環太平洋機構召喚 【リメイク前:自由連合召喚】   作:短号司令官

11 / 17
戦端 再び開く

 

フェン王国での出来事に、日本を含む6カ国は何とかパーパルディア皇国についての情報収集を急いでいた。

既にパーパルディア皇国についての情報は断片的に入ってきており、政府は外務省を通じて自国民に向けてフェンを含めたフィルアデス大陸への渡航禁止処置を通達し、事実上観光客はフィルアデス大陸へは許可なしには渡航は出来なくなった。

 

勿論、今回の措置について反発も大きかったが各政府は自国民を守るための最大限の処置と説明し、アマノキで発生した襲撃事件の内容と日報の公開に踏み切った事で、フィルアデス大陸の情勢不安について理解を得られた事で事態は直ぐに収束した。

 

しかしこれだけでは国防という意味での処置はまだ不十分なため、政府は外交努力でパーパルディアへの対話を求める努力も行ってはいるものの、元々列強と言う事でプライドの高いパーパルディアとの交渉は難航している。

 

 

中央歴1640年 1月下旬

 

合衆国 ホワイトハウス

 

まだ溶ける気配の無い雪の積もったサウスローンを暖房の効いた部屋から眺めながらルーズベルト大統領は補佐官よりパーパルディア皇国に対する情報を聞いていた。

 

「ーなおこれらの統計から仮に皇国と戦端を開いた場合、日本帝国…いやカナダだけでも勝てると国防総省の見立てが立てられています」

 

ルーズベルト「補佐官、内容はよく分かった。それで?彼らの我々に対する態度というのは?」

 

補佐官の顔を一瞥してデスクに腰掛ける。補佐官は何処か気まずそうな顔で答えた。

 

「相変わらず傲慢な態度で接しており"文明圏外の国家など論外である"と」

 

ルーズベルト「ハァ…連中は何を考えているんだ?昨年我々が彼らの艦隊を壊滅させたのを知っている筈だ。何故だ?」

 

「周辺諸国、およびロウリア王国から収集した情報によりますと政府組織の構造に難があると。それによって何処かでその情報が揉み消されたのだと思います」

 

ルーズベルト「…中世期程度の知識しか持たぬ連中からすればそれが最善なんだろうな……バカバカしい…」

 

直後、外交官が飛び込んで持ってきた宣戦布告の報告を受けてルーズベルトは怒りを通り越して呆れ返るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

中央暦1640年 1月28日 早朝 

 

フェン王国には現在多数の外交官の他、渡航禁止令発表前に訪れていた観光客がおり、6ヵ国は退避と保護を理由にそれぞれ艦隊を派遣していた。

 

「しかしなぁ…よく分からん」

 

「はぁ?」

 

派遣された艦隊に含まれる『第四航空戦隊』の旗艦:雲龍の艦上で角田覚治はふと呟いた。

 

「分からない…と言いますと?」

 

角田「いやな、連中は確かに我々のこの様相を信じてはいまい。だとしてもだ。去年の戦闘でお仲間が丸ごとやられとる、それなのに何故こうも奴らは"さぁ殺してくれ!"と言わんばかりに進んで来るんだ?」

 

彼が言っているのは先程から報告される敵の侵攻に関する情報なのだが、全く物怖じするー最低限の警戒監視は行っているー様子もなく堂々とフェンに向かって進んで来る様を聞いて首を傾げていた。

 

「さぁ何故でしょう?もしかしたら何処かでその情報が消されたとか?」

 

角田「だとしたら連中相当なお花畑じゃあないのか?奴さんの現在位置は?」

 

「ハッ現在フェン沖30km地点にまで接近との報告があります。間も無く第一次攻撃隊が接触すると思われます」

 

 

 

 

同じ頃

 

フェン王国ニシノミヤコ沖、30㎞の海上をパーパルディア皇国軍フェン王国派遣軍所属の竜母艦隊がフェン王国侵攻のための陸戦部隊と皇国軍大艦隊の前衛として展開しており、常時警戒のための竜騎士を飛ばしていた。 

 

「竜騎士長!」

 

「はっ!」 

 

