第一話 頭のおかしな変態娘
裏梅視点
1,000年ぶりの現世。私は氷見汐梨という女の肉体に受肉し、宿儺様の時代を作るべくこの世に舞い降りた。ひとまず、羂索というよく分からない男と協力することになってるが………そいつの居場所が分からない。とりあえず、ここで待ってればいいか?
そう思っていると………
「なんかウチの身体に変なのおる⁉︎」
なんと受肉体の自我が死んでないことが判明した。嘘だろ?普通は受肉されたら、完全に自我を失うはずだぞ?これは面倒だな。とりあえず精神領域で屈服でもさせとくか。
「今からお前の身体は私のものになる。だから大人しく眠ってろ。」
「はぁ⁉︎何言うてんねん⁉︎そんなの嫌や‼︎ウチはエッチな男とランデブーしたいんや!」
「黙れ‼︎」
「嫌や‼︎アンタこそ大人しくしとき‼︎」
くそっ‼︎此奴め、自我が強すぎる‼︎しかもなんで変態なんだよ⁉︎ふざけんなし‼︎こんな奴の身体を借りるのか⁉︎絶対嫌なんだが‼︎あとなんで私が男って分かるんだよ⁉︎一応お前と同じ姿してるんだぞ‼︎こうなったら、無理矢理にでも取り押さえて………
「引っこめ三下……がはっ‼︎」カキーン
ふざけやがって………っ!この玉蹴り女が………っ‼︎痛えよ………っ!つーか、そこは此奴と違うのかよ‼︎意味分かんねえ………っ!
「あんまりおっきくないんやな♪」
「黙れ‼︎男は大きさが全てじゃない‼︎」
「まあええわ。ほな、学校行ってきま〜す♪」
「くっそ…………っ!」
ということで、私は氷見汐梨に金玉を蹴られ、敗北したのだった…………
外に出てしばらく歩いていると、私たちはある学校に着いた。
「うわ〜、えらい古くさい学校やな〜。今日からここに通うんか〜。」
どうやら今日は此奴の入学式らしい。一体どこの学校なんだ…………
「呪術高専京都校⁉︎」
って、嘘だろ⁉︎なんでよりによってここなんだよ⁉︎名前からして、呪術師用の学校だろ⁉︎此奴にも呪術師の適性があるのか⁉︎
「アンタ、外では黙っとって。ウチが変な人に思われるやろ!」
「安心しろ。貴様は十分変人だ。」
「また玉蹴るで?」
「ふざけるな‼︎そんな横暴、許されてたまるか‼︎」
「それはウチのセリフや!人の身体勝手にパクっとるくせに‼︎」
「それは………確かに………っ!」
「せやろ?」
しかも普通に言い負かされるし。こんな小娘に………っ‼︎歯痒い、歯痒すぎる‼︎
「つーことで、大人しくしとき!」
「くっ………!分かったよ………っ!」
いつか必ず乗っ取ってやるからな‼︎その憎しみを胸に秘め、私は彼女の中へと引っ込んだ。
その後、汐梨は先輩らしき女と話し始めた。
「えっと、君が新入生の氷見汐梨ちゃん?」
「はい!ウチが氷見汐梨です!よろしゅうお願いします!」
「私は3年の西宮桃。よろしくね。」
「はい!」
どうやら、この藁納豆みたいな髪型をした女は西宮桃というらしい。随分ちんちくりんだな。呪力も大して感じないし、そんなに強くないのだろう…………
「ちなみに、先輩はどんな男がタイプです⁉︎」
って、初対面の人相手になに聞いてんだよ、お前は⁉︎
「女でもええですよ!」
そこ配慮するなら他を配慮しろ‼︎つーかそもそも聞くな‼︎そんな事聞く奴なんか居ないっつーの‼︎
「えっ?東堂君の知り合い?」
いんのかよ‼︎なんだよここは⁉︎変態の巣窟じゃねえか!
「知らんとです!」
「そ、そうなんだ…………と、とりあえず………私はマッチョが好きかな?」
お前も答えんでいい‼︎
「おー!ええですなぁ!ちなみにウチは普段優しくて、時折カッコええとこ見せてくれる男がタイプです!」
「そうなんだ!それもいいよね!」
「はい!」
なに呪術師のくせに、普通に恋愛話してんだよ‼︎女子はみんなこうなのか⁉︎いちいち女子会しないと気が済まないのか⁉︎くそっ、なんで羂索はこんな奴の身体に受肉させたんだよ‼︎ふざけやがって‼︎
羂索視点
あれ?裏梅が全然私のところに来ない………?おかしいな。何があったんだ………?
