環太平洋機構召喚 【リメイク前:自由連合召喚】   作:短号司令官

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一網打尽

 

海軍基地壊滅と、首都の防空戦力を失ったロウリア軍の目線は完全に地上へと向けられていた。

軍の指揮を執る『パタジン』将軍は、敵が正面から攻めてくると読んで、首都の東にあるビールズと呼ばれる町に伏兵を置いて、侵攻してくる敵の側面を突いて相手を混乱させようと画策する。

 

 

彼から説明を受けていたハークはパタジンに質問を投げ掛ける。

 

 

ハーク「パタジンよ、40万の諸侯はどうなっておる?」

 

パタジン「再召集には応じず、傍観を決め込んでおります」

 

ハーク「では彼らを動かざる得ないよう差し向けろ。最早手段は問わん」

 

パタジン「はい」

 

ハークは後の事をパタジンに任せると、自室に籠ってしまった。

 

 

パタジンの命令により、ロウリア軍は敵がビールズに向かってくると読んでビールズ近郊に軍を集結させ、侵攻してくる敵を待ち受けた。

だが、第7師団はパタジンとロウリア軍の予想に反した行動を取っていた。

 

 

 

夜明け前の薄明かるい光と、厚い霧が立ち込め視界が悪い中、広い荒野の中に作られた首都ジン・ハークの正面から、第7師団第71戦車連隊所属の10式戦車・86式戦車、アメリカ陸軍M3中戦車、日本陸軍一式中戦車の集団がエンジン音を絞りながら接近していた。

 

パットン「囮とはいえ、この距離にまで敵の本拠地に近づくってのはかなりのストレスだな」

 

牛島「現代戦ではまず有り得ない距離ですからね」

 

指揮車に乗っていた大内田らは霧の切れ目から見える敵首都を見る。車内に戻ると、机の上に置かれたノートPCに表示されるジン・ハークの地図を見ながら最初の攻撃目標を定める。

 

 

パットン「敵をおびきだすには、此処にある塔を攻撃するのがベストだな」

 

牛島「ですがこの位置から戦車砲を撃てば砲弾が市街地に突入する可能性があります、榴弾砲を撃ってもらい、破壊してもらいましょう。曲射で撃てば塔だけをドンピシャで破壊できるかと」

 

大内田「民間人に犠牲者を出さないならそれが一番か。特科に砲撃を指示。我々はこのままギリギリまで接近するぞ」

 

「了解」

 

戦車隊は敵に気付かれないようにライトも点けず、乗員達は暗視装置を頼りに霧の中をエンジン出力を絞り低速で接近し徐々に距離を詰めていく。

 

「師団長、特科から砲撃準備完了と連絡あり」

 

大内田「全車停止」

 

連隊はその場で停止。エンジンも切られ、辺りは完全な静粛に包まれた。

 

間も無く上空で待機していた航空自衛隊所属のEC-1電子戦訓練機が敵の魔力通信に対しての妨害電波の発信を開始した。

それに合わせて後方でスタンバイしていた特科の99式が敵の通信室と塔を吹き飛ばした。

 

 

パタジン「何だ!この音は⁉︎」

 

パタジンは突然聞こえてきた轟音に目を覚まし、自宅の2階から城門を見る。

  

パタジン「馬鹿な……敵はビールズを迂回して広い荒野を突き抜けてしてきたと言うのか?それにしても速すぎるぞ!」

 

 

第7師団による予想外の展開速度にパタジンの元に部下が慌てた様子で報告にやって来た。 

 

「将軍、敵襲です!正門の塔が魔導攻撃で破壊されました。敵は正門から4キロ地点に展開中!」

 

パタジン「見張りは何をしていたのだ!直ちに当直の騎兵隊を迎撃に出せ!」

 

「それが、先程の攻撃直後から各部隊の魔信機が麻痺してしまい、命令伝達に支障をきたしています」

 

