「なあリク、お前世界の七不思議を知ってるか?」
サムが突然そんな事を聞いてきた。
「俺も一つしか知らないんだけど、それは無限に物を入れる事が出来て、入れた物は中で時間が過ぎず、
ある程度集まれば塊に変化すると言われている」
「それってもしかして…」
アイテムボックスじゃん!って心の中で叫んでいた。異世界転生の定番ネタだ、これがあれば重たい物も自由自在だし、出来立て料理も思いのままだ。
皆んなの前で出した時にびっくりした顔をされるのを想像するだけで興奮するな。
「【ちょー便利、多機能収納箱】 って言うんだけど、1000マンドレイクのところ、なっなんと10マンドレイクで買えるって話しだ、しかも…」
「しかも?」
「同じものがもう一個付いて、お値段据え置き」
サムは目を輝かせて俺に熱く語り出した。
無限に入る収納箱なら、2個あっても意味なくないか??と聞いた所、すでに村で買った人は色々入れた収納箱をもう一つの収納箱に入れてるそうだ。
…マトリョーシカかよ。
「なら、20マンドレイクで多機能箱を4つ買って、物を入れた箱を入れた箱を入れた箱を入れればOKだな」
そんなバカな事を意地悪に言うとサムは目を見開いた。 しまった、露骨にバカにし過ぎたか…
「リク… お前、天才かよ!!」
…異世界転生、皆んな憧れるはずだな。俺の頭の中ではあのキャラの言葉が響いた。
『バカばっか…』
アイテムボックス改め、多機能収納箱をサムに見せてもらった。
「なぁ、コレどのくらい入るんだ?」
「ん?そうだな、馬車10台くらいの作物は入るぞ」
おお、それだけ入れば十分だ、何で皆んなこんな便利な物を買わないんだ?マンドレイクは確かに高価だけどコレを買って儲ければすぐ元は取れるだろう。
「だが、コイツには致命的な欠陥があったんだ」
「致命的な欠陥だと?」
「ああ、中に入れた物が入り口でつっかえてしまい折れてしまうんだ、マンドレイクも骨折しちゃうと商品としては大損だ」
いや、言い方…骨折って何なの?
「まあ、そうなったら"割れマンドレイク"で売るけど
大損だよ」
割れせんべいみたいに言われても…
「馬車に乗らないほどの大荷物も収納箱に入れれば持ち運びも楽だし」
確かに便利だよな。
「それを持ち上げるのが大変だけど…」
収納箱って荷物を入れるほど重くなるのか?
「中に入れた物を整理するのに便利だし」
あー、同じ物なら99個まで一緒に使えるとか。
「1つ1つ自動で名前が付くんだ、ほら1-C サムってつ付いてるだろ?」
何処の小学校だよ、それに作物に名前書いたら売れないじゃん。
「これ、便利だよな、小さい頃に親に"持ち物には全部名前を書いておきなさい"って言われてたなぁ」
その時のサムは凄くいい笑顔だった…