環太平洋機構召喚 【リメイク前:自由連合召喚】 作:短号司令官
バルクルス基地での戦闘がひと段落して1週間が経った頃。
連合軍はグラ・バルカス帝国の侵攻遅延と経済的、政治的大ダメージを狙った一大作戦を決行しようとしていた。
中央歴1643年 4月18日
グラ・バルカス帝国本土沖280海里地点
とある目的の為に連合軍有数の航空戦力がこの海域に集結していた。
『いずも』『かが』『いせ』『ひゅうが』『ちとせ』『ちよだ』の中型空母群と対潜護衛艦にいぶき型護衛艦と複数の汎用護衛艦を中核とする海自護衛艦隊、『コーラル・シー』『エセックス』『ヨーク・タウン』『イントレピッド』やアラスカ級やモンタナ級一隻を擁する米艦隊、『白鳳』『氷龍』『炎龍』『風龍』『雷龍』と新型の高千穂級戦艦を含む日本海軍、『イラストリアス』『オーディシャス』とライオン級戦艦を揃えた英海軍、最後に『エアーズロック』を中心とする豪海軍とそれらの護衛を務める独立間も無い台湾海軍が進出していた。
『コーラル・シー』艦橋
「提督、作戦海域に到着しました」
若い参謀の報告を聞いて指揮官『マーク・ミッチャー』は満足げな笑みを浮かべて答えた。
ミッチャー「ご苦労だ参謀。調子はどうだ?」
「ハッ我が艦隊の他、自衛隊や日本海軍、英海軍、豪海軍に台湾海軍も一隻の欠損や脱落も無く…」
司令席に座っていたミッチャーはそうでは無いという風に手を振って参謀にこう言った。
ミッチャー「違うよ、君の事だ。君は今回が初の実戦だと聞いている」
一瞬呆気に取られていた若い参謀はなんと答えたら良いかしばらく視線を泳がせる。
「その……率直に申し上げて緊張しています。自分としては本当に上手くいくのかという不安もあります」
話を聞いたミッチャーは頷き視線を彼に合わせる。
ミッチャー「確かに。初めて続きで不安もあろう、だが大丈夫だ。冷静さを失った時こそ我々の負けだ。肩の力を抜いていつも通りにしていたら作戦なぞあっという間に終わる。心配はいらないクリスマスまでには帰れるさ」
「ハッ」
その短い会話で安心したのか参謀の顔色は良くなっていた。
彼がその場を離れたのを見送ったミッチャーは司令席から立ち上がって窓のから甲板上でやや慌ただしく準備をするクルー達の様子を見守っていた。
ミッチャー「それにしてもこの歳にもなって、こんな新鋭艦を任せられるとはな」
彼の乗る『コーラル・シー』はミッドウェイ級の二番艦*1でこちらもアングルド・デッキを始めから採用しているが、そのレイアウトは『ミッドウェイ』とは異なりキティホーク級やニミッツ級のようにすっきりとしたデザインに変更されているのが特徴だった。
艦載機も日本から技術供与や情報提供を受けた『F-5/F-20』をベースに開発したF-5NシータイガーやA-4スカイホークが中心となっている。
そんな彼らの目的だが、察しの良い者なら気づいているだろうが『グラ・バルカス本土空襲』が目的であった。
日本の偵察衛星により判明した敵の首都や近郊の港湾施設、軍事施設に対して艦載機による大規模な空爆が目的であった。
この作戦の原案となったのは言うまでもなく『ドーリットル空襲』であり、当初はそれの通りに爆撃機を空母に載せようと計画されたが搭載がギリギリ可能であるB-25はとっくに周辺諸国に輸出されるか、輸送機に転用されてるかのどちらかである。
またB-29や後継のB-36の配備も始まった事で必要なパイロットも殆どが機種転換してしまい動かす人間もいない事からこの話は頓挫し、結局艦載機による空襲に落ち着いたというのが現状である。
しかし何故『しょうかく』や『ほうしょう』『ひりゅう』のような艦を海自は回さなかったのかという点についてだが、あれだけの巨艦ー特にほうしょうーが本土近海で彷徨いたり姿を消せば敵は一層警戒心を強めるであろうと判断された為、戦線を離れても支障が無く尚且つそれなりに戦果が見込める艦として『いずも』『ひゅうが』各艦が選出された経緯がある。
作戦海域に到着した艦隊は対潜対空警戒を厳守し、決行時刻を待った。
史実のドーリットル空襲であれば艦隊の発見が早かった事もあって作戦開始の時刻が早まったが、こちらではそうは行かなかった。
事に敵は手持ちの潜水艦の殆どをPRTOからムーへの通商破壊に回しているが悉く撃沈されていた為、潜水艦による哨戒網を易々と通過できたという理由があった事、また艦隊の作戦海域まで出張ってくる民間船舶がいなかった事も幸いしている。
ミッチャー「よし…全軍に通達。作戦開始だ」
コーラル・シーからの命令は各艦に伝わる。
