第5話 似ているね
「しばらく経ちますけど、全く見かけませんね...スティルインラブさん。」
正式にトレーナーになってから数日。孫悟飯はスティルインラブを探していたが、まだ会えずにいた。
「...なに?貴様まだ会っていなかったのか?」
「...え?」
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「まいったなぁ、気の探知がこんなに衰えていたなんて...」
大きなたんこぶを作りながら、外を歩く孫悟飯。
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『貴様は気が読めるだろう?なぜまだ会えていない?』
『そんな事を言われても...スティルインラブさんの気なんてわかりませんし』
『閻魔の話を聞いていなかったのか?一人に二つ。校舎裏近くの木の下の気を読んでみろ。』
『確かに小さな気がありますけど...小動物じゃないですか?』
『貴様は何を言っているんだ?同じ位置に気が2つ重なっているだろう。』
『あれ?ひとつじゃないですか?...あれ?よーく見てみたら確かに2つ...あっ』
『ほう?貴様気すらまともに読めなくなっていたとはな...随分と甘い修行をしてたみたいじゃないか...』ビキビキ
『じゃ、じゃあ僕はスティルインラブさんの所に行ってくるので!それじゃ!!』
『待ちやがれーーっ!!』
「何も殴ることないじゃないかぁ...本当に災難だった...そろそろ着きそうだな。...あの子か?」
大の大人が情けなく一粒涙を流しながら、目指していた場所についた。
「やあ!君がスティルインラブかな?」
「えっ?は、はい。私です...何かご要件が?ベジータトレーナーさん以外で私を見つけられた人は始めてです。」
「ベジータさんと会っていたのかい?そんなことはベジータさんから聞いてなかったなぁ...」
「ベジータトレーナーさんは「オレよりもお前に向いたトレーナーがじきに来るはずだ」とだけ言って去ってしまわれたので...もしかして貴方がその...?」
「うん。僕の名前は孫悟飯。君の話を聞かせて欲しいな...あまり言いたくなければ構わないけれど...」
「...いえ、お話します。せっかく私を見つけて下さった方ですから。」
「そっか、君は強い子だね。ありがとうスティルインラブさん。」
「(なんだか...底抜けに優しいけれど、悲しげな瞳...)ス、スティルで構いません...」
物憂げな大人というのは、思春期の中学生にとって毒である。孫一族ともなればなおさら。
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「そっかぁ〜、その歳でそんな事を抱えていたとはなぁ〜」
ため息を混じらせながら、自分達のような世界ではなく、平和な世界で大きな秘密を抱えている事に嘆く悟飯。
「私は...周りの人を怖がらせたくない...周りの人を傷付けたくないのです...でも、それでも、気付かれないというのは辛いです...(なんだか、隠していたことすらスラスラと出ちゃうな...)」
「そっか..,キミはぼくとそっくりだね。」
悟飯の間違いのない本音がこぼれる。
「私が...孫悟飯トレーナーさんとそっくり?」
「トレーナーでいいよ、スティル。そして、そうだね。僕と君はそっくりだ。」
空を見上げながら、独りごちるように語り始める。
「...信じてもらえるかはわからないけど、僕は別世界の人間でね。君の友人にも似たような子がいなかったかな?」
「別世界...?あっ、ひょっとしてネオユニヴァースさん?」
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「『CTFT』...君の希望は、未来を変えたね。」
「!?き、キミは誰だ!?なんでそれを...」
「...ネオユニヴァースは、別世界の観測者...託した君は、未来の『HERO』...託されたあの子は...最後の『HOPE』...キミなら、彼女の『BDED』を...『HPED』に変えられる。彼女の『DSPR」を...『HOPE』に変えられる...」
「キミは、一体...」
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「うん、そっちでの話にはなるんだけどね。僕の父親は戦闘民族ってやつでね、戦いが本能に刻まれた種族だった。」
