環太平洋機構召喚 【リメイク前:自由連合召喚】   作:短号司令官

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今回から
本作の題名を『自由連合召喚』から『環太平洋機構召喚』に変更致します。



対グラ・バルカス帝国
暗雲


 

日本より、西へ約20000㎞の位置。

フィルアデス大陸、第1文明圏中央世界、ムー大陸の3つの陸地を隔てた先にあるポツンと存在する国家がある。

 

 

その国家の名は『グラ・バルカス帝国』(第8帝国)

 

 

連合軍各国がこの世界に来る以前に別の世界からやって来た転移国家である。

ここ数年で、この世界における西方地域のほぼ全てを圧倒的な技術力で形成された軍事力を使って征服し、今や世界に混乱をきたす国家として認識されている。

 

その帝国の首都『ラグナ』を中央に聳え立つ城の最上階から、見つめる一人の男が居た。

 

「この世界は我に何を求める?」 

 

帝王『グラルークス』は、今まで起きた事を振り替える。

 

かつて故郷の星であるユグドと言う惑星で、ライバル国家である『ケイン神王国』と戦争をしていたグラ・バルカス帝国は、ある日に国ごと全く別の惑星に転移し、混乱から立ち直った時に起きた、パガンダ王国による皇族の殺害事件。

それに端を発するパガンダ王国と、それを保護するレイフォルとの戦争で圧倒的な勝利を得た帝国は、今や無敵と言っても差し支えない程の軍事力を背景に、この世界を統治するという野望を実行に移しつつある。

 

グラルークス「全く面白き世界よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中央歴1640年8月15日

 

ここ、神聖ミリシアル帝国の先進11ヶ国会議が行われる港町カルトアルパスでは、会議に参加する各国の代表を乗せた数ヶ国の船が停泊しており、後に続くように、次々と各国の船が入港してくる。

 

 

カルトアルパスにある港湾管理局の庁舎内では入港予定の船の情報を基に、責任者の『ブロンズ』が各部署に指示を伝達していた。

 

 

「第1文明圏のトルキア王国軍が到着しました。」

 

ブロンズ「了解、第1文明圏エリアに誘導せよ。」

 

港に到着する各国の船は港湾管理局の職員によって的確に誘導されていく。 

 

ブロンズ「しかし、今年もお祭り騒ぎだな。」

 

彼は大の船マニアである。

この会議では各国は会議に参列する代表を護衛する目的で最新鋭の軍艦を派遣してくるため、彼にとっては各国の最新鋭艦を直接目にする貴重な機会なのである。

 

 

「さて、次はお楽しみのグラ・バルカスと…PRTOだったか…?の軍艦の入港だな」

 

 

今年から会議に参加する環太平洋条約機構(PRTO)とグラ・バルカスがどんな軍艦を送り込んでくるのか、彼は昨日から楽しみだった。

両者とも2つの列強を一年のうちに下しているため、どのような軍事力を持っているのか、どのような軍艦を保有しているのかが気になってしょうがなかった。

 

「ブロンズ部長!」

 

ブロンズ「どうした?」

 

「グラ・バルカス帝国の船が到着しました…!!」

 

慌てた様子で入ってきた職員の様子に只事ではないと感じたブロンズは視線を沖に向ける。

 

ブロンズ「あれは………」

 

最初に到着したグラ・バルカス帝国は、大型の超弩級戦艦1と巡洋艦2、駆逐艦3を引き連れてやって来た。

だが港の規模の関係から、戦艦だけが入港し護衛の艦は湾外で待機する事となった。

 

「次、環太平洋条約機構が到着!戦艦9、巡洋艦7、空母10、駆逐艦多数、以上!」

 

最後に入港してきたPRTOの数は参加国単体としては最多の数だった。

 

海自は『きい』と『やまと』を筆頭に『しょうかく』『ひりゅう』の新旧航空護衛艦と『こんごう』と『いぶき』の2隻のイージス艦と多数の汎用護衛艦

 

日本海軍は『駿河』と『笠置』、最新鋭艦『敷島』の他、空母『海鳳』とアングルドデッキを施した『雲龍』と多数の艦艇

 

