環太平洋機構召喚 【リメイク前:自由連合召喚】   作:暁司令官

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いざ行かん

 

中央歴1648年

ファルマート大陸奥地

 

「全車停止、一旦小休止しつつドローンで周囲を確認」

 

82式指揮通信車から随伴する各装甲車に乗る乗員らに向けて『島田幸作』一等陸佐は通信を終えると通信車から降りて辺りを見回す。

 

見渡す限りの草原、澄み切った青空、汚染されていない空気…この世界にやってきてから幾度となく見てきた光景だが、何時見ても心が洗われると島田はしみじみ思っていた。

 

 

彼の指揮する『第3戦闘偵察小隊』は現在、ファルマート大陸の奥深くにして連合軍の目的地である『アルヌス』の近くにある『ロマ川』を渡って『コアンの森』に程近い位置にいた。

 

当初の予定では他国の部隊ー日本陸軍や米陸軍ーも彼らと共に随伴する予定だったのだが、『万が一戦闘になりそうになった場合に備えて()()と装備がある程度共通していて共感を呼べる者が良い』という意見により、彼ら自衛隊がメインとなるに至っている。

 

 

そんな自衛隊の中で選ばれた第七師団隷下第七偵察隊が各地に散って散策していたのだが、ここ数日で分かった事と言えば現地民と殆ど言葉が通じない事ぐらいだった。

幸いにも翻訳機を使ってかろうじて意思疎通はできるがより難しい会話となると流石に無理がある為、一同は唯一の手掛かりと言っていい『アルヌス』へと向かっていた。

 

「一佐」

 

車内でドローンを操作していた三等陸尉が島田を呼ぶ。

咥えていた電子タバコを仕舞うと島田は車内に入り、三尉の見るドローンの操作画面を覗き込む。

 

島田「なんだ?山火事の跡か?」

 

「いえ、そういう訳ではなさそうです。どうやら何者かによって焼かれたものと思われます」

 

画面には大規模な火事でもあったのか、森の中にある平野が真っ黒に染まり所々から煙が昇っていた。

 

島田「放火にしては規模が大きすぎる。だが周辺に被害が及んでいないのを見ると…」

 

「何かに襲撃を受けた……と」

 

島田は静かに頷き画面をしばらく凝視していると何かに気がつく。

すぐに三尉に言って指定した場所を拡大させる。

 

「これは…」

 

島田「車輪の跡…それもどうやら我々の探し求める相手のな…!」

 

彼は直ちに前進を再開し、車輪の跡を追って北上していった。

その後小さな村に辿り着くもそこに住人を発見する事はできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

発見から数日後、島田らは遂に目標を見つけた。

しかしそこまでしながら島田は距離を置いた。何故なら目標の彼らが大勢の避難民を連れて移動していたからだ。

 

「一佐、一体いつまでこうする気です?」

 

部隊の情報幕僚ーS2が島田に話しかける。

 

「このまま彼らと一緒に移動してたらタイミングを見失います」

 

島田「逆にどうしろって言うんだ?彼らの進行を遮るように止める訳にはいかんし、連中は難民を抱えてんだぞ?さらにトラブルを突っ込んでどうするってんだ」

 

流石にそう返されてはS2も返す言葉も無い。

規模から見て途中で放置された村の住人が難民になったと考えた島田はドローンによる遠距離偵察に切り替えて避難の成り行きを見守っていた。

 

これだけの規模の人達を連れていこうとしたあの小隊の指揮官の顔が見たいと島田が思った直後だった。突然ドローンとの通信が途切れた事に彼らは驚いた。

 

島田「なんだ、どうした⁉︎」

 

「分かりません!突然ドローンからの通信が…!」

 

画面には[OFF LINE]の文字が表記されており、コンソールを操作しても復旧する様子は無かった。この時点で考えられるなら意図的に撃ち落とされた、もしくはなんらかの外的要因によって制御を失って落ちたかの2択だったが島田がそれを考え始めるより前に答えが出た。

 

「一佐!アレを‼︎」

 

島田「今度はなんだ⁈」

 

慌てて車外に飛び出ててS2が指差す方を見る。難民の車列がある方に大きな飛竜の影が地面に向かって炎を吹き出しているのが遠目ながらはっきりと写った。

 

「一佐…」

 

島田「これで俺たちのやる事は決まったな……あのクソトカゲを叩き落とす‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全然効いてないっスよ⁉︎」

 

「構うな当て続けろっ撃て撃て撃て‼︎」

 

LAVの窓から身を乗り出して応戦する伊丹達だったが、64式やM2ではまるで歯が立たなかった。だがそれでも炎龍の注意を自分達に引き付けるという意味では効いていた。

 

伊丹「やばいこっちに来る!火炎(ブレス)が来るぞ!倉田よけろ‼︎」

 

炎龍が口を開いてブレスを吐こうとした、まさにその瞬間だった。

突然何か当たったのか口元で大きな爆発が起き、炎龍はヨロヨロとふらつく。

 

予想外の出来事に第三偵察小隊の面々は攻撃するのを忘れて唖然としていた。

 

「伊丹二尉!あそこ‼︎」

 

