村を歩いていると山田がなんか叫んでいた。
「ステータスオープン、ステータスオープン!」
「何やってんだ?」
「何だ、リクか。今ね異世界の定番"ステータスオープン"の呪文を唱えていたの」
山田よ、それは呪文じゃなくてコマンドだぞと思ったが、こいつが異世界に詳しいとは思えないのでそのままにしておいた。
「ステータスオープン、わわっ出た!!」
後ろで山田が叫んでいた。
俺はバカバカしいと、特に気にも留めずその場を去った。今思えばその時山田の所に戻っていれば、あんなことには…と後悔した。
「ん〜?、これは…」
山田がステータス画面を見てニヤリと笑った。
ー1週間後ー
「お腹が空いたわ、マンドレイクの姿焼きを持ってきて」
「はい!ただいま」
そこには山田に顎で使われていた田吾作さんの姿があった。あれほどマンドレイ子を大切にしていた田吾作さんが今は火でマンドレイ子を焼く姿は涙無くして見る事は出来なかった。
「田吾作さん、一体どうしちゃったんですか?あれほど可愛がっていたマンドレイ子を姿焼きにするなんて…」
「リクか、男には全てを捨てても守らないといけないものがあるんだ」
おおぉぉ… 怨嗟の声とも聞こえるマンドレイクの声が聞こえる。そしてそれを見る田吾作さんの目には一粒の涙が光っていた。
「ふ〜ん、名前は田吾作・ミッシェル・マカダミアン4世…ならこれからは田吾作と呼ぶわ」
「そこはミッちゃんとかじゃないんかい!」
山田が田吾作さんのステータスを見ながら内容を読み上げていった。
「腕力、体力、俊敏性、運。やっぱり農家だと腕力と体力が高いわね、だけど特筆する程じゃ無いか…」
つまらない…と言いかけた時、山田の顔が一瞬パァっと明るくなり、すぐにどんより暗くなった。
「ちょっ、ちょっとこのステータスは飛び抜けて高いじゃない、えーとこの値は…恥力??」
そこにはモジモジしている田吾作さんがいた。
……そして全ての人が秘密にしたい内容に山田は踏み込んだ!そう誰もが自分の内に秘めた"個人情報"だ。
「えーと、一番大切なもの?は…丹精込めて育てた"マンドレイ子"…姿焼きにして食べちゃったけどね」
そして田吾作さんの秘密は、これでもかと言う程に赤裸々に言われた。
シクシク…
顔を伏せて、声を押し殺して悲しみを吐露する…田吾作。
「全く、大の男がメソメソしてんじゃねーよ」
「だって…」
2人の側には、雑貨屋のマリーさんが居た堪れなさそうに立っていた。そして意を決すると…
「ごめんなさい…」
その瞬間、田吾作さんの秘めた恋心は儚く散り、村には山田の下卑た笑い声だけが響いていた。