アメリカ海軍は『アイオワ』に『モンタナ』、SCB-125改装*1を施した『ランドルフ』と『バンカーヒル』、そしてニミッツ提督が提唱した初のアングルドデッキタイプの空母『ミッドウェイ』、他にもアラスカ級やボルチモア級を中核とする護衛艦艇が参加、

 

王立海軍は『キングジョージ5世』と「インフレキシブル」、空母「フォーミダブル」と多数の艦艇

 

最後のオーストラリア海軍は空母「エアーズロック」*2とホバート級と多数のフリゲート艦を要していた。

 

 

ブロンズ「くぅ~!!今年はいい年になりそうだな!」

  

数多くの戦艦にも見入ってしまったブロンズだったが、彼はこのとき知らなかった。

 

ここから数時間後、ミリシアルを…ひいてはこの世界に激震が走る程の大事件が起こる事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会議が始まった。

 

 

先ず最初に、今回から会議に参加する事となった自由連合、グラ・バルカス帝国の紹介が行われた後に、エモール王国から重大な発表があるとの報告が入る。

 

「先日、我が国で行われた空間占いで、驚きの結果が出た。今から4年から15年の間に古の魔法帝国…ラヴァナール帝国が出現する!」

 

「なんだと!」

 

「魔法帝国が!?」

 

「伝承が本当ならば、我らが抗する術はないぞ!!」

 

その言葉に会議場がざわつく。

かつてこの世界に伝説でしか残っていないラヴァナール帝国の出現は、この世界の国にとっては絶対に無視できない物である。

ただ異世界からやって来た自由連合の参加者達の頭には「?」が浮かんでいた。それでも只事ではないというのは感じとっていた。

 

詳しく説明を求めようと手を上げようとした時、突然グラ・バルカス帝国の使者が声を挙げながら笑う。

 

「フハハハハハハハハハ…神話を信じるなど流石蛮族ということか!」

 

「なに⁉︎」

 

「いや、これは失礼。占い如きでこんな反応するとは思わなくてね」

 

グラ・バルカス帝国のシエリアと名乗った女性は、各国を明らかに馬鹿にするような言葉を淡々と並べる。自由連合を除く各国の代表からヤジが飛ぶが、それにも意に介さずシエリアはその場で宣言する。

 

シエリア「グラ・バルカス帝国、皇帝グラ・ルークスの名において宣言する。我らに従え!」

 

そう言うと、シエリアとグラ・バルカス帝国使節団はそそくさと退室して行った。国際会議場で行われた、命令ともとれる従属宣言に議場は紛糾する。

 

 

前沢「とんでもない事になったな……」

 

太田「あぁ……グラ・バルカス帝国……何故あそこまで自信があるんだ?」

 

完全に蚊帳の外だった前沢らが話し合う。

 

キルソン「確かあの国は、ムー国からの話だと我々と同じ転移国家で、列強の1つを滅ぼしたらしい。それも戦艦による艦砲射撃で……」

 

ハワード「艦砲射撃……確か偵察衛星の写真で、あのコピーヤマトの戦艦がやったんだってな?」

 

前沢「はい。もしかしたらきいやおわりが今回の移動手段として選ばれたのは……グラ・バルカス帝国に対する威嚇も兼ねてるんでしょう…」

 

ハワード「これは只事じゃないぞ……」

 

彼の言葉が的中したのか、翌日の中央歴1642年4月23日

神聖ミリシアル帝国南西海域にて訓練中だったミリシアル海軍の第零式魔導艦隊が壊滅したとの報告であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

ミリシアル側の発表により、攻撃を仕掛けてきたのはグラ・バルカス帝国艦隊である事も同時に伝えられ、各国は今後の対応として、議場をカルトアルパスから別の町にある議場へと移る事が決定され、各国の代表は移動を開始する。

 

それと同時に、カルトアルパス港に停泊してきた各国の艦隊は、代表達が移動を終えるまでの間、侵攻してくるグラ・バルカス帝国からの攻撃からカルトアルパスを守るため、出撃準備を整えていく。

 

無論、PRTOも戦闘に成り行きで参加する事となった。

というのも政府が判断を下すより早く現場で指揮を取っていた角田司令が半ば独断に近い形で迎撃を指示し各国の指揮官もそれに同調し、各政府がこれを追認する形で承認する。

 

 

 

