「ひいい、くっくるな!ぎゃああ!!」
夜の森に男の悲鳴が轟く。
その肌は赤褐色でその色は怒りで赤くなったと言われている。
「サム、こんな森の奥まで入り込んで大丈夫か?村で田吾作さんに注意されただろ?今森に入ると危ないって」
「ん~~?ああ、鬼が出るからって話だろ?無視無視、鬼なんてここ数年誰も見てないって話だし」
ドーーーン!!!
物凄い轟音が森中に響き、鳥たちが一斉に飛び立った。
「…もう何度言ったら分かるの?」
「うっごっごめんなさい、でも加減が難しくて…」
「言い訳はしない、はぁ誰かに見られる前にとっとと逃げるわよ」
少女たちは気を失ったサムを見下ろすと、その場を後にした。
森に【ベニテングダラケ】を採りに来たマリーさんとタッタカターさんの娘さんがサムたちを見つけ、
村ではサムと村人Aがみんなの笑い者になっていた。というのも、気を失っていたサムは…マリーさんとタッタカターさんの娘さんに見られてはいけない場面を見られていたのだ。
「あのおにーちゃん達、おもらし…むぐっ」
素早くマリーさんの手がタッタカターさんの娘さんの口を塞ぎ、サムと村人Aの尊厳はギリギリのところで守られたのだった。
「よりによってマリーさんに見られるなんて…」
「よりによって幼女に見られるなんて…」
それぞれの性癖が露呈した瞬間だった。
ドーーーン!!
森の奥から何かを叩く音が響く、村の人たちはその音が響くたびに震え上がった。
「本当に何も見ていなかったんだな」
「本当だよ、気がついた時は森の中で倒れていたんだ」
「……見てません、見てません」
サムと村人Aは田吾作さんの質問に何も知らないと繰り返した。
「サムの方は本当に知らないみたいだが村人Aの方は何か恐ろしいものを見て心が折れたみたいだな」
「田吾作さん、"村人A"ってあの青年の事か?」
リクが田吾作に聞いた。まるで名前が無いモブ扱いだったからだ。
「ん?ああ、リクは会ったのは初めてか?村人Aは臆病者でな、滅多に家から出ないから知らないのも無理はない。モブ家は家族全員あんな感じだ」
まさかの"村人A"が名前だった。
因みに、モブ父さん、モブ母さん、モブ村人Aの3人家族だと田吾作さんに教えて貰った。
森の中ではある女の子が山田に言われた通り、特訓していた。
「遅い!相手に考える時間を与えず、一気に行け!!」
「はい、洋子ちゃん!」
「特訓中は先生と呼べ!!」
女の子の正体は鬼人族の
「あー、いたいた」
「タッタカターさんの娘か、1人で森の中にきちゃ危ないよ」
山田と悪鬼の前にタッタカターさんの娘が現れた。
「もうパパのせいでいつまでたっても"
「?なんで誰も名前で呼んであげないの?」
山田が疑問に思って聞いた。
「パパが、私が生まれた時に名前をつけるのが面倒くさがったの。それで文句を言ったら『ならマリーさんがママになってくれればその娘だから"マリア"はどうだ?』って」
山田が「マリアでいいじゃん」って言いかけた時、タッタカターの娘が言葉を続けた。
「その瞬間マリーさんの戦闘力が跳ね上がったの、後には顔の原型がわからなくなったパパだった何かがあったの」
タッタカターさんの娘は自分の肩を抱いてガタガタと震えた。
「あのー、ソロソロ異世界の秘技を…」
山田達の話が長くなっていたので悪鬼ちゃんが痺れを切らして突っ込んできた。
「そうだった、"壁ドン"と"ツンデレ"の技を伝受しなくちゃ、じゃあ壁ドンから復習を…」
「はい!『なあ、俺と付き合えよ!!』」
ドーーーーン!!!
森の木々が揺れた。
「あの先生、どうでしょうか?」
「あ〜、悪鬼ちゃんごめん。それ男側の台詞だったわ」
「えっ?男の台詞?」
「あ、いや現代世界だと女の子の台詞でもあるかな?現代世界では"ユリ"ってあって…」
その後山田はたっぷり3時間ユリについて説明を求められた。 幼女に…