アオオオオオンンーーー!!
夜の村に獣の遠吠えが響きわたる。
昔、村は長い間獣人族に悩まされていた。獣の遠吠えが聞こえるたびに村の住人は雨戸を固く締め、布団を頭から被りブルブルと震えていた。
「なんか夕べ、獣の遠吠えが多かったわね」
山田がアーネとリーネに聞いた。
「そっそう?私は聞こえなかったわよ?」
「私も、夕べは早く寝ちゃったし気がつかなかったなぁ」
アーネとリーネの態度を疑問視しながら山田が手元で何かを操作すると”アオオオオンン―――!!”と遠吠えが響いた。
「ほらほら、これ。これが夕べ聞いた遠吠え、どお?上手く録音出来たでしょ」
山田がスマホで録音した遠吠えを再生した。するとそれを聞いたアーネとリーネが慌てて山田を路地裏に引っ張って行った。
しまった!!この異世界ではスマホはオーバーテクノロジーだったか。
「あの、この機械の事は企業秘密に…」
「そんなアイ〇ォンの事なんかどうでもいいわよ、それより気づかれる前に隠れるわよ」
「あー、もうリクといい山田といい、どうして異世界人は…」
周りを確認したアーネが、「気づかれてないようね」と胸を撫で下ろすとリーネが山田を叱責した。
「あんな人が沢山いるところでなんて声を出しているのよ!」
山田はリーネが何に怒っているのか分からず、困惑してしまった。
「あの遠吠えは、獣人族の間では"今、発情期です。誰でもカモーン!"って言ってるのよ」
「山田がやった事はそーゆー事、獣人の男には淫乱の人間って見られてるわ」
自分がしでかした状況をアーネとリーネに言われた山田が理解した瞬間、ふと視線を感じて振り返ると路地の入り口からこちらを値踏みする様な視線を向ける獣人が鈴鳴りに集まっていた。
「おい、あの女か?」
「でもあの女、獣人じゃないよな。 なのにあの遠吠えは…」
「人間だろうと構わない、俺は行くぞ!!」
獣人が山田に殺到した。
「おっ俺と
「いや俺と…」
「狡いぞ、彼女に目を付けたのは俺が最初だ」
もて期か?私にももて期が来たのか!?山田が生まれて初めてのモテモテの状況に有頂天になっていた。
「こんな沢山の殿方に交際の申し込みを頂けるなんて… 私は山田・エレガント・洋子と言います。今後ともよろしくお願いします」
嬉しさのあまり、ついカーテシーのポーズを取ってしまった山田。その姿を見た獣人たちが顔色を変えた。
「性女!?…」
「性女だ」
「おっ俺、用事を思い出した…」
そんな言葉を残して、獣人たちは一目散に逃げだした。
「発情期の獣人も逃げ出すなんて…」
「何の事?」
「巷では噂になってるのよ性女に関わると