私の名前は"山田・エレガント・洋子"、エレガント・プリンスと呼んでも良くってよ。
ある日、目を覚ますと知らない天井が目に入ったの。その瞬間私は前世で過労で倒れた弾みで、車道に飛び出し大型トラクターに轢かれた事を思い出した。
「そう、燃える男の〜赤いってあれ…どうせならかっこいいスポーツカードが良かったけど、今流行りの異世界転生が出来たのだから文句を言ったらバチが当たるわね」
普通は何処かの病院かと思うところを、山田はここが異世界と信じて疑わなかった。
「ステータスオープン!」
山田は突然叫んだ、…しかしやはりと言うか何も出なかった。
「…何かフラグを立てないとダメなのかしら」
山田がアレでもないコレでもないと色々試していると、扉をノックする音が聞こえた。
コンコン!!
「入ってまーす」
「トイレじゃねーよ!」
現代でないと意味がわからないボケに返せるって言うことは声の主は異世界転生でチート能力を貰った勇者か何処かの王子様か…いや最近の流行りは公爵とか辺境伯とかかな?
などと考えつつ扉を開ける。
扉の外には男の人と左右に女の子が2人立っていた。
さっきの会話から、異世界転生をしたのはこの男だと分かった。
「ねえ、リク。流石に寝かせてもらった部屋を"トイレ"と間違う人はいないわよ」
「え?私はたまにトイレで寝落ちしちゃうけど?」
リーネさんとアーネさん姉妹はさっきのボケと突っ込みが分からず、リクを本気で心配している様だった。
やはりと言うか、現代のボケと突っ込みはこのせかいでは通じないか。と言うよりトイレで寝落ちしちゃうんだ。と変なところに感心してると…
「アーネ、ウチには部屋があるのにトイレで生活しているのは貴女だけよ」
「え?アソコはトイレなの?確かにいつも皆んなが"ちょっと使わせて"ってちょくちょく追い出させるなーって思っていたけど…」
アーネさんの斜め上からの告白に目眩を覚えた。
「ま、アーネの事は特殊な性癖として、その子は平気なの?昨日村の教会の女神像の前で見つけた時はびっくりしたわ」
アーネって子は性癖と言われても特に気にする気は無さそうだ、ここではよくある事なのだろう。
それよりも"女神像の前で倒れていた美少女"って所がポイントよね、初めは聖女としてチヤホヤされてその後に稀代の悪役令嬢として名を轟かせる。最高のシチュエーションだわ。
と、そんな事を考えた山田は3人に自己紹介を始めた。
「初めまして、倒れていた所を助けていただきありがとうございました。この異世界転生する前は"真っ赤なポル◯ェ"に轢かれまして…」
事故紹介だった、しかもちょっと改竄している所がセコかった。
「えー、ポル◯ェに轢かれたのか。いいなあ!」
「リク、そのポル◯ェ?に轢かれると良いの?」
「だってポル◯ェだぞ、超お金持ちの車だぞ」
リクの言葉を聞いたリーネは、貴族の馬車程度に考えていた。下手をすると貴族の邪魔をした罪で死罪になりかねない案件に理解出来ないと言った顔をした。
「それで、この
「「…
「まぁ、そんな事もあるわよね」
「趣味は人それぞれだから、気にしなくてもいいよ」
アーネとリーネは含みのある物の言い方だ、リクは状況が理解出来ないのか頭に"?"を浮かべていた。
その後、リクは山田を連れて村を廻り紹介した。
「ゴン蔵さん、俺の同郷の山田だ。なにぶんこっちの事に疎い所があるから色々教えてやってくれ」
「山田・エレガント・洋子よ。私はこの世界に来た時"聖女"に生まれ変わったの。もしどうしてもと言うのなら、下僕にしてあげても宜しくてよ」
しかしゴン蔵さんは俺にこそっと耳打ちした。
『リク、アーネとリーネに聞いたぞ。あの娘"
『ああ、俺も俄には信じられないが本人が"
『…悪い事は言わねぇ、本人に"
『ああ、俺もそう思ってた。悪い奴(聖女の力を悪用)が寄って来ない様に』
『うむ、悪い奴(スケベな奴)が寄って来ない様に』
ゴン蔵さんを始め、この村の人は皆んないい人だ。聖女の情報を貴族に伝えたら沢山の報酬が貰えるだろうが、逆に隠そうとしてくれている。
しかし村人全てがゴン蔵さんみたいないい人ばかりではなかった。
村を廻っていた途中にサムがこちらを見つけると急足で近づいてきた。
「なぁ、あんたいや、貴女はもしや"
「はい、私は山田・エレガント・洋子。"聖女"です」
その言葉を聞いたサムは、満面の笑顔になった。心なしか頬が赤くなって少し緊張している様だ。
「あ、あの…その…これで俺を縛って下さい!」
そう言ってサムは極太の荒縄を差し出してきた。
その時点で、俺は"
後日、アーネとリーネに、彼女を見つけた時の事を聞くとやっと納得出来た。
山田は女神像の前で倒れていた、…縄にあられもない格好で。 あれは確か亀甲…