無論各艦隊には個別の指揮官が居たが、ミッチャーの技量や判断力を見てみたいという反応もあって敢えて細かく言うことはなかった。
先んじて『いずも』『かが』よりE-2Cが発艦、続いてF-35B/Cが発艦。
各艦からも続けて新鋭のジェット戦闘機が発艦する。
戦闘機はF-5N、海鷹、ライトニング、F/A-18が発艦。
爆撃機にA-4、バッカニアという具合である。
『さぁて本土で良い気分になってやがる高官共に教えてやるか!』
『連中を二度と枕を高くして眠れんようにしてやる』
『奴らに朝のティータイムなどさせんよ‼︎』
攻撃隊は警戒機からの情報を頼りに敵本土へと徐々に接近を試みる。
途中、バッカニアの編隊は高度を落として海面から数十メートルの高さにまで降下した。バッカニアの特徴とも言うべき『低空突撃』を活かすための行動であることは然り。
『こちらゲームマスター。これよりECMを開始するので各隊は手順通り行動せよ。以降の活躍に期待する』
その通信を最後にE-2Cは広域電波妨害を開始、そして同時に帝国本土の沿岸部レーダーサイトは軒並み電波障害を起こし始めるのだった。
『全機突撃‼︎』
攻撃隊はスロットルを全開にして、敵の本丸へと突入せんと夜空を一直線に飛んでいった。
一方、先行したバッカニア隊は敵の港湾施設を補足していた。
見ただけでも戦艦や空母、ムー大陸に送る物資を満載した輸送船も多数いる他ドック入りしている艦や建造途中と思しき艦まで見える。
『これなら素人でも当てられるぞ‼︎全機、発射‼︎』
爆弾倉、パイロンから切り離された対艦・対地ミサイルは次々と目標に命中していく。停泊していた艦船はもとより陸上施設やドックと手当たり次第に破壊していく。
帝国側は慌ててサーチライトを照らすと共に対空砲火を闇夜に撃ち上げる。しかし超音速でないにしろ高速で飛び回るバッカニアに擦り傷を与えるのはおろか当てることすらそもそも無理な話だった。
『英軍の連中張り切ってるな!』
『連中の事だ。朝食で美味い紅茶を飲みたいんだろう』
遠方からその光景を眺める本隊は英軍の暴れっぷりを横目に帝都へと突入していく。
帝都『ラグナ』
突然の空襲警報に目を覚ました皇帝グラ・ルークスは慌てて部屋のベランダから辺りを見渡す。
サーチライトが帝都の空を照らし対空砲が火線を切るがその先に敵は見えず、代わりに雷のような轟音が帝都中に響き渡っている、
ルークス「まさか……空襲だと…⁉︎」
目の前の信じがたい光景にルークスは状況を整理しようとする。
これは夢か幻かと最初は疑ったが、突如遠方から爆発音がくぐもった音で聞こえてくるとついにこれが事実と認めざるを得なかった。
ルークス「なんと……いう事だ……」
直後、首都防空隊のアンタレス改が頭上を飛び去って敵に向かっていく。
しかしそれから5分と保たずにそのアンタレスは炎と煙を吐きながら墜落していった。
『Aow!これで4機目だ‼︎見たか!うるさい小蠅共が!』
『俺たちだけで1ダースは余裕だぜ‼︎Yay!』
翼下のパイロンに搭載されたサイドワインダーで無双に次ぐ無双をしていた米パイロット達の脳内は既にアドレナリンで汚染されている。
ミサイルを全て撃ち尽くしても、機首に搭載された二門の20mm機関砲でヒット&アウェイでパイロット達は確実にスコアを稼いでいく。
間も無く、作戦行動限界時間が迫った事により攻撃隊は全機帝都から撤収したがこの数時間でグラ・バルカス側が被った被害は相当なものがあった。
帝国が被った被害は以下の通りであった。
まず首都近郊の空軍基地に陸軍基地が爆撃に次ぐ爆撃によってほぼ壊滅、人員も9割近くが死亡し防空に上がった戦闘機隊も全滅。
それ以上に酷かったのはラグナ海軍基地の方だった。
停泊していたペガスス級空母やオリオン級戦艦は忽ち轟沈または大破、ここまでなら基地内のドックで修理をすればいいが今回は次元が違った。
バッカニア隊の空爆はドックにも及び空ドックの破壊から水密扉を破壊したりと設備そのものにもダメージを与え、それに加え建造中だったグレートアトラスター級二番艦と三番艦にまで被害が及んだ。
二番艦は組み上げられていた艦上構造物を徹底的に破壊された挙句、水密扉を破られドック内に海水が入り込んでそのまま転覆。
しかしさらに酷かったのは三番艦の方だった。
空爆が起きたまさにその日、職人や技師達がようやく船体を組み上げたばかりなのにそこに容赦なく対艦ミサイルが撃ち込まれた結果真っ二つに割れるように破壊されスクラップ同然の姿に変わり果てていた。
他にも貯蔵していた燃料やムー大陸へ送り込む予定だった物資のある集積所も空爆によって壊滅。特に飛散した燃料があちこちに燃え移り消火もままならない状況だった。
