海の怪物と呼ばれ恐れられるリヴァイアサン。
その恐怖がまた訪れようとしていた。
「そろそろだな、ゴン蔵」
「ああそろそろだ、田吾作」
腕を組んで海岸線を睨みつけるゴン蔵と田吾作。
「あの時からもう4年か、今年はうまく行くといいなあ」
「今年上手くいかないと、この村はおしまいだ」
海面が盛り上がり、リバイアサンの巨大な頭が海面から覗く。さらにその巨体が姿を表すとそのまま川を登っていく。
いや正確には川の両側を砕いて這い上がって行ってると言うほうが正しい。まるで鑿岩機だ。
リバイアサンは何かに導かれている様に川を真っ直ぐに登って行く。
「今年こそは上手くいきます様に…」
「大丈夫だ、今年こそは上手く行くって」
ゴン蔵と田吾作は祈る様にリバイアサンが川を登って行く姿を見つめていた。
キシャアアアーーー!!
突然、リバイアサンの耳をつんざく様な唸り声にゴン蔵と田吾作がガックリと肩を落とした。
「今年もダメだったか…」
「諦めるんじゃない、村の存亡がかかってるんだぞ」
しかしゴン蔵を励ます田吾作の顔にも諦めの色が出ていた。
キシャアアアーー!
その時、それに呼応する様に川の上流から別のリバイアサンが現れた。
「おおっ!ついに見つかったか!これで来年から災害に頭を悩ますことも無くなるぞ」
「やったな、諦めずに辛抱し続けた甲斐があったってもんだ」
ゴン蔵さんと田吾作さんは肩を抱き合って喜んだ。
「全くだ、最初はどうなる事かと思ったぞ」
「やれイケメンじゃなくちゃだめとか、年収はクラーケン100匹は稼いでくれないと困るとか」
「跡取りの長男はダメとか、終いには100歳は年下じゃないと嫌っていいだすし、もう300歳超えのババァ…」
とっさに田吾作さんがゴン蔵さんの口を塞いだ。
「バッバカ!滅多なことを言うもんじゃない!昔のあの災害を忘れたのか!」
ゴン蔵が”分かった分かった”と身振り手振りで田吾作に伝えた。
そ~っと後ろを振り返り川を上って行くリバイアサンの様子を確認するがこちらに気づいた様子もなく、もう一匹のリバイアサンの声がする方に向かっていた。
10年前、ゴン蔵が調子に乗ってつい言ってしまった一言でこの村どころか王国が地図の上から消滅しかかったのだ。
「忘れるわけがないだろう、”次は300歳の
「ああその後に怒りの”大海嘯”で王国が水の底に沈むところだったとはな」
「「口は災いの元だなぁ」」
キシャァアアアア――――!!
ひと際大きな鳴き声がしたと思ったら、川の上流で、海獣大戦争が勃発していた!
「一体何があったんだ!?」
「わからん、今年こそは上手く行くと思ったんだが…」
「『うそつき!私を騙したのね?』って言っている」
テイマーの
「分かるのか?」
「反対に何故わからない?そんな程度で【
「そんなこと言ったってよ」
「そっそうだ、俺たちはリバイアサンの出会いの場を提供しているだけだ、出会ってから上手く行くかは本人たち次第だ」
キシャキシャアアアア――――!!
「なんだ?なんて言っているんだ??」
田吾作が恐る恐る
「『アドバイザーならアドバイスしなさいよ!入会金や毎回参加金を取っているんだから責任を取りなさい』と言っている」
キシャアア――キシャアアアア――――!!
上流のリバイアサンが叫び声を上げると
「なっなんだ?なんて言ってるんだ?」
「村に元々いるリバイアサンが、『写真と違うって』」
そしてリバイアサン同士の会話を2人に伝えた。
「『これはお化粧よ』」
「『化粧だって!?どこからどう見てもアプリの加工レベルだろう』」
「『何ですって?もうトサカに来たわ!力づくで分からせてあげる』」
2匹のリバイアサンが暴れ出した。その様子はさながら海獣大戦争だった。