマ娘とは何なのか、そしてウマ娘達をどう導くのか。お聞かせ願えますか?長さなどは遠慮しなくても構いません。必要だと思った事を全てお聞かせください。代わりに都度途中に質問することがありますがご容赦ください。」
「...正直、私にとって現在ウマ娘とは走る種族、という浅い認識です。レースも見に行ったのは一度きりです。」
「ほう?失礼だが、そこまでウマ娘に対し情熱があるようには感じないな。トレーナーを志した大きなキッカケでも?」
「誇りです。」
「誇り?」
「たった1回だけではありますが、それでも十分過ぎるほどに選手達から誇りを感じました。絶対に勝つ。負けなんてありえない。努力を否定させない。信頼に答えるために。多岐に渡れど、各々の誇りを強く感じました。私個人の価値観にはなりますが、誇りとは命より重いもの。自分が自分であるために。誇りのない自己など人形とかわらない。だからこそ、それを世界に響かせて見せましょう。お前達の目の前にいるのはウマ娘ではなく、誇り高きウマ娘である、その者であると。」
「...ふむ、ベジータ殿の発言からすると、貴方にもその誇りがあるように見える。あなたの誇りとは?」
「ナンバーワンである事です。」
「ナンバーワン...何においてだ?」
「全てにおいて」
「ほう...!」 「まぁ...!」
「それが私の答えです。」
「承知した。では続いて孫悟飯殿。お願いする。」
「.は、はい。私事ではありますが、私は武術を嗜んでおりまして...とは言っても、あまり好きでは無かったのですが。」
「武術が好きではないのに武術を嗜んでいたんですか?」
「はい、私は争い事が元来苦手でして...ですが、父が武闘家だったんです。」
「まあ、それは...厳しいお父様だったのですか?」
「実は、その正反対で底抜けに明るくお気楽な父だったんです。無理に私に修行をさせようとして、母に怒られ縮こまっていました...ハハハ...」
「まあ!ふふふ...」
「でも、そんな父が母に怒られようと消して取り消さなかった言葉があるんです。」
「ほう!それは?」
「コイツはオラよりも強くなる、です。」
「まぁ...!」
「最初は、そんな馬鹿な、こんな僕が、泣き虫で弱っちい僕がと思いました。父はこれでも世界最強と呼ばれていましたから。でも、心の底ではすごく嬉しかったんです。すごく厳しい特訓もしたし、甘ったれるなとすごく怒られました。でも頑張れました。父はずっと応援してくれていたし、母もいつしかそうしてくれたからです。父の友人も応援してくれました。これは自慢...ではないとは言えませんが、かなり若い内に父を越えられたんです。父は負けず嫌いでもあったので、すぐ越され返してしまって、それからすぐに亡くなってしまったけれど...」
「それは...ご冥福をお祈りします。」
「ありがとうございます。でも、だからこそわかるんです。応援というのは、イメージより強く大きく力を与えてくれます。甘ったれの僕も、やる前に諦めていた僕も、父を越えられた。ウマ娘の中にも、有名なウマ娘に勝てっこない、私は落ちこぼれだと思っている、思ってしまう子は少なくないと思うんです。そんな子に、僕は大きな声を出して言いたい。」
「落ちこぼれだって必死に努力をすれば、エリートを超えることだってある」
ピクッ
「勿論、勝負の世界です。全てが思い通りに行かないし、勝利の裏には敗北がある。でも、諦めて努力をやめて欲しくない。必死に努力をすれば、何者にだってなれる。それが僕の答えです。」
「理事長...」「あぁ」
「うむ!歓迎!貴方達をトレーナーとして受け入れるぞ!これから宜しく頼む!」
「ありがとうございます!」
「ありがとうございます。」
「うむ!して、これはあくまで個人的な疑問なのだが...悟飯トレーナーとベジータトレーナーは何やら知人そうだが、何か関係が?」
「それは...」
「構わん」
「あ、はい。実はベジータさんと父は俗に言うライバル、宿敵というやつでして...」
「ほう!!」
「まぁ、それはそれは...!!」
「...ベジータトレーナーと悟飯トレーナーのお父上、どちらが強いのだ?」
「ちょ...理事長!!」
「そうですね...ベジータさんと父は越えられてはまた越すの繰り返しだったので、一概には言えないのですが...」
「...」
「「ドキドキ...」」
「...お父さんだと思います。」
「ピクッ」
「「おお...!!」」チラリ
「.................今だけです。」
「「おお〜...!」」
「ベジータさん...額に血管が『プツッ』あっ...」
「黙れーーーーーーっ!!」
「ハッハッハッハッ!!良い風が吹きそうだな!」
「ベジータトレーナー、大声はやめてくださいね。」
「も、申し訳ございません...」