突然桑原曹長(おやっさん)に呼びかけられて彼が視線を向けた先にまたしても信じられない物が写っていた。

 

直線的なデザインに若干の傾斜がついた装甲と巨大な砲に無限軌道のついた車体。74式はおろか90式や10式とも異なる外観を持った日の丸戦車が2両彼らの前にいた。

 

「なんて野郎だ⁉︎120mmが通じてねぇぞ⁉︎」

 

上部ハッチを開けて出てきた車長の『福田亮一』一等陸曹は困惑と悔しさの入り混じった表情を浮かべていた。

 

「当たりどころがダメだったみたいです‼︎連中がやられそうだったので頭を…」

 

福田「だとしても信じられない硬さだぞ⁉︎そんなの…」

 

突然前方が光ったかと思うと炎龍がブレスをこちらに向けて吐き出してきたのを見た福田は慌てて車内に潜り込むと同時にハッチを閉める。

直後車体が僅かに揺れると同時に熱が伝わってくる。

 

「車外1200℃!車長」

 

福田「落ち着け‼︎ただのナパームと大して変わらん‼︎砲手撃てるな⁈」

 

「いけます‼︎」

 

炎の中から脱出した福田の乗る86式は再度榴弾で攻撃を仕掛けようとするが、素早い炎龍の動きに砲塔の旋回が追いつけず狙いが定まらない。

 

「一体どーなってんスかね……」

 

目の前の86式と炎龍の戦闘を見ながら運転席に座る倉田が呟いた。

それもそうだろ。突然日の丸をつけた見知らぬMBTが現れたかと思えば炎龍とモドンパチやり始めるのだから誰しもが唖然とそれを見るしか無かった。

 

伊丹「まぁ何処のどなたかは知らないけど!俺達も‼︎」

 

気を取り直した伊丹達第三偵察小隊も攻撃を再開する。そして丁度良く保護したエルフの少女が目を狙うよう助言を受けて火力を敵の目に集中させる。すると今までの凶暴さが嘘だったかのように炎龍は翼で頭部を覆い、一転して守りの姿勢に入る。

 

伊丹「いいぞ動きが止まった!勝本パンツァーファウスト!」

 

LAVに乗る勝本三曹がパンツァーファウストを構えて照準を合わせる。

 

勝本「おっと‼︎後方の安全確認!」

 

『『いいから早く撃て‼︎』』

 

全員がそう考えながら勝本はパンツァーファウストを発射するが車体が揺れた事で照準がズレて弾が外れる軌道を取りそうになった。

外すと思ったがいきなり高機動車から報告にあったハルバートの少女が屋根に飛び上がり、ハルバートを回転させながら炎龍目掛けて投げた。

 

投げたハルバートは足元に炸裂し炎龍は態勢を崩した、そこへ外すと思った弾頭が炎龍の左腕に命中する。

爆煙を発しながら左腕と脇腹の肉の一部を失った炎龍は悲鳴をあげる。

 

まさにその時だった。炎龍の目の前にいつの間にか出ていた島田の手には91式携帯地対空誘導弾が握られており、その銃口は炎龍の口を向いていた。

 

島田「よくやったッ‼︎」

 

そう叫ぶと共に島田はトリガーを引いてミサイルを発射、弾頭は悲鳴を上げる炎龍の歯に当たって爆散する。

炎龍はしばらく彼を睨むが、怖気付いたように羽を羽ばたかせながらその場から逃げ仰た。

 

島田「薬は注射より飲む方に限るぜ、ドラゴンさん‼︎」

 

撃ち終わった91式を肩に抱えながら島田は飛び去る炎龍に向かって言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

伊丹「へ?神に委ねる?」

 

「薄情に思うかも知らんが儂らも自分の世話で精一杯なんじゃ…理解してくれ救ってくれたことには感謝しとる…」

 

亡くなった方の埋葬を終えて、行き場の無い子供やお年寄りの身柄をどうするか村長尋ねた伊丹達だったがその答えは期待できそうに無かった。

 

生き残った人達の内当てのある人達は近くの街へ向かう事になり、彼らとはそこで別れた。

 

伊丹「さて……と」

 

伊丹は振り返って避難民の方に視線を向けた。皆何か悲しげな表情で見ておりそれはまるで捨て犬のような目をしていた。

 

伊丹「まいっか。だぁ〜いじょ〜ぶ ま〜かせて!」

 

それを聞いて避難民達は笑顔になった。

 

伊丹「…で……」

 

頬を掻きながら彼は視線を横で腕を組んで満足げな顔を浮かべる島田に視線を向ける。

 

伊丹「アンタらは…」

 

島田「おっとこれは失礼。自己紹介がまだだったな、我々は陸上自衛隊の島田幸作。階級は一佐だ」

 

伊丹「えっと〜同じ陸上自衛隊所属の伊丹耀司です、階級は二尉。突然の救援感謝します。島田一佐」

 

島田「なぁに。同僚と難民をほったらかしにする訳には行かんから、それに……」

 

伊丹「?」

 

島田「我々は君たちに用があるんだ。伊丹二尉」

 

伊丹「…へ?」

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