竜母艦隊副司令の『アルモス』は、横に居た竜騎士長に話しかける。

 

アルモス「我が偉大なる皇軍は強いッ!」

 

「存じております!」

 

アルモス「何故に強いと思う?」

 

「総合力です!」

 

アルモス「その通り!だが、我々が他国より圧倒的できる戦列艦もさることながら、その中核となる竜母艦隊が居るから強いのだ!戦列艦より長距離での攻撃が出来、制空権を獲得できるからこそだと私は考えている」

 

「私もそう考えております!」

 

回りの竜母に比べて、耐弾性を優先し対魔弾鉄鋼式装甲と呼ばれる特殊装甲が施されている分、巨大なため圧倒的な存在感を見せつける。

 

 

だが、それらは全て次の瞬間には全て無意味と化すのだった。

 

 

艦隊の遥か上空、一群の戦爆部隊が彼らを眼下に捉えた。

 

米兵「居たぜ、呑気なネズミがゴロゴロとなぁ‼︎」

 

日帝兵「全機臆するな!連中はただの帆船だ、演習の的だと思えば大した事は無い!」

 

爆撃隊は機首を葬るべき相手へと振り向けると速度を上げる代わりに徐々に高度を下げていった。

 

「……!敵騎視認‼︎真っ直ぐこちらに向かってくるぞぉぉ‼︎」

 

見張員の大声に、アルモス達は空を見ると太陽の光で輝いていた無数の敵騎が艦隊に急向かって降下を開始していた。

 

飛来した艦爆彗星とSBDはそれぞれ爆弾倉から吊下した250kg爆弾を竜母とそれを守るように配置された護衛の砲艦に対して投下。

炸裂した航空爆弾は甲板を突き破り、内部で信管を作動させて爆発で生じたエネルギーと炎をコンマ数秒で船全体へと行き渡らせ反撃させる隙も与えずに廃材へと変えた。

 

アルモス「な……何が…⁉︎」

 

彼は次の瞬間、現れた敵の情報を精査する猶予もないまま『ミール』と共に五臓六腑を海へとぶち撒けるのだった。

 

 

「あーあー…派手にやっちゃってまぁー…」

 

その様子を上空から見ていたRF-14Jのパイロットは若干引いていた。

 

「どうします?まだ後方に敵の上陸船団が」

 

「無論、それもやるさ。ゴッドアイよりムーンベース。敵前衛の壊滅を確認。作戦は第二段階発動可能、送レ」

 

『ムーンベースよりゴッドアイ。貴編隊は指示あるまで最終目標の監視を続行、撤退行動が確認されたら直ちに報告すること。送レ』

 

「ゴッドアイ、了解」

 

女性管制官とのやりとりの後、彼は編隊を引き連れて機首を南側へと向けて飛んでいった。

 

 

 

一方で、報告を受けた航空護衛艦(しょうかく)《CV-04》の甲板上は慌ただしくなり、駐機された機体F-14J改S型にASM-1Cの取り付けを急いでいた。

 

直後、準備を整えてカタパルトにスタンバイしていた一機が大空へと打ち出されていった。

 

「しかしまぁよくもこんなお古を使うもんだよ海自(うち)は」

 

コックピットグラス越しに彼:沢木辰郎は航行する《しょうかく》に目をやった。

 

「まぁ物持ちがいいって言いますし」

 

彼らの乗艦《しょうかく》と乗機《F-14J改S型》は統一戦争後かなり複雑な経緯を経て誕生していた。

 

 

 

 


 

 

 

統一戦争後、自衛隊と政府は《やまと》《きい》《おわり》を退役させる方向で調整する中でアメリカからの待ったを受けた。

それと言うのも、統一戦争において《インディペンデンス》《エンタープライズ》《ニミッツ》《エイブラハム・リンカーン》からなる四個空母戦闘群に北方四島に展開していた海兵隊も含めて膨大な数の死者と損害を受けたのだから当然で、直近の湾岸戦争でも空母:ミッドウェイを失う《ミッドウェイショック》からようやく立ち直った矢先のこれだ。

 

