裏梅視点
今日は任務の日。私は汐梨や新と一緒に、桃の到着を待っていた。
「ね〜ね〜、新君〜♪桃ちゃん先輩来るまでウチとデートせぇへん?」
「で、デート⁉︎ま、まあ、別にええけど………///」
「やった〜♪」
「おい、阿婆擦れ。今から任務だろ?浮かれるなよ。」
「やかましいわ、この金玉小僧‼︎」
「金玉は小僧なら全員についてるだろ‼︎」
今から仕事だというのに、汐梨は相変わらず頭が緩い。そもそも術師で色恋沙汰など言語道断。余計な事に時間を割くくらいなら、鍛錬をしてほしいものだ。
そんな事を思っていると、桃がいつもの納豆頭で登場した。
「ごめんごめん!歌姫がうるさくて遅れちゃった!」
「いえいえ!」
「全然待ってないっスよ!」
「あと少しで汐梨の奇行が始まるところだったぞ。」
「やかましいわ、このアホ‼︎」
「それじゃあ行こっか!」
「「はい!」」
それにしても、この女はなんで髪型を藁納豆にしたのだろうか?縛りか何かか?それとも現代で流行っているいるのか?何度考えても不明である。
その事で頭を巡らせていると、
「着いたよ〜。ここが今回任務する少年院ね。」
「「おお〜!」」
何やら不気味な建物に到着した。石?のような硬い何か*1で作られており、窓と思われる場所は割れている。更にはところどころに蜘蛛の巣が。敷地内も雑草が生い茂っており、とても今現在人が住んでいるとは思えなかった。
「なんだここは?」
「少年院の跡地ね。悪いことした子供を更生のために入れるとこ。」
「そうか。汐梨の昔の家か。」
「誰が悪ガキや⁉︎アンタの方が相応しいやろ‼︎」
どうやら実際には住んでない様子。流石に人が今いる場所で戦闘する、なんてことはないか。
「今回倒す呪霊は2級って言われてるんだけど、もしかしたら1級かもって噂があるよ。だから気をつけて。特に新田君。」
「は、はい!分かりました!でも、汐梨ちゃんは大丈夫なんです?」
「ウチ1級術師やから、1級呪霊でも大丈夫やで!」
「ホンマに⁉︎汐梨ちゃん強いんや!」
「えへへ………///」
そして、今回はどうやら強いようだ。ただ、汐梨ならなんとかなる様子。現代はそこまで強い呪いは居ないのか?あと汐梨、褒められて照れるな。
「それじゃあ行くよ!闇より出でて闇より黒く、その穢れを禊ぎ祓え。」
「帳ってなんかエッチですよね!ラブホとかにありそうちゃいます?」
「言っとる場合か!」
それはさておき、私たちは帳を下ろし、中へと入ったのだった。
中に入ると、そこは薄気味悪い空間が広がっていた。
「えらい不気味ですねぇ、新君、桃ちゃん先輩。」
「安心しろ。貴様の奇行の方が不気味だ。」
「やかましいわ‼︎呪いの前でタマ蹴るで!」
「それをしたら貴様も死ぬぞ‼︎」
「あっ、ホンマや!」
「本当に貴様は頭が悪いな‼︎」
「2人とも仲ええな〜。」
「仲良くないぞ‼︎」
「仲良うないわ!」
「お〜、息ぴったり………」
ところどころに
「ん⁉︎」
「「どしたん⁉︎」」
「どうしたの、裏梅⁉︎」
そんな事を思ってたら、とても身に覚えのある気配を察知した。これは………宿儺様⁉︎嘘だろ⁉︎まさかここに⁉︎しかしおかしい。何故ならあのお方はこんなに弱くないからだ。とすると、まさか指の1本か⁉︎これは一大事だ‼︎下手したら他の呪いに取り込まれているかも‼︎
「貴様ら、
「ホンマに⁉︎」
「平安時代の術師やから分かるんかな?」
「ありがとう、裏梅。皆、とりあえずあっち行くよ!」
「「はい!」」
とりあえず、この目で確かめなければ‼︎貴方様の気配を‼︎
そして、我々が辿り着いた先には…………
「うぅぅぅぅぅぅ…………」
ぎょろぎょろ目玉に歯が丸出しの不気味な笑顔をした、筋骨隆々な二足歩行の呪いがいた。気配からするに、宿儺様の指が取り込まれているのだろう。なんて無礼な輩だ。
「いた!彼奴だ!」
「ザ・呪いって顔やな!」
「なぁ、桃ちゃん先輩………あれホンマに1級です?」
「………怪しいかも。多分………特級………」
「「えっ⁉︎」」
そして、恐らく汐梨より強い。もし此奴が無理そうなら、身体の主導権を奪って倒すしかあるまい。
「あぁぁぁぁぁぁあ‼︎」
そんな事を思っていたら、呪いが衝撃波を放った。凄まじい威力だ。
「氷凝呪法
「汐梨ちゃん、大丈夫かいな⁉︎」
「うく………っ!押される………っ‼︎」
汐梨が氷壁で壁を作り、防ごうとするが………呪力差で押されている‼︎
「私が上から倒す!