裏梅視点
しばらく汐梨と桃の恋愛話が続いた後………
「で、恋バナは後でするとして………今はごめん、任務の話だよ。」
「任務………?」
「入学したてで悪いんだけど、呪術師は晩年人手不足でね。新米扱いはしてられないんだ。」
ようやく本題に戻った。どうやらいきなり仕事らしい。ちょうどいい、此奴の実力でも見ておくか。
「大丈夫です!ウチ何回かやったことあるので!」
「そうなんだ!ちなみに等級は………1級⁉︎」
「そんなすごいとですか?」
「すごいよ!1年生で1級以上は殆どいないって!」
「そうなんです⁉︎ウチすごかったんや〜!」
さっきの等級の話からするに、汐梨は桃より上の級か。確かに此奴よりは強い雰囲気があった。だが、平安の頃と比べれば大したことない。この程度で驚かれるとはな………
「勘違いするなよ。貴様は大したことない。」
「えっ⁉︎なっ、何⁉︎変な奴が喋った⁉︎」
「おい、出てくるな言うたやんけ‼︎そんなに玉蹴られたいんか⁉︎」
「いや、それは勘弁してくれ………」
「えっと………もしかして、汐梨ちゃんって、受肉体?」
「なんか朝起きたら、自分の中に変な奴がおったとですよ!しかも男!マジで困ります!」
「された側なんだね。よく生きてるね………」
「金玉蹴ったら大人しくしてくれました!桃ちゃん先輩もコイツが暴走したら頼んます!」
「任せて!可愛い後輩は私が守る!」
「守らなくていい‼︎」
にしてもこの女、横暴すぎるだろ‼︎ただ正論を言っただけなのに……っ‼︎納豆頭も味方になるなし‼︎
「ちなみに受肉した人の名前は………?」
「えっと………ウチも知りません!」
そういえば、私は此奴に名前を言ってなかったな。一応此奴らが宿儺様の味方かどうか分からないから、細かい素性や立ち位置は明かさないでおくか。
「私は裏梅。平安時代の術師だ。」
「わ〜、えらいタイムスリップやな〜。」
「平安時代⁉︎あの呪術全盛期の………」
「そうか。今はそうでもないのだな。」
「まあね。」
にしてもこの女、反応薄すぎるだろ。さては馬鹿なのか?もっと畏れろよ。完全に舐められてる事実が、今はとても腹立たしい。これもあの時金玉を蹴られたせいだ。そう思った。
しばらく歩いていると、道端で彷徨っている呪霊に遭遇した。
「汐梨、これが今回倒す呪霊みたい。等級は3級。正直汐梨なら余裕だと思う!」
「任せとってください!ウチの術式は………じゃじゃん!」
強さは超が付くほどの雑魚。こんなの軽く氷を吹けば倒せるだろう。私が出るまでもないな。とりあえず、汐梨の術式をみてみるか………
「かき氷を作れます!」
そうして、汐梨は呪力でかき氷を作った………って、嘘だろ⁉︎
「お前、私と同じじゃないか⁉︎」
呪力で氷を生成。完全に私と同じ氷凝呪法‼︎受肉先と術式が被ることなんて、初めて聞いたぞ‼︎だけどコイツはなんで削り
「そうなん?アンタもかき氷作るん?」
「作らねえよ‼︎ちゃんと戦う用だよ‼︎」
「ちなみに桃ちゃん先輩、食べます?」
「なに勧めてんだよ‼︎それ呪力で作った奴だぞ⁉︎」
「シロップはある?メイプルがいいな。」
「お前も食おうとするな‼︎」
「はいよ‼︎」
「なんで調味料持ち歩いてんだよ⁉︎」
しかも呪霊の前で食い始めたし‼︎此奴ら頭おかしいんじゃないか⁉︎ちゃんと戦えっつーの‼︎
「おい変態女‼︎呪霊が逃げるぞ‼︎」
「おっ、あかんやん!ほんなら………氷凝呪法 霜凪!」
よかった。ちゃんと戦ってくれるみたいだ。しかも霜凪………私と完全に同じで、息を吹いて相手に過冷却状態の呪力をぶつけた。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」
「流石に3級呪霊だから一撃だね。」もぐもぐ
流石にあの程度の雑魚なら余裕で蹴散らせるか。氷凝呪法を使うだけあるな。あと納豆頭、かき氷食いながら監督するな。
「お仕事終了ですね!ほな逆ナンしましょか!」
「仕事終わってすぐ逆ナン⁉︎汐梨って肉食系なの⁉︎」
「はい!あと裏梅、ええ男探してくるから寝といてな。」
「何してんだよ貴様は⁉︎」
そして汐梨、貴様は本当に無茶苦茶過ぎるだろ‼︎こんなのとこれから付き合っていかなきゃいけないのか⁉︎大変過ぎるだろうが‼︎あとで羂索に会ったら徹底的に殴ってやろう。そう思った日だった。