海鳳 戦闘指揮所

  

「司令、敵さんは何が目的なんでしょうかね?」

 

角田「恐らくは、ここに集まっている各国の艦隊とカルトアルパスを攻撃して、自分達の実力を見せつけるためのデモンストレーションをやらかす気だろう。」

 

幕僚の質問に彼は表情をしかめて答える。

 

「デモンストレーション………確かに聞こえは良いですが、少し派手ですな。ですが敵さんは、なぜ2群に分かれたまま、動いていないんでしょう?」

 

角田「2群の艦隊のうち、1方は空母を引き連れた空母機動艦隊、もう一方はあの大和擬きと金剛、長門擬きと多数の護衛艦を抱えた戦艦部隊………これは私の考えだが、敵は先ず空母機動艦隊から飛び立った航空部隊で我々に痛手を負わせてから、戦艦部隊による砲撃で葬る算段だろう。だがそうはいかんよ」

 

 

一同はここで敵艦隊を迎え撃ち、なるべく多くの損害を与えた後にグラ・バルカス帝国へ向けて警告を発する事を考え、PRTO艦隊は鈍足で沖へと向かう世界連合艦隊を追い抜き、前衛に出る。

 

 

一同はここで敵艦隊を迎え撃ち、なるべく多くの損害を与えた後にグラ・バルカス帝国へ向けて警告を発する事を考え、自由連合戦艦群は鈍足で沖へと向かう世界連合艦隊を追い抜き、前衛に出る。

 

 

 

やまと CIC

 

『警戒機が敵の航空機編隊を探知!南西方向よりカルトアルパスへと接近中!機数、およそ150!』

 

海軍戦術統合情報システム『LINK16』により、E2が捉えたレーダー情報はリアルタイムで、各艦に共有され、CICにあるメインスクリーンにも表示される。

 

伊藤「来たか………」

 

「艦長、敵航空機群は各艦の攻撃可能圏内に入っています。今ならミサイルでのアウトレンジ攻撃が可能ですが。」

 

伊藤「いや、ミサイルが勿体無い。ここはミリシアルとムーに相手の数を減らしてもらおう。敵の数がある程度減ったらミサイル攻撃を仕掛ける」

 

艦隊から直ぐ様、ムーとミリシアルに情報が伝えられ、各国からは戦闘機、飛竜が慌てて迎撃のため出撃していく。

 

伊藤「敵の航空機の速度を考えると、150機のうち護衛役の戦闘機が50機と少し、魚雷と爆弾を抱えた艦爆と艦攻が100機と言ったところだな。対してミリシアルの航空機は70機、ムーの部隊が30機、数の上ではどっこいだが…………」

 

戦場では、数もそうだが、質も物を言う。

いくら数が多くても、質で負けていればそれを覆される事はよくある。

 

唯一未確定なのはミリシアルの航空部隊である。魔法文明の為に国力が分からないが、ジェット機のような航空機は衛星で確認されていた。だがマグドラ群島沖の海戦の結果からあまり期待していなかったが、その予想はレーダーモニターを覗いて確信した。

 

伊藤「待て待て………これがミリシアルの航空部隊か?」

 

伊藤はディスプレイに映し出された情報に空いた口が塞がらなかった

 

「はい、時速400kmです」

 

伊藤「…これでジェット機なのか?」

 

「ええ、確か正式には…『魔光呪発式空気圧縮放射エンジン』…?とかだったはずです。燃料が違うだけで原理は同じだと思っていましたが…」

 

伊藤「…にしてはやけに遅いな……」

 

伊藤らがミリシアルの航空部隊について考察している時、レーダー員が言葉を発する。

 

「ミリシアル、ムー、ニグラートの混成航空部隊。空戦開始しました」

 

その言葉に、もう一度レーダーモニターに釘付けになるが、すぐにその顔は達観に変わる。

 

伊藤「なんてこった……レシプロ機より遅いジェット機なんて…1940年代の実験機ではあるまいし…」

 

「比較対象がムーのマリンだけだったから良かったのかもしれんが…ミリシアルは魔法帝国の打破を目指しているんだろう?」

 

伊藤「お荷物がまた増えたな」

 

彼のその言葉に、CICにいた全員が同感する。

 