パタジン「何だと!?原因は?」

 

「現時点では分かりませんが、敵が攻撃してきたと同時に起きたので偶然では無いかと。おそらく何らかの方法を使って魔信が無力化されたものかと思われます」

 

パタジン「ならば伝令を出せ!騎兵隊には迎撃と威力偵察を指示し、攻撃を受ければ直ぐに下がるよう伝えよ!」

 

「はっ!」 

 

パタジンの命令は伝令兵によって直ちに騎兵隊に伝達され、約400騎の騎兵隊が正門より強襲偵察を兼ねた迎撃戦闘に出た。 

 

「正門より敵が来ます!」

 

「迎撃する!機銃攻撃始め!」

 

戦車連隊各車は騎兵隊に向けて機銃攻撃を開始した。

一斉に放たれた大小の銃弾は、向かってくる騎兵隊の鎧を易々と貫いていく。

 

「敵騎兵、後退していきます!」

 

「攻撃止め!」

 

思わぬ打撃を受けた騎兵隊は直ぐに後ろに下がり、城壁の奥に撤退した。

 

 

ロウリア軍全体の目が正面に向けられている頃、壊滅したハーク港のある北の方角より、闇夜に紛れながらロウリア王逮捕を目的とした自衛隊・帝国陸軍の合同空挺部隊を乗せたC-2とそれを追って米空挺部隊を載せたC-130が飛行していた。

 

 

久米「作戦通り、敵は第7師団に釘付けだな」

 

若松「しかし敵側の兵力も凄いですね」

 

久米「そりゃあ敵も首都に敵が来られたんなら、必死になるわ」

 

「隊長、間も無く降下地点です!」

 

若松「よし!各員、降下用意!」

 

機内に居た隊員達は席から立ち上がる。同時に機体後方のランプドアが開き、外からの外気が入ってくる。

首都の遥か上空から目標の城を確認した。

 

久米「総員降下‼︎」

 

ブザーと共にランプが緑に変わると次々に連合空挺部隊は飛び降りていく。

 

中庭に降り立った部隊は身軽になりそれぞれ89式小銃・九九式小銃を構えて辺りを警戒する。

 

後続の米空挺部隊も降下後すぐに彼らと合流する。

 

久米「これより本隊はロウリア王確保に向かう。残りの者は要所を制圧・確保せよ」

 

「「了解」」

 

中庭を確保した後、城内へ続く裏門の確保と警備詰め所の制圧を開始した。

 

「発破!」

 

警備詰め所の扉を爆薬で破壊し、中に居た警備兵を排除してから、他の部屋も同時に確保、突入口を確保した。

 

久米・若松ら数名の部下を引き連れて城内へと突入する。

1階は容易く制圧できた為対象は2階に居ると判断し、突入する。

 

「うぉぉぉぉ!!」

 

「ロウリア王万歳ぃぃ!!」

 

 

階段の上からは、剣や槍を構えたロウリア兵が姿を表して、突撃を仕掛けてきたが、隊員達は小銃の引き金を引いて、向かってきたロウリア兵を始末していく。

 

2階へ入ると部屋を1個ずつ虱潰しに制圧していく。1個1個の部屋には数人程のロウリア兵が待ち構えていたが、圧倒的な装備の前に反撃する隙すら与えられず制圧される。

 

若松「居ませんね…」

 

久米「残すは奥の王の間のみか…」

 

部隊は警戒しながら王の間へと進む。

扉を開けて中へ入ると蝋燭の僅かな光のみの王の間が広がっていた。

 

「広いな」

 

中へ入ると、目の前には高い位置に設けられた王座へ続く高い大階段があった。奇襲に備えて全方向を警戒しながら階段をゆっくりと登る。

 

登り終えた先には派手な飾りの付いた銀色の鎧に身を包んだ男が一人立っていた。

 

久米「貴様、何者だ」

 

