普通科ですが   作:リクルート7

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初投稿です
誤字脱字など多いと思いますが、温かい目で見守ってください。



第一話

『個性』

中国の赤子が発光するという事象が発生してから生まれてくる子供達に様々な個性が現れるようになり、

今では人口の8割が何かしらの能力を持った個性持ちが暮らしている。

 

しかし、個性によっては所謂当たり外れがあり、それを利用してイジメや犯罪などが横行している。

それを検挙するのがヒーローの役目である。

 

 

3月某日

一人の少年が病院に向かって歩いていた。

彼の名は引寄 蓄真 雄英高校の普通科E組の1年だ

4月からは2年となる、そう彼は決してヒーロー科では無い。

彼の個性は『吸収』炎や水、はたまた衝撃などを両手の掌から吸収することができる。

一見すると強そうな個性だが生物や物理的な物は吸収できない上、吸収上限も存在する。

 

誤解のないように言うが彼は普通科ではあるが決してヒーロー科に入学できなかったから普通科に入学したのではなく意図して普通科に入った。

 

彼はヒーローには興味がなかった。

 

♢♢♢♢

 

引寄は蛇腔(じゃくう)病院に向かっていた、今日は学校そのものが休校だった、ヒーロー科達が何やら大掛かりな案件があるらしい、普通科にはあまり深くは聞かされていない、基本は寮で待機になるのだが、外出の許可も先生達が忙しそうにしていた為、そのまま出てきた。

 

引寄が歩いていると違和感に気づいた、街を歩いていてもヒーローが一人もいない。

 

まだ早朝だからだろうか?そう思いながらも対して気にも止めずいた。

 

♢♢♢♢

 

引寄「あーやっと着いたー」

背伸びしながら引寄は病院に着いた。

 

ナース「あら引寄君、こんな平日に珍しいわね。今日学校じゃないの?」

 

引寄「あっどもっす、今日学校休校なんす」

 

ナース「そうなの?今日もおばあちゃんのお見舞い?」

 

引寄「はい」

 

そう彼は祖母に会いに行っていたのだった。

彼の両親は彼が小さい頃ヒーローとヴィランの抗争に巻き込まれて死んでしまった。

 

それからは祖母が一人で俺の面倒を見ていてくれた

彼も祖母を子供の時から慕っていた。

 

引寄「ばあちゃん来たよー」

 

祖母「あら蓄ちゃんまた来てくれたの? 雄英から結構遠いのに…今日は学校じゃないの?」

 

引寄「今日は休校になったんだ」

 

祖母「あらそうなの?」

 

引寄「それより最近調子はどう?」

 

祖母「うんここ最近はとっても調子がいいの、お医者さんもこのままいけば来月には退院できるかもって」

 

引寄「そりゃ良かった」

 

祖母「蓄ちゃんの方はどうなの?学校は楽しい?」

 

引寄「うん、ぼちぼちって感じかな、まぁ普通科だし」

 

雄英高校の普通科は一般的な授業がほとんどだ。

ヒーロー科を志望し、受験に落ちた人が行く学部だ

そのためヒーロー科に対し、劣等感や嫉妬心を持つ者も多い。

でも普通科でも日常生活では何も問題はない。

 

祖母「…本当に良かったの?雄英に行ったのにヒーロー科受けなくて」

 

引寄「大丈夫だよばあちゃん、何回も言ってるけど俺は自分の意思で普通科に行ったんだよ、ヒーローにも特別興味がある訳じゃないし、卒業していい会社に入ってみせるよ」

 

そう、彼は自ら普通科に入学したのだ。

普通科とはいえあの雄英高校を卒業したとならば学歴には大分有利になる、ヒーローになるのは厳しいがそれでも大学や就職にはいいこと尽くしだ。

 

祖母「…蓄ちゃんが決めたことならいいけど…ヒーロー科に編入したくなったらチャレンジしてみてもいいのよ」

 

引寄「…うん わかった」

 

そんな会話をしていると病室の扉が開くとナースが入ってきた

 

ナース「引寄さーん!あら?蓄真くん!おばあちゃんのお見舞い?ちょうど良かったわ」

 

引寄「どうかしたんですか?」

 

ナース「最近おばあちゃん調子良さそうだし、一度自宅で様子を見ることにしたの、つまり一時帰宅ってやつね」

 

引寄「えっ?いいんですか?そんな急に」

 

ナース「いいですよ、前から先生からも許可もらってるし、それに引寄さんの家は蛇腔病院からも近いしね、何かあってもすぐ対応出来るってことだしね」

 

確かに俺らの実家は蛇腔病院から車で5分ちょっとで着いてしまう。偶に家に帰って気分を変えるのも悪くないだろう。

 

引寄「あー、ばあちゃんどうする?俺は全然構わないけど」

 

祖母「そうねぇ、しばらく帰ってないから帰らせて貰おうかしら」

 

ナース「はーいじゃあ手続きしちゃいますね」

 

急な話だったがスムーズに話が進み、必要な荷物を持って俺とばあちゃんはタクシーで帰路に着いた。

 