報告を受けた帝王グラ・ルークスは早朝にも関わらず、各省庁と軍のトップを召喚し、緊急の御前会議を開く。
「以上が、今回の被害になります」
司会役の帝王府長官カーツはグラ・ルークスへ各部署からの集めた情報を元に急遽作成した報告書を読み上げた。
ルークス「……………………」
カーツからの報告にグラ・ルークスは何も言わず、ただ全員を見回すと目を閉じる。
仕事柄、彼と関わりが深いカーツとグラ・ルークスの事を昔から知っている議員や軍の関係者は全員揃って同じ意見を脳裏に抱く。
『帝王は今、怒りに満ちていると』
此処で下手に対応を誤れば、自分のキャリアどころか命すらも危うい状態の彼らは何とかしようと思考を巡らせる。
そんな彼らを心情を知ってか知らずか、グラ・ルークスは口を開けて皆に問いかけた。
ルークス「皆に聞きたい。このまま我々はムー…いや連合軍と戦争を続けるべきか?」
てっきり責任追及が始まるものかと思ってた関係者達は予想外の一言に全員が唖然とする。
ルークス「此度の件の責任など後からいくらでも追及できる、だが余は昨晩の光景をこの目で見て思った。我々は何を相手しているのかと…」
自国の最強戦闘機であるアンタレスの改良型である最新機を投入しても一方的にやられるその様を見たルークスにとってあの空爆は連合軍が如何に強大であるかを示すと同時に、自身の身をも簡単に狙えるという強力なメッセージを伝えるのには充分過ぎたのだった。
ルークス「アレを見て分かった。この帝国本土も決して安全ではないのだと…」
そう言いながら席を立って窓の外に見える帝都の街並みとそこにいる人々に目を向ける。
ルークス「カイザルよ。此度の被害によってムー大陸の者はいつまで戦う事が可能か?」
皇帝からの突然の質問に油断していたカイザルは慌てて立ち上がると質問に答えた。
カイザル「ムーへ輸送予定であった物資は半年から一年分ありました。それがやられたという事は、大陸にいる部隊の今後の作戦行動は事実上不可能という事になります」
その言葉に反論する者はいなかった。
事実それだけの物資を集めるのに半年以上を要した上国民生活にも少なからぬ影響が出たのだ。それに大陸にある物資もそう多くはない為、大陸側の部隊が壊滅するのは時間の問題だからだ。
カイザル「恐れながら申し上げますが…降伏は無いにしても、一度休戦もしくは停戦する必要があるかと……」
ルークス「………」
二週間後
ムー オタハイト
先のラグナ空襲から帰還した『コーラル・シー』の甲板上では全面指揮をとったミッチャーが台の上に乗って辺りを囲む乗組員や搭乗員達に向かって何やら話していた。
ミッチャー「諸君。今回の作戦はご苦労だった!我が合衆国海軍初の敵本土への、それも首都への空爆成功という大きな戦果を我々は得た。だがそれだけでは無い、つい先程ペンタゴンから連絡を受けた。その内容は帝国が我々に対して停戦を求めてきたというものだ。これが何を意味するか?そう、ひと時ではあるが戦争は終わりだ‼︎そして諸君達は温かい家に帰って無事にクリスマスを迎えることができるという事だ‼︎」
「Yahhhhh‼︎」
「Fhooooo!」
若い米兵達は感情を爆発させて喜びを表現した。
ある者はその場で飛び跳ね、またある者は服のボタンを引きちぎって前部分を露出させたり、服を脱いで振り回したりと様々であった。
ミッチャー「その前祝いと言ってはなんだが、今夜はpartyと行こう諸君。日本から取り寄せたマクドナルドのハンバーガーやKFCのチキンもある」
「司令!ビールは⁉︎」
ミッチャー「勿論。コークとペプシもあるぞ」
「「Yahhhhhhhhhhhhhhhh‼︎」」
中央歴1641年 5月1日
ムー国首都オタハイトにてPRTO及び第二文明圏とグラ・バルカス帝国との間に停戦協定が結ばれた。
これによりグラ・バルカスは第二文明圏各国とムーに対して賠償金を支払うとともにパガンダを除く各地より撤退。
こうして不安定ではあるが、第二文明圏にはひと時の平穏が訪れたのであった。
コーラル・シー/二番艦
本来なら『フランクリン.D.ルーズベルト』となるところ、本作では当人はまだご存命の為艦名をそのまま繰り上げました
アングルドデッキのレイアウト
SCB-101/66の武骨なデザインは好きですが、あの左舷側のあの部分を埋めたらほぼ以降のスーパーキャリアーと同等の形状になりそうだなと
バランス?そこは新規設計でなんとかしました。
F-5Nシータイガー
F-20の艦上機ver
ただ垂直尾翼が2枚に増えて傾斜がついてる為サーエゲに近い…?
海鷹
ミラージュF1艦上機ver