両方の航空機部隊が接触し戦闘へと突入した様子はきい・やまと他護衛艦からも確認できた。

IFFが装備されていないため、スクリーン上では大量の光点が雑多に交わっているようにしか見えない。

 

 

きい CIC

 

「あぁ………どうやらムーとミリシアルの航空隊は全滅したようです」

 

有賀「全滅か……敵の数は?」

 

「ムーの航空隊とエモール龍騎士団が善戦したようで、敵航空機は現在80機程です」

 

有賀「よし!ムーとエモールの犠牲を無駄にするな。あきづきにミサイル攻撃を指示せよ!」

 

「了解!」

 

有賀からの命令は直ちにあきづき型打撃護衛艦アーセナルシップに通達され、あきづきからSM-2とSM-6ミサイルが同時に発射され、敵航空機群へと飛び去っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「ん?」

 

 

同じ頃、一番先頭に居たアンタレスのパイロットが、前方から黒い点のような物が真っ直ぐ飛んでくるのが見えた。 

 

「鳥か?」

 

一瞬そう思ったが、その予想は一瞬で砕かれた。

飛んできたのは、後ろから煙を吐きながら高速で飛翔する飛行物体だったのである。彼は急いで無線のストークボタンを押して、全機に指示を出す。

 

「いかん!全機回避っ!」

 

編隊は急いで機体を旋回させ回避しようとするが、回避が遅れたアンタレス数機に飛翔物体が直撃し、爆散した。

  

「何だと!?」

 

回避機動を行ったが、飛翔物体はまるで意思を持っているかのように軌道を変えて追い掛けてくる。

 

『うわぁ!追い掛けてくる!』

 

『来るな!来るな!』

 

『逃げられない!』

  

飛翔物体はアンタレス隊とシリウス隊、リゲル隊に次々と命中していく。機体は黒い煙と炎を吐きながら墜落するか、爆散していく。 

 

「何がどうなってるんだ!?」 

 

指揮官は訳が分からなかった。

いきなり現れた飛翔物体に、指揮下の飛行隊が次々とやられていくのを見て、帝国軍パイロットとしてのプライドが傷つけられる

 

 

あきづき

 

「スタンバイ……マークインターセプト!」 

 

数十秒後、SM-2とSM-6は全弾命中し、ほぼ同時にグラ・バルカス帝国の戦闘機と爆撃機、雷撃機を30機程を撃墜した。

 

『敵航空機群残存機、引き返していきます。』

 

「冷静な判断だな。敵航空隊の指揮官は引き際を心得ているようで助かったよ」

 

あきづき艦長の進藤浩二一佐は、ミサイル攻撃に驚いて、直ぐ様来た方角へと去っていく攻撃隊のを見る

 

進藤「敵艦隊の動きは?」

 

『敵空母機動部隊は後方に下がり、敵戦艦部隊は速力を上げてフォーク海峡入り口に到達します』

 

進藤「ま、攻撃隊がやられりゃそうなるわな。よぅし、後は後方の連中に任せて引くぞ」

 

『了』

 

進藤の命令であきづきは道を開けるように連合戦艦群の前からそそくさと立ち去っていった。

 

 

 

 

『きい』CDC

 

「あきづき退避行動に入ります。敵高速戦艦部隊、海峡入り口より突入してきます!」

 

有賀「奴さんやる気か…」

 

能村「前衛の日本海軍は上手くやってくれるといいのですが」

 

能村副長が不安げに答えるのに対して有賀は何処か自信ありげに言う。

 

有賀「心配は要らん、彼らは我々の先輩達だ。世界や歴史は多少違うにしてもうまくやってくれるさ」

 

彼らの言う日本艦隊は超大和型戦艦『敷島』と駿河型戦艦『駿河』の他妙義型巡洋戦艦『笠置』や鈴谷型巡洋艦が含まれるなどわりかし戦闘力は真新しかった。

 

 

戦艦敷島 艦橋

 

「しかしまさか、この私が新鋭艦を預かることになるとはな」

 

首からかけた双眼鏡で辺りを見回しながら『三川軍一』は傍らに立つ『五藤在知』に話しかけた。

 

五藤「確かに、あのフェンでの一件がここまで我々第八艦隊を変えることになるとは」

 