海軍の戦力立て直しには最低でも10年は必要だという見立てを前にアメリカはプライドも何もかもかなぐり捨てて極東の安全を日本に任せる代わりに三隻の退役を見送って欲しいと懇願された。

 

確かに一連の戦いによって受けた損害の半分以上がアメリカである事に間違いはなく、極東における軍事プレゼンスの低下は著しかった。

 

またここで戦前からここまで活躍してきた三隻を退役させては中国や北朝鮮に誤ったメッセージを送りかねないと韓国と台湾からも土下座に近い形で警告と懇願を受けた。

 

これを受けた自衛隊と日本政府は三隻と一部護衛艦、装備の退役の延期を決定。

その内に《しょうかく型》も含まれていた。

この発表に対して国内で特に反対する勢力は殆ど無いに等しかった。

 

 

それと言うのも、南北統一後半年の間に左派や共産党等の反日勢力と《あちら側》の繋がりを示す証拠が豊原の政府庁舎から発見された事により、警視庁と公安が全国で一斉検挙を行った。

その結果多少残りはしたが、その殆どは組織的活動をするほどの財力や力も失い国民から白い目で見られ、新たな宿主の下に向かって出国していくのだった。

 

 

話を戻して、退役が延期された艦は速やかにドッグ入りすると共に延命措置を兼ねた改装を受けた。

 

《やまと》以下三隻は船殻を含む装甲をチタンを鋳れ込んだ複合装甲に入れ替える作業が行われた。

特に《きい》と《おわり》は元々魚雷を60本以上受けても尚沈まないほど頑丈なのにさらに防御が硬くなる事に国内のマニア達からは驚愕の声が上がった。

 

《しょうかく型》二隻は機関の換装とカタパルトを《ほうしょう型》と同じ電磁カタパルトを搭載する作業が進められた。

 

 

次に彼らが手をつけたのは《F-14Jの改装》についてだった。

 

これについては前々から改装に関する計画が持ち上がっていたが具体的な内容を決めるには至っていなかった。

そこで防衛省は開発元であるグラマン社に情報提供を依頼、彼らが提示した内容にあった《スーパートムキャット》に関する情報に強い関心を示した防衛省はこれをベースに計画をスタートさせる。

 

そして紆余曲折を経て完成したのが《F-14J改S型》であった。

 

機体のデザインそのものは変わっていないものの、大きく変化した点は以下の三つがある。

 

一つ目に主翼の材質に炭素系複合材を使った事により一体成形での製造が可能となった事。

 

二つ目にエンジンプラット・アンド・ホイットニー製のF119-PW-100を日本が独自に改良し、搭載可能にした新型高性能エンジンを搭載*1。ノズル形状も平形化。

 

三つ目にアビオニクスは《F-15E》のものをベースに大幅な改造を施した新型アビオニクスを搭載し、国産のフェーズド・アレイ・レーダーを装備している。

 

他にもステルス性の付与や航続距離の延長、整備性の改善など様々な改良が施された結果誕生したのが本機である。

 

そして配備が始まり、同年代アメリカが実用化した世界で二番目のステルス機F-22との模擬空戦をしたパイロットからは様々な感想が述べられたが特に下記の二つが有名である。

 

 

「トムキャットがモンスターキャットになっちまった」

 

「猫に追いかけられるネズミの気持ちがよく分かった」

 

 

そんなエピソードもあり、本機は『世界最強の第4.5世代機』と呼ばれている。

 

 

 

 


 

 

 

発艦したF-14J改S型ー以降F-14JSーのハードポイントには二発ずつASM-1Cが吊下されており、発艦機数はおよそ20機。

 

 

『全機、高度下げ!アタックポジション!』

 

高度を下げた先行するF-14JSは海面高度スレスレの超低空飛行に移り、編隊を組む。

機首に装備されているレーダーが、敵竜母艦隊を捉え、指揮官機が指示を下す。

 

『アタックリーダーより各機へ!敵艦隊ロック!攻撃用意!』

 

レーダーと上空に展開したAWACSからの情報を基にミサイルの発射態勢を整え、パイロットはトリガーに指が掛ける。

 

『全機、Fox-3、ファイア‼︎』

 