「戦い?それに本能...」
「そう。戦い。誤魔化さずにいうなら、殺し合いさ。」
「殺...!?(こんな優しげな人が、そんな...?)」
「もっとも、父さんは殺すことは絶対しなかったけどね。それよりも、ただ全力をぶつけ合うのが好きな世界でいちばん強くて優しい人だったよ。母さんに常に怒られていたけれど...」
「それは...ふふふっ...」
「僕は父さんの息子だから、秘められた力は凄かったし、父さんを超えることも夢ではなかった。でも、僕は戦いが好きじゃなかったんだ。人に傷付けられ、人を傷付け...争いなんてなくなればいいのにと思ったよ。」
「...」
「でも、父さんは病気で亡くなってしまってね、その後に現れたものすごく悪くて強いヤツらとのとてつもなく長く、苦しい戦いで、仲間が殺されそうになったり、世界が終わりそうになったり...僕の気持ちをわかってくれる人が殺されてしまって、僕はキレた。強い力に目覚めた僕は、昔の父さんを大きく凌ぐ力でその敵の中でも特に強いやつを圧倒したよ。」
「病気...殺され...そんな...」
「その特に強いやつですら、僕は超えていた。圧倒しているうちに、僕の弟子...トランクスは早くトドメをさせっていったよ。敵は改心するような奴じゃなかったし、もし逃したらさらに強くなって帰ってくる。絶望に満ちた世界が、不変のものになってしまう。そうするとどうしようもないからね。でも、僕はこう言ったんだ。」
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「ちっ、つまらない」
「もうトドメを?まだ早いぜトランクス!お前は腑抜けたのか!!この世界を絶望に変えた傲慢な人造人間...そんなやつは、プライドも肉体も、いたぶり尽くして殺してやる...!!邪魔だてするならお前も容赦しない!!」
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「...ってね。
「そ、そんな...(こんな...こんなに優しい方が本能ひとつで...)」
「結果、追い詰められたソイツは全員巻き込んで自爆しようとした...自分の過ちに気付いた僕は、力を全て使ってバリアを作った...もう動けなくなった僕は、三女神様に連れられてこの世界に来たのさ。修行を重ねて今じゃすっかり本能も落ち着いてね、普通に生きられている。君もできるさ。」
「(動けなくなった...つまり....)私も、私の本能はキライです。でも...私と...私と似ているあなたとなら、ワタシを好きになれる気がします...その、私の、と、トレーナーに...」
「もちろんさ!よろしくね。スティル。」
「ひゃ、ひゃい...」
勇気を出した子の手を強く握った悟飯。こんな事をされてしまっては、スティルの心はアチアチである。
「...フン、やっと1歩前進か...このオレも甘くなったもんだ。オレも早く担当を見つけなくては...」
コソコソ...
「なぁじっちゃん、じっちゃんの息子は上手くいったみたいだぞ。あとはじっちゃんのライバルの手助けをすればいいのか?」
そうだナカヤマ。トレセンにはアイツにそっくりな奴がいてオラびっくりしたぞ。
「1番びっくりなのはじっちゃんだぞ。突然三女神像の隣にムキムキな像が現れて、しかもいきなり話しかけてきては出ては来れず、脳内か夢でしか喋れないなんて言うもんだからな。しかも私のトレーナーが罹った心臓病の特効薬すら枕元に置いておいてよ。」
ハハハッ確かにな!それはそうと丁度いいタイミングだぞ!いけナカヤマ!
「はいよっ...と」
ガタッ
「む?ドアの先に不審な気配があるな...チッ、オレはこれから担当探しだってのによ...」
ガチャリ
「スティルさんにも担当が見付かったのね...私もレースに出るためにトレーナー見つけないと...愛なんてくだらないと証明するために...」
「貴婦人。世の遍く全ての王たるこの余を前に不敬であるぞ。」
「ほほほ...哀れだこと。自らの放つ眩きで力で劣っていると気付けない様子...私を従わせたいなら私すら超える絶対的な力と強さをお持ちになって?」
「 ...ほう?」ニヤリ
...ははっ、ベジータのやつも楽しそうだなぁ。オラもここに来てからワクワクしっぱなしだぞ。