先のパーパルディア皇国との初戦とも言うべきフェン沖海戦での活躍と功績から三川軍一麾下の『第八艦隊』は内地では有名になっており昭和天皇からも直々に称賛の声を受けた事から上層部も扱いを変化させ新鋭艦艇の配備を彼らに優先させたのだった。

 

三川「しかし280mとは随分とデカいな…」

 

五藤「新型の51cm連装砲を四基八門、妥協の産物とはいえよくやってくれましたよ工廠の職人達は」

 

『水上電探に敵影を補足!す…凄い数です!戦艦9!空母3!他は巡洋艦と駆逐艦が多数居ます!』

 

報告を受けた艦橋内を緊張の二文字が支配するが、三川は冷静に聞き返した。

 

三川「電探室、我々が先に会敵するのはどの敵だ?」

 

『ハッ。おそらく前衛の金剛擬きと長門擬きで構成された部隊であります』

 

三川「そうか…」(それだけならまぁ…相手できんこともないが……)

 

少し考えて彼は即座に米艦隊との合流を要請するよう命令を出した。

 

 

 

 

「ほぅ、あのサムライ達からの要請か」

 

真新しいペンキの匂いが漂う戦艦モンタナのCDCに居たウィリス・A・リー中将は艦隊参謀から齎された情報にやや目を見開いていた。

 

「はい。敵の前衛との接触は避けられないが、俄然我が方が有利だと言っております」

 

リー「うん、素晴らしい」

 

そう言ってリーはぐるりとCDC内を見回す。

自衛隊から齎された真新しい電子機器や通信装置、PPIスコープとにらめっこする乗組員達がそこにはあった。

 

リー「やれるな、艦長(キャプテン)

 

「Yes sir ここには腰抜けなんて居ません。居たら私がタラップを登る時点で蹴り落としています」

 

リー「perfect」

 

 

30分後、リー中将麾下の第58任務部隊は三川中将麾下の第八艦隊と合流。

会敵まで1時間を切っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

戦艦『ラス・アルゲティ』

 

『司令!レーダーが前方に敵艦隊を補足!』

 

突然の報告に、アルカイドは慌てて座っていた椅子から立ち上がる。

 

アルカイド「来たか…数は!?」

 

『ハッ!戦艦5…いや6!巡洋艦と思しきものが4隻程!駆逐艦は10隻以上!』

 

アルカイド「分かった。そのまま監視を続行するんだ。諸君、いよいよ正念場だ!!イシュタ厶の連中にも伝えろ、せいぜい頑張るのだとな!」

 

彼が言うイシュタムとは、グラ・バルカス帝国本国艦隊に所属する、占領地の治安維持を専門とする地方隊とは名ばかりの一個艦隊である。

彼らの名を国内や海軍内で知らぬものはおらず、司令官の『メイナード』と、彼を含めた幹部や末端の将兵に至るまで、ほぼ全員が何かしらの問題を抱えており、その目に余る程の残虐性から、通称『死神イシュタム』と呼ばれており、メイナード本人も死人のような青白い肌をしているためその名前の由来に拍車を掛けている。

 

 

イシュタム艦隊 旗艦『メイサ』

 

 

「やっと我々の出番だな。」

 

「ククク…………胸が高鳴りますねぇ。」

 

 

オリオン級戦艦メイサの第1艦橋で、メイナードはそう呟き、艦長のオスニエルは狂気とも言える笑顔で興奮するカのように笑っていた。

 

 

オスニエル「司令殿、上からは敵艦の捕虜がいたら捕らえろと言っていましたが、本国へ連れ帰るまでは我々の自由にしても構わないでしょうか?」

 

メイナード「あぁ…もしかしたら有益な情報が得られるかもしれん。そうすれば我々の存在をもっとアピールできるぞ。」

 

オスニエル「では方法は私に任せてもらっても宜しいでしょうか?嬲るなり、色々方法はありますが……さて…?」

 

メイナード「任せる。好きにしろ。」

 

オスニエル「了解!」

 

オスニエルは生き生きとした表情で、そう答える。

 

メイナード「では、他の連中に先を越される前に急ぎましょう!」

 

黒い欲望を携えたイシュタムは、速力を上げて艦隊の前に出ると、どんどん速力を上げていく。

 

 

 

モンタナ CDC

 