胴体部のステーションからASM-1Cが切り離される。

20機のF-14JSから放たれた40発のASM-1Cは直ぐにターボジェットエンジンによる低空飛行に入り、敵本隊へと突き進んでいく。

 

 

 

少し前

 

フェン王国 ニシノミヤコ沖

パーパルディア皇国フェン王国派遣軍艦隊旗艦『パール』

 

 

「竜母艦隊が壊滅⁉︎何かの間違いじゃないのか?」

 

「いえ!偵察に向かった砲艦からの報告では、現場海域には竜母と護衛の戦列艦は存在せず、生存者も確認できなかったとの事です。」

 

「馬鹿な……」

 

派遣軍司令の『シウス』は、竜母艦隊の壊滅の報を聞き、迷っていた。

 

シウス(何が起きてるんだ?竜母艦隊が何の報告もなしに突然壊滅した…………何処の誰からの攻撃なんだ?)

 

この時、彼には敵の正体を正確に把握できずにいた。

彼らが生き残る最後のチャンスがあったとしたなら、このタイミングでだった。

 

「閣下…どうしますか?」

 

シウス「……作戦は続行だ。このままフェンを目指す!」

 

 

それから30分程経過した頃、見張り員の声がパールに響いた。

 

「閣下!前方より高速の飛翔物体が接近!」

 

シウス「何っ⁉︎」

 

見張からの報告に、シウスは一気に飛び上がるように座っていた椅子から立ちあがり、前方を見る。

 

シウス「何だあれは…?」

 

海面スレスレの超低空飛行をする飛翔物体が迫ってくるのが見えてくる。彼の長年の勘が警鐘を激しく鳴らし、本能的に指示を下す。

 

シウス「全艦、回避だ‼︎早くしろ‼︎」

 

その命令に水兵達は急いで艦を回頭させ、別の艦も合わせるように回避行動を取ろうと動き出す。

だが接近してきたソレは、それよりも早く数秒後には100門級と50門級戦列艦に直撃。

 

「戦列艦ロプーレ、ミシュラ、シレーン、クション、パーズ轟沈‼︎あぁ、エルフェンも轟沈!」

  

突然、自軍の戦列艦が瞬く間に6隻も轟沈、シウスは慌てふためく。

 

シウス「何だ……何が起きたのだ⁉︎」

 

「分かりません!友軍艦が爆発したとしか!」

  

艦隊を襲ったのはF-14JSから放たれたASM-1Cによる飽和攻撃であり、放たれた40発のミサイルは瞬く間に戦列艦と砲艦20隻を葬り去り、パーパルディア艦隊を混乱に陥れた。

 

シウス「い……一体……」

 

辺りを見回して呟いた直後、彼は身体に一瞬だが強烈な閃光と熱風を感じる。そして次の瞬間には意識は暗転し彼は『パール』と運命を共に。

その後護衛を失った陸戦隊は後からやってきた護衛艦《おわり》と他の艦隊によって拿捕された。

 

この戦いは6ヵ国の圧勝、皇国軍はフェン王国派遣艦隊全滅、海軍は保有する戦力の1/3を陸軍は18万人の捕虜を出すという史上希に見る結果となった。

 

 

 

 

 

 

*1
これによりスーパークルーズ能力も得る事になる。






アメリカ(征途)
あれだけの被害が出ててそうすぐホイホイと海軍力の再建は難しい。
征途世界のアメリカがどうなってるかは分かりませんが

ステルス機
FV-2が統一戦争時点で実戦配備済み→統一戦争は1994
F-22の初飛行は1997(YF-22は1990)
征途世界の軍事技術の進歩がどうなってるかは分かりませんが、少なくとも某碧の艦隊みたいに数十年前倒しみたいな感じにはなってなさそうなのでFV-2が初の実用ステルス戦闘機という事に。

F-14J改S型
本作では前作に登場したF-2やF-3の出番をオミットする代わりに両機に関するネタを本機に少し混ぜました。

電磁カタパルト
大分右往左往していましたが、《ほうしょう型》が通常動力で電磁カタパルトを使用している為動力部の問題は何かしらの解決ができたものと判断しました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。