「あぁぁぁぁぁ‼︎」
「くっそ!そう簡単にかき消すなよ!」
桃が上空に上がり、箒で風を起こして攻撃するも、相手に衝撃波を出され簡単に打ち消される………どころか桃にまで攻撃が到達しそうだった。
「桃ちゃん先輩‼︎」
「大丈夫‼︎私は避けられるから!それより汐梨ちゃんはそここら攻撃してみて!新田君は私らが怪我した時に運べるよう、後方待機!あと裏梅君、もし汐梨ちゃんが無理そうなら代わって!」
「「はい!」」
「分かった。」
そして、空中から指示を飛ばす桃。意外にも的確に指示を飛ばしているな。ここに呼ばれた理由が分かった。
「氷凝呪法 霜凪‼︎」
「ぎゃぁぁぁあ!」
そして、呪いが上空の桃に視線をやっている時に、床から霜凪。効果は可もなく不可もなく。
「やっぱこいつ強いわ!ウチの攻撃、あんまり効いてへん!」
「そうだな。どうする、汐梨?」
本人もそれを分かっている様子。もしかしたら、私に代わるかもな。実際に、私なら此奴相手に勝てる。汐梨は私の強さを知らないだろうが、桃の指示を聞いて代わるはず………
「なぁ裏梅。あの呪いってちんちん付いとるん?」
「は?」
この女は何を言ってるんだ?
「あの呪いってちんちん付いとるん?」
「2度も言うな、馬鹿女‼︎」
「聞こえてないんかと思った。」
「貴様はこの期に及んで何を言ってるんだ、って意味だ‼︎」
「男ってちんちんって明確な弱点を抱える縛りによって、力を底上げしとるんやろ?」
「違う‼︎ただの生物的な機能だ‼︎」
「相手が男の呪詛師なら、基本股間狙いなんやけどなぁ。」
「下劣過ぎるだろうが、貴様‼︎」
だからすぐ金玉蹴ってくるのかよ‼︎というか普通、強敵を目の前にしてこんな
「とりあえず、アンタは分からんってことやな。」
「分かるわけないだろう‼︎」
「ほなええわ。あの呪いは二足歩行。試してみる価値は………あるで‼︎氷凝呪法
そう言って、阿婆擦れは呪いの地面に直瀑を発動。この技は地面から出現させて相手の動きを封じるのに使うんだが………奴のは足元だけでなく、股間の下にも氷が集中している‼︎しかも非常に鋭利‼︎なんて極悪なんだ、この女は⁉︎
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ‼︎」
そして、股間下の氷が見事呪いに刺さった。見ているだけで非常に痛そうだが………呪いだから、流石に付いてないのか、思っているほど効果は薄いようだ。
「くっ………!やはりコイツ特級です!抑えるのがしんどい‼︎」
「やっぱりそうなんだ。了解!私が攻撃してみる!付喪操術 鎌異断‼︎」
「ぎゃあぁぁぁぁぁ‼︎」
「やっぱり私じゃ威力不足か………っ‼︎」
桃は火力不足、新は支援特化の術式、汐梨もいっぱいいっぱい。これはもう、私が出るしかないな………
「ほんなら僕、ええ方法知ってます!」
「「えっ⁉︎」」
「新田君、本当⁉︎どんなの⁉︎」
ここにきて新田だとっ⁉︎
「僕の術式は、手で触れた部分の状態をそのままにすることです。普通は怪我の状態維持に使いますが………」
確かに、聞くだけなら支援特化の術式。負傷者を安全に後方へ運ぶことが目的だ。だが、それの応用………
「2個の物にまとめて触れれば、それらの接着状態を維持………つまり2つの物体をくっつけることができます!」
「「おお!」」
「なんか時間停止モノみたいやな!」
「口を慎め、阿婆擦れ‼︎」
そうきたか!固定した状態を保つ、つまりはくっつけたままにする。だから………
「ただ、僕は2級………あんま期待せんといて下さいよ!」
呪いと氷をくっつけたままにして、離せなくすることが可能‼︎
「呪いさん……アンタはそこで大人しくしとって!」
「ぎゃぁぁぁぁあ!」
「あんま無理せんとって、新君‼︎」
「衝撃波かいな!痛っ‼︎」
「新君⁉︎」
「大丈夫や!自分の怪我も、悪化させへん‼︎」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
こうして新は次々と呪いの足元とそれを固定する氷に次々と術式をかけ、その部分を固定。更には床と氷にも術式を施すことにより、完全な固定を実現。これならば、汐梨が攻撃に集中できる‼︎
「ありがとう、新田君!」
「あとはウチと桃ちゃん先輩でやったる!」
「頼んだで!」
「ほんなら、氷凝………」
「待って、汐梨ちゃん。ここは氷と風の合わせ技で行こう!」
「合わせ技………分かりました!」
そして、2人の合わせ技…………
「氷凝呪法………」
「付喪操術………」
「「霜凪 鎌異断‼︎」」
汐梨が氷を飛ばし、それを桃の風で呪いに吹きつける。2人の呪力の合わせ技は、見事呪いに突き刺さり………
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
綺麗に祓うことに成功したのだった。
「嘘やろ………特級、倒してもうた………」
「「やったぁぁぁぁぁぁあ‼︎」」
そして、宿儺様の指も無事回収。大団円な結末となっ………
「なんかこの指、爪長いな。やらしい事するのに不向きやで!」
「貴様………っ‼︎」
たのだが、汐梨に殺意が湧いたのだった。