環太平洋機構召喚 【リメイク前:自由連合召喚】   作:短号司令官

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巻末にてコラムを設置


明日を知る者

 

西暦2026年

 

日中の亀裂がより深いものへと変わりつつある中、年明けと同時に日本は異変に包まれた。

 

午前0時と同時に世界中との交信が遮断。

年明けという事もあり、早々すぐに混乱が露わとなる事はなかったが事態は大して進展しなかった。

強いて言うなら1週間後にオーストラリアとの交信が再開できた事ぐらいだろう、同国も同じ事態だそうだが。

 

24日

日本は旧ユーラシア大陸のあった方向に未知の巨大大陸がある事を発見すると同時に自分達が異世界に来た事を知る。また太平洋側に日本列島と瓜二つの列島と南方の島々、北アメリカ大陸にグレートブリテンにアイルランド島が衛星によって発見された。

 

「しかし驚いたな…異世界に来ているだけで無くその上、旧世界の大陸までいるとはな…」

 

会議に参加していた陸幕長はスクリーンに映し出された映像を見て驚きの声をあげた。現在霞ヶ関の防衛省本省にて首脳陣による会議が行われており、自衛隊は政府から命令を受けいずれかの国と接触する事が求められていた。

 

「やはり、手っ取り早く列島の方に行った方が良いのでは?距離的にも往復は余裕があるし」

 

「だがかと言って彼らが同じ日本人とは限らんだろう…?40年代の日本なら兎も角、鎖国時代だったらそれこそ我々が黒船来航をやる羽目になる」

 

「いや…それに関しては問題無さそうだ。解析によるといずれの地域も戦前の都市や街並みらしい。後はどう接触するか……」

 

海幕長が腕を組んで考え込むが隣座っていた統合幕僚長の東郷が口を開いた。

 

東郷「あちらの日本に対する影響を考えたら…最低でも航空護衛艦1隻と大型護衛艦もしくは超弩級護衛艦を1隻か……海幕長、現在直ぐに動ける護衛隊は近くにおるか?」

 

「お待ちを………第11護衛隊群が居ます。11群には【ほうしょう】と【おわり】がおります」

 

東郷「では準備でき次第直ちに向かうよう命令しろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

衛星偵察によって存在が確認された『仮称:日本帝国』に対して政府は第11護衛隊群と申し出により合流した豪海軍と合同で旧太平洋海域を東へとひた走っていた。

 

「もう間も無くだな」

 

腕時計を見ながらそう言ったのは第11群司令の古橋雄三海将捕だった。

 

「しかし…どうなるんですかね。仮にあちらが本当に過去の日本だとして、領海侵犯だからとかで攻撃を受けたりは…」

 

古橋「無きにしも非ずだな、だが安心したまえ。前田一佐」

 

古橋は心配そうな顔で言う前田啓司一佐に声をかける。

 

古橋「この『かが』にはF-35やハリアーⅡが搭載されておるし、何より我々には『おわり』と『ほうしょう』が着いてる。アレを見たら連中腰を抜かすぞ」

 

得意げに古橋が言うのも無理はない。我々が生きる世界でのいずも型はヘリコプター搭載護衛艦として建造されたが、彼の世界線ではQE級を元に建造されており、F-35や米海兵隊向けには最終製造が終了したハリアーⅡを多数搭載している。

 

古橋は艦橋の窓から周囲にいる護衛艦達を眺める。

 

むらさめ型護衛艦:【ゆうだち】【いなづま】

たかなみ型護衛艦:【あやなみ】

はるな型護衛艦:【はるな】

いぶき型護衛艦:【いぶき】【はぐろ】

超弩級護衛艦:【おわり】

ほうしょう型航空護衛艦【ほうしょう】

いずも型護衛艦【かが】

 

古橋にも不安がないと言えば嘘になるが、これだけの編成を見れば自信を持つのも無理はない。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

同じ頃

 

旧日本海

 

日本海軍第二航空戦隊

旗艦:飛龍

 

艦橋内は静寂に包まれており、時より操舵手が舵取りで声を出すくらいにしか無かった。

そんな中司令席ならどっしりと座って眼前の海原を睨んでいるのは『人殺しの多聞丸』で有名な山口多聞少将だった。

 

山口「参謀、うちの潜水艦か捉えたという所属不明の艦隊はまだ見つからんのか?」

 

山口はそう参謀の伊藤清六中佐に問いかける。

 

伊藤「はッ。不明艦隊は我が本土を目指して航行中というのは確実なようですが、詳しい編成や数も分からず……」

 

山口「そう気に病むな中佐。兎も角我々二航戦以外にもハルゼーやフィリップス提督もおられるのだ。そう急ぐ必要はない」 

 

