今日は村のマンドレイクの収穫を手伝っている。
マンドレイクと言ったら、異世界ものではおなじみの植物で、今からワクワクしている。
「なぁリク、マンドレイクって知っているか?」
「ああ、あれだろ?引っこ抜いた時に悲鳴をあげる、人間みたいな姿をした植物だろ?」
「おっ、マンドレイクは知っていたのか、ならその悲鳴を聞くと死んじまうっていのも知っているか?」
「あ、聞いたことあるぞ、耳を塞いでもダメなんだろ?」
この辺の知識はオタク知識として知っていた。どんな知識がどこで役立つかなんてわからないもんだな。なんて思いながら話を聞いていた。
「ああ、マンドレイクが悲鳴を上げると村の衛兵がすっ飛んできて死ぬぞ。社会的に…」
「社会的にかよ!」
まさかの社会的にだった!!
俺はマンドレイクについて詳しく聞いた、万が一なにかあったら社会的に抹殺されてしまう。
「マンドレイクが悲鳴を上げるのは…」
「悲鳴を上げるのは?」
「引っこ抜いた時、全裸だからだ」
「マンドレイクって植物だよね?全裸って何?ねえ」
俺はマンドレイクを植物だと思っていたが、この世界は違うのかもしれない。
そんな俺を見てサムが自慢げに言った。
「リク、いつからマンドレイクが植物だと思っていた?」
やはりか、やはりこの世界のマンドレイクは植物じゃないのか、それなら悲鳴くらい上げてもおかしくはない。
「ま、植物だけどな」
「植物なんか――い!」
今、村では深刻な問題に直面している。その理由が夜な夜な作物泥棒が出没しているというのだ。
「夕べ、田吾作さんの所のマンドレイ子が盗まれたそうだ」
「田吾作さん、マンドレイ子の事は目に入れても痛くないほど可愛がっていたからなぁ」
「でも村の衆全員で見張りを立てていたはずだろ? どうやってマンドレイ子は盗まれたんだ?」
ゴン蔵が周りをきょろきょろと見回し、声を潜めて語りだした。
「実はここだけの話だけんど、マンドレイ子は盗まれたんじゃなくて駆け落ちしたっつう話だ」
「駆け落ち?駆け落ちだべか」
「んだんだ、こったらこと田吾作さんには聞かせらんねえべ」
マンドレイク自身が駆け落ちで居なくなってしまうなら、見張りを立てても意味がなかった。
しかし、村にとってマンドレイクがいなくなってしまう事は座して黙するわけにもいかない問題だった。
そこで村は、マンドレイクの問題をリクに委ねる事にした。あのピンクのウィルオウィスプを生み出したリクの
「あの~、それで俺は何をすればいいでしょうか?」
「リク、これはお前しか出来ねえことだ。いいか大事な事だからよ~く聞け!」
ゴン蔵の真剣な目に、リクも知らずに背筋を伸ばしていた。
「マンドレイクが何故駆け落ちするかわかるか?」
「何故って、そりゃ好きな人が村の外にいて、一緒になりたいから村を出ていくんですよね」
「んだ、村の外の男のとこに行くためだ」
「あ!なら、村の男の事好きになれば駆け落ちなんてしなくなりますよね」
リクが「問題解決ですね」と言うが、ゴン蔵は首を振る。
「マンドレイクは村の男には惚れん」
「え?何故ですか?そりゃ顔はブサイクで体はだるんだるん、お金もないですが人間は心じゃないですか!」
「リク、お前結構辛辣だな…」
ゴン蔵の言葉に「リーネさんとアーネさんが言ってただけです」とトドメを指していた。
「リク、もし捕まったら鍋で煮込まれて食卓の上に並べられるとしたら、そんな相手の事を好きになるか?」
「絶対、なりません!(キッパリ)」
「そう言う事だ…」
どんなに好きな相手でも捕まったら食べられてしまう。そんな相手、嫌すぎる。
「ここのマンドレイクは村の人間の顔は全て知っているから好きにならないだろう。だが、他所から来たお前なら、マンドレイクも好きになる余地がある。リク、君の使命はマンドレイクを惚れさせる事だ」
「あー、俺なんかにマンドレイクが惚れますかね?」
「可能性は十分にある!なんせマンドレイクは人間の煩悩に敏感だからな。簡単に言えばスケベな奴ほど惚れやすい」
ゴン蔵さんの言葉に若干悪意を感じた。もしやさっきの仕返しだろうか。
まじで恋するご飯前、通称MKG作戦が開始された。
「で、エロいことを考えればいいんでしたっけ」
「そうだ、エロい事を考えてればマンドレイクはその妄想に惹かれてお前に恋をする。そうすれば他の村の男と駆け落ちなんてしなくなる」
なるほど、エロい事を考えればフェロモンが出るようなものか、自慢じゃないが、エロい事を考えさせたら俺の右に出る者はいないぜ。 さっそく俺はエロい事を考えるための『お〇ず』をゴン蔵さんにお願いしてみた。
「じゃぁ、MKG作戦の遂行にあたってお願いがあるんですが」
「なんだ、何でも行って見ろ、このMKG作戦には村の存亡がかかっているんだ。村人全員で出来る事は
「なんでも?なんでもですか?村人全員って、あの…リーネさんとアーネさんもですか?」
「全員っていっただろ、もちろんリーネとアーネもだ」
俺は歓喜に心が震えた! ビバ異世界!!
「では、リーネさんとアーネさんに、はっ裸エ〇ロンで、料理を作って…」
「あ~~ん、お前ぇ、何を言ってるんだ?」
「え?だってなんでもって…」
「どこの世界に惚れた相手が他の女の事考えて許せる? お前ぇはマンドラゴラを見てエロい事を考えるんだ」
後に俺は村の男たちから、特殊な性癖持ちとして『勇者』と言われた。