♢♢♢♢

 

引寄「ばあちゃん、今日俺も泊まってくよ」

 

祖母「あらいいの?学校には連絡したの?」

 

引寄「いいよいいよ今なんか学校中慌ただしいし、先生達も対応出来ないって」

 

祖母「でも…」

 

引寄「わかったわかった後でしとくから それよりさ今日の昼飯と晩飯俺が作るよ、寮生活で大分腕上がったから食べてみてよ」

 

祖母「それは楽しみね、じゃあお願いしようかしら」

 

しかし家を空けていた為か冷蔵庫や戸棚の中は空っぽだった。

 

引寄「まぁそりゃ無いよな」

 

引寄は外に行く支度をする

 

引寄「ばあちゃん、食材何もないから今から俺買い物行ってくるよ」

 

祖母「あらありがとう助かるわ」

 

引寄「それじゃ行ってきます」

 

祖母「いってらっしゃい、気をつけてね」

 

これが最後の会話になるとは誰も想像しなかった。

 

♢♢♢♢

 

引寄(昼飯なににしようかな?やっぱ消化がいいものがいいよな)

 

歩いてスーパーに着いた引寄は食材を選んでいた

 

「そういや今日ヒーロー達全然見てないわね?」

 

「そうかしら?私都市部の方から来たけど結構多くのヒーローがいたわよ」

 

「あらそうなの?私は町外れからだから見てないのかしら?」

 

主婦達のヒーローというふとした言葉に耳を傾けた。

 

引寄(ヒーロー達、今日都市部にいるんだ、全然見てなかったけど雄英の用事と関係あるのかな?)

 

引寄(……ヒーロー…か)

 

♢♢♢♢

 

雄英入学時

 

普通科『えー引寄君、ヒーロー科の試験受けずに普通科に入ったの?』

 

普通科『なんでなんで?成績足りなかったとか?』

 

普通科『それとも普通科入ってから編入狙ってる感じ?』

 

♢♢♢♢

 

祖母「蓄ちゃん普通科に入ったの?せっかくならヒーロー科受けてみても良かったんじゃない?」

 

引寄「いいんだよばあちゃん、俺ヒーローにはあまり興味ないし、でも雄英卒業していい大学入って、いい会社に入社してばあちゃん楽させてあげるから」

 

祖母「私のことなんか気にしなくていいのよ」

 

祖母「…それともお父さんとお母さんのことでヒーローにはいい思い出ない?」

 

引寄「俺小さかったし、そりゃ悲しくない訳じゃないけど今はもう大丈夫だよ、ただ俺の個性じゃヒーローも厳しいだろうし」

 

祖母「……」

 

♢♢♢♢

 

祖母『ヒーロー科に編入したかったらチャレンジしてみてもいいのよ』

 

♢♢♢♢

 

入学当時や、ついさっき言われたことを思い出す

引寄は自分の手のひらを見ながら物思いにふける。

 

引寄(そりゃ普通科に入っていても嫌でもヒーロー科やヒーローたちの活躍は耳にする)

 

引寄「そういやヒーロー科編入も期待されてる普通科もいるんだっけ?」

 

確か名前は心操人使

 

彼は雄英体育祭でトーナメントに残って先生やヒーロー達の目にも留まった。

 

♢♢♢♢

 

心操『俺はこんな個性のおかげでスタートから遅れちまったよ、恵まれた人間にはわかんないだろ!』

 

心操『(あつら)え向きの個性に生まれて望む場所へ行ける奴らにはよ!!』

 

♢♢♢♢♢

 

引寄の個性は吸収

生物や岩や瓦礫などは吸収できないが炎や水、電気などを両手の掌から吸収出来る。

 

一見すると強個性に見えるが、吸収の容量には上限があるそれを超えると吸収出来ずに体にダメージを負う、その容量も一定時間が経たないと次の個性の発動はできない。

それにプロヒーローには自分の上位互換のヒーローも沢山いる。

なんでも指から吸い込み、分子レベルまで崩壊させる ブラックホールのスペースヒーロー13号

脂肪で攻撃や衝撃を吸収し、それを攻撃力に変える

脂肪吸着のBMIヒーロー ファットガム

それらヒーローに比べると彼の個性は圧倒的に劣っていた。

 

引寄(…そりゃ俺だって学校生活を送っていてヒーローに対して何も思わなかった訳じゃない)

 

雄英体育祭の緑谷や轟達ヒーロー科の奮闘

オールマイトとヴィランのボスの戦い

エンデヴァーの脳無の戦い

その他にも寮や家のテレビでもヒーローの活躍はある程度見てきた。

 

引寄(雄英文化祭のA組のバンドやB組の劇には心が踊ったよ)

 

でももう遅かった、今更ヒーロー科に編入しようという気にはなれなかった。

 

入学の時からヒーロー科を目指していれば良かったか?

