最近日差しが強い、夏が近づいている証拠だ。
「あちー、最近暑い日が続くなーリク」
「ああ、夏が近いからかな」
「げげっ、そうかもうそんな時期か」
サムが言った”そんな時期”ってなんだ? 疑問に思った俺はサムに聞いてみると意外な言葉が帰って来た。
「セイレーンには気をつけろ…」
「なんだそりゃ。セイレーンってあれだろ?甘い歌声や下半身は魚だけど上半身はすっごい美人のおねーちゃんだろ?」
「いや、海水で喉をやられてガラガラ声だぞ。それに波が高い日には腰に巻いたパレオが靡いて、下半身の魚が丸見えになるんだよ。こないだそれでゴン蔵さんなんか”きゃー、痴漢ー!”って逮捕されちゃってさ」
魚の下半身を見てもうれしくねーよ、と思ったが敢えて言葉にはしなかった。世の中には触れない方がいい事はあるのだ。それを補っても美女ならお釣りがくるという物だ。
「あと、みんな魚臭い」
サムが止めとばかり、余計な一言を言った。俺の幻想を返せ!!
「そうか、なんか大人になるって現実を直視することなのかなぁ」
「よくはわからないが、現実を見る事は大切だぞ」
まぁ、魚臭くても、美人ならなんとか…とポジティブに考える事にした。
「ところでセイレーンに何を気をつけるんだ?」
ここまで来たらうやむやには出来ない。俺は意を決してサムに聞いた。すると驚くべき内容がサムの口から語られた。
「カラオケに3日3晩付き合わされる。まるでジャイ〇ンのリサイタルに付き合わされる、の〇太くんなんだ」
「カラオケくらいいいじゃないか、適当に
「リク、あの狭い部屋で
確かにそれはきついなと思った。
「なっなら、ファ◯リーズをしていけば…」
「相手は女子だぞ、そんな事をしたら次の日には村中の女子に伝わって総シカトを食らうだろう。いやシカトならまだましだ。制裁が与えられるだろうな」
「鼻栓、鼻栓なら小さいやつならバレないんじゃないか?」
「リク、過去に誰も同じ事を考えなかったと思うか?」
「いや、こんな事誰でも考えるだろう」
そうだ、鼻栓で問題が解決するなら、すでに誰かがやってる。にも関わらず"セイレーンには気をつけろ"なんて言われるということは…
「昔、鼻栓で挑んだ勇者がいた、彼はその時一緒に居たセイレーンと恋仲になった」
「おお!夢を叶えた勇者が!」
「そしてついに人目のないカラオケボックスでキスに及んだ…」
「パイセン、一生着いて行くっす!」
しかしサムは神妙な顔で言った。
「…呼吸困難で緊急搬送されたんだ」
「え?」
「鼻栓をしていて、キスで呼吸が出来なかった。しかもそれで鼻栓がバレて、それから彼を見たものは誰もいない」
「なので、ガラガラの声で歌が聞こえたら絶対に近づいたらダメだ。一度(カラオケに)引き込まれたら二度と村には(女子が怖くて)戻れないぞ」