今日は山田、リーネ、アーネと女三人で町まで行く事になった。作物や工芸品を売ってお金を稼ぐためだ。
その際、ゴン蔵さんからはお金を受け取ったらすぐ帰ってこいと念を押された。
「山田、こっちよ」
「え?町はこっちの方向じゃないの?」
「馬鹿ね、町まで歩いていくつもりだったの?一体何日かかると思ってるのよ?」
「リーネ、そう言う事言うもんじゃないよ。山田はまだこっちの事をよく分かってないみたいだし」
「『転送装置』と言うものが村長の家に置いたあるの、それを使って町までいくのよ」
アーネとリーネに"田舎者"みたいに言われて腹が立ったけどこんな村にまで『転移装置』があるなんて、さすが異世界って感じだわ。
村長の家に行くと部屋の前に村長の奥さんらしき人が立っていて、その人にアーネが“マンドラゴラ"を1つ渡していた。
どうやら転送費用代わりみたいだ。
「あ、そっちは下り線だから逆、上り線はこっち」
中に進もうとするとリーネに注意された。
上りは街へ行く人、下りは村に戻ってくる人と言われた。
昔、逆に乗った人がいて戻って来た人と行こうとした人が重なって混ざってしまった事があったらしい。
山田が、「キメラ?」とドン引きしていた。
余談だが、その時は戻ってきた婦人のスカートと、行こうとしていた男の人の掌が僅かに重なって大事には至らなかったそうだ。
一番の被害は男の人の社会的立場が即死になった事だろう。
山田とアーネ、リーネの3人が町に着くと、転送部屋にいた門番らしき人がいきなり敬礼をしてきた。
「お勤めご苦労様です!アーネ様、リーネ様」
「あーかったるい。ねえこの子の荷物も持ってくれる?」
「はっ、畏まりました」
その光景を見た山田が目を疑った。どう見ても田舎者から出てきた女の子達に町の兵士らしき人が敬語で接しているのだ。
「ちょっとちょっと、どう言う事?町の兵士がアーネとリーネにペコペコしてるじゃない」
「見つけたわ!おねー様達」
山田の問いにアーネが説明しかけた時、甲高い声が聞こえた。
「「げげっ、セリーヌ皇女殿下」」
「皇女殿下?」
現代からの転生者の山田は"皇女殿下"の言葉に反応した。そして見様見真似でカーテシーのポーズを取って挨拶をした。
「皇女殿下におかれましては、ご機嫌麗しゅう。私は山田・エレガント・洋子と言います。人にはエレガント・プリンスと呼ばれています」
聞かれてもいない事を喋り出す山田にアーネとリーネが頭を抱えた。
そして山田の暴走はそれで収まらなかった。
「そして、何を隠そう私は"聖女"として女神様に指名されたのです」
山田の言葉に汚物でも見るような目を向ける皇女殿下はポツリと言った。
「"性女"」
山田の取ったカーテシーもどきのポーズは、この世界では単にスカートを吊り上げて足を見せる"破廉恥"な格好であった。