現在旧日本海(帝国)海域には山口少将麾下の第二航空戦隊、ハルゼー提督指揮下の第16任務部隊、そしてトーマス・フィリップス提督率いる英東洋艦隊所属の戦艦4隻と空母イラストリアスが集結し索敵を行っていた。

 

第二航空戦隊

空母:【飛龍】【蒼龍】

駆逐艦:【菊月】【夕月】【卯月】

 

第16任務部隊

空母:【エンタープライズ】

重巡:【ソルトレイクシティ】【ノーザンプトン】

駆逐艦:【フェルプス】【ウォーデン】【モナガン】【エルウィム】【バルク】【コニンハム】

 

東洋艦隊

巡洋戦艦:【インヴィンシブル】

戦艦:【セント・アンドリュー】【セント・デイヴィッド】

空母:【イラストリアス】

 

「司令、エンタープライズより隊内電話です」

 

日米の関係良好化に伴い、艦隊間の通信も問題無くできるようにしようとアメリカ側が提案したことに始まり現在では米英艦隊とも互いに通信が取れるようになっている。

 

山口は設置された通信機を取る。

 

山口「私です」

 

ハルゼー『Oh!ヤマグチ!お前のところは何か見つけたか?』

 

山口「生憎まだです。丁度出した機は一通り戻って来たので給油・交代をさせてまた上げるつもりです。そういう貴官は何か見つけたのですか?」

 

ハルゼー『いいや、まだこれといったものは何も。だがうちの偵察機があと一機残ってる、そいつが良い報告をしてくれるさ!』

 

山口「それは頼もしいですな」

 

ハルゼー『それでだ、ヤマグチ。俺が見つけたらまた美味い酒を奢ってくれ』

 

山口「またですか?」

 

山口は呆れた様に言うがこれは二人の間では恒例行事となっていた。

ハルゼーは当初日本海軍には『それ程強い航空指揮官はいないだろう』と高を括っていたが、山口少将との演習で彼の実力に驚愕したハルゼーは彼をライバル視すると同時に良き友人になった。

それ以降演習の度に負けた方は勝った方に酒を奢るというのが恒例行事となっていた。

 

今回は演習が中止となった為、先に見つけた方に奢ることになった様だ。

 

山口「うーむ…分かりました」

 

ハルゼー『ガッハハハwそうこなくっちゃな!じゃあまたな!』

 

そう言ってハルゼーは機嫌良さそうに啖呵を切った。この後驚くべき事態になるとは艦隊の誰もこの時は思って居なかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

派遣群付近の上空を飛行する一つの機影があった。

それはハルゼーの乗るエンタープライズより発艦したSBDドーントレスであった。

それをいち早く探知したのは【おわり】のAN/SPY-3だった。

 

『対空戦闘よぉーい!』

 

アラームが連続して鳴り響く艦内を乗組員が忙しなく動き回り、持ち場に着くとハッチが閉まる。

 

CIC

 

「艦長、対空戦闘用意よろし」

 

「結構」

 

副長から指示を受けたのは『おわり』の艦長を務める猪口俊介一佐であった。

 

猪口「機数は?」

 

「一機。恐らく偵察かと思われます」

 

「どうします、かがにF-35かハリアーを上げてもらいますか?」

 

猪口「相手は偵察だ。その必要は無い」

 

猪口は冷静にそう判断した。他艦のレーダーでも十分捕捉することは可能である為迎撃するか否かは各艦で判断できるだろうと考えたからだ。

 

偵察機はしばらく上空を旋回した後、情報を得て満足したのか翼を翻して飛び去って行った。

 

「偵察機、遁走していく模様」

 

それを聞いたCIC内は安心して息を吐いたり、背伸びをする者が多数出た。猪口も帽子を被り直した。

 

「偵察とはいえ、ヒヤヒヤしましたね。艦橋からの報告によると現れたのはSBDドーントレスのようです」

 

猪口「SBD?何故アメリカ海軍のレシプロ機が?」

 

それを聞いた猪口は疑問に思った。来ると思っていたのは日本海軍の偵察機だろうと思っていた矢先現れたのはアメリカ海軍の機体だ。

 

「さぁ…それは自分にも分かりません」

 

猪口は益々分からなくなった。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

偵察機から齎された情報を聞いた艦隊司令部はその余りの内容に言葉を失った。

情報が正しければ不明艦隊には『全長300m超えの戦艦』『船体を二つくっつけたような巨大な空母』が確認され、いずれの艦にも日の丸(ライジング・サン)が掲げられているとの事だった。

 

「本艦を上回る戦艦に空母だと…?それにそれらには日の丸だなんて…」

 

「日本海軍の秘密艦隊か何かなんじゃないか…?」

 