嫌でもクラスメイトから聞いた話は実技試験は対ロボットの実践演習だったらしい。

攻撃手段を持たない自分ではどの道無理だっただろう

 

引寄(勉強しかしてこなかった俺は心操のようにはなれそうにないな)

 

自分に悪態を付きながら買い物を続けていると突然、緊急アナウンスが鳴り響いた。

 

アナウンス「緊急事態です!!ただいま蛇腔病院が倒壊した模様です!ここにも被害が及ぶ可能性があります!お客様及び従業員はすぐさま蛇腔病院と反対方向に避難をお願いします!!!」

 

突然の放送にみんな呆気を取られたが、その後大きな地震が発生した。

 

グラグラと揺れ、立ってるのがやっとだ 短い時間だったがその揺れで皆んなことの深刻さを理解した。

 

「おいこれヤバいんじゃないか?!」

 

「押すな!!俺が先に行くんだ!」

 

押すな押すなと大勢の人たちがスーパーから逃げだす 

俺もなんとか外に飛び出て、病院の方を見る

アナウンス通り蛇腔病院が倒壊していく、それだけじゃない その崩壊が地続きにどんどんこちら向かって広がっている

 

引寄「…何だよこれ、何かの個性か?」

 

考えていてもわからない、俺も逃げなきゃ。

いやその前にばあちゃんを連れて来ないと。

大勢が崩壊から逃げているのに対し、俺は家に向かって走って行った。

 

♢♢♢♢

 

彼は無我夢中で走っていた

だが崩壊の連鎖は止まっていない、それでも気にせず祖母を救うために引寄は走り続けた。

 

ついに崩壊の波が目に見えるほどにまで迫った。

辺り一面あらゆる建築物が崩れていく様子が広がった。

 

引寄「…ああ無理だ」

 

あまりの恐怖から足を止め、進むことをやめた。

彼は振り返り、その場から逃げようとする。

 

が、その前には逃げ遅れた女性の姿があった。

もう崩壊は女性の後ろまで来ていた。

 

女性「…助けて」

 

引寄「っ!!」

 

その言葉を聞き、咄嗟に引寄は彼女の前に飛び出し崩壊に対して両手を差し出した。

 

引寄は個性を発動させ、崩壊に対し吸収を行う。

しかし崩壊、というより衝撃波に対して吸収をしたことはなかった。

彼にとってはある意味賭けだった、だがそんな事を考える暇もなくせざるを得なかった。

 

引寄(なんで飛び出した?!こんな崩壊止めれねーよ)

 

ギリギリ抑えているように見えたがすぐに限界が来ていた。

 

引寄「痛ったぁ!!!」

 

彼の手から血が出てきた、吸収の容量限界を迎えたのだ。

 

引寄(…やっぱり俺には無理だったんだ 誰かを救うなんて…ごめんばあちゃん、ごめんなさい)

 

彼が後ろを振り向くと怯えた女性が動けず、その場で座り込んでいた。

その目は明らかに恐怖に染まった目をしていた。

 

引寄(…いや諦めるな!!この人を助けるために飛び出したんだろ!絶対助ける!)

 

引寄「うおぉぉぉーー!!」

 

引寄が叫び、吸収を続けこの崩壊を止めたいと強く願った。

 

すると彼の掌から凄まじい衝撃波が放たれ、引寄は後方に吹っ飛ばれた。

それと同時に崩壊の進行も止まった。

 

引寄(…何が起こった?崩壊止まった?吸収しきれたのか?)

 

いやそれでもない吸収の残り容量ではどう考えても不可能だ。

 

女「…あ、あの」

 

座り込んでいた女性に話しかけられた。

 

女性「あっありがとうござました!」

 

引寄「あ、いやまだ安全とはいえないので今のうちに逃げてください」

 

女性「はい!本当にありがとうございました」

女性は引寄にお辞儀をし、避難していて行った。

 

引寄(…!そうだ、ばあちゃんを助けに行かなきゃ)

 

今は考えてもしょうがない、彼は祖母の家まで走って行った。

 

♢♢♢♢

 

引寄家に向かって必死に走った

 

引寄(ばあちゃん、遅れてごめん、必ず助けるから

俺凄いことがあったんだよ、こんな俺でも人を助けたんだよ、ヒーローには向いてないって思ってた、個性が弱いって諦めてた、そう言って自分を納得させてた、でも俺でもやれたんだ…もし、もしこれから頑張れば遅いかも知れないけどヒーローを目指してもなんて、でもそうなったらばあちゃんにも見てほしい、俺が人を救うところを)

 

懸命に走り続け、ついに彼は祖母の家に到着した。

 

だがそこにはあまりに無惨で無慈悲な光景が広がっていた。

 

家は辺り一面は粉々に崩れ、家そのものが無くなって家とは呼べない物になっていた。

 

引寄「…ばあちゃん…嘘だよな」

 

探さなくても側からみれば一目瞭然だった。

大きな瓦礫が少し残っているだけで、人が生存できる状態ではなかった。

 

彼は唖然としたままその場で立ち尽くした。

 

引寄は唯一の肉親を失ったのだった。

 




第一話でした
ヒロアカ最終回までなんとか頑張っていきます。


主人公のイメージをAIイラストで描いてもらいました。

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