裏梅視点
私と汐梨は開始早々、西へと向かった。桃曰く分担して呪霊を探す、とのこと。まあ妥当な戦略だろう。ただ………
「よぉ、天才1年。早く八ツ橋寄越せ!」
「あっ、おっぱいちゃんやん!」
それは相手も同じ。私たちは早速東京校の人に
「いきなり人のことを乳呼ばわり〜?なになに〜、そんなに私の胸が欲しいか〜?」
「うん、むっちゃ欲しい‼︎それで狙いの子をオトすからな!」
「それやっても変態しか寄ってこねえだろ!」
「それはそれで………アリやな♪」ジュルリ
「うわっ、キモっ‼︎」
そして、いきなりの猥談。流石汐梨だ。開始早々相手に精神的攻撃を与える。ついでに私にも精神的攻撃を与える。こんなのの相手をしなければならない奴が可哀想だな。私が同調してあげよう。
「仕方ない。此奴は類い稀なる阿婆擦れだからな。貴様の気持ちも分かる。」
「うわっ、宿儺みたいになんか出てきたっ⁉︎」
「おい裏梅!出てくるな言うたやんけ!またタマ蹴られたいん⁉︎」
「だからそれだけはやめろ‼︎」
「何、コイツ………?」
「裏梅言うてな、ウチの身体に勝手に受肉してきた平安時代の男や。ホンマキモいやろ?」
「お互い様って言葉、知ってるか?」
「「あぁ⁉︎」」
同調した私が馬鹿だった。ふざけるなよ、この女‼︎私だって勝手に受肉した訳ではないのだぞ⁉︎こんな阿婆擦れに受肉するって聞いていたら、私は絶対に断ったのに‼︎
「まあいいや。1級だかなんだか知らねえが、この野薔薇様の凄さを教えてやるよ!」
「望むところや、野薔薇ちゃん‼︎この新田汐梨の実力、見せたる!」
「勝手に新と結婚するな‼︎貴様の苗字は氷見だろう⁉︎」
まあいい。ひとまず此奴らの戦いを見るとしよう。
「氷凝呪法 直瀑・
「おいおい、どうした⁉︎全然違うとこいってるぞ‼︎」
「分かってへんな〜、野薔薇ちゃん。ウチらは今から勝負するんやで………」
最初は汐梨の攻撃………なのだが、薄い直瀑を、何故か全然関係ないところで発生させた。これだとただ別の場所に氷の膜を張っただけだが………此奴、何を考えている…………?
「スケートでな‼︎」
は?
「あ、裏梅は分からんやろな。スケートっちゅうんは、氷の上で踊る舞みたいなもんや!綺麗に踊れた方が勝ちって決まりやで!」
「ふざけている場合か、貴様⁉︎」
この女は頭がおかしいのか⁉︎踊りで勝負する⁉︎今呪術の交流戦中だぞ⁉︎相手もそんなこと認めるわけないだろ!
「いいじゃねえか‼︎東北の舞姫と呼ばれた私の実力、見せてやんよ‼︎」
「お前ものるなぁぁぁぁぁぁ⁉︎」
「なぁ裏梅、ウチらの本業はこっちやで?」
「平安の古びた脳みそじゃ分からねえのかもな。」
「そんなわけあるか‼︎大人しく呪術をしろ‼︎」
なんで2人とも馬鹿なんだよ⁉︎完全に遊んでるだけじゃないか‼︎歌姫、頼むから此奴らを叱ってくれ‼︎
「それじゃあ先攻は私な!」
「いいん、野薔薇ちゃん?」
「ああ…………大丈夫だ‼︎」
ということで、馬鹿2人による
「あっ………」ツルッ、バタン‼︎
すぐに足を滑らせて転んだ。
「貴様、東北の舞姫はどうした?」
「頭の中では浮かんでたんだよ‼︎私が華麗に踊る姿が‼︎」
「頭の中で出来ても駄目だろう⁉︎」
此奴、自信満々に宣言した割にこれか⁉︎本当にどうしようもないな‼︎意外と知能が汐梨に近いのでは………?
「次はウチの番やな!」
「私みたいにとっととこけろ‼︎」
「その通りだ。早くこの茶番を終わらせてくれ。」
まあいいや。とりあえず次は汐梨。どうせ此奴も踊れないのだろうな………
「………あかん。滑られへん。」
と思ったら、まさかの氷を前にして立ち止まった。
「何をしている、貴様?」
「私が転んだのを見て怖気付いたのか⁉︎」
「ちゃう。」
急に怖くなったか。それとも冷静になったか、あるいはやる事を思い出したか。いや、それとも…………
「靴があかん。この靴ブレード付いてへん。」
「「そこ⁉︎」」
なんでだよ⁉︎靴の問題ではないだろ⁉︎というかそもそも滑るな!普通にやれ!
「貴様についてないのは常識だ‼︎」
「ブレードの無い靴で滑るなんて、スケート選手として失格や……」
「貴様は呪術師だろ‼︎」
「つーか、私は普通の靴でやったんだぞ‼︎だからお前もやれ!」
「いや、やらなくていい……」
「しゃーないな。ほなやったるわ。」
「やらなくていいだろ‼︎」
しかも仕方なしで茶番を続けるな‼︎なんなんだこの馬鹿どもは‼︎いい加減にしてくれ‼︎とりあえず、さっさと転んで無様を晒してくれ‼︎
そう思っていたのだが…………
「はぁ⁉︎お前めちゃくちゃ滑れるじゃん‼︎マジ⁉︎」
「ウチはスケートやりたくて、この術式に目覚めたからな。」
「嘘でしょ⁉︎」
この女、普通に滑れるだと⁉︎しかもめちゃくちゃ速く動くし、ぐるぐる回るから………
「貴様、それ以上動くなぁぁぁぁぁ⁉︎」
「裏梅、黙っとって。今から3回転アクセル飛ぶんやから。」
「吐くぅぅぅぅぅぅ‼︎」
糞気持ち悪い!完全に酔った、吐きそうだ‼︎速すぎるし頭おかしくなってるから、反転術式が上手く使えん!まずい、出るぅぅぅぅぅぅぅ‼︎
「よっと♪」
「おお!3回転アクセル‼︎」
「おぇぇぇぇぇぇ‼︎」
「と、3回転吐瀉物………」
ということで、私はゲロを3回転ぶちまけたのであった…………
反転術式で酔いを治した後、私と汐梨はお互いを問い詰めた。
「貴様、呪術そっちのけで遊びやがって‼︎おかげで気持ち悪かったんだぞ‼︎」
「アンタこそふざけんなや!服にゲロかかって最悪なんやけど⁉︎まだ野薔薇ちゃんの性癖も聞いてないんやで⁉︎」
「仕方ないだろ‼︎あれだけ速く飛んだり回ったりするとは思わないし‼︎あと最後のは関係ない‼︎」
「自分のこと強いって思うんなら、それくらい何とかせえや‼︎」
「お前ら、お似合いだな♪」
「野薔薇ぁぁぁぁぁぁ‼︎」
「そんな訳ないやろぉぉぉぉぉぉ‼︎」
本当に最悪だ。こんな思いをするのなら、この時代に受肉しなければよかった。羂索め、次会った時は覚えていろよ‼︎絶対に貴様を