英戦艦【セント・アンドリュー】の艦橋では先程の情報について幕僚らが噂話をしていた。このセント級は日本海軍が建造中の大和型戦艦とほぼ同じ大きさを誇るが、それ以上の戦艦と空母という事に疑問を感じずにはいられなかった。

 

フィリップス「参謀長」

 

「はい」

 

フィリップスはアーサー・パリサー参謀長を自分の傍らに呼び幕僚らに聞こえないよう声量を落として彼に話しかけた。

 

フィリップス「どう思う?」

 

アーサー「正直言って信じられません。あのブルの言う事です」

 

フィリップス「しかし不明艦隊が接近しているのは事実だ。それに本艦を上回る戦艦のようだな」

 

アーサー「個人的な見立てになりますが、もし情報通りなら敵は本艦以上の主砲を搭載していてもおかしく……いえしていて当然かと」

 

フィリップス「となると…よもや戦闘となれば本艦は簡単に沈められるな……」

 

彼はそう言って制帽を被り直して眼前に広がる穏やかな海原に目を向けた。

 

しばらく航行していると見張り員の報告が上がってきた。

 

「艦隊前方に、不明艦隊を捕捉!」

 

山口「どれ…」

 

艦橋の窓に近寄って双眼鏡で覗いて見ると、確かに周りの艦艇がシミかと思ってしまう程に中央にいる戦艦と空母がいかに異常であるのかが分かる。

 

山口「参謀、見てみたまえ」

 

山口に促されて伊藤も双眼鏡を覗く。一度離して鼻腔をつまんでもう一度覗く、そしてまた離すと今度は双眼鏡のレンズを裾で拭く。

 

山口「大丈夫だ伊藤君。君の目は正常だし、双眼鏡も壊れておらんよ」

 

伊藤「は……はい。それにしてもこの距離からでも分かる程巨大な艦とは…遠近感が狂ってしまいそうです」

 

山口「そうだな…あの不明……いや、謎の日本艦隊の正体が益々気になるな」

 

山口は平静を装っているが実際腰を抜かしそうだった。

現に【おわり】【ほうしょう】を見て腰を抜かした乗組員は艦隊総数で数百人程出たのだ。

 

アーサー「こ……これは戦艦ではない…モンスターだッ‼︎」

 

セント・アンドリューの艦橋内にアーサー参謀の絶望に似た何かが響いた。艦長、航海士、参謀らが呆然と窓の外を進む【おわり】を眺める中、フィリップス大将は何か別なものを感じていた。

 

 

この後、第11群と日米艦隊は日本帝国本土へと無事到着する。

外交特使も無事帝都に到着し日米英三カ国と無事国交を締結することに成功する。

 

そして護衛艦【おわり】を見た日本海軍・アメリカ海軍・英海軍には激震が走った。

 





いぶき型護衛艦
概要:統一戦争終了後新たに計画されたミサイル護衛艦。前級の〈こんごう〉級からかなりサイズダウン。
諸元
全長:171m
基準排水量:7,735t
最大幅:21m
最大速力:30ノット
兵装
OTOメラーラ54口径127mm単装速射砲×1基
高性能20mm多銃身機関砲× 2基
Mk41 VLS (29セル)×1基
Mk48 VLS (48セル)×1基
90式SSM 4連装発射管×2基
68式3連装短魚雷発射管×2基
同型艦
いぶき
はぐろ
あたご
たかお
まや
あしがら
すずや

いずも型護衛艦
概要:作中にもある通り英海軍はQE級を元に建造。但しこちらは蒸気とスキージャンプを搭載したアングルドデッキ型。艦橋の形状に変化はない。『ミニほうしょう』の愛称で呼ばわれている。

全長:280m
基準排水量:55,000t
全幅:75m
最大速力:30ノット

兵装
いずも型と大差無し

搭載機
F-35×25機
FV-2×10機
AV-8BJ×15機

インヴィジブル級巡洋戦艦
概要:イギリスがワシントン条約頓挫後に建造した巡洋戦艦。計画名は【G3型巡洋戦艦】

全長:263m
基準排水量:48,400t
全幅:32.3m
最大速力:32ノット

兵装
16インチ(406 mm)45口径砲3連装 3基
6インチ(152 mm)砲連装 8基
4.7インチ(119 mm)対空速射砲 6基
10連装ポンポン砲 4基


セント・アンドリュー級戦艦
概要:日英の技術協力によって大和型と共に世界で初めて18インチ砲を搭載した戦艦。但し機械的信頼は大和型よりかなり低い。
計画名は【N3型戦艦】

全長:250m
基準排水量:51,400t
全幅:32.3m
最大速力:26.8ノット

兵装
18インチ(457 mm)45口径砲3連装 3基
6インチ(152 mm)砲連装 8基
4.7インチ(119 mm)砲 6基
2ポンド対空ポンポン砲8連装 4基



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