「これはこれは日本国軍の皆さん、はじめまして。私は近衛隊大隊長のランドと申します。お見知りおきを…」

 

若松「近衛隊大隊長……ロウリア王は何処だ?」

 

ランド「あなた方がお探しのハーク・ロウリア陛下はこの先にいらっしゃいますが、陛下を一体どうするおつもりでしょうか?」

 

久米「その下手な時間稼ぎに付き合う義理はない!武器を捨てて、両手を挙げながら腹這いに!」

 

彼の言葉に従いランドはその場で腹這いになり、結束バンドで両手と両足を縛られる。

 

若松はその間に部下二名に合図を出して奥に向かわせた。

それを見たランドが口を開いた。

 

ランド「君みたいな人間は嫌いだよ………」

 

その言葉の合図だったかのように、左右の壁が回転し、その奥から武装した30人程の騎士が姿を現した。

 

「「⁉︎」」

 

久米「っ!貴様、謀ったな⁉︎」

 

ランド「奴らを始末しろ!」

 

ランドがそう叫ぶと、騎士達は一斉に駆け出す。

 

「「うぉぉぉぉぉ‼︎」」

 

「クソっ‼︎」

 

陸軍兵の1人が手にしていた一〇〇式火焔発射機の開閉ハンドルを開いた事で強烈な火焔が騎士達に襲いかかった。

 

「ギャアア‼︎」

 

「ア"ヅイィィ助けてぐれぇぇ」

 

「ア"ア"ア"‼︎」

 

忽ち火焔に飲み込まれた数人の騎士はその場に倒れて辺りをのたうち回った。

 

「まっ魔導士か⁉︎」

 

若松らはその隙を逃さず瞬時に射撃命令を出した。

 

「Fouk you‼︎」

 

「この賊共がぁぁぁぁ‼︎」

 

すかさず持ち直した部隊は小銃を残りの敵に向けて発砲、久米も手にしていた一〇〇式短機関銃を撃ちまくる。

 

「ぐぉっ⁈」

 

「ギャッ‼︎」

 

伏兵達は突然始まった射撃を前に、ドミノ倒しのように倒れていく。

 

久米「撃ち方やめ!」

  

射撃を終えると伏兵達は全員頭を撃ち抜かれ地面に倒れ伏していた。

火焔発射機で焼かれた数名はまだ燃えていたがその内まる焦げの焼死体になる筈だ。

ランドは切り札があっさり破られた事で力が抜け、項垂れているしかなかった。

 

久米「二名はここに残ってくれ」

 

2人をランドの監視に残し若松達は王の自室の壁にある隠し扉の鍵を解錠、中へ突入した。

中に入ると、広さ10畳程の広さの部屋の奥にある椅子にハーク・ロウリア34世は青木達を待っていたかのように恐れる様子を見せる事なく堂々とした出で立ちで座っていた。

 

久米「ロウリア王国国王、ハーク・ロウリア34世で間違いありませんか?」

 

ハーク「……無論だ」

 

若松「貴方をクワ・トイネ王国へ対する重大テロ行為の実行を指示したテロ等共謀罪、ならびに破壊行為指示と殺人を指示した破壊活動防止法違反・殺人教唆の罪で逮捕状が出ております」 

 

若松は裁判所が発行した日本語と大陸共通語で書かれた逮捕状を見せる。

 

ハーク「好きにするがいい。覚悟は出来ている」

 

若松「では御同行願います」

 

両手に手錠が掛けられ、遂にハーク・ロウリア34世は逮捕された。

 

久米「総員撤収ッ‼︎」

 

 

この数時間後、ロウリア軍は連合軍から国王の身柄を拘束した事を伝えられた。パタジンはこれ以上の戦闘は無用と判断し、降伏。

こうして誰もが予想しなかった速さでロデニウス大陸戦争は終結に向けて動き出した。

 

 

 

 

 

 

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