「司令、敵の一部が突出して出てきました。どうしますか?」

 

リー「距離は?」

 

「凡そ9万強。主砲はまだ届きません」

 

リー「…艦長、奴らに教えてやれ身勝手な行為がどれほど恐ろしい事か」

 

「yes sir」

 

艦長は詳細を聞かずともリーの言いたい事を汲み取り、それを命令へと組み替えた。

 

 

 

数分後

 

三川「ん?」

 

直後、モンタナとアイオワの艦上構造物の一箇所が光ったと思った次の瞬間白煙を拭きながら飛翔していくミサイルに気がついた。

 

五藤「アレは対艦誘導弾…!」

 

三川「先手を取ったか!」

 

発射された無数のハープーンを眺めながら三川は叫んだ。

そこからさらにアラスカからも4発が発射されたのを第八艦隊は確認するとともに後方に通達した。

 

 

 

 

 

 

数分後 イシュタム

 

 

『艦橋!前方より、多数の飛翔物体接近!!』

 

「何ですって!対空戦闘用意!」

 

『対空戦闘用意!』 

 

直ぐ様、イシュタムは対空戦闘用意が始まるが、迫ってくる飛翔物体は彼らの常識では考えられない速度で迫ってくる。

準備を終えた艦から射撃が開始されるが、海面スレスレでの低空飛行のため対空砲の死角で、中々命中しない。

  

そして最初の一発が、駆逐艦に命中した。 

 

『フルド、アルドラ、アダラ、アボリジニ被弾!航行不能!』

 

『レサト、アクラブ、ジュバ、サルガス、ギルダブ被弾!!轟沈!』

 

メイナード「何っ…!?」

 

突然、味方の駆逐艦が撃沈され、巡洋艦も航行不能となった事態にオスニエルとメイナードは理解が追い付かなかった。

 

メイナード「まさか、敵は既に我々を捉えているのか!?だとしたら本艦も狙われるぞ!!」

 

『艦橋!前方より敵艦影視認!!』

 

オスニエル「本当かっ!!」

 

ふと前方を見ると、水平線上から敵艦の艦影が見えた。

 

 

 

モンタナ CDC

 

敵艦隊との距離は4万2000にまで縮んでいた。

ここならほぼ必中距離だった。

 

リー「このモンタナの初の獲物がアレとはな…少々みすぼらしいような気もするが贅沢は言わないようにしないとな。喰らい尽くせ」

 

「fire !!」

 

艦長が叫び切るより早く、轟音と振動が彼らを襲った。

前部と後部に設けられた16インチ3連装砲4基12門の一斉射が『メイサ』を襲ったのは言うまでもない。

 

12発の砲弾は一寸のズレもなければ外れもなく全弾がメイサに直撃した。

2発が艦首、第一第二砲塔の間に2発、檣楼及び中央構造物に4発、2発ずつが三、四番砲塔に直撃してメイサはダメコンの命令が出されるより前に爆沈し、海底へと引きずり込まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

ラス・アルゲティ 艦橋

 

「イシュタムが……全滅」

 

やや遅れて到着したアルカイド達は目の前で炎と煙を吹き上げながら辺りを漂うかつてイシュタムだった物を見て唖然としていた。

確かに評判は決して良い連中ではなかったが、腐っても海軍なのだ。そんな彼らがこうも無惨な姿に変わるとは誰が思っただろうか?

 

アルカイド(ど…どうする……?このまま前進するべきなのか…?)

 

額に大粒の脂汗を滲ませながら進退を考えていたアルカイドだったが、それは突然の振動と揺れによって強制的に中断された。

 

アルカイド「な…何事だ!?」

 

『左舷より敵艦隊が接近!!日本艦隊です!!』

 

慌てて司令席を立って窓際に立つと双眼鏡を目に押し付けて、その方角を見た。

そこには横っ腹を見せながら主砲の全門斉射を敢行してくる『敷島』『駿河』『笠置』の姿があった。

 

アルカイド「クソっ!!いつの間にここまで…!撃て!撃ち返せ!!」

 

激しい揺れに耐えながらアルカイドは僚艦にも命じて反撃を開始させたが、そのタイミングを待っていたかのように今度は右舷側から第58任務部隊がイシュタムだったものから発生する煙から躍り出て砲撃を開始した。

 

リー「撃て撃て!!一隻も逃すな!!」

 

アルカイド「お…おのれぇ゙!!」

 

激しい砲撃戦の末、日米艦隊からサンドイッチされる形でタコ殴りにされた前衛艦隊は一部の駆逐艦を除いて壊滅していた。

 

 

 

 

 

『きい』 CDC

 

「米艦隊及び、日本艦隊より入電。"敵前衛は片付けた。後は如何なるや?"と」

 

報告を聞いた伊藤は静かに頷いてから、考える素振りを見せた有賀は副長の黛晋也に問いかけた。

 

有賀「副長、俺がSSM-2とトマホークの一斉射したいって言ったら…どうする?」

 

黛「ふざけてるんですかって言いたいです」

 

有賀「やろっか」

 

黛「はぁ…やるなら半分にしてくださいよ?」

 

有賀「分かってる。それに何も本艦だけじゃない、伊藤も道連れよ」

 

海自の保有するSSM-2は戦艦『解放』を3発で撃沈した実績を持つが、彼はそこにトマホークも織り交ぜて敵の残存を叩こうと言うのだ。

 

直様この事は彼の口から直接伊藤艦長にも伝えられる。彼も最初こそ渋ったが「このままチンタラ待つつもりはない」と有賀に押し切られて已む無く承諾したのだった。

 

そして直後、二隻の護衛艦の発射筒から8発のSSM-2が発射された。

 

ミサイルは、飛行距離が残り30パーセントになった段階でターボジェットを捨て、突入用のロケットブースターに点火した。

 

同時に先端の赤外線シーカーが作動し、それが出来る限りの海面を探索した。シーカーは赤外線を放射する物体を捉えると、空からの脅威に備えて防空陣形を取っていたグラ・バルカス艦隊の外側を食い破るように突入していった。

 

グラ・バルカス側がこの攻撃に気がついた時には、ミサイルは艦隊外縁まで10キロの距離に迫っていた。補足はレーダーによるものだったがその時には既に、SSM-2は突入最終段階へと移行し、超低空へと降下し、目標へ突っ込んだ。無論グレート・アトラスターにも

 

彼女には3発のSSM-2が被弾したが、いずれも航行には支障はなく戦闘にも大きな問題はなかった。

 

 

()()()()()()()

 

 

直後、『やまと』と『きい』が二の矢として放った『トマホーク』が艦隊へと飛来した。

艦上構造物を薙ぎ払う気だったのか、大半はトップアタックモードに設定されており対空砲の照準が追いつくより先に、一隻…また一隻とカルトアルパスの海底に沈められていき、残るはグレートアトラスターと後方の空母艦隊だけだった。

 

だがその時点でグレートアトラスターも戦えるのか怪しかった。

右舷の対空砲群は壊滅し、左舷甲板には穴が空いて黒煙が吹き出し銃座も火災が発生していた。

砲塔に至っては着弾の衝撃でバーベットが歪んで旋回が不能になっていた。

 

カイザル「……艦長、ここが引き際やもしれんぞ」

 

ラクスタル「司令……」

 

「引き上げるのですか⁉︎」

 

そう声を荒げたのはいつのまにか艦橋へと上がっていたシエリアであった。

 

カイザル「シエリア殿、この状態ではやむを得ません。今のこのグレート・アトラスターの状態では敵と戦うのは自殺行為……誰も生きては帰れない………」

 

シエリア「しかし……」

 

カイザル「気持ちは分かります。ですが、敵の情報を一つでも多く持ち帰る事もまた我々の役目……」

 

シエリア「……」

 

ラクスタル「……全艦回頭180度……撤退する」

 

グレート・アトラスターは傷ついた体を引き摺るように回頭し、連合艦隊に背を向けて去っていく。

 

 

 

 

 

*1
日本からレンドリースされた『あかぎ』『かが』を研究

*2
旧USSアメリカ





豪海軍
エンタープライズの二、三番艦だったところを今回は安定のキティホーク級にしておきました。
統一戦争時だとキティホーク級は多分全艦無傷だから、2000年代あたりまで頑張ってそうだな……

そこから豪州に売却されて日豪で延命&改修して頑張ってる

という事で
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